『京王閣競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:10月29日

 京王閣競輪場で開設74周年記念「ゴールドカップレース(GIII)」が、ナイター開催で10月28日に幕を開けた。初日のメイン、特選は福島勢の3人が上位を独占。新田祐大のまくりを追い込んだ小松崎大地が、白星スタートを切った。また、一次予選では地元の鈴木竜士、鈴木玄人が1着でファンの声援に応えた。10月29日のシリーズ2日目には、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 記念シリーズは開催中の毎日、場内予想会、地元選手トークショー、日本競輪選手会東京支部ブース出店などが予定されています。また、29日の2日目には、高木真備さんのトークショー、JリーグFC東京の選手によるトークショー、FC東京のマスコットキャラクター・東京ドロンパとのじゃんけん大会、キッチンカーによるデカ盛りメニューなどの「フードフェス」なども行われます。京王閣競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 青板バックで後ろ攻めから岩谷拓磨が動き出し、3番手の藤井侑吾にフタをする。岩谷は赤板1コーナーで植原琢也を切って先頭に立ち、福岡勢に猪俣康一が続く。外が開けた藤井はワンテンポ置いてから打鐘手前で仕掛ける。藤井が2センターで叩き切り、中部ライン3車はきれいに出切る。中団の岩谷は車間が空いて、中部勢のペース。藤井の番手から余裕を持って追い込んだ坂口晃輔が、好展開を生かして1着をつかんだ。
 「藤井君がしっかりと主導権を取ってくれた。(打鐘で)外に浮いている感じだったんで。岩谷君が駆けたら一番苦しめられると思っていたんですけど、想定していた1つではあった。(藤井が)掛かっていたので、仕掛けてくるのは難しいかなって。(最終)4コーナーから抜きに行ったんですけど踏み直しもしっかりしていた。軽いっていう感じはなかったんですけど、走れているとは思う」
 中部ライン3番手の柴崎俊光は、内を締めてしっかりと追走。ゴール前は坂口と、藤井の間を踏んで2着に入った。
 「展開に恵まれました。スタートは8番(植原)が早かったんですけど、並び的には結果オーライでした。藤井君の掛かりが良かったですね。(次回がホームバンクの四日市記念で)そこで頑張りたいっていうのがある。でも、オーバーワーク気味っていうのは感じていないです」


<2R>

鈴木玄人選手
鈴木玄人選手
 小林則之が赤板過ぎに切って、前受けの鈴木玄人(写真)は車を下げる。久田裕也が小林を叩くと、すかさず鈴木は中団に追い上げて小林と併走になる。鈴木は小林の外から最終1センターで仕掛けて、柏野智典のけん制を乗り越える。久田をねじ伏せた鈴木が先頭でゴールして、地元記念を白星でスタートした。
 「今日(初日)は前から行こうと。そこから1回下げてからでした。小林さんが遅れていたから下げると思ったけど、粘ってきたので前に踏もうと。併走しながらも視野を広く持てていたので良かったけど、ラインで決められなかった。体の調子は良かったけど、緊張で硬くなっていたので2日目以降はほぐれるように」
 鈴木マークの岡は望月永悟にからまれて連結を外す。久田マークから直線で追い込んだ柏野智典が2着に入った。
 「(久田が)もう少し踏んでくれれば(止められた)。信用してもらえなかったというか、自分1人で合わせようとしていましたね。初めての連係でわからなくて、このくらいのスピードなのかなと思ったら(最終)3コーナーから上がっていった。(最終)ホームで踏んでいてくれれば良かったかな。(自分の状態は)悪くないと思う」


<3R>

 幸田望夢が赤板過ぎに根田空史を切って、単騎の原田研太朗が関東勢に続く。立部楓真は一旦、根田の外で待ってから仕掛けて、打鐘2センターで幸田を叩く。7番手に置かれた根田は、4コーナーから最終ホーム目掛けてスパート。2コーナーで根田が先頭に立ち、ピタリと追走した小原太樹がゴール前で差し切った。
 「車番が悪かったんで、スタートで出てみて取れた位置からって思ってました。(根田の)一歩目のスピードが良かったんで、出切っちゃうなと思った。そこにしっかり付いていって、しっかり差せてるんで状態はいいと思います。脚だけで言えば仕上がってますね。あとはテクニック。追走や、ヨコもまだまだだと思うんで」
 持ち味のスピードを遺憾なく発揮した根田空史が2着で、南関ワンツーが決まった。
 「車番が悪かったし、後ろよりも前の方がいいかなと。緩んだところから行こうと思ってたけど、(最終)ホームで一瞬休んでたんでそこを目掛けて行った。スピードの乗りが良かったし、越えられる感じはあった。前回、太田海也と、中野慎詞のとんでもない先行を味わって、いい練習になりましたね。腰はアップ前は痛みがなかったけど、全力でモガいたらちょっと痛い。ペダリングは良くないけど、出はいいのでなんとか戦えると思う」


<4R>

芦澤大輔選手
芦澤大輔選手
 晝田宗一郎が、赤板過ぎに平尾一晃を押さえて前に出る。3番手は中四国勢に続いた菅原裕太と、平尾で併走となり、隊列が短くなったところを河合佑弥が仕掛ける。河合が打鐘3コーナーで晝田を叩き切り、関東ライン3車で出切る。菅原が外併走から仕掛けるが不発で、晝田のまくり追い込みも届かない。逃げ粘る河合を、ゴール寸前で交わした芦澤大輔(写真)が1着。
 「河合君がちゅうちょなく行ってくれた。晝田君も脚を使っていたので、まくりには来られないだろうと思っていました。(河合が)掛かっていたので、(最終3コーナーで)決まったかなっていうのはありました。バックの追い風でうまく回していた。最後は踏み直されてやっと抜けた感じです。河合君の状態がいいと思います。(前回が終わってから)今年一番練習してきた。今回それを出せるかはわからないですけど、裏付けはあるので自信を持って走りたい」
 持ち味の先行で別線を封じた河合佑弥が2着に粘って、地元記念の初戦を突破した。
 「最初から前中団っていう感じでした。晝田君が前かなって思ったんですけどね。前中団から先行しようと思っていました。落ち着いて(打鐘過ぎ)4コーナーから踏み上げていく感じだった。(最終)3コーナーまで掛かり切ればいけるかなと。最後は差されましたけど、粘れていましたしすごくいいと思います」


<5R>

小林泰正選手
小林泰正選手
 後ろ攻めの皿屋豊が、小林泰正(写真)を赤板で押さえる。皿屋がそのまま強めに踏んでペースを上げると、中部勢を追って切りに動いた道場晃規は7番手に車を下げる。これで脚を使わず中団取りがかなった小林は、最終2コーナー手前から仕掛ける。皿屋を3コーナーでねじ伏せると、そのまま後続を引き離してゴールした。
 「あの展開は想定していなくて、全引きだけはしないように位置を取ってまくろうと思った。作戦にはなかったけど体が動きましたね。前回に引き続いて体はいい。朝倉(佳弘)さんがからまれているのが見えたので、一度ニュートラルに入れてから踏んだけど、うまくいかなかったですね。感じはいいので先行を基本に置いて走りたい。最低でもバックは取れるように、バンクは軽く感じた」
 朝倉は山口泰生にからまれて遅れる。2周近くを踏み切った皿屋豊が2着に踏ん張った。
 「前を取れなかったので後ろからに。出てから(小林と道場が)併走になってくれれば良かったんですけど残念でした。踏んでいる感じはすごい良くて、小林君を合わせるように踏めた。京王閣は相性がいいし踏めましたね」


<6R>

 前受けの木村弘は、藤原俊太郎を赤板で突っ張る。藤原が中団に入り、今度は高田修汰が巻き返す。木村は高田も突っ張って主導権を渡さず、ハイペースのまま最終周回に入る。高田を追わずに4番手に入った稲垣裕之が、バックで自ら踏み上げる。が、山崎芳仁はそれに合わせて番手から踏み込む。そのまま山崎が後ろをちぎってゴールした。
 「(木村)弘が突っ張りたい感じだったんで、その意思を尊重して、それに応えなくちゃなって思ってました。高田君がもうちょっと構えてくれてればペースだったけど、すぐに来て対応できなかった。でも、(番手から)出なくても良かったのかな。稲垣さんが中団に入っててサラ脚だなと思ったんですけど、今思えば冷静に判断しても良かったのかなって。弘のおかげですね」
 稲垣裕之は山崎に仕掛けを合わされると、菊地圭尚をキメて、2着に入った。
 「中団からってことだったけど、他の2人の先行選手も積極的ですし、高田君にとっては難しいレースになったと思う。木村君が踏んでるところで無理やり行ってくれたけど、僕は中団を確保して迎え入れる準備はしていた。でも、無理そうだったんで自分で行きました。踏み直されて、山崎君も出たんで、悪いけど菊地君のところに降りた。緩んだところで前々に踏めているし、状態はいいと思います」


<7R>

阿部拓真選手
阿部拓真選手
 前受けの吉田有希が、吉田智哉の上昇を突っ張って出させない。吉田智が8番手に下がり、4番手に中釜章成、6番手に照井拓成の順で並んで、周回中と同じ隊列のまま打鐘を迎える。吉田有は2センターからペースアップして、一本棒のまま最終周回。2コーナーからまくり上げた中釜が、吉田有をとらえて直線に入る。そのまま中釜が押し切るかに思われたが、高橋築のけん制で大きく空いたコースを俊敏に突いた阿部拓真(写真)が鋭く突き抜けた。
 「(吉田有は)引くと思っていたんですけど、取りに行っての前だったので(突っ張りは)あるのかなって。掛かっていたんで照井君が踏んでくれないとなって思っていたら中釜君が行ってくれた。ギリギリまで付いてって最後は(コースが)空いた。伸びてくれて良かったです。ギリギリまで上にいて、内に突っ込めたのが良かったですね」
 吉田有の先行をまくった中釜章成の状態は良さそうだ。
 「(吉田有の)突っ張りは半分、引いたら(自分が)先行するか、(吉田有の巻き返しが)早ければ出させてっていう感じでした。(吉田有が突っ張ったあとは)照井さんがすくってくるかもっていう感じだった。まくれているので、展開があれでしたけど(状態は)ええかなって」


<8R>

 畑段嵐士が赤板過ぎで星野洋輝を押さえる。中近勢を追って上昇しかけた佐々木豪だが、一旦自重して7番手に車を下げる。畑段を押さえた藤田周磨が徐々にペースを上げるが、佐々木は打鐘3コーナーから一気にスパート。池田良は踏み出しに空いて、星野が最終ホームで佐々木を追う。佐々木が藤田を叩き切ると、今度は3番手に畑段がスイッチ。五日市誠とからんだ畑段は、2センターで内から星野をさばいてゴール前で抜け出した。
 「初手は後ろになるかなとは思っていました。詰まったら行こうとは思っていたし、あれで良かったと思うけどジャンからもっと余裕を持てていればですね。1着スタートはうれしいです。調子は10分の6.5って感じです」
 最終2センターで畑段が内に行くと、川口公太朗は外のコースを選択。星野を交わして、結果的にラインの中近ワンツーとなった。
 「(打鐘のあとの)3コーナーで佐々木君が見えて張ろうとしたら、星野君が見えてそこで滑ってしまった。滑ったのは良くなかったけど、落ち着いて見ていられた。最後は五日市さんの内に入れれば良かったかな。レースは地区プロから続いているけど、うまく走れていると思う」


<9R>

宿口陽一選手
宿口陽一選手
 後ろ攻めから林慶次郎が上昇すると、中団の坂井洋も合わせて動き出す。前受けの佐々木堅次が赤板で両者を突っ張り、坂井と、林は互いに元の位置に戻る。坂井が中バンクに上がってけん制し、林は仕掛けられない。泳がされた佐々木は、打鐘4コーナーから腹をくくって先行策。坂井は最終2コーナー手前から仕掛けると、抜群の加速で北日本勢をのみ込む。一瞬踏み出しで遅れた宿口陽一(写真)だったが、2センターで追いつくとゴール前でわずかに交わして1着を奪った。
 「何回やっても彼(坂井)の初速が合わなくて。行くってわかってるんですけど。追いついてからはニュートラルに入ってるんで交わせた。道中は軽かったんで状態はいいかなと思う。気持ちの余裕はあるけど、坂井とは脚力の差がありますね」
 脚力の違いを示した坂井洋だったが、2着の結果には満足していない様子。
 「一番後ろからカマすよりは、流れの中で行った方がラインで決まると思った。脚を使ってなかったし、乗り越えられる感触はあったけど。なんでうまく残れるように走れないんだろうって感じですね。この距離で差されるようじゃ。もっと回しながら行ければいいけど、レースになるとどうしても力んじゃう」


<10R>

町田太我選手
町田太我選手
 後ろ攻めの長谷部龍一は、中団の町田太我(写真)にフタをする。長谷部は打鐘を過ぎても外併走にこだわって、誘導は残ったまま。打鐘2センターから踏み上げた長谷部だったが、先頭の佐藤博紀が突っ張って出させない。両者でモガき合いとなった上を、町田が最終ホームから仕掛ける。長谷部に踏み勝った佐藤を、町田がスピードの違いでとらえて1着。
 「(長谷部が)切ってくれると思ったんですけど、切ってくれなかったですね。(長谷部が仕掛けてきた時に)6番(原田隆)が来ていなかったので助かりました。自分にしては珍しく反応できたので、レース勘も問題ないと思いますし(まくりに回った時の苦手意識を)払しょくできたと思います。(仕掛けた時はまくり切れるかは)ちょっと怪しかったです。回すことを意識していきました。(久々のレースでも状態面の)不安とかはなかったです。いつも通りの練習はできていたので」
 小川勇介は町田の加速に離れる。佐藤マークから直線で追い込んだ阿部力也が、町田に迫って2着でゴール。
 「後ろからだと町田君に前を取られて突っ張られたら終了なので、リスクを背負うよりもと思って(前を)取りに行きました。(佐藤は)どっちみち8番(長谷部)は突っ張ると思っていた。町田君のスピードが違ったというよりはずっと上を走られたので(ブロックは)無理でしたね。脚は軽かったので調子はかなりいいと思います。展開も良かったんですけど」


<11R>

 前受けの大川剛が成松春樹の上昇を突っ張る。成松は安東宏高に迎え入れられて4番手で立て直す。突っ張った大川はそのままハイペースで駆けて、隊列は一本棒のままで最終周回に入る。成松が3コーナーから車を外に持ち出すと、大川マークの鈴木竜士は外に張ってけん制しから前に踏み込んで抜け出した。
 「大川君は前なら突っ張ると思ってました。(大川は)突っ張ったところは良かったけど、最終ホームでつっかかる感じだったのでオーバーペースなのかなって。強いイメージがあったので残るかと思ったけど、そこは僕の技術不足。大川君を残せなかったのは悔しい。自分は状態に余裕もあるし、あとは気持ちの余裕だけですね」
 大川ライン3番手の岡本大嗣は、鈴木と大川の間を踏んで鈴木と僅差の2着。
 「(道中は)後ろを確認できなかったですけど、近畿が後方になったかなと思って、あとは内を空けないようにだけでした。(別線の仕掛けが)来ても横で止まると思って、落ち着いて内にいけばコースがあると思って内に行った。抜ければ良かったけど、鈴木君も余裕がありそうだった。地元に向けて気持ちが入ったのは大きい」


<12R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 青板周回で早めに動き出した眞杉匠は、誘導退避線の赤板を迎える前に北井佑季の横に並ぶ。眞杉は北井に体をぶつけて内に押し込んでから、赤板過ぎで切って先頭に立つ。一旦4番手に下げた北井だが、打鐘前に踏み上げてすかさず巻き返す。これを突っ張った眞杉は、2センター過ぎに大きく北井を外に押し上げて、このあおりで松谷秀幸が落車。新田祐大は最終ホームで単騎の園田匠をすくって4番手を確保し、2コーナーからまくり上げる。小松崎大地(写真)は園田の外をう回して新田に付け直し、ゴール前でわずかに交わして1着をゲットした。
 「取れた位置から攻めるしかないなってことで、今日(初日)は新田に気持ち良く踏んでほしかったし、そういう組み立てを考えてました。正直、前(の落車)は見えてなかったんですけど、新田がその中で冷静に立ち回ってくれたおかげだと思います。園田さんが締めてきたんで、新田の動きを見て外をう回した。そうやってしっかり立ち回れたので悪くないですね」
 新田祐大は豪快なまくりで、福島3人の上位独占をメイク。
 「仕掛けるタイミングはどっかで来ると思ってたし、それを逃さず仕掛ければ、後ろにヨコにもタテにも踏める選手がいるし、自分も力勝負ができると思った。残り2周半から眞杉が北井を結構押し込んでたし、2人とも(先行の)気持ちが強いんだろうなと思って見ていた。落車もあったし、そこは回避に専念した。感触は悪くないですね」
 小松崎に危なげなく続いた佐藤慎太郎は3着。
 「北井と眞杉がどれくらいの気持ちで来るかわからなかったし、難しかったと思うけど、俺は3番手なんで全部任せてました。先行屋同士の気持ちがぶつかるいいレースだったと思うし、見ててもカッコ良かったね。(小松崎)大地が強かったと思います。自分でまくる感じになりましたしね。あのまま園田の後ろに収まらないのが、大地のいいところだと思います」