『シン東京ミリオンナイトレース(GIII)レポート』 前検日編

配信日:7月14日
 新たな試みとして京王閣競輪場で3日制ナイターGIIIが今月2節開催される。その第一弾「シン東京ミリオンナイトレース」は7月14日に開幕。サマーナイトフェスティバル直前のシリーズとなるが、山崎賢人、和田健太郎、岩津裕介ら全国から強豪が集結した。地元勢も鈴木玄人を筆頭に粒ぞろいの面子がそろって大会を盛り上げていく。また、S級戦と合わせてガールズケイリンも実施され、こちらも児玉碧衣、梅川風子らトップ選手がトーナメントA、Bに分かれて覇を競う。
 シリーズ開催中は毎日、京王閣競輪オリジナルグッズプレゼントキャンペーンがあるほか、恩田繁雄さんのピックアップ予想会、山口幸二さん、高木真備さんによるオーヴァル予想会、東京支部選手会ブース、ビールフェスティバル、キッチンカーなどが予定されています。京王閣競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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太田りゆ選手
太田りゆ選手
 パールカップは準決敗退に終わった太田りゆ(写真)だが、次の7月名古屋は力の違いを見せて完全V。GIで結果を出すために、今は自身の走りを見つめ直している時期だと言う。ハイレベルなメンバーがそろった今節は、どんな走りを見せてくれるのか。
 「状態は悪くないんですけど、走りに迷いが出ている時は結果が良くないんです。(ナショナルチームを引退して)ガールズケイリンを本格的に走り始めてから、方向性を悩み始めています。印象も大事だし、色んな戦法が必要。得意な戦法も、警戒されると難しくなるので。デビューしたばかりじゃないし、年齢的なことを考えても、自分が自信を持った走りをしようと決めて走ったのが、(前回の)名古屋の結果ではあるんですけど。変なレースはしないようにしたいです」
 デビューから1年が経った大浦彩瑛は、メキメキと力を付けて今年3度の優勝を飾っている。直近の決まり手は全て自力と、ハイスピードを武器に圧倒している。
 「軽いケガをしちゃって、直前の練習はちょっと控えめにやってきました。大きいケガじゃないし、体は大丈夫だと思います。太田さんとの対戦は初めてです。今回はメンバーが良いし、GIを意識した競走をやりたい。先行もしてるけど、差されたりとかしているし、先行の手応えはあんまりないです。先行して逃げ切れるくらいの力がないと、GIでは通用しないと思うので、先行は意識しています」


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梅川風子選手
梅川風子選手
 梅川風子(写真)は、パールカップで決勝4着。ナショナルでチームメイトだった佐藤水菜に敗れて、そこから課題と向き合ってきた。
 「気温が高くなってきたし、自分の体調も良いです。最近は、京王閣だけじゃなくて、平塚とか、川崎でも練習しています。パールカップで課題が大きいと感じたし、そこを修正してGIに向けて練習しています。パールカップの決勝で課題を痛感して、トレーニング内容も見直しています。ただ、そう簡単には結果が出る感じではないです」
 128期の新人から岡田優歩が参戦する。養成所時代から先行に強いこだわりを持ち、競走訓練での先行回数はトップ2の数字だ。先輩期との走りでも、自分の持ち味を出していきたい。
 「(前回の福井は)仕掛けが遅れていたし、後手を踏んでしまいました。なので、今回は出遅れないように意識したいです。練習は街道で、師匠(大川栄二)と一緒にやってきました。今回は強いメンバーがそろってますけど、自分でちゃんと動いて、先行もしたい。弱気にならないようにしたいです」


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児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 パールカップでまさかの予選敗退を喫した児玉碧衣(写真)だが、その後の2走目、3走目は敗者戦ながら連勝締め。オールスターのファン投票では9年連続で1位に選ばれた。今年の前半は苦しんだが、現在はモチベーションも高く保てている。
 「(パールカップは)初日に勝ち上がれず、調子が良かったのに力を出せなかった。でも、いつもならそこで気持ちが切れて、しょうもないレースをしちゃうんですけど、2、3日目に1着が取れたので。終わって1週間くらいはオフにして、その後は毎日自転車に乗っていました。オールスターに向けて上げている最中なんですけど、計画的に練習できています」
 対抗格は藤田まりあ。GIでは振るわなかったが、普通開催では鋭いダッシュを武器に善戦している。
 「前回の別府の後に体調を崩したんですけど、レースを走る分には大丈夫です。練習での感じもいつも通りでした。着がずっと良くなかったので、1着を取れるように走ってました。メンバーを見て考えて。思い通りにならないことの方が多いですけど、その時はその場の判断で。今回も何とか上手に走っていきたい」


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石井寛子選手
石井寛子選手
 地元の石井寛子(写真)は、パールカップの初日に落車し、今回が復帰戦となる。状態は未知数だが、ファンの声援を力に変えて、3日間を走り切る。
 「(落車のケガは)左の肩鎖関節の脱臼でした。できる限りのケアとトレーニングをして、(ケガと)向き合ってきました。(状態は)走ってみないと、分からないですね。京王閣は、たくさんの応援隊がいるので、緊張もあるけど自分を後押ししてくれる。応援のおかげで100%以上の力が出ます。復帰戦を京王閣で迎えられるのは嬉しいですし、これを機に新人のつもりで走りたいです」
 1月小倉で初優勝を決めるなど、中島瞳は競走にも慣れて、徐々に力を発揮し始めた。今節もどこまでやれるか注目だ。
 「中5日で練習はできた。大宮バンクで練習して、自力でも踏んで、男子選手ともやってきました。悪くはないかなと思う。前回の四日市は調子が良くて、踏めている感覚があった。今回は頑張りたいですね。みんな優勝を目指してレースをするし、負けじと頑張りたい。今年は1回優勝できたので、今年中にあと1回は優勝するのが目標です」


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 黒瀬浩太郎は、今年からS級に初挑戦。たぐいまれなダッシュはS級でも十分通用しており、3月四日市GIIIでは準決に進んでいる。前回の7月いわき平FIでは、決勝で河端朋之と、岩津裕介の前を回って先行した。
 「前回は3日間全てでバック線を取れた。1着は取れていないけど、積極的な走りはできているから悪くないです。積極的に走るのは意識している。(小松島記念で同期同門の西田優大が優勝して)置いていかれました。早く彼に追いつかないとですね。負けていられないので。あまり一緒に練習する機会はないけど、刺激はもらっています」
 山口多聞は、前回の7月松戸FIで3日間先行して1、1、3着。持ち味を存分に発揮して、存在感を放った。
 「前回は、展開も自分に向いていたし、先行しやすい感じになったのが大きかったです。調子自体はそんなに変わってないと思うんですけど、成績が良かったですね。松戸は流れるバンクだし、それも味方してくれました」


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 松崎広太は、直近4カ月の競走得点が104点に迫る勢い。7月川崎FIの準決では、気迫の先行策で山口拳矢を不発に陥れ、ラインの先輩を決勝に導いた。
 「そんなに戦法にはこだわってないんですけど、(吉澤純平と芦澤大輔を連れていた)前回の準決は先行するつもりでした。結構緊張しましたね。でも、普段の競走では先行も、位置取りもどっちもやるつもりでいます。今期はS1の点数が狙えそうだし、ヤンググランプリも狙っている。記念や、GIIIが大事だし、点数を上げていきたいです」
 松崎の番手は地元の岡本大嗣。4月静岡FIで落車し、今回が約2カ月振り実戦だ。地元GIIIへ向けて、前検日は緊張の面持ちでインタビューに答えた。
 「ケガは治す時間があったし、練習もできました。ここが入っていたので、ここに向けてって感じですね。落車でフレームがダメになってしまった。今回は、以前使っていたやつで、優勝とかしていたときのフレームを使います。松崎君とは初めて。落車明けですし、彼に食らい付いていきたいです」


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栗山和樹選手
栗山和樹選手
 栗山和樹(写真)は、5月奈良FIでS級初優勝を飾るなど、粒ぞろいの125期の中でも注目の好素材。前回の7月松阪FIは、準決、3日目と7着を並べてしまったが、そこから中4日で立て直せているかどうか。
 「前回の前に軽いギックリ腰をやっちゃって、今回はケアを中心に調整してきました。練習はおさえ気味で、痛みが出ないようにやりました。京王閣は成績も良いし、軽くて走りやすいと思います。ヤンググランプリを目指しているし、点数を上げられるように頑張りたい」
 レインボーカップでS級返り咲きを決めた小原丈一郎。久しぶりのグレードレースで、持ち前のレースセンスを発揮する。
 「S級だと、ちょっとまだ余裕がないですね。最近は先行が多いけど、本当はもっと位置取りをやっていきたい。前に出て、飛び付きを狙っているのに、誰も来なくてそのまま駆けるっていうパターンが最近は多いですね。構えてもまくれないし、今は何でもやるつもりでいます。初日は細切れ戦なんで、特に作戦は決めずにいきたい」


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 橋本壮史は、6月岸和田FIで優勝するなど、近況は成績が上がっている。直前の7月宇都宮FIこそ準決で大敗したが、状態面の問題無しを強調した。
 「(前回は)連日やりたいことはできたと思います。2日目に関しては、自分でかえりみるところがあるとは思いますけど、体は問題ないですね。レースが続いているので、とにかく体調を崩さないようにと思って練習してきました。中3日ですし、追い込んだ練習ではないんですけど、技術的な練習をやってきました。京王閣は、去年走ったのが初めてだった。難しいバンクじゃないし、クセもなく走りやすいと思います」
 大矢崇弘は、昨年6月奈良でGIII初制覇。そこからの1年は落車もあって順風満帆とはいかなかったが、徐々に持ち直してはいる。ただ、前回の7月松戸FIは、準決のゴール後に落車している。
 「ケガは打撲くらいなんですけど、ダメージが結構あって練習はあまりできなかったです。自転車は壊れなかったんで、今回もそのまま使います。状態が良いとは言えないですけど、地元なんで頑張りたいです。京王閣は普段練習しているバンクですし、その点は有利だと思います。それに、橋本君とは何回か連係して、全部1着を取らせてもらっています」


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嵯峨昇喜郎選手
嵯峨昇喜郎選手
 嵯峨昇喜郎(写真)は、6月富山GIIIで優出すると、続く同月熊本FIで優勝をゲット。決勝は、中石湊の番手から勝機をモノにした。もともと素質を秘めていたが、ここに来て本格化の兆しを見せている。
 「前回は初日に先行で押し切れたし、2日目は展開が悪かったけど勝ち上がれた。決勝は、中石君のダッシュに離れたけど、リカバリーできたし、状態自体も悪くなかったと思います。今年は冬期移動してなくて、室内練習だけでどうなるかなと思ったら全然だめで。3月くらいから外で練習するようになって、その成果が最近出始めていますね」
 直近は大幅に点数を下げてしまった久米康平は、前回の7月松戸FIを家事都合で一本欠場。中17日で充実した練習が積めたようで、ここからの巻き返しに期待したい。
 「家の用事もあったんで、前回は欠場しました。中3日が続いてたんで、このタイミングでしっかり練習しようと思ってやってきました。走ってみてですけど、上向いていると思います。ダービーで何も通用しなかったんで、そこから練習を見直したんです。それで体重が2㎏ぐらい落ちちゃって、感覚のズレがあった。今もその練習を続けているけど、体重が戻ったんで、そろそろ成果を出していきたいですね」


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 吉田有希は、高松宮記念杯から中20日空いたゆとりのローテーションで今節に挑む。普段とは違う練習環境のなかで、上積みを作ってきたようだ。
 「大垣で練習してきました。嫁(増田夕華)のホームバンクなんで、縁があって練習させてもらいました。ここ最近は競走が詰まってて、全く練習できていなかったし、追加も断って練習しました。大垣はスピードが出るバンクだし、良い練習ができましたね。予選のメインを任せてもらえたし、地元勢が後ろなので、力を出し切れるように頑張りたいです」
 寺沼拓摩が、吉田の番手を回る。高松宮記念杯でGIデビューを果たした若武者は、地元で気合十分だ。
 「今期一発目なのでしっかり走りたい。地元で気持ちは入りますね。調子は悪くないし、しっかり練習はできた。目標は決勝までいきたい。吉田君とは何度も連係したことがあるし、毎回良いレースをしてくれる。抜けない方が多いですけど。毎日京王閣のバンクで練習しているし、まずは初日を勝ち上がれるように。地元なので一走一走しっかり走っていきたいです」


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山崎賢人選手
山崎賢人選手
 山崎賢人(写真)は、高松宮記念杯の2走目に痛恨の失格を喫してしまった。今節はシリーズリーダーの立場で、なんとか気持ちを立て直して結果を残したい。
 「宮杯は、体の調子は良かったんですけど、(失格で)申し訳ないことになってしまったし、今回は頑張りたいです。ナショナルチームで普通に練習したし、良い練習ができたと思います。今回に関しては、直前にちょっとだけ鉄フレームでも練習できました。京王閣のバンクに変なイメージはないですし、頑張りたいです」
 和田健太郎は、前回の7月松戸FIで地元V。決勝は最終バック3番手から、格上の決め脚を発揮した。今節もV争いの一角を占める実力者だ。
 「松戸は、連日飯野(祐太)君が頑張ってくれて、最終日もやることをやってくれて、そのおかげで自分が優勝できました。終わった次の日から練習していたけど、上積みがあるような練習ではないです。整えてきたって感じですね。基本的にバンクの好き嫌いはないんですけど、京王閣は記念も獲らせてもらっているし相性は良いですね」
 鈴木玄人は、6月平塚FIを無傷で制して、S級初Vをゲット。その後大事を取って一本欠場したが、地元戦には備えられたようだ。
 「(優勝は)素直に嬉しかったけど、また一からだなと思って練習しました。膝が痛くて欠場したけど、もう大丈夫です。練習もちゃんとできました。地元で呼んでもらえたので、全力で頑張りたい。高いモチベーションで、ここに向けて練習したし、感じも良かったです」