『立川競輪開設72周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月7日

 立川競輪場で開設72周年記念「鳳凰賞典レース(GIII)」が、9月7日に始まった。初日のメイン、特選では、立川記念を2度制している清水裕友が、白星で好スタートを切った。また、一次予選では、オープニングの1レースで地元の鈴木玄人が押し切って1着。ファンの声援に応えた。9月8日のシリーズ2日目には、二次予選の7個レースで勝ち上がりが争われる。
 記念シリーズは開催中の毎日、オリジナルグッズを数量限定で先着プレゼントします。選手会東京支部によるオリジナルグッズの販売やチャリ氷、B級グルメフェス、地元選手のトークショーなど、様々なイベントが予定されています。立川競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

鈴木玄人選手
鈴木玄人選手
 赤板過ぎから池野健太、小林則之の順番で押さえて出て南関勢が主導権。前受けの鈴木玄人(写真)も俊敏に反応して、赤板2コーナーから踏み込む。先行態勢の小林がペースを上げて、4番手にできたスペースに鈴木が入り打鐘を通過する。池野が内から盛り返すと、鈴木は再度4コーナーから仕掛ける。三谷将太に振られた大森慶一は付いていけない。抵抗する小林を鈴木がねじ伏せるが、今度は池野がまくりを打つ。鈴木は最終3コーナー過ぎに自ら池野を止めて、そのまま押し切った。
 「(ホームバンクでの記念の1着は)めっちゃうれしい。競輪選手になって一番の幸せ。池野さんを見つつフタをして詰まらせながら前を叩けたらと思っていた。後ろの先輩方に迷惑を掛ける感じになりましたけど。回しながら外にへばりついて、前に踏んでゴール前勝負しようと。余力があったのでどういう展開にも対応できるようにと。半年のA級で下積みができた。目の前のレースを全力で戦って着がついてくればうれしい。出し惜しみしないように。今日(初日)みたいな泥仕合しかできないので」
 小林が力尽きると、落合達彦は最終バックで鈴木後位に切り替える。近畿勢にかぶってはいたものの、内でじっと我慢して流れ込んだ。
 「小林さんのおかげです。小林さんは中団で別線が併走しているのをわかっていたみたいで、うまくペースに入れていた。鈴木君を止めたかったけど、彼も脚があるからもう1回来ちゃいましたね。記念で初日2着は上デキ過ぎる」


<2R>

 木村皆斗が誘導を残して下げて、赤板では上田尭弥が誘導の後ろに入る。中団で藤井準也にかぶされた木村は、狭いところから2コーナー過ぎに仕掛ける。上田も突っ張り、両者の叩き合い。一度は木村との連結が外れた久木原洋だったが、最終ホームでは木村を前に見る形で様子をうかがう。上田に合わされた木村は、番手の橋本強と併走。2コーナー手前でさばかれた木村に藤井が接触して、藤井、重倉高史が落車。バック手前から自力に転じた久木原がまくって1着。
 「連係を外してしまって反省ですね。上田君が突っ張っていたので、(木村は)中団に入るだろうって考えてしまった。後ろに小林(大介)さんもいたし、内が空いたので行けるところまで行こうと。モガき合っていたから車が出た。戦える状態ではあります」
 関東3番手の小林大介も、前の久木原を見失い立花成泰に割り込まれる。それでも最終3コーナー過ぎから久木原を目標に追い込んで2着に入った。
 「(ラインが)バラバラになってしまったけど、人気にもなっていたので2着までにはと思った。病欠明けでデキに不安もあったけど、大丈夫そうですね」


<3R>

 赤板の2コーナーでじわりと押さえて先頭に立った山本勝利は、別線を警戒しながらペースを緩める。4番手を山本伸一がキープして、山本勝も徐々に踏み上げて逃げる。7番手の道場晃規は、最終ホーム手前から仕掛ける。前団に迫った道場は、大矢崇弘のブロックを乗り越えてバック過ぎにまくり切る。危なげなく続いた小原太樹は、後続との間合いを計ってきっちりと交わした。
 「(道場に)付いていくのには問題はないし、しっかりと行ってくれたんで自分のコースができた。今日(初日)は展開に恵まれました。(前回の)オールスターに向けて仕上げていた分、疲れが出たけど、(終わったあとは)やりたいことはできました。オールスターの1走目もそうですけど、取りこぼしみたいのがある。もっと技を磨いていかないと、上では戦えない」
 ロングまくりで別線を仕留めた道場晃規は、ラインでのワンツーに納得の顔。
 「(周回中の位置が)前だったら、カマそうと思ってた。ワンテンポ遅かったけど、(仕掛けて)行けたんで良かった。イケるとは思ったんですけど、大矢(崇弘)さんに結構いいのをもらった。出切った時点では小原さんと決められるかなと。小原さんを信頼していました。直線が長く感じたけど、そこはみんな一緒ですし、嫌いなバンクじゃない」


<4R>

山口貴嗣選手
山口貴嗣選手
 青柳靖起が根田空史を押さえて、北日本勢が九州ラインに続く。根田は一本棒の7番手で打鐘を迎える。青柳は落ち着いて、打鐘4コーナーからペースアップ。最終ホーム手前で根田が反撃に出る。4番手の前川大輔を乗り越えた根田だったが、バックを過ぎてコーナーに入るとスピードが鈍りまくり切れず4コーナーでいっぱい。青柳の先行を利した山口貴嗣(写真)が追い込んで1着。
 「(青柳は)押さえてから様子を見てっていう感じでしたね。根田君が来て、青柳君もペースで駆けていて合った感じがした。青柳君が踏み直してくれたし、直線が長いので余裕をもって差せた。前回が良くなかったので終わってからいろいろと試しながらここに向けてやってきた。セッティングや練習方法を見直してやれる時間があった」
 根田を不発にする先行策を見せた青柳靖起が、粘り込んで2着。思惑通りに運んで、幸先のいいスタートを切った。
 「組み立ては後ろからで、作戦通りに走れた。(最終)3コーナーぐらいでは根田さんにいかれたかと思った。踏み直しができましたね。直線の長さは感じなかった。最後まで踏み切れたからだと思う」


<5R>

園田匠選手
園田匠選手
 前受けの中嶋宣成が山根将太ラインを受けて、そこに真船圭一郎が襲い掛かる。打鐘2センターで山根が外に振って、真船は車体故障。山根も後退する。打鐘で踏み込んでいた中嶋が、結果的に主導権を握る。しかしながら、コースを塞がれた河野通孝は続けない。車間が空きながら、園田匠(写真)が中嶋を追いかける。直線の入口ではまだ完全に詰め切っていなかった園田だったが、計ったように中嶋を交わして1着。
 「(山根の失格は)残念でした。余裕があったと思うし、出させる気がなかったと思う。(先頭に立って)このまま逃がされるのはと思って流したところを(中嶋が)行った。落ち着いて自分のペースで行きました。1着を取れてホッとしています。(追いかけて)長い距離を踏むのは得意ですし、普段は自力の練習もしている。距離感とかペースはわかっているつもりです」
 別線の機動タイプがアクシデントでともにいなくなり、打鐘4コーナーで先頭に立って風を切った中嶋宣成が2着。
 「真船さんが行ったところを行こうと思った。杉山(悠也)さんが口が空いていたので、追うか追わないか迷って判断が甘かった。真船さんを追って決着がついたら行こうと思ったけどガシャンっていって、中が空いたので行った。タイミングが悪かったですね。判断が悪くて後ろの2人に迷惑を掛けてしまいました。脚の感じはだいぶいいけど、末を欠いたので脚の使い方を考えたい」


<6R>

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 武田亮を警戒しながら、近藤翔馬が赤板2コーナー過ぎに飛び出す。中団で佐々木眞也と武田が併走。打鐘2センターで佐々木のブロックで外に振られた武田は、一呼吸置いて最終ホーム手前から踏み上げる。逃げる近藤の番手の阿竹智史(写真)がけん制。武田は不発も、その外を宿口陽一が踏み込む。それを冷静に見極めた阿竹が、バック手前から番手まくりを打って勝ち切った。
 「(周回中の)並びは一番いいかなって思いました。(近藤が)うまく駆けてくれた。(最終)ホームでは来ているのが見えたけど、武田君は勝手に止まってくれた。でも、すぐに宿口君が来ていた。自分は最後まで踏めました。ただ、5月のダービーが終わってから換えたフレームで良かったんですけど、ちょっと(2日目以降)換えるか悩みどころですね」
 阿竹後位の山本奨は宿口に押し込められるも、その攻防を制して2着をキープした。
 「勝負どころでは武田君より前で先行したいっていう感じだったので、(近藤は)頼もしいですね。(近藤)翔馬も駆けてたし、これなら大丈夫かなと。あとは阿竹さんとワンツー態勢が整ってたんで、宿口さんに2着を取られないようにと思ってたんで良かった。(状態は)引き続きいいです」


<7R>

 高橋和也が押さえて出て先頭に立つ。佐藤一伸が切りに踏み込むが、赤板2コーナーでペースアップの高橋がそれを阻む。再度、高橋はいったん緩めて打鐘を迎える。中団のインに上野雅彦は閉じ込められて佐藤と併走。ペースを握った高橋も、先行の腹を固めて徐々に踏み上げていく。上野は最終1コーナーでインを1車押し上げて宮越孝治との併走になる。後続のもつれをしり目に、逃げた高橋の番手の志智俊夫が、好展開をモノにした。
 「状況を確認した時に上に上がってしまい、自分のムダな動きで宮越君の併走を呼んでしまった。宮越君が外していたので、併走になっているのがわかった。そこからは内を空けずに走った。余裕はありました。前検日にいろいろと変えたって話をしたけど、その後に指定練習をしてから戻しました。シューズも前回換えたけど、今回戻してその方が良かった」
 上野マークの井上昌己は、最終バック過ぎに単独になりコースを確保。直線で外を強襲した。
 「詰まってたからヤバいかなと思っていた。上野君が内に行った時に反応できなかった。そこは反省ですね。外は遠回りかなと思ったけど、結構、伸びてくれた。脚が残っていたんだと思う。今回から新フレームでセッティングも結構、変えている」


<8R>

武田豊樹選手
武田豊樹選手
 赤板過ぎに内山雅貴が切って、その上を谷和也が押さえる。5番手になった森田優弥は、打鐘2センターから仕掛ける。スピードに乗せて森田が、谷を叩き切って風を切る。遅れながらも江連和洋が続くが、最終2コーナーで外を月森亮輔がまくる。森田の掛かりも良く、月森は番手の武田豊樹(写真)を脅かすまでには至らない。武田が森田を差し切っての関東ワンツー。
 「キツかったですよ。少しけん制して、(別線が)来られないスピードでした。(森田を)やっと抜いた。関東地区なので少しでも活躍して、応援してくれるお客さんにアピールをしたい。(前回の)オールスターは反省の残る調整だったので、今回は注意してやってきた。今日(初日)の走りのダメージなく走れるようにケアをしたい」
 5番手で構えることをよしとはしなかった森田優弥が、力で別線をねじ伏せた。
 「立川記念に呼んでもらえると思っていなくてうれしい。(最終)4コーナーからも踏み直せました。感覚は富山で戻っていて、完全に力負けで悔しい思いをしている。(立川はデビューした場所で)見慣れた光景。お客さんも名前を読んでくれるのでうれしいですね。新しい練習をやれているのでいいと思います」


<9R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 能代谷元の上昇を阻んで突っ張った大川剛が、主導権は渡さない。大川はそのまま先行策に出て、単騎の野田源一が4番手、5、6番手に中四国コンビでレースは流れる。打鐘4コーナーからペースを上げた大川の先行に、別線は仕掛けられない。4番手の野田がようやく最終3コーナーから踏み上げる。番手の山崎芳仁(写真)が、ギリギリまで引きつけてから楽に抜け出した。
 「(突っ張ったあとに)大川君が徐々に踏んでいったんで、自分は車間を空けていた。4番手を野田さんが取ってたのもわかってたんで、野田さんが2コーナーで来ない時点でまくり追い込みだろうと。後ろに川津(悠揮)もいるし、1回野田さんを振って、あとはくわれないように。前が頑張ってくれたしラインのおかげです。体調は普通ですね」
 すんなりの4番手だった野田源一は、ゴール前で久保田泰弘にも迫られ、こう口を開く。
 「大川君がスタートを取るようなら、道中は大川君(ライン)の後ろでいいかなと。(打鐘の)4コーナーから仕掛ける時に(大川は)上りながらだった。自分は内を空けると、川口(雄太)君が入ってくるかもしれないっていうのがあった。(それで締めていたんで)キツかったですね。あとは詰まってきた勢いで行こうかと思ってた。でも、(大川が)掛かってたんで、自分が思ってたタイミングより(踏むのが)遅かった。あれだけ久保田君に詰められて、山崎君も交わせてないんで状態としてはもう少し欲しいです」


<10R>

 打鐘過ぎに木村弘が主導権を奪い、3番手に佐川翔吾が入る。佐々木悠葵は一本棒の7番手に置かれて最終ホームを迎える。2コーナーでまくった佐川は、櫻井正孝のけん制で不発。隊列が短くなったところを3コーナー過ぎからまくり追い込んだ佐々木が、大外を突き抜けて1着。
 「行けるところがどこかしらあるかと。木村さんもいいペースで駆けていて厳しかった。行けるところが厳しかったですね。佐川さんが仕掛けてその上を仕掛けちゃって遠回りした。そこが良くなかった。もういけないかと思ったけど必死に踏んだ。判断ミスもありました。感じが悪い。タイムも出ていないし修正する。体の方ですかね」
 関東3番手の岡本大嗣は、最終バックで9番手。2センター過ぎから内によりに進路を取り、直線は外めを鋭く伸びた。
 「佐々木君の脚が抜けているから、自分は食らいついていくつもりだった。別線も抵抗するだろうから、あの展開になるかなと思っていた。なんとか対応できました。行くなら内しかないと。外は絶対にムリなので。うまい具合にコースが空いてくれた。内しか見ていなかった。上デキです。100点かなと」


<11R>

 北井佑季を警戒しながら磯島成介が先頭に立つが、タイミングを見極めた北井が山降ろしで赤板2コーナーから踏み込む。スピードの違いで北井が一気に主導権を奪取。ラインの3車が出切り、磯島は4番手に収まる。7番手に置かれた緒方将樹、4番手の磯島に反撃の隙を与えずに、北井は鈴木竜士も楽に振り切った。
 「1番車だったんで前から突っ張りと考えていたが、それ以外にも臨機応変にしっかり考えていた。後ろが鈴木竜士さんと岡田征陽さんで地元の2人。ラインで決まるように行った。出切るところは前の先行選手が強めに踏むところなので、からまれないようにフカしてスピードに乗せた。あとはゴールまでと思って踏んだ。立川は直線が長くて、コーナーはカントがあって短い。ここは目を閉じても走れるくらい(練習で)走り慣れている。回すところと踏むところがわかっているのが大きいですね」
 1車身差のまま流れ込んだ地元の鈴木竜士は、北井に脱帽の様子。
 「北井さんがうまく叩いてくれてラインで決まった。先行選手として付いた選手で過去イチ強いです。ジャンで出切るスピードが違うし、(最終)2センターからゴールまでの踏み直しもすごい。あと半周あっても抜けないですね。自分の間合いにも入っていなかったし、脚力差がある」


<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 前受けから突っ張る気満々の新山響平から、犬伏湧也が赤板2コーナー手前で主導権を奪う。新山が3番手に入り、今度は打鐘で6番手の眞杉匠がスパートする。清水裕友(写真)は俊敏に立ち回り、眞杉を一発のブロックで阻止。平原康多のアシストもあり、眞杉は最終ホーム過ぎに3番手に入る。関東勢を追った単騎の南修二がまくるも一息。眞杉も3番手から踏み込む脚は残っておらず、直線で平原が追い込む。が、清水がしっかりと伸びて、相性のいい立川で白星スタート。
 「(周回中の並びから)想定外でしたけど、そのなかで(犬伏が)しっかりとやってくれました。新山さんを叩けるかどうかだったんで、しっかりとやってくれた。そのおかげです。僕は技量不足のところがあって、(眞杉をけん制したあとに)思ったよりも車間が空いた。重たさを感じたけど、1着なんで良かったです。これで安心せずに(2日目以降も)しっかりと頑張りたい」
 眞杉、犬伏、新山の攻防を称える平原康多は、自身も手ごたえと感じる2着で二次予選につなげた。
 「GIの(舞台で活躍する)若手トップの3人の勝負だったんで、すごい戦いになりましたね。自分は内に切り込んで、もう1回眞杉を迎え入れることができたのは良かったです。(状態面で良くなっていなければ)あの位置でああいう走りはできていない。かなりいい方向にいっているのかなと」
 最終ホーム過ぎから新山が後退。8番手から切り替えた守澤太志は、内よりのコースを探して3着に入った。
 「(新山は)基本的に突っ張ってどうするかだったと思う。ただ、うまくいかないこともある。そのあとは3番手をしっかりと取ったけど、そのあとが…。あそこ(最終ホーム)で引くとこの辺りのレベルだと勝負にならない。自分は余裕もありましたし、しっかりとコースを判断しながらで感触としても悪くなかった」