『被災地支援競輪立川競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:1月5日
 立川競輪場を舞台に開催されている17年最初の記念シリーズ、平成28年熊本地震被災地支援・開設65周年記念「鳳凰賞典レース(G3)」は、1月5日に2日目が行われた。SS班3人をはじめ好メンバーの激突となったメーンの優秀「初夢賞」では、平原康多が後続を大きくちぎる圧巻のまくりで連勝。準決に弾みをつけた。シリーズも佳境、6日の3日目には決勝進出をかけて、準決の3個レースで火花が散らされる。
 本場では開催中の毎日、GP純金車券などが当たるラッキーカードを先着で配布します。お菓子無料プレゼント、ホットドリンクの先着サービス、山口健治氏による予想会など、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。また、6日の3日目には地元選手によるトークショーなども予定されています。ぜひ、立川競輪場へ足をお運び、トップ選手が繰り広げるスピードバトルと、イベントをお楽しみください。
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佐藤慎太郎選手
佐藤慎太郎選手
 前受けから7番手に置かれた石井秀治は、打鐘の2センターから力任せに踏み込んで逃げる堀内昇に襲い掛かる。最終1センターで石井を大きく振った牛山貴広は、止まらないと見るや番手発進。牛山に合わされながらも石井がねじ伏せると、最後は佐藤慎太郎(写真)がタイヤ差追い込んで1着。
 「もうまったく余裕がない。他地区の俺と五日市(誠)が付いているのに、(石井)秀治が本当に頑張ってくれた。無理やり行ってくれた感じだったし、ありがたいですね。自分はいっぱい、いっぱい。やっとの(石井を交わせた)感じです」
 ロングまくりで機動力の違いを披露した石井秀治が、息を整えながら口を開く。
 「1コーナーの追い風を利用してスレスレを行こうとしたら、自分で外に飛んでいっちゃった。力が均等に入らないですね。膨らんだぶん、牛山に番手まくりの隙を与えてしまった。あれがダメだった」
 牛山貴広は同県の後輩、堀内の心意気を無にしないために苦肉の番手まくり。3着で準決へとコマを進めた。
 「堀内が頑張ってたんだけど、石井さんが強かった。風が強かったんで、堀内もキツかったと思う。あそこは申し訳ないけど、(番手から)出ました。内々で重かったけど、あきらめないで踏みました」

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安部貴之選手
安部貴之選手
 切って出た安部貴之(写真)は、岡崎智哉が叩きに来ると飛び付いて番手勝負に出た。併走のまま最終ホームを通過し、2コーナーで外の志智俊夫を弾いて番手を奪取。直線半ばで逃げる岡崎をとらえて、紺野哲也との宮城ワンツーを決めた。
 「もうちょっと(岡崎が)スカーンって切ってくれれば、中団だったんですけど。あれだと4番手で併走になっちゃうと思ったんで、それだったら1車でも前にと。普通なら引いてますよ、でも紺野さんと決まるようにっていうのもあった。自分はもう位置を取っていっぱいでした」
 中団がもつれるとインを締めながら紺野哲也が、細やかな仕事で2着に流れ込んだ。
 「久々に(安部と)決まってよかったね。いつも頑張ってくれるけど、なかなか決まらなくて。今日は(岡崎が来るのが)遅かったら粘るって作戦だった。あの展開じゃ厳しいと思ったし、早めでも(安部が)粘ってくれて助かった。内に気配も感じていたし、うまく決められた」
 宮城コンビに入られて援護を失った岡崎智哉だったが、逃げて3着に納得の顔。
 「ラインを生かしてジャンでもっと踏みたかったけど、風で重たくて踏めなかった。展開有利だったと思うんですけど、今日は(前のレースで)逃げが決まってない。そんななかで3着に残れたんで、ある程度、自分の先行力が戻っているのかなと」

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三谷竜生選手
三谷竜生選手
 後ろ攻めから押さえた三谷竜生の番手で前受けの菅原晃がイン粘り。そこを矢口大樹、藤岡隆治の順で動き、下げた三谷が打鐘の4コーナーから巻き返そうとすると番手の市田佳寿浩は菅原に当たられ落車してしまう。三谷は力任せに前を飲み込んだが、コースを縫って三谷を追った菅原が逆転。しかし市田を落車させた菅原は失格となり、繰り上がりで三谷竜生(写真)が1着となったが、その表情は硬い。
 「併走はわかってました。それでも仕掛けるところで仕掛けようと思ったけど、そこで落車があったんで…。しんどかったです。最後、抜かれてるんでなんとも言えないですね。風が強いけど、それはみんな一緒だから。明日はしっかりラインで決まるようにしたい」
 矢口大樹の仕掛けに乗った萩原孝之が直線鋭く伸びた。
 「矢口君は単独だったら仕掛けると言ってたので信頼してました。バックで前に何人いるか数えたけど、矢口君が仕掛けてくれたのがデカいですね。不安はあったけど、年末に落車が続いたケガもだんだんよくなってる」
 矢口大樹が3着に繰り上がって準決進出を決めた。
 「今年はなんか流れがよさそうです。ホームのところで気を抜きすぎて前と車間が空きすぎた。そこをしっかり構えとけばよかったですね。あれで(菅原に)追い上げられちゃったんで。三谷さんの力が違いすぎますね。記念の準決勝は3、4回目。遠ざかってたんでよかったです」

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河村雅章選手
河村雅章選手
 河村雅章は打鐘で出て先行態勢を取った小埜正義の上を、ためらうことなく叩いて先行策。2センターから巻き返した水谷将司を不発にして、河村が快調に飛ばす。番手で絶好の展開が訪れた高橋大作が、河村を交わして白星を飾った。
 「河村に順番が回ってくるタイミングも良かった。あれ以上早いと待っちゃうし、(河村は)4コーナーの唯一流れるところを使えた。自分は(腰痛があって)練習もできなかったから、不安材料ばっかりだった。今日もニュートラルに入れることもできなかった」
 「ヤバいっす。もうバックで終わっていたし、全員に行かれると思った」とは、苦笑いで振り返るのは河村雅章(写真)。高橋と2車のラインながらも敢然と風を切り、本人の心配とは裏腹に2着に逃げ残った。
 「最初から(別線が)押さえ切った上をすかさず行けばと思っていた。昨日の失敗もあったんで良かったです。力勝負もできたし、デキもいいと思う。あとはタイミングですね」
 3番手に入った小埜正義だったが、浮いた水谷にかぶって仕掛けのタイミングを逸して3着を悔やむ。
 「(水谷が)ずっと斜め前にいたから、どかしに行くと(高橋)大作さんの車輪に掛かっちゃうし…。後ろに迷惑を掛けてしまった」

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北津留翼選手
北津留翼選手
 土屋壮登の上昇に合わせて動いた嶋津拓弥が、抜かりなく中団をキープ。関東勢が主導権を握って、北津留翼(写真)が7番手の一本棒で最終ホームを通過。4番手から嶋津が先まくりを打つと、古屋琢晶が番手から出て抵抗する。その上をバックからまくり上げた北津留が、豪快に前団をのみ込んでまくり合戦を制した。
 「本当はホームから行って、2コーナーで一気に行ってしまいたかったんですけど。(打鐘の)3コーナーで緩まなかったんで、(仕掛けを)見送りました。バックの向かい風が強かったんで、見送って正解だったかもしれないですね。前を見たら(風が強くて)いつもと違って隊列がバラバラだった。もう自分も必死に踏みました」
 北津留をソツなく追走した岩津裕介が、1車身差のまま2着でゴール。
 「(北津留が)強かったです。しっかりゴールまで加速してましたし、落ち着いてレースをしてくれた。カマすことも考えていたと思うけど、カマすタイミングがなかった。自分は2着だけど、(セッティングを変えて)感触も軽かったんで楽しみです」
 嶋津は不発も佐藤龍二が中のコースを伸びて、前の2人から離れた3着争いを制した。
 「嶋津さんがいい意味で競輪をしてくれた。自分が年下だけど、点数があったから、あそこで仕掛けてくれたんだと思う。ギアを(前回の)広島から3.86にしたのもあって、踏んでいて楽です。コースを探す余裕もあった。明日も最後踏んで、しっかりと出し切れるようにしたい」

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吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 後ろ攻めから動いて誘導後位に入った吉田拓矢(写真)は打鐘で利根正明を突っ張るそぶりを見せて3番手を確保。そこへすかさず蒔田英彦がカマして来たが、離れた江守昇をドカして外に持ち出すと後続をちぎって快勝した。
 「反省点の多いレースでした。後ろになったのも予想外だったし、点数が離れ過ぎていて相手がどう出てくるのかわからなかった。とにかくすぐに仕掛けようと思ったけど、遅れてしまっている部分もあるので。後閑(信一)さんに申し訳ないですね。風も強かったし、後ろがどうなっているのか分からなかった」
 2着の蒔田英彦は、取り囲む取材陣を相手に満面の笑みを浮かべた。
 「やりました(笑)。ごちゃってなってたから、ここだってところで行けました。自分は脚で勝てないからラインの力でと思っていたけど、まさか後ろが離れているとは思わなくて。半年間A級で頑張ってきたことが無駄じゃなかったってこれで言えますね。いやーうれしいです。本当に」
 離れた江守を交わして、しぶとく3着に入った新井秀明も「乗り込みの成果が出ましたね。利根君が本当に頑張ってくれました」と、笑顔を見せた。

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平原康多選手
平原康多選手
 優秀の「初夢賞」を制したのは平原康多(写真)。細切れで位置を争って各ラインが動きを見せたが、最終2コーナー、3番手から一気のまくりで後続をぶっちぎり。連勝で準決進出を決めた。
 「しっかり自分で仕掛けたっていうだけで、見た目強かったよう見えるかもしれないですけど、そういうわけでもないですよ。みんな前でゴチャゴチャしてたんで、みんな位置にこだわるんだなと思いながらレースを進めてました。よく動けてるとは思います」
 離れた岡田征陽を追いかける形から稲垣裕之が直線伸びて2着に。
 「難しかったですね。平原君より前(に位置して)とは思ったけど。迷うなかで最善の組み立てはしたつもりだけど、平原君が強かった。そのあとはあれが精いっぱい。(岡田)征陽が付いて行ってれば面白かったですね」
 8番手から大外を強襲した深谷知広だったが3着まで。
 「引いたらキツいなと思ったし、(内にいれば)郡司(浩平)君が行ってくれるかなと思ったけど。最後は焦った部分があったんで、タイミングが悪かった。間合いを計っていけば1(着)はキツいけど、2(着)までは行けたと思う」
 1コーナーから内をすくって前に出た新田祐大は懸命に平原を追ったが、差を詰めることはできず。「キツかったですね。力が残ってなかった」と、7着に敗れた。
 最終ホームで先頭に立った郡司浩平は「押し出されて先行みたいになった。もうちょっと勝負したかったですね」と、レースを振り返った。
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