『松戸競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:8月23日
 松戸競輪場で開設75周年記念「燦燦ダイヤモンド・滝澤正光杯(GIII)」が、8月23日から始まる。オールスター競輪の余韻が残る今シリーズは引き続きナイターにて開催される。岩本俊介、郡司浩平、清水裕友のS級S班3人を軸に、深谷知広や和田健太郎、オールスターで決勝に乗って話題を集めた佐藤礼文、7月にGIIIを優勝した鈴木竜士、九州の大砲・後藤大輝ら各地の精鋭が33バンクで躍動する。前検日の8月22日は、猛暑のなかでも参加選手全員が元気な姿を見せ、それぞれが入念な調整を行った。
 記念シリーズは開催中の毎日、日本競輪選手養成所の滝澤正光アドバイザーが登場してトークショーを行なうほか、鈴木誠さん、吉井秀仁さんによるレース予想会、キッチンカー、青森、前橋物産展、縁日、エアーアドベンチャー「ふわふわ」などが予定されています。また、8月23日のシリーズ初日には、女子プロレス団体「PURE-J」によるプロレス、千葉選手会トークショーもあります。松戸競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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 中井太祐は、前回のオールスターから中4日で今節に参加。ビッグレースでの経験を、この先に生かしていきたい。
 「前回のオールスターはいろいろと経験を積めました。脚力をつけるのはもちろんだけど、流れに対応できるようにしていかないといけない。その他にもいろいろ課題が見つかったし、一個ずつ潰していければ。番手の勝率は高いけど、いろいろ考えることが多いので、(課題は)そこですね」
 日高裕太は、点数以上の脚力の持ち主。短走路の当所とあって、力を出し切れれば十分1着が狙える。
 「以前調子が良かった時のフレームに戻してからずっと感じはいいです。松戸は初めて記念を走らせてもらったバンクで、その時は駄目だったので、今回は成長した姿を見せられれば。自分の得意な戦法は先行だし、今回も持ち味を出していきたい」

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 大崩れこそしていない島川将貴だが、前回の8月岸和田FIは勝ち星がなく、物足りない成績。戦法の幅を広げながら、殻を破ろうともがいている。
 「(今回は)追加が入るかなって思って準備はしていました。岸和田の前に風邪を引いてしまったので、前回は良くなかったですけど。今回は久々の記念で9車立てなので、頑張りたいですね。最近は自力だけじゃ勝てないので、師匠(室井健一)にも自力自在に戦えないとって言われています。短走路なので後手を踏まないようにしたい」
 今期からS級に初挑戦している荒川達郎は、前回の8月四日市FIでS級初勝利を挙げたものの、ポテンシャルを考えれば苦戦していると言っていいだろう。初日は、武田豊樹を番手に付けるだけに、脚を余らせてレースを終わることは避けたい。
 「前回からは変わらず来れました。やっぱり(課題は)組み立てですね。脚を使うところまで持っていけていない。A級は切る動きをしたら、そのまま切れるけど、S級はそうはいかないし、中途半端なレースだとやられますね。力を出し切るレースができれば」

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 鈴木浩太は、2度目の地元GIII参戦。6月富山FIではオール2着の準Vなど、昨年10月にS級に復帰してから徐々に成績を上げてきているだけに、そろそろ地元でも結果を残したい。
 「地元は何回か走っているけど、いつもダメ。力を出し切れず終わっている感じです。(状態は)脚力がついてきた感じで、今が一番いいです。いろいろなレースのパターンを覚えてきたのも大きいです。(岡村潤とは)何度も連係しています」
 奥村諭志は、夏場に入って徐々に成績が上がっている。1着が増えてきており、ここも侮れない。
 「一時よりも練習できていて、そこは変わらずに来れています。今は岡山は相当暑いんで、午前中に練習するとか、工夫して夏バテしないようにやっています。松戸はA級の時に走っているけど、相当前で記憶にない。アマチュア時代に国体で走ったと思う。タイミングを逃さないように、(田中)勇二さんと決まるように走りたい」

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伊勢崎彰大選手
伊勢崎彰大選手
 伊勢崎彰大(写真)にとって、地元記念は師匠の滝澤正光氏(43期)の冠杯であり、いつも以上に気合の入る開催だ。競走得点も上昇傾向で、良い状態で今節を迎えられる。
 「僕は暑くなればなるほど調子が上がるタイプなんで、みんながへばっている中でも、前回は頑張れた。ただ、初日は前を抜ける展開で抜けなかったし、その辺を修正してきた。自転車の部品を一新して、パリッとした感じです。師匠の冠レースなんで、自然体でいきたいけど力が入る。疲れだけは抜いてきました。もう、一戦一戦ですよね。30代の頃は鼻息が荒かったけど、今は一戦一戦。その場のラインに沿ったレースをして、その中で良いところを走れればと思っています」
 川口聖二は、7月川崎FIの後に39日間の欠場をはさんで8月富山FIで復帰した。突然の欠場の理由を、こう説明した。
 「街道練習中に車に轢かれた。ケガは左肩の打撲だけだったし、ゆっくり治してって感じでした。前回の復帰戦はパリッとしなかったけど、ここに来る前に練習はワットバイクの数値も上がっていたし、感じは良かった」

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 木暮安由は、前期2回の失格に、落車もあって、精神的にも苦しい時期を過ごした。だが、前回の8月前橋FIは優出。地元できっかけをつかんだならば、今節も面白い。
 「前回は地元だったし、気持ちも入っていた。久々の決勝進出だったしうれしいですね。調子も良くなってきたし、体も動くようになってきた。(初日は)自分で前々にやろうと思っていたけど、荒木(貴大)君が頑張ると言ってくれたので任せます」
 地元の支部長である中村浩士は、6月大垣FIの初日に落車して、そこから76日間の欠場。復帰戦の地元記念は、気持ちで食らい付く。
 「(落車のケガは)鎖骨、肋骨、肩甲骨の骨折に、肺気胸。フルセットでした。医者からはとにかく動かないでくれって言われて、入院も長かった。自宅療養の期間も、自転車に乗るのはなるべく我慢してました。1カ月くらいは乗れたけど、モガキはほぼいれてないし、ただ乗っただけみたいな感じで。ここ(地元記念)までにはと思ってたんで、ある程度は(状態が)まとまった感じは出ました」

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 小畑勝広は、前回の8月福井FIで2年振りの優勝をゲット。3連勝の完全Vで、2度目のS級優勝だった。
 「調子も良かったですけど、松崎(広大)君が頑張ってくれたおかげですね。松崎君とは高校の時から一緒に自転車をやっていたし、頑張ってくれたから、自分がちゃんと連結を外さずに走れれば良かったんですけど。そこだけが悔いが残りますね。14日空いたんでしっかり練習をやろうと思ったけど、ちょっとウエイトとかを頑張り過ぎた。前回ほどの調子ではないかもしれないです」
 塩島嵩一朗は、A級戦を9連勝の特進で卒業。S級では2場所走って2勝を挙げているものの、まだ初日の勝ち上がりをクリアできていない。初めてのグレードレースで、どういう走りを見せるか。
 「(状態は)普通だと思います。(S級では)まだボコボコにされていますね。そんな簡単に通用するとは思っていないです。まずは積極的にレースをしていきたいです。長い距離を踏まないと強くならないと思うし、まずは積極的にいきたい。9車の対策みたいなのは特にしてなくて、レースを見てきたぐらいです」

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鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 7月京王閣GIIIを制した鈴木竜士(写真)は、5走したオールスターで2度の確定板入り。初日に、高回転のまくりを見せていたように、動き自体は冴えていた。今回の初日は、同地区の篠田幸希には任せずに、自力戦を選択した。
 「(オールスターは)通用する手応えがありましたね。終わってから3日間練習したので、疲れは多少あるけど大丈夫です。松戸は、茨城籍の時に練習で使わせてもらってたバンクなんで、嫌なイメージはないです。(初日は)自分でやりたい気持ちが強いし、番組がこういう番組だからって、なんとなく(番手に)付くっていうのはないと思っているんで」
 木村佑来は、前回の8月四日市FIで、S級に復帰した今期初めての優出。初日はまくって、準決は逃げてと、スピードを発揮して存在感を放った。
 「前回は調子が良かったです。初日はまくりになってしまったけど、(他の)ラインを動かしてと思ったら、結果そういう展開になった。今は、とにかく前に前に勝負していこうと思っています。その方が自分の勝負ができると思うので。練習もできたし状態は大丈夫です」

<8R>

佐藤礼文選手
佐藤礼文選手
 佐藤礼文(写真)は、オールスターで初めてのGI決勝進出を果たした。直後の開催となる今回の前検日は、浮かれることなく、表情を引き締めてインタビューに応じた。
 「(オールスター決勝は)一瞬で終わりましたね。みんな格上だったし、緊張はなかったです。いろんな人に良かったなって言ってもらえて、より一層やる気が出た。まぐれで終わらないようにしたい。初日だったり、2日目だったり、自分で甘いなって思う部分もあった。連係が外れたり、踏み遅れたりしないように、もっと集中してレースをしないと駄目だと思います。内に行くのか、外に行くのか、コース取りの判断ももっとちゃんとしないと駄目。オールスターが終わって、次の日から練習したし、感じは変わらないと思う。(吉田)拓矢とか、(鈴木)竜士とかと一緒に練習してきました」
 染谷幸喜は、6月前橋FIの初日にゴール後落車。56日間の欠場からの復帰戦が、地元記念となった。初日は、松本京太の番手を回る。
 「落車の影響は打撲と擦過傷ぐらいだし大丈夫です。番手回りはちょくちょくあるけど、前次第の結果ですね。まだあまり番手絶好という展開になったことがないので、そうなった時に何ができるかですね。仕事をしたい気持ちはあります。松戸記念は今まで準決勝が最高。今回は一戦一戦頑張りたい」

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山田英明選手
山田英明選手
 山田英明(写真)は、ここでは格上と言っていい存在。オールスターでの感触も上々だったようで、体調面の不安もない。
 「(オールスターは)自分のなかでは動けていたと思います。感触は悪くなかったけど、噛み合わなかったですね。ここが終わったら、地元開催が中4日であるんで、オールスターから帰った後も強めに練習しました。オールスターを走る前から、この日程は分かっていたので、計画通りにやれたと思います」
 後藤悠は、5月防府FIから勝ち星に恵まれていないが、積極的な競走は貫いている。内枠を得て、九州勢にどう立ち向かうか。
 「ここ最近の感じはあんまりですね。トップスピードが足りないなって感じているので、スピード練習メインにやってきました。車番もいいですし、短走路なので長い距離を踏むことも考えて戦いたい」

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青野将大選手
青野将大選手
 青野将大(写真)は、オールスターで1勝を含む3連対。勝ち上がりこそ一次予選で失敗したが、2走目以降は結果を残した。短走路での戦いならば、今度は持ち味の積極策を見せていきたい。
 「オールスターは着はまとめられたけど、その分内容がイマイチだったと思います。オールスターに行っている1週間の間は練習ができないので、脚が落ちていると思うので、終わってからも郡司(浩平)さんや、師匠(小原太樹)と一緒にしっかり練習してきました。疲れよりも、練習不足の方が気になったので。33自体好きなので、頑張りたいですね」
 地元の近藤保が、青野の番手回り。オールスターは車券に絡めなかったが、大事な地元記念では結果を残したい。
 「前回はいいところがなかったですね。集中して練習して来られたし、今回は地元記念なんでがんばりたいですね。今は室内練習がメインだけど、(競走中の)暑さは問題ないです」

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園田匠選手
園田匠選手
 園田匠(写真)は、オールスターで一次予選敗退ながら、2勝を挙げる活躍。差し脚のキレは相変わらずだ。追加で中4日の日程も園田にとっては好都合で、今節は勝ち上がりを狙っていきたい。
 「最近は少しずつ良くなっていると思います。(オールスターでは)初日の勝ち上がりを失敗したけど、調子自体は良いと思うので。オールスターの最中に追加を頂いて、その辺は問題ないです。自分は競走が詰まっている方が良いので。レースに来れば疲れが抜けるんで、練習はしっかりやってます。松戸はあんまりイメージがないんですけど、33バンクは嫌いじゃないんで」
 後藤大輝は、地元の久留米記念から、サマーナイトフェスティバル、京王閣GIII、オールスターと、気の抜けない開催が続いている。さすがに6日間の長丁場だったオールスター直後は疲労困憊だったようで、今回までにどこまで回復できたかは未知数だ。
 「オールスターが終わった次の日の夜に福岡に着いて、練習はウエイトをやったぐらい。ここ(松戸)にも昨日(前検日前日)入ったんで、実質中2日ですね。オールスターは気持ちが張り詰めた6日間だったし、開催中はごまかせたけど、終わってから疲れがどっと出た。ウエイトの重量も、いつも通りの感じでは上げられなかったんで。自転車には軽く乗っただけで、うまい具合に調整はしてきたつもりではあります。松戸は初めてですけど、33バンクは先行有利っていうのは変わらないと思うので」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 郡司浩平(写真)は、オールスターで、ドリームレースと、シャイニングスター賞を制したものの、準決勝を微差の4着で決勝進出を逃した。最終日は失格と、後味の悪い終わり方をしてしまったからこそ、今節は立て直したい。
 「(前回の)感覚は良かったけど、準決の自力の時がもったいなかった。反省すべきレースでした。力の差を感じたし、そこを埋めていかないと。GIってなると、準決は少しのミスも許されないので。体自体は良かったけど、もう少し動ければ良かった。ナイターからの中4日なんで、思うような練習はできず疲れも抜け切ってないんですけど、走るからには1着を取れるようにしたい」
 岩本俊介は、当所で3度のGIII制覇があり、地元にはめっぽう強い。初日特選は、信頼を置く深谷知広-郡司の3番手か勝利を狙う。
 「(前回のオールスターは)脚自体は良かったけど、自力の組み立てが甘くて、反省する点と、良かった点があった。(人の後ろに)慣れたところで自力の番組が来るので難しかったけど、組み立てをもっとシビアにやらないと。自分は調整するタイプじゃないので、いい意味でいつも通りの状態だと思う。(松戸は)良い思い出がたくさんあるし、今回もまた良い思い出を残せるように頑張りたいです」
 オールスターをドリームレースからスタートさせた清水裕友であったが、勝ち上がりは大敗が続いてしまい準々決勝Bで敗退。その後の2走は連対して終わったが、自己ジャッジは厳しいものだった。
 「(オールスターの手応えは)何もなかったです。走ってみたらあんまりでしたね。普通に実力不足ですね。練習とケアを半々くらいでやってきたけど、今回も難しいでしょうね。(松戸は)防府と感じも違うんで、特に印象もないです」