『千葉競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:10月16日

 千葉競輪場を舞台に開催されている開設68周年記念「滝澤正光杯」は佳境の3日目。準決勝3個レースでは、佐藤博紀、神山雄一郎、村上義弘が勝ち名乗り。他にも海老根恵太、山中秀将ら地元勢や、志村太賀、長島大介が優出を決めた。17日の決勝戦で500バンクとして最後の記念覇者が決まる。また、第9レースではKEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)が、一発勝負で行われる。
 なお、開催を通して本場ではたくさんのファンサービス、イベントが予定されております。「千葉市消防音楽隊」による演奏(1R、2R発売中)や、レース確定前の車券(未確定車券)5,000円分で1回抽選ができる未確定車券抽選会、チャリティーグッズ販売などを予定しています。最終日も「滝澤正光杯」をぜひ本場でお楽しみください。

<10R>

佐藤博紀選手
佐藤博紀選手

中村浩士選手
中村浩士選手
 打鐘の3コーナーで切った杉森輝大を工藤文彦が押さえて先行態勢を取る。5番手になった地元の山中秀将は最終ホームから反撃。懸命に抵抗する工藤をバックで抜き去るが、その上を佐藤博紀(写真)が鮮やかなスピードでまくって金星を挙げた。
 「後方になってしまって、竹内(智彦)さんには迷惑をかけました。山中君は初日もあれで行き切れているんで、付いていって、そのままの勢いでまくりに行きました。バックを踏まずに、そのままの流れでいけました。記念の決勝に初めて乗れたので、挑戦するつもりで頑張ります」
 地元コンビも意地は見せた。中村浩士(写真)はまくった山中をゴール前で交わして2着。
 「山中は仕掛けて準優を突破するっていう気持ちだったと思います。1車(佐藤を)止められなくて行かれてしまったんですけど、まだまだ山中も行ける感じだったので、しっかりアシストをしようと思ってました。自分はもう落ち着いていました。ここが勝負だったし、またひと山、2人で越えられました」
 最後まで諦めずに踏み続けた山中秀将が3着に踏ん張った。
 「しっかり仕掛けて、中村さんに抜かれないようにゴールするのがテーマでした。連日、長い距離を踏めていたので、自信はありました。かかっていると思ったけど、佐藤さんに行かれてしまった。(中村と)1、2着なら最高だったんですけどね。2、3着でも2人で決勝に乗れて良かったです」
 3番手を確保した杉森輝大だが、内に詰まって万事休す。最終2センターでようやく外に持ち出したが、時すでに遅く5着まで。
 「いい位置が取れたんですが、工藤君が緩めていて、迷ってしまった。そこで仕掛けても山中さんを引き出す形になるんじゃないかと思った。その隙を見逃してくれないですね。判断ミスなので修正できるところは修正します」

<11R>

神山雄一郎選手
神山雄一郎選手

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 後ろから上昇した郡司浩平は、中団の竹内雄作の横で併走。竹内が後方に車を下げると、打鐘の2センターで飛び出して主導権を握った。番手の伊勢崎彰大は、すかさず巻き返してきた竹内を阻んで不発に追い込む。まくってきた筒井裕哉もけん制して前に踏むが、脚はいっぱいに。すると、後方の神山雄一郎(写真)が空いた中のコースを一気。鮮やかに突き抜けて白星をさらった。
 「うまくいったというか、余裕があったというか。初日は俺が(長島を)邪魔した感じになってしまって。かぶって悪かったので待って待って。8番(筒井)がいいスピードだったので、やってしまったかなと思ったんですけど、止まって。脚は余っていたけど、6番(佐藤和也)の外はないので待って差し込んでいたら、混戦になって、いいところが空きましたね。ずっと突き詰めてやっていた成果が出た。乗り方とか、セッティングとか。最後の千葉記念だし、決勝に乗りたかったのでよかったです」
 南関3番手を固めた和田健太郎(写真)が、直線で内のコースを伸びて2着に入る。レース後は同県の先輩を気遣いながら、慎重に言葉を選ぶ。
 「前の2人の頑張りとしか言いようがないと思っています。3人で勝ち上がるのが一番いいですけど、できれば伊勢崎さんと2人で勝ち上がりたかった。(伊勢崎の)師匠の冠の付くレースですし、気持ちが伝わっていたので。郡司君も先行の形をとってくれたので、自分はしゃくられないようにとか、入られないようにしていました。乗れて嬉しいですけど、伊勢崎さんの気持ちを考えると、手放しでは喜べない。僕ももう少し何かしてあげられたんじゃないかなって思います。競輪って難しいですね。思いが強くても必ず叶うものでもないですし。次に郡司君や、伊勢崎さんと一緒の時は恩返しをしたい。(決勝は)2人もそうですけど、勝ち上がれなかった他の千葉勢や、出られなかった千葉のみんなの気持ちを背負って走りたい」
 長島大介が直線で追い込んで3着。決勝行きの権利を手にするも、組み立てを反省する。
 「郡司君があんなにいくとは思わなかったです。伊勢崎さんが(番手から)出るのかなと思ってしまって。やっぱり仕掛ける勇気がないですね。イップスです。筒井さんが来た時にいくタイミングがあったんですけど、見てしまいました。神山さんが1着を取ってくれてよかった。ただ、初日より感じはよくなりましたね」
 気迫の立ち回りを見せた伊勢崎彰大だったが、最後は車が伸びず5着で準決勝敗退。
 「郡司君の気持ちが伝わりました。自分の実力はこんなものだった。またやり直すしかない。やり直しのきかないレースでしたけど。気持ちの整理がつかないですね」

<12R>

村上義弘選手
村上義弘選手

海老根恵太選手
海老根恵太選手
 地元コンビを連れた桐山敬太郎が赤板を過ぎて上昇を始めると、前受けの稲毛健太は突っ張る。7番手からの立て直しを余儀なくされた桐山は、再度アタックをかけるも村上義弘(写真)の横まで。村上が桐山を2発のブロックで仕留めたところに、今度は自力に転じた石井秀治が襲いかかる。わずかに石井に出られた村上が、こじ開けるように石井を弾いてそのまま踏み込む。早めの追い込みとなった村上が直線で抜け出した。
 「(稲毛は)引くと思った。桐山もそんなに遅く来たわけではなかったけど、(稲毛)健太がちょっと早めにペースを上げていった。自分は桐山に1回当たってから、車間を切ってタイミングを取ろうと思った。そしたら内が見えた。(石井)秀治を引きつけたかったけど。強引になりましたね。(千葉記念は)500バンク最後のレースで見てくださるみなさんがいるんで、少しでもいいレースができるように。自分は目の前の一戦、一戦を頑張るだけです」
 石井が村上に阻まれると、海老根恵太(写真)は村上を追いかけるように踏んで2着。仲間の頑張りに感謝しきりで振り返る。
 「2人(桐山、石井)のおかげ。(桐山は)無理やり踏んでくれた。シュウちゃん(石井)は行っちゃうかと思った。でも、村上さんがすごかった。そこからはシュウちゃんの内を行って申しわけなかったけど、あおりもあったし体が反応した。あとから体がついてきている感じがある。それでも千葉を走ると不思議といい。いつも練習しているバンクだからですかね」
 単騎の志村太賀は海老根の後ろに切り替えて、最終3コーナーから俊敏に内をついて優出を遂げた。
 「(近畿勢が)前を取った時点で突っ張りがあると思った。(桐山が)合わされて、山田(義彦)君より早く位置をと思って、急いでまた追い上げた。ああいう切り替えの脚が重要になる。(最終3コーナーから入って)外を踏みたかったけど、村上さんの外を踏むのは無理なんでああなりました」
 一度は村上よりも前に出た石井秀治だったが、結果、村上のブロックをもらって7着に散った。
 「稲毛君のところをかぶせて安心した。そしたら村上さんにいいのをもらって勉強になりました。村上さんのすごさを体感しました」

<最終日・9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)>

テオ・ボス選手
テオ・ボス選手

天田裕輝選手
天田裕輝選手
 最終日の9レースにはKEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)が行われる。テオ・ボス(写真)は、7月福井記念で行われたエボリューションを優勝。上がり10秒1と驚愕のタイムで日本勢を圧倒した。日本での今年ラストレースを白星で飾れるか。
 「いつも自分達(外国勢)が競輪をやっている時は日本人が有利だけど、今回は逆で自分達が有利。とくに緊張したりとかはないけど、負けられないですね。(最後の千葉記念ということは)知っているし、木製で250バンクになるかもしれないことも知っています。500バンクだし、レースとしては展開に面白みはなくなるかも。勝つことも大事ですし、シーズンの締めくくりにふさわしいレースをして、ファンに喜んでもらいたい」
 天田裕輝(写真)は地元で行われた寬仁親王牌を2連対。さらに、昨年の関東地区プロのケイリンを2着と競技でも結果を出している。しかしながら、ビッグ後のレースだけに準備不足を口にした。
 「前回がGI(寬仁親王牌)で、ほとんどピストで練習していたし、カーボン(フレーム)には乗れていないです。500バンクのエボリューションで何とも言えないですけど、何とかします。最後の千葉記念だし、思い切り走れれば」
 「こっちの方が得意分野です」と景気の良い言葉が飛び出したのは追加で参戦が決まった巴直也。持ち前のダッシュを生かした組み立てで強敵撃破を目論む。
 「エボリューションは初めてです。でも、もともと競技出身ですし、カーボン(フレーム)の方が好き。ラインもないですしね。(追加あっせんの連絡は)1週間くらい前に入りました。自転車の調整もしてきましたよ。位置は気にせずに走ります」
 三宅達也は、前回の寬仁親王牌で落車。状態が気がかりだ。
 「(寬仁親王牌から)帰ってきて、痛いところが出てきました。ここまではずっとケアです。まだまだ完治とは言えないですね。取れたところから仕掛けるしかない。後方にならないように、どうにかします。(千葉は12年の記念を制しており)ミラクルが起きたらいいですね」