『川崎競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:4月15日

 川崎競輪場で開催されている開設73周年記念「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」は、4月15日に2日目が行われた。勝ち上がりの二次予選のトリを内藤秀久、郡司浩平のワンツーで地元勢が飾った。また、S級S班の5人は宿口陽一が敗退したものの、あとの4人は順当に準決にコマを進めた。4月16日の3日目には決勝進出をかけて、準決の3個レースで熱戦が展開される。
 なお、開催中はレジェンド予想会などのイベントを予定しています。川崎競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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岩谷拓磨選手
岩谷拓磨選手
 打鐘の3コーナーで吉澤純平を押さえた岩谷拓磨が主導権。すかさず伊東翔貴が反撃に出て、好スピードで前団に襲い掛かるが岩谷も合わせる。岩谷が主導権をキープして、3、4番手に北日本勢。5番手の吉澤が最終2コーナー過ぎからまくりを打つが、番手で余裕をもった小倉竜二がけん制。逃げる岩谷の余力を計りながら小倉が抜け出した。
 「(岩谷は)結構踏んでたけど、伊東もかなりのスピードだった。出られると思ったのに、(岩谷の)平面のダッシュがすごかった。自分も少し離れた感じです。積極的にレースをつくりたいってことだったし、安心してました。吉澤君にいかれてもしょうがないレースだったんで、(ワンツーは)最高ですね」
 伊東のカマシを阻み1周半以上を踏み切った岩谷拓磨(写真)は、師匠の吉岡稔真(福岡・65期引退)とも連係がある小倉とのワンツーに笑みを浮かべる。
 「(周回中は)前(のライン)から2番目が取れたし、先行するって決めてました。切ったら昨日(初日)みたいに緩めないで、(ペースを上げて)いくっていう感じだった。(伊東が)チラッと見えたけど、僕も踏んでいた。1周全開でいったんで、あとはゴールまで残れるようにと。小倉さんは師匠からも信頼できるマーク選手って言われているし、僕もすごいと思える選手なので信頼してました。その先輩にほめてもらえてうれしいです」


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東口善朋選手
東口善朋選手
 野口裕史の上昇に合わせて動いた野原雅也が、赤板過ぎに切って出て南関ラインを受ける。野口が楽に主導権を握り、渡邉一成もすんなり7番手まで引いて態勢を整える。打鐘の4コーナーから渡邉が仕掛けて、逃げる野口ラインの番手の白戸淳太郎が渡邉をブロック。前団の隊列が短くなったところを野原がまくる。野原があっさりとらえて、東口善朋(写真)が差し切った。
 「野口君がいいピッチで踏んでいたのに、カマしていく渡邉君はすごいなと思って見ていた。そこに(野原が最終)1センターでスイッチしていく感じだったけど、余裕をもって追走していました。抜けても抜けなくてもワンツーだと思ったし、交わせたので良かったです。ウィナーズカップから時間があって練習はできたけど、間隔が空きすぎてレースのイメージができてなかった。昨日(初日)よりもレース勘は良くなった」
 別線の動向を見極めて抜かりなく立ち回った野原雅也が、まくりで別線を仕留めた。
 「一番思っていた通りの展開でした。野口さんがいいピッチで駆けて、(渡邉)一成さんもいいスピードだったので、立ち遅れた感はあった。けど、リカバリーできて良かった。余裕はなくて、(最終)バックもいっぱい、いっぱいで、なんとかまくり切れて良かったです。すごくいいなって感じではないけど、それなりに走れている。」


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福田知也選手
福田知也選手
 赤板で内から小川真太郎、山岸佳太、根田空史と3つのラインが踏み込む。根田は落ち着いて7番手に戻って、2コーナーから山降ろしで再度仕掛ける。根田が主導権を奪い、そのまま駆ける。4番手に小川が飛び付き、佐方良行をさばいた山岸が6番手で最終ホームを通過する。車間を詰める勢いでまくった小川だが一息、さらに大木雅也との接触で車体故障。番手で後続との間合いを計った福田知也(写真)が、好展開をモノにした。
 「根田君が落ち着いていましたね。(最終)ホームで確認したら、大木さんも付いてきていた。小川君の仕掛けが見えて、仕事をしようと思ったところでバリバリって音がして、そこでタイミングが狂った。自分はシューズを試行錯誤していて、今日(2日目)は良くなかった。戻す予定はないけど、また修正します」
 落車の怪我の影響でまだまだ本調子ではない根田空史だが、さすがの走りで内容も伴った2着で準決に進んだ。
 「展開が良かったですね。無駄脚を使わず、落ち着いて、関東勢がぐちゃっとなっていたから、彼らが整う前に行こうと。下りを使えたから踏み出しも楽でした。セッティングを修正してさらに良くなった。いまの状態だとチャレンジャー気分だし、持ち味を出せれば結果がついてきている。これで調子が戻ってくれれば」


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松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 別線の金子幸央、小森貴大の順番で切って、深谷知広に赤板2コーナーで仕掛けのタイミングが巡ってくる。小森も踏むが、打鐘の3コーナーで深谷が先頭に立ちレースを支配する。南関ラインが出切り、中団に小森、金子は7番手に置かれて一本棒で最終周回。バックを迎えても別線は動けず、深谷目標の松谷秀幸(写真)が追い込んで地元記念を連勝。
 「ジャンのところで小森君に踏まれたし、距離が長かったのもあって、(深谷は最終)バックでキツそうだった。小森君が来たらやれることをやってと思ったけど、(仕事がしづらい)4コーナーでしたね。(連勝は初日、2日目とも)前と後ろのおかげです。自分は完全に展開に恵まれたおかげです」
 4番手を手に入れた小森貴大は、最終4コーナーからの追い込みで強襲する。2着に届いたものの、今後を見据えてこう振り返る。
 「自分のイメージ通りにやれました。(深谷は)輪界を代表する先行屋ですからね。もっと早く仕掛けられるようにと思いました。自分の力を出せる位置から、全力を出すってことだけを考えてた。踏んでからの進みは良かったけど、今後はもっと早めの仕掛けをできるように」


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成田和也選手
成田和也選手
 前受けから赤板過ぎに踏み込んだ吉田拓矢を中国勢が押さえると、吉田に3番手が転がり込む。打鐘の2センター過ぎに鈴木陸来、松本秀之介が仕掛けて、合わせるように吉田はロングまくりを打つ。吉田ライン3車が楽に出切り、別線に出番はない。番手の成田和也(写真)が吉田を交わした。
 「(出切ったあとは別線のまくりが)来ていなかったし、後ろに竹内(智彦)さんもいるので踏ませてもらった。初日から調子は悪くなかったので。体調だけ崩さないようにしたい」
 最終1コーナーで踏み上げた吉田拓矢は、格の違いを見せてラインでの上位独占を果たした。
 「鈴木君が行くのかなと思ってたので、そこから力勝負しようと思っていました。畝木(努)さんが駆けたところで行こうと思ったけど、外から松本君も来ていたので合わせて出ていきました。踏んだ感じは悪くないし、成田さんに抜かれるのはしょうがない。イマイチ踏み込みと、最後の踏み返しが甘かったので修正したい」


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松浦悠士選手
松浦悠士選手
 坂本周輝を警戒しながら、大石剣士が打鐘手前で先頭に立ち駆ける。4番手で車間を空けた松浦悠士(写真)は、盤石の態勢で最終ホームを通過する。松浦が2コーナーから踏み出して、佐々木龍のけん制を乗り越えて1着。10年7月の初勝利から11年あまりで通算300勝のメモリアルを飾った。
 「(周回中で)あの位置(中団)が取れれば、仕掛けが遅くなってもなんとかなると。大石君の掛かりも良かったし、自分の感触は良くなかった。(佐々木)龍にもらったらヤバいなって感じでした。大石君がゴールまで伸びていくような感じで踏み上がっているところを詰めていく感じでキツきつかった。ハンドルを持つ位置を奥にしたら良くなかったので戻したい。セッティングは軽くいじるかも」
 松浦の踏み出しにも難なく続いた小川勇介が2着。
 「(周回中に)中団取れたので、あとは松浦君に任せていました。最後の直線は松浦君も回している感じでした。自分も余裕はあったんですけどね。練習方法を改めたのが良くなってきた理由なのかなと。長い目で見たら、いまの練習方法が合っていると思う」


<12R>

内藤秀久選手
内藤秀久選手
 押さえて出た川口聖二がペースを握ると、郡司浩平は7番手でタイミングを取って打鐘からアタック。最終ホーム手前では楽に前団をのみ込んで、郡司が主導権。4番手以降はちぎれて、薦田将伍がまくりで神奈川勢との距離を詰める。しかしながら、番手の内藤秀久(写真)に仕事の出番はなく、あとは交わすだけ。ゴール手前で内藤が差し切った。
 「どうだろ、(地元記念で)郡司を抜いたっていうのは、人生で一番うれしいかもしれない。(郡司が)どこで行くかわからなくて、ジャンのところ(の仕掛けるタイミング)をスルーしたんで、どこで行くのかなって。それで口が空いちゃった。でも、余裕はありました。(最終)4コーナーで(郡司)浩平はいつもの感じだったけど、自分はこれってもしかしたらっていうのがあった。そしたら差せました」
 1周半のロングスパートになった郡司浩平は、別線の力もきっちりとインプット。仕掛けどころは逃さなかった。
 「流れのなかで行けるところでしっかりと叩いてと思っていた。うまく行けるところで行けました。(川口ラインに)付いていって叩いてもっていうのがあったんですけど、(川口)聖二でしたし、踏み合いになるかもしれないっていうのがあった。それでワンテンポ見てからの方がやりやすいかと。自転車の出も良かった。ただ、自分のなかでは距離も長かったし、後半はキツかった」