『川崎競輪開設76周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:4月23日

 川崎競輪場で開催された開設76周年記念「桜花賞・海老澤清杯(GIII)」は、4月22日に最終日が行われた。ホームバンクから3人が勝ち上がった決勝は、脇本雄太が先行策。3番手からまくった郡司浩平が、脇本をとらえてホームで優勝。4連勝の完全Vで2月の高松以来、今年3度目、通算24回目のGIII制覇で6回目の川崎記念優勝を遂げた。

決勝戦 レース経過

 号砲でやや見合う感じになったが、最内枠の郡司浩平が犬伏湧也を出させて西勢が前受けになる。犬伏-久米康平-吉本卓仁で、中団に郡司-松谷秀幸-佐々木眞也の地元トリオ、脇本雄太-小森貴大の近畿コンビが7、8番手、単騎の根田空史が9番手となって周回を重ねる。
 青板2コーナーから脇本が上昇を開始。脇本は早々に犬伏の外まで上がって並び掛け、赤板経過で誘導員が退避すると同時に先頭に立つ。犬伏は7番手まで車を引く一方、郡司は抜かりなく3番手を確保。レースはここから全く動きなく打鐘を過ぎ、最終ホームを迎えたところで脇本が腹を決めて先行勝負に出る。だが、こうなったらサラ脚で3番手を回っていた郡司に絶好。2コーナーまくりの郡司は、脇本の先行を2センターあたりでねじ伏せてしまう。地元3番手の佐々木は少しずつ遅れていってゴール前は郡司と松谷の一騎打ち。激しく詰め寄る松谷を2分の1輪差で振り切った郡司が地元ホーム記念V6を飾った。2着は松谷で、3着には佐々木に踏み勝った小森が入った。

郡司浩平選手
郡司浩平選手

 「何回優勝しても、みなさんのあたたかい声援に助けられて、本当にうれしいです」
 ホームバンクの川崎記念、桜花賞を6度目の制覇。重責を担いながらの4連勝。郡司浩平(写真)にとっては、完全Vで桜花賞を制したのは初めてだった。
 「神奈川3人で心強い連係だった。僕が前でしっかりと責任をもって走らなきゃいけないって思っていたんで、その気持ちが出せたんで良かった」
 レースは意外なほど単調に流れた。後方から上昇した脇本雄太が赤板過ぎに先頭に出ると、郡司が3番手に切り替える。犬伏湧也はすんなり下げて7番手。郡司は絶好のポジションを確保したが、同じく脇本も労せずに主導権。2日目にはバンクレコードを叩き出したグランプリスラマーだけに、決して楽な3番手ではなかった。
 「犬伏君が来るだろうと思っていたし、そこはヒヤヒヤしながら(3番手に)構えてました。脇本さんが仕掛けてからは、絶対に(最終)バックで行こうと思っていた」
 後方の犬伏は動くに動けずクギづけ。逃げる脇本が踏み上げるなか、郡司も最終2コーナーで仕掛けた。
 「まったくまくり切れると思ってなかったので、最後は意地だけでした。このメンバーでどれだけ力勝負できるかを課題にしてやってきた。(シリーズの)4日間、自力で地元のプレッシャーのなかで、こういう結果を出せた。もう、怖いものなしです」
 2センターで脇本をとらえた郡司は、今度は後ろの松谷秀幸との勝負。「抜けると思ったんですけど」と、手ごたえのあった松谷を半車輪しのいでのゴール。ウイニングランでは何度も拳を突き上げて、地元のファンに応えた。
 「たくさんの声援が4日間、届いていたしサイコーでした。また次のGIに向けて、来年の桜花賞に向けてもしっかり頑張ります」
 日本選手権に向けて、これ以上ないステップ。地元のプレッシャーを力に変えて無傷の4連勝の郡司が“ゾーン”に入っている。

 まくり切った郡司とのマッチレース。直線でグッと差を詰めた松谷秀幸だったが、最後は郡司の気持ちが勝った。
 「(郡司)浩平もキツかったと思うけど、最後は浩平の意地がすごかった。ワッキー(脇本雄太)が駆けてるんで、あそこを仕掛けられる浩平がすごい。(最終4コーナーでは)抜けると思ったんですけど、踏み返しがすごかった。自分はチャンスがあったのに、あれを抜けないんじゃ…」

 同県の先輩、脇本の先行を利した小森貴大が3着。しかしながら、課題が山積の確定板入りでもあった。
 「(周回中は)どの並びでも厳しくなると思ってたけど、相手の出方次第、出たとこ勝負で脇本さんが組み立ててくださった。あんな展開になると思ってないなかで、あの距離を行ってくれた。それなのに、なにもできず情けないです。まだまだ脚力も、技術も足りないと思い知った。ラインで決めるっていうことを、今度は自分が仕事してできないと。本当にまだまだです」






次回のグレードレースは、岐阜競輪「第3回オールガールズクラシックGI」が、4月25日~27日の日程でナイターで開催されます。

ゴールデンウイーク真っ只中に行われるダービーに先んじて、2025年のガールズケイリンGI戦第一弾となる「第3回オールガールズクラシック」が岐阜競輪場にて4月25日に3日間シリーズの幕を開けます。2024年2月~2025年1月の選考期間における賞金獲得額上位者42名によって争われる一戦は、昨年不参加だったパリ五輪組や124期勢も加わってより熾烈さを増します。前回の久留米開催では、地元エースの児玉碧衣が重圧をはねのけてVを果たしましたが、今回はどんなドラマが待っているのでしょうか。頂上決戦を制して年末のグランプリ出場権を最初に手にするのは果たして!

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