『川崎競輪 アーバンナイトカーニバル(GIII)レポート』 初日編

配信日:8月4日

 川崎競輪場を舞台に、アーバンナイトカーニバル(GIII)が開幕した。今年2度目となるナイターGIIIシリーズの初日は、一次予選から白熱のスピードバトルが展開された。メーンの特選では、脇本雄太、松谷秀幸、深谷知広が勝ち名乗り。2日目は、優秀「アーバンナイトレース」をメーンに、二次予選をA、Bの二つに分けて準決勝への勝ち上がりを争う。
 本場では様々なイベントで開催を盛り上げます。2日目は、国際アラビアンダンス協会によるベリーダンスショー(4R、8R発売中)や、現役競輪選手との脚力対決(6R、9R発売中)などを予定。また、開催中は毎日、地元選手、九ちゃん、KAWASAKIレディ&ハニーらが来場ファンをお出迎えします。アーバンナイトカーニバルをぜひ本場でお楽しみください。

<1R>

 周回中、8番手からの組み立てを強いられた岩本俊介は、青板を過ぎて早めに動き出し一度は先頭に立つも打鐘では結局元の8番手。しかしながら、逃げる日当泰之がペースを落としたところを見逃さず、最終ホーム手前から踏み込む。2コーナーで前団をとらえて、あとはひとり旅。ロングまくりで2着を5車身ちぎった。
 「スタートでミスして、前に入れてもらえなかった。(8番手に)帰って来て、脚はキツかったですね。それでも構えず、早く行き過ぎず、タイミングを取って。自分のなかでドンって行けた。これがつかめないと(自転車が)出ないんで、そこまで悪くないと思います。初日はいつもこんな感じで、あんまり良くないんで」
 目標の竹澤浩司から早めに切り替えた朝日勇は、最終1コーナーから自力に転じてまくりで2着。
 「あそこで(岩本ラインを竹澤が)追いかけてくれれば、よかったんですけど…。(切り替えて)悪いなっていうのはあった。(内容は)良くないですね」
 山田和巧が岩本を追い切れず、岩本を離れながら追った日当泰之が直線で踏ん張って4着。
 「申し訳ない、(岩本に)すぐに行かれちゃったんで。ヨシ、ここからと思ったら、(岩本が)すぐに来ちゃった。あとはすべて川津(悠揮)君のおかげです」


<2R>

近藤保選手
近藤保選手
 田中勝仁が斬った上を、八谷誠賢が打鐘の3コーナーで押さえて主導権を握った。山口智弘はすぐさま中団に追い上げるも、インを進出してきた伊藤彰規と4番手で併走に。一旦は競り負けた山口だが、最終2コーナーからまくり上げる。目標が内に詰まった近藤保(写真)は中部勢の3番手に切り替えると、直線で外のコースを鋭く追い込んだ。
 「作戦は後手を踏まないように。前々に踏んで、来なければ駆けるって話をしていました。ごちゃついてくれたし、道中は脚が溜められましたね。最後は、たまたまあのコースにいっただけです。状態も悪くない」
 山口に惰性をもらった原真司が、直線で伸びて2着に食い込んだ。
 「(山口が)終わったと思ったけど、またまくっていって。(連結を)外しそうだったけど、外さないでよかったです。でも、前を追っていくのが、きつかったですね。感じは悪くない」
 まくった山口智弘が3着。終始苦しい展開を凌いで、勝ち上がった。
 「八谷さんの4番手と思っていたけど。自分できついレースにしてしまいました。最後は勝ち上がりたい一心で踏んでいましたね。粘りは出せたけど…」


<3R>

小泉俊也選手
小泉俊也選手
 打鐘前から成松春樹が先行態勢に入ると、3番手、高木和仁の内で田中孝彦が粘る。8番手の小泉俊也はそこを逃さず3コーナーから紺野哲也を連れてスパート。土屋壮登の巻き返しを紺野がブロックすると、カマした小泉俊也(写真)が押し切った。
 「思ったより隊列が長くて出切るまでがキツかった。出切って一杯だったけど、紺野さんがいい仕事をしてくれてるのが見えたので気合いが入りました。ワンツーが決まってよかったです」
 逆転こそならなかったが、紺野哲也は好援護で小泉を盛り立てた。
 「4番(成松)の子があんなに流すとは思わなかったし、6番(高木)が浮いてて行きやすくなった。(小泉は)いいところで行ったなと思置います。僕は7番(土屋)を持って行ったときにペダルが入って失格になっちゃうと思った。なかなか1着が取れないですね」
 土屋のまくりに切り替えた荻野哲が俊敏な動きで3着に突っ込んだ。
 「展開がゴチャついたからね。今回は上がればいいことあるかもしれないんで。十分でしょ。あのメンバーで3着なら上出来」


<4R>

 打鐘の3コーナーでじわりと押さえて出た荻原尚人は、鈴木謙太郎を一本棒の7番手に置いて絶妙なペースで駆ける。番手の大森慶一は4番手からまくった角令央奈を阻むと、返す刀で内をすくった野本翔太を締めて抜け出した。
 「(荻原が)まさかの先行でしたね。踏んだら来なくて、結果先行っていう感じでした。2車だったし、(角のまくりを)振ってから戻って、詰まってきたんで直線で踏みました。調子自体もいいと思うし、余裕があったんで落ち着いてできました」
 角のまくりは不発。角ラインの3番手を固めた冨岡健一は、池田智毅の動きを見極めてから巧みにコースを突いて2着に伸びた。
 「大きいことは言えないけど、マグレでもうれしい。池田君が行ってからしか、入るところがないんで。池田君が行ってからと」
 飛び付き含みで逃げた荻原尚人だったが、果敢に風を切って鈴木を不発にしての4着は評価できる。
 「先行っていうより、飛び付きもっていう感じだった。自分はダッシュがないから上げておかないとっていうのがあって。最後はもういっぱいで、(大森は)よく残したなと思った」


<5R>

福島武士選手
福島武士選手
 前を任せた大西祐は7番手。バックから仕掛けたが届かず不発に終わる。だが、大西マークから2センターで内に切り込んだ福島武士(写真)は逃げる千葉コンビの間を割って突き抜けた。
 「後方になるのは想定内だけど、(大西の仕掛けが)ちょっと遅すぎたね。2コーナーからは行くかなと思ったけど、バック踏んでから行ったので。内が空いたし、僕だけスピードもらって登ってもない。最後もたまたまコースが空いてくれました。悪くない。引き続き好調ですね」
 逃げた山本紳貴は2着に粘った。
 「大西さんが早めに切ったのは想定外だったけど、自分の形には持ち込めた。初日とはいえ記念で勝ち上がれたのでよかったかなと思う。記念は今まで見るものだったので。緊張ですか? 緊張感はいつもあります」
 上手く中団を確保した柿澤大貴が3着に食い込んだ。
 「ホームで詰まって、細川(洋)さんにハウスしそうになった。そこでタイミングが狂いました。あんまり早く行っても大西さんを引き出す形になっちゃうし…。山本さんとはA級の時から何度もやってるけど、強いですね。末もしっかりしてる。僕も前回よりは今回の方が全然いい」


<6R>

 上原龍、中西大の後位がそれぞれ競り。レースは後ろ攻めの中西が、中団の上原に蓋をしてから赤板の2コーナーで先行策に出る。中西後位の競りは前田拓也に軍配。さらに、河村章憲まで続き、近畿3車で出切る。上原は後方に置かれ、さらに中団から小林則之に先まくりを打たれる苦しい展開に。それでも、南関勢の仕掛けに続いて2センターから大外を回すと、直線で鮮やかに突き抜けた。
 「1番(中西大)の後ろは離れるかなと思ったけど、すんなり付いていってしまって。一番最悪なパターンでしたね。後ろが競りだったし、自分のレースに徹しさせてもらいました。疲れはあるけど、その分練習みたいに走れました。(疲れが抜けるように)しっかり調整します」
 まくった小林だったが、前田のけん制を受けて失速。しかし、その後ろの川口直人が、直線で中のコースを伸びて2着に入った。レース後は、前の先輩に感謝する。
 「コースを見る余裕はありましたね。あのコースをだったらアタマかなと思ったけど、前田さんとあってしまって。でも、小林さんが無理矢理いってくれたので、あそこまで食い込めました。ラインあっての着です」
 中西大は果敢に風を切るも、直線で失速して4着。
 「後ろをもっと見てから仕掛けていれば、(3着までに)残れたかもしれないです。なかなか難しいですね。でも、今はモガいた方が先につながると思うので」


<7R>

久米康平選手
久米康平選手
 伊原克彦は中団の久米康平にフタをしてから駆けようとしたが、前受けの矢野昌彦が打鐘前から突っ張り先行。内に詰まっていた久米康平(写真)は2コーナーから伊原が遅れ始めると、ようやくバックから外に持ち出し前団を飲み込んだ。
 「(伊原が)1コーナーで遅れてくれたらと思ったけど、ずっと当たれんところにおったので。でも2コーナーで遅れてくれて助かりました。狭いところだったし、僕しか行けんだろうけど行くしかなかった。ちょっと重い感じがしたけど何回もバック入れたんで今日は参考にはならない。悪くはないとは思います」
 伊原後位から石丸寛之をキメて久米に切り替えた北川紋部が2着に続いた。
 「カツ(伊原)にしのいでほしかった。そのまま我慢してツケマイで行ってくれればよかったけど、まくりに行っちゃったんで。僕もキツかったですね」
 石丸後位から北川にスイッチした大前寛則が3着に食い込んだ。
 「(久米が)仕掛けたときに石丸君の行かないほうと思ってた。でも石丸君が差し込んでるのが見えたので。来る前から感じがよかったし、意外に余裕がありました」


<8R>

 谷口明正が切った上を楽に嶋津拓弥が出て主導権。打鐘の4コーナーから渡部幸訓が巻き返すと、嶋津が落ち着いてペースを上げて逃げる。谷口のまくりをけん制して止めた成田健児が、番手から嶋津をきっちり差し切った。
 「嶋津はスピードを上げていく感じの先行だったし、自分としては付きやすかった。あれなら、ピュンって変わっちゃうようなまくりは来ないだろうと思った。(嶋津を)抜けてよかった。1着を取れるような選手じゃないんでね(笑)」
 ゴール前で4車落車のアクシデントはあったが、レースを支配した嶋津拓弥が2着に逃げ残り地元ワンツー。
 「(谷口が)僕のところでフタをしなかったんで、出させてくれるかなと。(渡部が見えて)行かれないくらいに踏んだけど、タイミングを取るのが難しかった。前回は本当に重かったんで、それに比べればいいですよ」
 最終1センターで内から高橋紀史に当たられた白井一機は、バックを最後方で通過。直線で外を踏んで、落車に巻き込まれることなく3着に追い込んだ。
 「8番(高橋)にすくわれて、それが結果、外を踏む形になった。それで(落車に)巻き込まれなかったんでラッキーというか…、これも競輪ですね」


<9R>

 赤板で上昇した相川永伍が先頭に立って別線の動向をうかがっていると、空いた内を鈴木裕が突いて打鐘から主導権を握る。3番手の北浦和人は続けず、3番手で立て直した相川永伍が2コーナーまくりで前団を飲み込んだ。
 「今日は前々に先行基本に攻める作戦。打鐘のところは行かれてしまい反省ですね。あれが3車だったら厳しかったかも。それでもその後はリカバリーできました。無理矢理行けるところで行ったけど、乗り越えられたしよかったです。久々に勝ち上がりで1着取れて嬉しいです」
 相川のまくりに対応できなかった五十嵐力だが番手の齊藤努を飛ばして相川に続いた。
 「出切れたけど、真後ろに誰がいるか分からなかった。それに後ろが相川だとは思わなかったです。(前と)車間を切ったところでドンピシャで来られてしまったので、止められなかったですね」
 齊藤努は相川をマークするも五十嵐に弾かれて3着が精いっぱい。
 「仕掛けた時に自分が少し差し込んでしまい下手くそでした。いいところで仕掛けてくれたのに、ワンツー決められずに悔しいです」


<10R>

石井秀治選手
石井秀治選手
 中団から先に動いた井上昌己が、赤板で前に出る。その上を脇本雄太が赤板の1センターで押さえ主導権を握った。何度も仕掛けてくる石井秀治らを力強い先行で跳ね除けると、そのまま逃げ切って堂々の1着。
 「前検日の朝までトレーニングをして、腰を痛めてしまって。前検日よりはましになったけど、踏めるか心配でした。最後の持久力勝負の時に腰が使えなくて、自分の持ち味を出せなかったですね。展開に助けられました。この後もできるかぎり腰のケアをします。脚は問題ない。今回から車輪を新しくしたんですけど、感触も悪くないですね。(いろいろ試しているのは寛仁)親王牌に向けて、ベストを尽くすためのステップアップです」
 前受けの石井秀治(写真)は赤板で井上昌己を突っ張るそぶりを見せるも、結局車を後方へ下げる。2コーナーから反撃に出たが、脇本を叩けず中団で併走。4コーナーから再度仕掛けるも、番手に飛び付いた小林大介に捌かれて不発。かに思われたが、2センターから再度踏み上げると、直線で追い込んで2着に入った。
 「(井上)昌己を出させないで、番手に飛び付くのも考えていましたね。早めにカマしにいこうとしたけど、ワッキー(脇本雄太)が強くて、番手に参戦するしかなかった。もう少し前に出ていれば、叩き込めましたね。あそこは未熟でした。今までの乗り方だと負担が多かったので、頭の位置とフォームを変えて。まだ、うまくかみ合っていない。そこらへんを確認しながら走ります」
 石井マークの伊勢崎彰大が3着。石井の仕掛けにきっちりと付け切った。
 「ジャンから踏んだり止めたりで。でも、その中であそこまで追い込めているから状態は良いですよ。踏み心地もよかった。この3着はでかいですね。発走機で、高校の時の監督が見えて気持ちが入りました」


<11R>

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 赤板前から先頭に立ってペースを落とした新山響平は打鐘過ぎ4コーナーから徐々にペースを上げる。中団5番手を確保した原田研太朗が2コーナーから仕掛けて前団に迫ると、新山後位から合わせて踏み込んだ松谷秀幸(写真)が好展開を生かした。
 「(新山を)残せる感じはあったんですけどね。焦っちゃった。(原田が)バックは浮いてると思ったけど、もう1回見たら来てたんで。後ろにも3車いるし早めに踏ませてもらいました。新山がいいレースをしてくれました。(番手を選んで)正解だった。今度番手を回るときはしっかり走りたい」
 2着には松谷マークの林雄一が続いた。
 「こんな楽な展開は久々。(最後は)中を行くか外を行くか迷ってからの外だったんで隙もありますね。今日は突っ込んでくる選手がいないからよかったけど。今日は楽だった。あれでキツかったら終わりですけどね」
 外々を耐えてまくった原田研太朗が3着に入線した。
 「最近は中団の原田になってきましたね。前回(サマーナイト)から4走連続だし、僕的にはバック取った気持ち。あそこで仕掛けんと後ろに付いてくれてる人に迷惑がかかると思って行ったけど、全然伸びなかったです。外で我慢はできたかなと思うけど、まくり切れてないんで何とも言えん。でもいつもだったら張れて終わるところを粘れてるんで」


<12R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 赤板手前で山崎芳仁が切って出る。その上を大竹歩が、深谷知広(写真)を警戒しながら2コーナー手前から勢い良く出て先行態勢。しかしながら、深谷の巻き返しも早く、山崎は近畿ラインに飛び付けず深谷が3番手に入って打鐘を通過する。深谷は好ポジションにも構えることなく、最終ホーム手前から反撃。スピードの違いで大竹をとらえて、圧巻の逃げ切り勝ちを収めた。
 「新車なんで、ちょっとまた(セッティングを)いじって調整します。(初日は)いいところに入れたし、すかさず行けた。前が掛かってたんで、キツかったです。(単騎の2日目は)しっかり一発を狙って自分でやります。前回(単騎で)失敗しているんで、その反省を生かせるように」
 東龍之介は深谷に離れながらも懸命に追いかけるが、大竹を乗り越えて最終4コーナー手前で力尽きる。打鐘手前で3番手を深谷に明け渡した山崎芳仁だったが、天田裕輝のまくり追い込みに合わせて踏んで2着。
 「深谷も上がっていたんで、一番飛び付けないところだった。入られたのはしょうがない。そこからは周りも見えていたし、詰まってきたんで踏んだ。俺が踏んだんで、山田(幸司)さんも踏んだんでしょうね。(初日は)いっぱいで(調子が)わからない」
 深谷に離れた東の後ろで、山田幸司は後続との間合いを計り直線の入り口から追い込み3着。
 「東君に前を回してるんで、なるだけ東君が残ってくれればっていうのはあった。でも、タレてきちゃってたし、自分も着に入らないといけないんで難しかったです。メンバー全体が強いんで、それだけで脚がいっぱいです」