『平塚競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:5月12日

 平塚競輪場を舞台にナイターで開催されている開設75周年記念「湘南ダービー(GIII)」は、5月11日に2日目が行われた。二次予選では見ごたえのバトルが展開され、地元の郡司浩平をはじめ、岩本俊介、犬伏湧也のS級S班3人は、ともに白星で勝ち上がった。5月12日のシリーズ3日目には、決勝進出をかけて準決の3個レースで激しい戦いが繰り広げられる。
 記念開催中は毎日、日替わり予想会、競輪初心者教室、未確定車券ガラポン抽選会、キッチンカーの出店、オリジナルクラフトビールの販売、日本競輪選手会神奈川支部ブースなどが予定されています。また、5月12日の3日目は、「SUPER☆GiRLS」、「ゆずさお」、「まねきケチャ」のライブなどもあります。平塚競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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山口拳矢選手
山口拳矢選手
 西田優大、板垣昴の順番で切って、そこを一丸尚伍が赤板2コーナー手前から踏み込む。打鐘3コーナーで一丸が主導権を握り、離れ気味だった松岡貴久が追いついて九州コンビで出切る。九州勢を追った山口拳矢(写真)は、空いた3番手に入り最終周回。山口後位が板垣と笠松信幸で併走。2コーナー手前から山口がまくり、笠松はわずかに遅れる。山口がスピードの違いで前団をとらえて、松岡は笠松をブロック。後ろを大きくちぎった山口が1着。
 「(一丸が仕掛けて)5番(松岡)が離れている感じだったので、追い上げようか迷った。(結果的には九州コンビを追って)そのまま行ければ良かった。けど、(3番手が)空いてたんで、それで笠松さんはキツくなっちゃいました。脚はたまってたんで、(最終)2コーナーから(仕掛けて)行けると思いました。昨日(初日)、なにもせずに終わって、感覚もわからなかった。それに比べたら(2日目は)よく踏めたかなと。(3日目以降も)勝負をして、仕掛けることが大事なと思います」
 カマシ気味に出た一丸尚伍は、そのままペースを落とさずに風を切る。ラインの力にも助けられて、2着に踏ん張った。
 「脚を使いましたけど、後ろでモガいているよりは前々にと。あとは松岡さんがすごい仕事をしてくれて残った。ハイペースでいって、そのまま落とさずにいけるところまでって全開だった。前半、飛ばしていったんでキツかった。でも、最後に残れたのは練習の成果かなと。力をしっかりと出し切れているので、状態はいい方だと思います」

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山岸佳太選手
山岸佳太選手
 山岸佳太(写真)が赤板過ぎにすんなり阿部英斗を押さえて、4番手は切り込みながら坂本貴史が確保する。そのままスローでレースは流れて、打鐘3コーナーで阿部はようやく7番手に引き切る。腹を固めた山岸が、徐々に踏み上げて駆ける。最終ホームから反撃に出た阿部は、永澤剛にブロックをもらい失速。4番手の坂本が2コーナーからまくる。6番手付近で立て直した阿部は、3コーナーからインを押し上げて、吉澤純平を外に張る。阿部、吉澤が落車して、荒井崇博、永澤、真崎新太郎が乗り上げる。後ろでアクシデントがあり、そのまま山岸が押し切った。
 「どう考えても後ろからになるなって思って、レースを組み立てました。坂本さんに叩かれるとキツくなると思って、(赤板で押さえたあとは)坂本さんに中団を取ってもらえるような感じで踏みました。自分の掛かり次第だと思うので、あとは吉澤さんに委ねていた。自分がタレてきていた。ライン2人が落車したので素直には喜べないですね」
 北日本3番手の須永優太は、落車のアクシデントを最内に避けて2着。
 「ちょっと自分が内に避けた時に(最終2コーナー付近で阿部に)降りてこられてしまった。ラインとして機能しなくなってしまったのかなって。そこは反省ですね。悪くはないんですけど、昨日(初日)も今日もからまれてしまっている感じですね」

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松本秀之介選手
松本秀之介選手
 赤板1コーナーで菅原大也が切って出て、中近勢を送り出す。橋本優己が先頭に立ち、単騎の佐藤真一が4番手に続く。松本秀之介(写真)は一本棒の7番手に置かれて、橋本の先行でレースが流れて最終周回へ。じっくり構えた松本は、2コーナー手前でスパート。外めをまくった松本が、好スピードで三谷将太のブロックを乗り越える。ラインを引き込んでまくり切った松本が連勝。
 「(周回中に)前を取れたら、落ち着いて引いてから考えようと。菅原さんが仕掛ける前にっていうのはありました。ただ、前が駆けるのが遅かったんで、車間があんまり取れなかった。(まくりは)踏み出しがあんまり良くなかった。けど、(最終)バックは流れてくれた。余裕もありました。バックの伸びは、昨日(初日)より良かった」
 松本の踏み出しに少し車間が空いた緒方将樹だったが、吸い込まれるように同県、同期に流れ込んだ。
 「僕が前でもっていうのはあったんですけど、番組的に松本が練習しているような展開になるかなと。そしたらドンピシャでした。あの並びになった時点で(松本は)落ち着いてと。松本の力量もわかっているんで。(最終)3コーナーで(三谷に)ぶち当たるだろうと。番手であれだけやっているし、三谷さんがどのくらいくるかなっていうのがあった。なんとかラインでワンツースリーなので良かった。(松本は)頼もしいですね」

<9R>

和田真久留選手
和田真久留選手
 南関勢が前団。伊藤颯馬に合わせて深谷知広が突っ張るも、伊藤は締め込みながら赤板2コーナー手前で出る。しかしながら、松岡辰泰は連結を外す。深谷が番手に収まるが、久保田泰弘が追い上げて、深谷は打鐘4コーナーで3番手に下げる。最終ホームを通過し、深谷は1センターから踏み上げる。月森亮輔の追い上げをしのいだ和田真久留(写真)が続いて、ワンテンポ置いて松岡が追いかける。初日特選で落車に見舞われた和田だったが、深谷を差し切って1着。
 「伊藤君の切り方がうまくて、(深谷は)引くと思ったんですけどね。(初日に落車しているが)右半身の打ち身と擦過傷です。前回(の落車で)左を痛めたのでバランスが取れたのかなって(苦笑)。正直、吹っ切れたというか、なるようにしかならないなって。地元記念だからって、どうあがいてもしょうがないなって。フレームもパーツも換えて、不安要素しかなかった。でも、昨日(初日)よりは軽く感じました。深谷さん、サマサマです」
 松岡が強襲するも、深谷知広は僅差で2着をキープ。
 「ちょっと自分の反応が悪くて、(伊藤に)出られてしまった。(打鐘付近は)久保田君はしつこいので、1回引いて立て直しました。(最終ホームで月森が)来たのが見えて踏みました。踏み込み自体はできているんですけど、赤板の加速の面が良くなかった。満点のレースはできなかった」

<10R>

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手
 後方から上昇した邊見光輝を阻んで、梅崎隆介が突っ張る。両者の消耗戦を5番手で間合いを取ってうかがっていた犬伏湧也(写真)は、道場晃規を8番手に置いて赤板2コーナーから前団に襲い掛かる。打鐘3コーナーで犬伏が出切り、三宅達也の追走。3番手に梅崎が飛び付いて、筒井敦史と併走になる。後ろは田中陽平、道場晃規で重なり、最終周回。犬伏は2コーナーから再度加速して逃げる。3番手を守った筒井だが、前の2人に遅れる。1車下げて6番手になった道場は、2コーナーまくり。道場も前の2人に詰め寄るが、犬伏が押し切って人気に応えた。
 「道場君が切りに来なかったんで、すんなり駆けられる展開になった。(最終)バックからの踏み込みも良かったと思います。3車のラインだし、昨日(初日特選)も1着にいけているんで、最低4着でも勝ち上がれる。それなら(先行で)と。昨日よりもバンクが軽かったんで、先行する分には良かった。(3場所前の)高知で落車した影響がやっとですね。だいぶ良くなっているかなと。しっかりとやれている感覚があります」
 犬伏にすんなりの先行策を許した道場晃規は、まくりで2着まで届いた。
 「誰かが内にいるのがわかった。それをもらったらキツいかなと。結局、(最終)1コーナーで(田中に)もらった。でも、脚は残っていた。筒井さんがバックで離れていて、吸い込まれる感じだった。三宅さんもキツそうだった。今日(2日目)は脚をためていた分、出たし、感じは悪くない。今日の方が昨日よりも良かったんで、明日も良くなるかなって思います」

<11R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 上野雅彦を突っ張った長田龍拳が緩めた赤板2コーナー手前のポイントを、中井俊亮が逃すことなく仕掛ける。中井が主導権を奪うが、単騎の中川聖大がその上を叩いて最終ホーム過ぎに出る。番手に中井が入るが、切り替えた岩本俊介(写真)が、4番手から自力に転じてまくりを打つ。その前に山賀雅仁は連結を外し、岩本後位にいた香川雄介も付け切れない。まくり切った岩本に南修二がスイッチ。しかしながら、岩本が直線でも後続を寄せつけず1着。
 「ちょっと(打鐘過ぎに長田が)下がってきてしまった。うまく連係できなかったですね。下げたらないなっていう判断でした。戻ってくると思って待ったんですけどね…。自分だけになってしまって、ライン的にはどうなのかなっていうのはある。脚は悪くないんですけど、これじゃあ長田君もやりきれないでしょうし、次は決められるように」
 中井の余力を判断して切り替えた南修二が、離れた2着。
 「シュン(中井)は器用なので、(叩きにいった)判断も良かった。自分が岩本君を止められれば良かったんですけど。結構、う回されてしまったので、切り替えるしかないなっていう感じでした。あまり良くないですね。昨日(初日)も良くなかった。前回からシューズを換えてみた。けど、(前々回の)落車もありますし、なにが原因(で良くないの)かわからなかった。(今回2走してみて)思うところがあったので、シューズを換えてみます」

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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 古屋琢晶に突っ張られた北津留翼は下げて、そこを川越勇星が踏み込む。打鐘で川越が先頭に立ち、南関勢の主導権。古屋が4番手を確保して、川越は飛ばして駆けて最終ホームを通過する。7番手の北津留は、2コーナー手前から仕掛ける。逃げる川越との車間を空けた郡司浩平(写真)が、詰める勢いで北津留を2センターで大きく外に振る。それでも立て直して踏み込む北津留を、再び直線で阻んだ郡司が1着。
 「(川越は)すかさずっていうより、1回見てから(仕掛けて)行った。出切ってからも落ち着いていたし、(最終)ホームの踏み上がりも良かった。それで北津留さんのカマシが、来る感じはなかった。ただ、(北津留のまくりに)体をバッチリ合わせたかったんですけど、逃げながらいかれちゃった。自分は周りも見えていたし、昨日(初日)より軽かった。昨日よりかはいいです」
 突っ張られて一度、脚を使った北津留翼は、7番手からのまくりながらも掛かりがいい。それでも自身はこう振り返る。
 「スタートで後ろになっちゃったし、前が古屋君だったので(周回中は)すべてが予想外だった。(突っ張られて)後ろに置かれて、郡司選手も整っていたんで厳しいかと思った。(最終)1センターから踏んだけど、半信半疑だった。追い上げまくりみたいで、終始モコモコしながらだった。(郡司のブロックは)一流選手は違いましたね。でも、後ろに園田(匠)さんもいるし、踏んでおかないと。いまの自転車自体、あと伸びなんでカーンって入らない。その分、攻撃的には踏めないけど、結果的には今日(2日目)の展開ならその方が良かった」