『平塚競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:5月14日

 平塚競輪場を舞台にナイターで開催された開設75周年記念「湘南ダービー(GIII)」は、5月13日に最終日が行われた。地元の2人を含めて4人の南関勢が結束した決勝は、その南関ラインの先頭を務めた深谷知広が主導権。深谷マークから番手まくりを打った郡司浩平が優勝。前々回の川崎以来、今年4回目、通算25度目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると最内枠の郡司浩平が飛び出して誘導員を追う。深谷知広-郡司-和田真久留-岩本俊介の南関勢が前を固め、単騎の山口拳矢がこの後ろ。6番手からが松本秀之介-松岡辰泰-園田匠の九州勢で、単騎の犬伏湧也が最後方。
 赤板の手前から誘導員との車間を空けていた深谷が、ホームストレッチ付近で松本が上昇するのに合わせて突っ張る。松本は再び6番手に戻る形となり、犬伏は相変わらず最後方。突っ張った深谷は、ペースを一気に上げていく。最終ホームを過ぎても深谷のカカリが良く、後続に動きはない。前との車間を切りながら後ろの動きを警戒していた郡司は、2コーナー出口から番手まくりを放つ。郡司のスピードが良く、2センター手前から中団の山口が踏み込むも、車の出は鈍い。直線では郡司と和田の地元両者での一騎打ちとなるも、郡司が振り切ってV。和田が2着で地元ワンツーが決まる。その後位を回っていた岩本は伸びを欠き、単騎の山口が外を伸びて3着に入った。


郡司浩平選手
郡司浩平選手

 4月の川崎記念では、シリーズを通して先頭でラインを引っ張り、4連勝の完全V。同じ地元でも川崎とは違った美酒を郡司浩平(写真)は、こう振り返った。
 「4車ですし、3人しか確定板に乗れない。深谷(知広)さんには申し訳ないけど、後ろの3人で決まるように(最終)バックから行かせてもらいました」
 S級S班の岩本俊介が、4車のシンガリを固める布陣。番手、3番手を地元コンビが回り、深谷は前受けの段階で突っ張りに迷いはなかった。
 「(九州勢と)ほぼ2分戦ですし、深谷さんは前を取って出させないような感じだった」
 深谷に突っ張られた松本秀之介は、赤板1センター付近では中団の位置を探りスピードを落としたが、それでも深谷は緩めることなく打鐘を通過する。5番手に単騎の山口拳矢がピタリと続くが、九州勢は車間が空いて、さらに離れた9番手に犬伏湧也。
 「(松本は)早めに踏みやめていたんで、(深谷は)もっとペースに入れてもいいと思っていた。でも、任せていたんで、その気持ちをくみ取りました」
 先頭を務める責任からか、オーバーペースと思える深谷の踏み込み。その重みを感じ取った郡司は、別線の仕掛けを待つことなく最終2コーナーで番手まくりを断行した。
 「深谷さんの気持ちもそうですし、あそこから行けば(和田)真久留にも岩本さんにもチャンスがあると」
 バック過ぎに先頭に立った郡司に和田、岩本が続く。4コーナーで外に持ち出した和田が直線で詰め寄るが、4分の1車輪、郡司が振り切ったところがゴールだった。
 「(今後の目標は)もちろんGIを優勝したい気持ちもあります。でも、GIIIでこうやって深谷さんだったり、岩本さんもSSっていう立場なんですけど、4番手を回ってもらったり。いまの自分にそういうことができるのかなって。あらためて昨日(3日目)、思った。自分は深谷さんの役割だったり、岩本さんの役目だったりとかを自分も果たしていかないといけない」
 ラインの4人で成し得た和田との地元ワンツー決着。今年すでに4度目となるGIII制覇に、様々な思いを巡らせている郡司がいた。
 「ラインだったり、たくさんの声援に助けられた。それを恩返しできるように。南関全体をそういう走りで、引っ張っていきたいです」
 自身に課せられた責務。それを受け止めるだけのものが、いまの郡司にはある。

 シリーズ初日に落車に見舞われた和田真久留だったが、ホームバンクの記念だけに1走入魂。直線では番手まくりの郡司に迫った。
 「深谷さんのダッシュがすごかったです。松本君の動き次第では、僕や岩本さんが外をう回しなければいけない展開も考えていました。ラインに迷惑を掛けないことで頭がいっぱいでした。(2場所連続落車で)現状、自力で決勝に上がることは難しかったと思いますし、初日に落車した時点で、すぐに決勝とは考えられなかった。最後は万全だったら抜けたかもしれないですけど。優勝して泣きたかったですね」

 南関勢の後ろを確保した山口拳矢は、最終3コーナー過ぎから踏み込むも岩本を交わしての3着がやっと。
 「(初手は)単騎勢が(南関ラインと九州ラインの)間に入らないと、レースが動かない可能性もあると思ったのでこだわりました。(車間が)詰まるところは何度かありましたけど、行けても1車だなっていう感じだった。郡司さんが出ていって、詰まったところでっていうイメージ通り踏めました。けど、結果的に4番手にいてなので。脚力的にはまだまだかなって思います」









次回のグレードレースは、開設76周年宇都宮記念「レジェンド神山雄一郎カップ」が5月15日~18日の日程で実施されます。

今シリーズは眞杉匠、古性優作、新山響平、清水裕友、平原康多のSS班5名をはじめ松浦悠士、窓場千加頼、浅井康太、嘉永泰斗、菅田壱道ら全国各地から健脚が集結する超豪華メンバー。地元勢はSS班の眞杉を中心に坂井洋、長島大介、雨谷一樹、神山拓弥らが一丸となって強豪を迎え撃ちます。「雷神バンク」で主役を演じるのは果たして誰でしょうか?

5月7日時点の出場予定選手データを分析した、宇都宮競輪「レジェンド神山雄一郎カップ」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版は"こちら"