『小田原競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:8月25日

 小田原競輪場で開設73周年記念「北条早雲杯争奪戦(GIII)」が、8月25日にスタートした。初日のメイン、特選では、地元の郡司浩平が逃げた深谷知広を交わしてのワンツーで幸先のいいスタートを切った。8月26日の2日目には、初日特選組も加わり二次予選で熱戦が繰り広げられる。
 なお、小田原競輪場では土日の27、28日を中心に各種イベントを用意してお客さまのご来場をお待ちしております。「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

青野将大選手
青野将大選手
 大西貴晃が切った上を、大矢崇弘が出て赤板で主導権。しかしながら、関東勢を追いかけた青野将大(写真)が、打鐘3コーナーで叩きに出る。志村龍己のけん制を乗り越えて青野が先頭に立って風を切る。地元3車が出切り、柳詰正宏が切り替える。番手の松谷秀幸も直線で詰め寄るが、青野が二の足で振り切った。
 「もう半周早く仕掛けたかったけど、大矢さんが結構、踏んでいた。関東ラインを使う感じでカマしました。志村さんは脚があるし、(ブロックが)来ると思っていました。短い距離にしてはキツかった。練習と競走はやっぱり違いますね。練習ではいつも通りのタイムが出ているし、硬くなっているんだと思う」
 地元3人で上位を独占。直線勝負の松谷秀幸は4分の3車輪差の2着。
 「(打鍾過ぎ)4コーナーで(青野が)行けないと思って、先に降りちゃった。あれですごい脚を使っちゃいました。変なタイミングで行ったし、志村に(ブロックを)もらったところで行けないと思って降りちゃった。(自転車も)出てないですね。ハンドルまわりが気になったので、少しいじろうと思う。1着パターンで取りこぼしているので、(調子は)なんとも言えないんですけど。少しでも良くなるようにしたい」


<2R>

大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 藤原俊太郎は雨谷一樹が切った3番手の外でタイミングをうかがい、赤板で出て先行態勢を取る。藤原がリズム良く駆けて、菅原大也は一本棒の6番手で打鐘を通過する。3コーナーから反撃に出た菅原は、中団の雨谷に張られて不発。雨谷も一息で、番手の大塚健一郎(写真)がゴール前できっちりと藤原を交わした。
 「(藤原は)初めてだったんで、踏み方とかは手探りでした。藤原君のさじ加減で出るところを出て、自分のスピードに乗るところっていう感じでした。(最終)1コーナーのところでしたかね、かぶりたくなかったんで一振りした。あとは自分は、なにもすることなかった。逃げ切れている選手を抜けているんで、自分(の調子)は悪くない」
 前回の岐阜では3連勝でS級初優勝を遂げた藤原俊太郎は、迷いなく赤板先行に出る。菅原、雨谷と別線をシャットアウトして、ラインの大塚とワンツー
 「思ったよりも踏めました。どっちが前でも(周回中は)中団で2周目がけて行けたらいいなって。(出切ってからは)次に菅原さんが来るんで踏んでおかないと。前回は良く動けて優勝ができた。だから、今回が勝負だと。(勝ち上がれて)ホッとしてます」


<3R>

 3番手に位置した櫻井祐太郎が、赤板手前から踏み込んで押さえて出る。格清洋介がすかさず仕掛けるが、櫻井もペースを上げる。最終ホーム過ぎに格清が叩き切るが、加藤圭一は連結を外す。番手には櫻井が飛び付く。松岡篤哉のまくりに合わせて櫻井が出る。櫻井のまくりを内藤宣彦が追い込んで1着。
 「(櫻井が)自分で動いて前に出てくれたし、いい展開になった。8番(格清)の単騎カマシになったし、キツかったけど最高の展開になりましたね。重かったですよ。流れる感じではなかった。セッティングは微妙に変えているし、明日(2日目)もメンバー次第でいじると思います」
 格清に叩かれて苦しい展開も、番手から再度まくり上げた櫻井祐太郎が、ラインを上位独占に導いた。
 「細切れなのでみんなが動いて、自分が先行できると思っていたら、誰も来なかった。それなら残り2周で自分のタイミングで行こうと思いました。(格清には)出られちゃいました。ペースに入れたところで、下りを使って(最終)ホームで出られた。でも、そこからは落ち着いて(ラインの)3人で決められた」


<4R>

山本直選手
山本直選手
 山本直(写真)が勢い良く切ったところを道場晃規が押さえて主導権。高木隆弘は付け切れず、山本が3番手に収まる。内を進出した飯野祐太が、藤田昌宏を張りながら仕掛けてそのまま叩き切る。別線がもつれて、山本直は最終1コーナーからまくりを打つ。逃げる飯野を3コーナー過ぎにとらえた山本が1着。前回の奈良FIでは711着だった山本が連勝を伸ばした。
 「動いたあとにラインを崩しちゃったんで、そこは反省ですね。3番手に入ったあとジャンで行こうか迷った。そしたら(別線に)行かれてしまった。(最終ホームでは)早くいかないとって、脚もたまってたし。前回からだんだんといい感じになりました。(練習を)考えてやりすぎて、量が減ってた。それを前回の前からワットバイクと街道の距離を増やした」
 道場が叩かれて切り替えた佐藤龍二が、須永優太をさばいて中のコースを伸びた。
 「道場も頑張ってくれたけどもったいない。(最終)ホーム、(1)センターのところは入れようと待ってたんですけど。根田(空史)君のフレームは練習でも乗っているけど、乗りづらい。けど、スピードに乗るとめっちゃいいんですよね」


<5R>

阿竹智史選手
阿竹智史選手
 赤板目がけて踏んだ吉堂将規が先行策。3番手の小林令、さらには5番手の近藤夏樹、後方の畝木聖も仕掛けるが、吉堂がペースを上げて主導権をキープして最終周回へ。畝木を山本巨樹が外に張ると、小林は山本の内をすくって一呼吸入れてからまくって出る。甲信勢に畝木を追わなかった阿竹智史(写真)が続いて、3コーナー過ぎから追い込む。小林を利した上原龍を阿竹がとらえた。
 「(畝木は)タイミングが難しかったかなとも思う。ジャン過ぎくらいでバランスも崩していた感じでした。小林君も出て行って、後ろにはキム(木村隆弘)もいたので、短い距離だったけど踏めて良かった。(仕掛ける)タイミングがなくて、スピードを殺したけど踏み切れましたね。展開は見えているしそこまで悪くない。(オールスターの失格で)みなさんに迷惑を掛けたんで、取り返せるように」
 小林が俊敏な立ち回りからまくり上げて、上原龍に好展開が巡って来る。別線をけん制しながら追い込んだ上原が2着。
 「(小林は)前々に踏んで自在に攻めてくれると思っていたし、それが(小林)令君の得意な形。良い動きとしか言いようがなかったですね。最後もまくっているし。今回からフレームを変えたんですけど、感じは良いし上向きですね。タテに流れる感じで、道中も楽です」


<6R>

 近畿勢が前団に構える。東矢昇太を突っ張った中井俊亮が赤板を先頭で通過してペースを握る。2コーナーから仕掛けた川越勇星がしぶとく外でへばりつくも、中井を脅かすまでには至らず。最終2コーナー過ぎにまくりに転じた桐山敬太郎が迫るが、番手の三谷将太が勝ち切った。
 「中井の出脚が良すぎて、焦ってしまったところがある。それで援護をしきれなかった。最後の3コーナーでもうちょっと張れば、(中井と)決められたかもしれない。真田(晃)さんが入って来たのもわかったけど、桐山(敬太郎)さんの方が伸びている感じがした。自分は自転車が勝手に伸びてくれるので、めちゃくちゃいい。あとは反応の部分だけど、そこも前回は良かった」
 近畿3番手の真田晃は、逃げた中井と三谷の間を追い込んだ。
 「前の2人が頼もしくて、僕はラインでちょっとでも力になれるようにと。内を締めてたし、(川越にかぶったところは)冷静にできました」

<7R>

 じわりと切りに来た宮崎大空を前受けから長島大介が突っ張って、後続の様子をうかがう。今度は赤板を目標に仕掛けた下井竜を楽に合わせた長島が風を切る。最終ホームから自力を出した高橋和也を池田勇人がけん制。絶好の流れを池田がモノにした。
 「最高ですね。全部突っ張っちゃえば、ラインで決まるには堅いと思っていました。自分の横に来ても絶対に譲らないつもりだったし、あれだけ長島君が行ってくれたから下井君も、高橋君も、絶対止めようと思っていました。比較的、余裕はありました」
 別線に一度もハナを譲ることなくレースを支配した長島大介が2着。
 「ラインで決まるように、最善の策を取りました。下井君の巻き返しも早くて、これは1着はキツいかなとも思ったけど、合わせ切ってしまえばラインで決まると思った。高橋さんも見えたんですけど、あとは池田さんに任せようと思った。自分もペース的には余裕はあった。前回よりも気持ち的には楽です。積極的に動けているし、状態的にも精神的にもいい」

<8R>

平原啓多選手
平原啓多選手
 赤板で3車で出切った埼京ラインの主導権。赤板1コーナーから切り込んだ岡崎智哉が安部達也を張るが、安部がこらえて岡崎は4番手に下げる。最終ホームを通過して立て直した岡崎は、坂本周作に合わせて2コーナー手前から仕掛ける。一度は岡崎に前に出られた平原啓多(写真)だったが、前に踏み込んでコーナーで盛り返す。直線で近畿コンビを振り切った平原が、S級初勝利を挙げた。
 「格上の安部さんが番手を譲ってくれたんで頑張ろうと。結果、(ラインでは)僕だけになって、そこは心残りです。ジャンで安部さんがからまれているのがわかった。岡崎君がすごいスピードでまくってきたんで、振って戻った時に磯川(勝裕)君に差し込んだ。それでそのまま踏ませてもらった。磯川君にも悪いことをした。勝ち上がれたのはうれしいけど、僕の力で勝ち上がれたわけじゃない」
 岡崎マークから直線で外を踏んだ山田久徳が、2着に追い込んだ。
 「(岡崎)本人的には叩きたかったんでしょうけど、踏んだ時に滑って後輪が飛んでいた。後ろで結構、ヒヤヒヤして、ワンテンポ遅れながら付いていった。(調子は)悪くないと思う。自分が思ってるよりも進んでいたし、それなりに戦えるかなと」


<9R>

 グレードデビューの北井佑季が、地元ファンに存分にアピールする内容で期待に応えた。猪狩祐樹との踏み合いを制して、突っ張り先行で主導権をキープした北井は、打鐘過ぎに石口慶多を不発にして迷いなく逃げる。直線で番手の内藤秀久が追い込むが、そこも振り切って1着。
 「(記念の)一発目だったので、自分らしく走ろうと思ってました。後ろは内藤さんと小島(歩)さんでしっかりしているし、突っ張り先行と思ってました。猪狩さんとはこれまでの対戦で、後ろから強く踏んでくるようなレースはしてきていなかったので、(残り)2周半であのスピード感で来られると想定していなかった。それで遅れて踏む感じになった。僕自身がそれを想定してやっていれば、後ろに迷惑をかけなかったと思う。(逃げ切れたのは)突っ張り方がうまくなかったので、内藤さんに脚を使わせたんだと思います」
 経験の少なさの脚力でカバーしている北井との連係を内藤秀久が振り返る。
 「ちょっと北井が中途半端でしたね。後ろで見ている感じでは、甘さを感じました。最後はタレていたから車間を空けてと思ったんですけど、33ってこともあってもうひと踏みされてしまった。調子自体は全然悪くなくて、落車の影響もないですね」

<10R>

町田太我選手
町田太我選手
 前受けから突っ張りの腹づもりでペースを上げた町田太我(写真)だったが、緩めた隙を突かれて小原唯志に主導権を握られる。九州勢が中団に切り替えて、町田は後方に陥る。しかしながら、すぐさま打鐘4コーナーから反撃に出ると、目の覚めるようなスピードで前団をひとのみ。町田がそのまま押し切った。
 「(前受けから)全部、突っ張るつもりだったんですけど、自分が油断して児玉(慎一郎)さんには迷惑を掛けてしまいました。そのあとは中団から行こうと思ったけど、(九州勢に)時間差で来られてしまった。(7番手からの仕掛けになったが)車は進みましたね。感じは良かったです。ただ、(33バンクは)慣れないしヘタクソすぎる」
 町田のダッシュに危なげなく続いた山下一輝が2着で人気の決着。
 「小原さんがうまかった。(町田)太我も踏んでたけど、隙がなかったですね。そのあとは小原さんがだいぶ流してたんで、そのスピード差でなんとかでした。太我もしんどそうだったので、(最終)2センターあたりでは(1着が)あるかなと思ったけど、末がしっかりしていた。あれだと(抜くの)無理でしょうね」

<11R>

 赤板過ぎに三好恵一郎が先頭に立ち、松本秀之介は北日本ラインにかぶって出られない。藤根俊貴が前団に迫り、矢口啓一郎は最終1コーナーで逃げる三好の番手から踏み上げる。包まれた松本を確認して、山田英明も自力に転じる。抜群の加速でバック手前でまくり切った山田が、後続をちぎって1着。
 「全面的に(松本に)任せていたレースだったんですけど、あそこで粘ってもしょうがないと思って(最終ホームで)引かせてもらいました。中村(昌弘)さんも付いていたし、自分から人気にもなっていたので自力で行かせてもらった。なるべくラインで決めたかったし、信頼していたんですけどね。疲れはあると感じています。オールスターの疲れはやっぱり響きますね」
 九州勢に付けた中村昌弘は、山田のまくりに離れながらも吸い込まれるように流れ込んだ。
 「(山田に)付いていくことだけ考えてました。山田君も(自力で)行きそうな雰囲気はあったので、そこだけは付いていこうと。状態はいいと思う。最近は着は大きいけど、軽かったし付いてはいけると思っていました」

<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 清水裕友が深谷知広に併せ込むと、深谷が下げて単騎の武藤龍生がスイッチする。3番手の清水は深谷を警戒しながら前との車間を空けるが、2センターから深谷が敢然と仕掛ける。赤板1センター過ぎに深谷が先頭に立ち、郡司浩平(写真)まで出切るが、和田真久留は坂口晃輔にさばかれる。浅井康太が3番手で打鐘を迎える。追い上げを試みた和田だが、再度坂口に弾かれる。5番手に守澤太志が入り、清水も反撃に出て最終周回へ。逃げる深谷との車間をかなり空けた地元の郡司が、浅井のまくりを阻んでゴール前で計ったように深谷を差し切った。
 「深谷さんの仕掛けやすいところで仕掛けてもらってと思ってました。(落車明けで状態が)いいとは言えないけど、フレーム自体はいい。セッティングと体が出てないだけで、新車の手ごたえは感じました。今日(初日)は人の後ろだったんで、明日(ラインの先頭の二次予選)は違う形で自分のバロメーターがわかるかなと」
 パワフルに風を切った深谷知広が、郡司と息の合った走りで2着に逃げ残った。
 「(組み立ては)どこからでも先行でした。清水君の動きのところがキツかったけど出切れた。(和田)真久留が(落車で)残念だった。(ラインの)3人で決まればベストでしたけど、先行はできた。改善点はありますね」
 坂口とのタッグでソツなく3番手を確保した浅井康太は、最終2コーナーで外に持ち出すも、郡司が車間を詰めてまくりは進まない。それでも直線でもうひと伸びした。
 「久しぶりの自力だったっていうのもあるけど、もう少し踏みごたえが欲しいかなと。坂口君がしっかりと仕事をしてくれて、お互いの仕事ができた。(まくりは)出なかったけど、行こうっていう気持ちはあったんでそこはプラスですね。練習の感触がいいので、それをしっかりレースで出せるようにやっていきたい」