『小田原競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月27日

 大阪・関西万博協賛・小田原競輪開設75周年記念「北条早雲杯争奪戦(GIII)」は、8月27日に最終日を迎えた。注目の決勝は地元6名に鈴木裕まで加わって前代未聞の南関7車ラインが完成。脇本雄太の抵抗も空しく、レースは最初から最後まで南関ペースでライン4番手を回った郡司浩平がこの大会を連覇。通算5回目の小田原記念優勝で地元エースの威厳をまざまざと見せつけた。なお、郡司のGIII優勝は1月に行われた川崎記念以来で通算21回目となる。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると最内枠の郡司浩平がスッと前に出て誘導員の後ろを占めた。7車で結束した新村穣-北井佑季-松井宏佑-郡司-和田真久留-松坂洋平-鈴木裕の南関勢が前を固め、脇本雄太-阿部拓真の即席ラインは後攻めとなった。
 青板を過ぎると早くも新村は誘導員との車間を空けはじめ、脇本の仕掛けを警戒する。脇本に動く様子はなかったが、3コーナーで新村は誘導員を交わすと、全開で先行態勢に入った。ハイペースでブンブン飛ばす新村に対し、脇本は打鐘の3コーナーから反撃を開始した。だが、2センターで番手の北井が自力に転じたため、脇本はなかなか前との差を詰められない。最終ホームは北井-松井-郡司-和田…の南関勢がしっかり主導権を握っていて、脇本は和田の外まで迫るのが精一杯。脇本は2コーナーで力尽きた。それでもバックで松井が番手から発進。2センターで先頭に立った松井に郡司はきっちり続くが、和田はやや車間が空いてしまい、優勝争いは松井と郡司の2人に絞られた。鋭く伸びた郡司がゴール前で松井を2分の1輪交わし、昨年に続き連覇を達成。当所記念5V目を飾った。松井は惜しくも2着で、3着が和田。


郡司浩平選手
郡司浩平選手

 地元勢6人に加えて、鈴木裕も勝ち上がり、南関としては7人が決勝戦に名前を連ねた。7人が出した答えは、『7車結束』。それぞれの思いをつないだ郡司浩平(写真)が、小田原記念連覇を遂げた。
 7車ラインの先頭を志願した新村穣が、残り2周半を前にして誘導と車間を取り、誘導退避のタイミングから全開で駆ける。脇本雄太が、打鐘3コーナーで仕掛けるとほぼ同時に、2番手から北井佑季が発進。脇本の勢いは、最終1センター付近で止まり、離れて内を突いた阿部拓真も苦しい。この時点でほぼ、地元勢の優勝は決まった。
 「新村が思い切って行って、北井さんも早めに出ないといけない展開になったと思う。脇本さんも止まってたし、あとは(松井)宏佑が引きつけるかどうかってところでした」
 松井は2コーナーから北井の上をまくり、最後は郡司とのゴール勝負。差し切った郡司は、1月の川崎記念以来、通算21回目のGIII制覇を飾った。7月川崎FI、平塚オールスター、そして小田原記念。「地元3連チャン」を、5度目の小田原GIII制覇で締めくくった。
 「前の選手の気持ちも嬉しかったし、後ろを固めてくれた先輩の気持ちも嬉しかった。道中は余裕を持って回れたし、前の選手の頑張りに尽きます。(オールスターから)日程が詰まってたからこそ、そのままの感覚でいけていたし、連日余裕を持って走れました」
 6着までを南関ラインが独占。結果を出したことで、7車結束を一つの正解にした。さまざまな思いがあった中での結束を、神妙な面持ちで振り返る。
 「記念もそうですし、GIでも1人でも多く勝ち上がるのを目標にしているなかで、みんな勝ち上がれたのは良かった。逆にこんなに勝ち上がって悩む部分もあったけど、みんなの意見を聞いて、まとまろうって決まった。僕だけじゃなくて、全員がこれが良い経験になって、次につながれば良いなと思います。今回はこうなったんで、まとまるのが一つの大前提になるのかなって気はしますけど、その時のメンバーとかレースにならないとわからないですね。最低限でも地元で上位を独占しないとと思ってたし、結果として良い形で終われました」
 今年は、郡司が全日本選抜競輪を制し、北井が高松宮記念杯で初タイトル。松井はオールスターで決勝4着、和田真久留は高松宮記念杯で準Vと、ますます層の厚みを増す神奈川勢。郡司自身も、個の力を磨いて、地区としてのレベルアップを目指す。
 「自分が一番良い位置を回れて、オイシイところを持っていったみたいな。自分が獲っていいのかなって思いもあって、北井さんや、松井が獲った方が良いのかなって思いもある。こうやってしっかりまとまって勝てましたけど、今度は自分が任されても、脇本さんに対抗できるようになりたい。自分が自力でも、コマ切れ戦でも、勝負できる脚を付けたい。それは番手でも、3番手でもそう」
 神奈川は一枚岩。それを強烈に印象付けた決勝戦が終わり、郡司は表彰式から、優勝インタビューまで、一切表情を緩めず、勝って兜の緒を締めた。

 北井後位から最終2コーナーで持ち出した松井宏佑が準V。
 「新村君も北井さんも頑張ってくれたし、僕も行ける所からと思った。各々が頑張ったと思います。(脇本が)見えて僕の所まで来てはいなかったけど、7番手を固めてくれた人もいたので早めに踏んでいきました。待って待ってというより、行ける所から力勝負をしたかったし、出し惜しみしてもあれなんで。優勝したかったけど力不足でしたね。(南関7車での連係は)ヒリつきました」

 ライン5番手の和田真久留が3着に続く。阿部に内を来られたシーンもあったが、なんとかこらえた。
 「(内は)締めきれなかった。一回すごい詰まるタイミングで、皆バックを踏んでいた。脇本さんが来たので一回振ったら、(阿部に)内から来られた。それで完全に踏み遅れましたね。松井も並みの選手だったらスンナリ出れたと思うし、そしたら松井が優勝だったかも。北井さんが強すぎるがゆえにですね」







次回のグレードレースは、大阪・関西万博協賛 富山競輪開設73周年記念「瑞峰立山賞争奪戦・ウィンチケット杯」GIIIが8月29日~9月1日の日程で開催されます。
オールスターで今年のGI初Vを果たしたばかりの古性優作、同決勝3着の新山響平のビッグネーム2人の名前が目を引きますが、各地区に強豪がそろっていてV争いは熾烈なものとなりそうです。
地元勢は村田祐樹をはじめ6名が参戦。山口拳矢、藤井侑吾らと力を合わせて持ち味を発揮するでしょう。

8月19日時点の出場予定選手データを分析した、富山競輪「瑞峰立山賞争奪戦・ウィンチケット杯」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。


プロスポーツ号外版は"こちら"