『伊東競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月16日

 伊東競輪場で開設71周年記念「椿賞争奪戦(GIII)」が、12月16日に幕を開けた。初日のメイン、特選では単騎の原田研太朗がまくりで1着。復調をアピールして、二次予選に弾みをつけた。また、一次予選では、大石剣士、渡邉雄太が地元で勝ち星を挙げた。12月17日の2日目は、初日特選を制した原田も加わり、二次予選の7個レースで激戦が繰り広げられる。
 なお、伊東競輪場では「競輪・オートレースにおける新型コロナウイルス感染症感染拡大予防ガイドライン」に沿った開催となりますので、ご協力とご理解をお願いいたします。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 菊池岳仁が前受けからペースを上げるが、藤井侑吾が赤板の1センターで叩く。中近勢に荻原尚人、内藤宣彦まで続いて、菊池は遅れて続いた宇佐見裕輝を張って打鐘の4コーナーから仕掛ける。最終3コーナー過ぎに藤井をとらえた菊池を小林大介が追い込んだ。
 「(菊池が仕掛けたところは)行けるか、どうかを見ていたので間が空いたが、ちゃんと抜けて良かった。中3日で気になるところはあったけど、1着を取れたのは自信になる」
 楽な展開ではなかった菊池岳仁だが、スキルアップしたところも見せてラインでの独占をメイクした。
 「(中近勢は)1車に見えて、行かれたのは反省です。周りが見えていなかったですね。荻原さんの追い上げは見えていたので、あそこは粘るよりも引いて立て直すのがいいと思った。しっかりと見えていたし、タイミングを取って行きました」


<2R>

青野将大選手
青野将大選手
 前受けの竹内翼が清水剛志を突っ張ったところを、坂本周輝が仕掛けて先頭に立つ。北日本勢に乗った青野将大(写真)は、その上をカマシ気味に出て打鐘手前で主導権を握る。スピードに乗せた青野は、最終ホームでは3番手以下をちぎりリズム良く駆ける。空いた車間を詰まらず、番手の東龍之介まで振り切った青野が1着。
 「絶対にここでとかではなく、自分の順番が回ってきたらしっかりと(仕掛けようと)。それが先行だったら先行したいなって思ってました。今日(初日)は展開が良くて、前がやり合ってくれた。あそこは緩むだろうなっていうとこだった。疲れはないですけど、練習不足ですね」
 展開は絶好だった東龍之介だが、半車輪まで詰め寄っての2着。後輩をたたえながら、反省まじりに振り返る。
 「絶好の機会を取り逃がしちゃって、買われている方には申し訳なかった。1着を取らせてもらえるチャンスだったのに、自分でも残念です。抜きにいく感覚が全然しっくりきてない。(青野は)前回連係した時と比べものにならないくらい落ち着いていたし、さらに脚に磨きがかかってた」


<3R>

 後方の小林泰正の上昇に合わせて3番手から動いた櫻井祐太郎が先頭に立ちレースを支配する。小林は一本棒の7番手に下げて、櫻井が駆ける。赤板2コーナー手前から再び小林が踏み込むと、櫻井もペースを上げる。小林は出切れず、渡辺正光が直線で迫るも櫻井が押し切った。
 「小林泰正さんを後方に置きたかったし、見ながらの走りでした。切ってから脚を使わないように走りながら、(小林が)来る前にペースで行ければと。駆けたら全開なので、あとは後ろに任せていました。走る前は良くないと思っいたけど、長い距離を踏んで押し切れているので良かった」
 小林のまくりを最小限のけん制で阻止した渡辺正光は2着。
 「(櫻井は)絶妙なペースだったし、後ろに仕事をさせる感じで駆けていましたね(笑)。前回の落車の影響はないとは言えないが、結果が出ているので良かった」


<4R>

佐伯辰哉選手
佐伯辰哉選手
 赤板前に松尾透と接触した山田諒が落車して、朝日勇も巻き込まれる。一戸康宏がペースを握り、3番手に菅原大也が入るが、佐伯辰哉(写真)がすくって3番手が併走になり打鐘を通過する。最終ホーム手前から菅原が踏み込む。神山雄一郎が外に張ったところを佐伯は内を突いて神山をさばく。近藤保は連結を外して、まくり切った菅原を佐伯が追い込んだ。
 「ほかのラインも動く選手だったので、自分は前中団か後ろ中団にいればと。あとは前々に攻めようと。内がガラガラに空いてたんで、う回するよりも内を行った方がいいかなって。(ラインの)松尾さんが失格で喜べないけど、久々の1着が取れてうれしい。今節は新車でFI向きのイメージで作ったので、フレーム的には苦手なレースになったけど踏めた。9車立てでも良かったので、だいぶいいと思います」
 菅原大也は佐伯との3番手外併走からのロングまくりで逃げる一戸をとらえて3位入線。松尾の失格で2着に繰り上がった。
 「山田君が落車したのがわかって、佐伯君がカマシに行くのかとか考えてたら、中途半端になってすくわれた。脚を使ってたけど、なんとか出切れたし残れている。イメージとは全然違った。レースは何があるかわからないですね」


<5R>

 青板からレースは動き出し、バックでは岩谷拓磨を押さえて内山雅貴が主導権を握る。中団に収まった岩谷だったが打鐘前から反撃を開始。内山との踏み合いを制して2センターで岩谷の先行に変わる。ライン3番手の三宅伸は離れるも、岩谷には久米良がピッタリ。3番手に内山で、伊早坂駿一は7番手で後続を一本棒にして逃げまくった岩谷をゴール寸前で差し切って久米が1着を手にした。
 「打鐘で仕掛けると思ったが、ちぎれかけてヤバかった。(最終)ホームで付け切ってからは、心のゆとりがありましたね。バックでタレてなくて、残せるだろうなと思っていました。(最近は成績が良いが)前の選手が連れて行ってくれるおかげ。流れはいいし、調子は悪くない。状態はずっといい感じ」
 久米には差された岩谷拓磨だが、構えず仕掛けて完全にレースを支配した内容は文句なしだった。
 「初日だし、踏み合い覚悟でも出切ってしまえばと思っていた。(道中は)中団が取れていたけど、ライン3車なので早めに仕掛けた。後半は脚にきて、タレてきたので、そこを修正できれば。バンクなのか、自分の脚かわからないが重かった」


<6R>

 赤板手前で先頭に立った中西大が、そのままペースを握って先行策。小川丈太が3番手を確保して、松坂洋平は一本棒の6番手でレースが流れる。打鐘の3コーナーから8番手の鈴木薫が巻き返す。鈴木のまくりを張った小川が、最終2コーナーからのまくりで勝ち切った。
 「(中西が主導権を握って3番手を)取れないだろうっていうのがあったんですけど、たまたまでも取れて良かった。自分は(最終)バックでは無理くり行きました。しんどかったので、覚えてないんですけど。出切って1着が取れてるんで悪くないのかなと。(33バンクは)あんまり好きなバンクの形ではない。でも、(1着で)良かった。まだ(調子が)戻ってきている感じはないので、これを機に戻したい」
 流れ込んで2着の網谷竜次も上々の動きを見せた。
 「自分は(小川に)付いていけているので問題ない。1カ月前くらいですかね、そのあたりから良くなってきた。半年くらいいずっと悪かったんですけど、いまは上向きになっていると思います」


<7R>

大石剣士選手
大石剣士選手
 佐々木堅次を受けた大石剣士(写真)は、赤板過ぎに那須久幸にあたられて7番手。横関裕樹の先行でレースが流れる。反撃のタイミングを計っていた大石は、打鐘の4コーナーからスパート。最終2コーナー過ぎに横関をとらえて、そのまま押し切った。
 「本当は1個(のライン)だけ引いて止まろうと思ったけど、1歩遅れて那須さんに締められて下げたのは反省です。横関さんが行ってくれて助かりました。引いてから、行けるタイミングが整っていたし状態はいい。深谷(知広を)さんに教わったダッシュの時の踏み込みができていた。最低でも決勝に乗って優勝争いをしたいです」
 南関3車で上位独占。番手の田中晴基は、交わせずもソツなく2着に流れ込んだ。
 「(大石は)変に位置にこだわるよりは、下げて良かったと思うし、いい判断でしたね。大石君が強かったし、(抜けないのは)自分の実力です」


<8R>

上田尭弥選手
上田尭弥選手
 先頭に立った能代谷元が、ペースを落として赤板を通過する。5番手の小原丈一郎、3番手の久木原洋が打鐘手前から踏み込むが、能代谷も突っ張る。3つのラインが踏み合いになり、上田尭弥(写真)が最終ホーム手前から襲い掛かる。スピードの違いで上田が、あっさりと前団をのみ込んだ。
 「前のペースが上がってたんで、タイミングをみて(まくって)行きました。(小原にフタをされて、いままでは)すんなり引いてしまうことが多くて、自分で苦しめてしまってた。それで変な展開にもっていってしまうことが多かった。それだと成長がないなと。あとはもうちょっとキレを増したい。(キレがあって)一歩目から入れば、もっと上でも戦えるかなと」
 危なげなく上田を追走した桑原大志だったが、直線勝負で上田に並ぶまでには至らなかった。
 「(上田を)抜ける気はまったくなかった。(付いていて)キツいって感じはないけど、ペースで回している。違うなっていう感じです。本格型の押さえ先行ができるタイプですね。僕は前任せなんで、まずは連係を離さないっていうのが頭にあります。それで前を抜けたらいいけど、時間が掛かりそうです」


<9R>

武田豊樹選手
武田豊樹選手
 角令央奈、佐々木眞也の順番で切って、晝田宗一郎が徳島勢を連れて主導権を握る。前受けから8番手に置かれた長島大介は、打鐘の3コーナーから仕掛ける。さすがの加速を見せた長島が、スピードに違いで晝田をとらえる。続いた武田豊樹(写真)は、佐々木のまくりをけん制して最後はきっちりと長島を差し切った。
 「(長島が)しっかりレースをしてくれて、僕も必死だった。離れかけて反省点はあるが、なんとなくいいのかな。佐々木君がまくってきたのを処理できて、追い込めたので」
 8番手からでも構えず早めに巻き返した長島大介は、内容の伴ったラインでのワンツー。
 「晝田君の先行がすんなりになったので、苦しかったです。細かい修正はあるけど、しっかりと自分の力を出して仕掛けて2着は納得。自分の目標である距離を気にせずに行けるところでいくというレースはできた。状態はいいと思う」


<10R>

椎木尾拓哉選手
椎木尾拓哉選手
 前受けの真船圭一郎も突っ張るが、赤板過ぎに寺崎浩平が強引に主導権を奪う。すかさず関根健太郎が仕掛けるも、寺崎は関根を出させずに主導権をキープする。今度は脚をためた鈴木謙太郎が後方から反撃。鈴木も合わせ切った寺崎だったが、さすがに直線ではいっぱい。番手の椎木尾拓哉(写真)が抜け出した。
 「(寺崎は)突っ張られたけど、(叩いて)飛んで来たラインも突っ張ってくれた。全部やってくれたので、最後なんとかしたかった。自分の技術不足ですね。(寺崎は)ちょっと疲れもあるもあるのかと。自分は道中も周りが見えていたし、良くはなってきている」
 最終3コーナーからまくり気味に追い込んだ真船圭一郎が、直線で強襲して2着届いた。
 「敵も強いし車番も悪いんで、できれば(周回中は)前でと思ってました。あわよくば寺崎君を突っ張り切れればと。(結果的に出られて)脚を使ったあとだったんで、そんないい感じはなかった。けど、なんとか2着に届いたので良かった」


<11R>

 酒井拳蔵を阻むように勢い良く出た城戸俊潔は、再度、踏んだ酒井を受けて3番手。酒井の先行だが、打鐘の4コーナーから城戸が仕掛けて、7番手になった渡邉雄太にとってはまくりごろの流れ。5番手から合わせる櫻井学をあっさりととらえた渡邉が、地元で幸先のいいスタートを切った。
 「城戸君の先行だと思ったが、考えとは全然違いました。打鐘で(仕掛けようか)迷ったが、(酒井が)駆けていたので落ち着いてからでしたね。どこかで一発もらうと思ったけど、スピードに乗っていました。悪くなかったです」
 渡邉のダッシュに食らいついた岡村潤が流れ込んで2着。
 「(渡邉は)脚が違うので、行けると思った。でも、僕は外、外を踏んでいたので、どうかと思ったけど3コーナー前で行けた。(1走して)自分の中で不安がなくなった。練習では(渡邉)雄太も抜けてなかったし良くなかった。今日(初日)はすごく緊張しました」


<12R>

原田研太朗選手
原田研太朗選手
 北津留翼を叩いた深谷知広が、主導権を握り赤板を迎える。深谷ライン3車が出切り、4番手で北津留と新田祐大が併走になる。単騎の村田雅一、原田研太朗(写真)が8、9番手。最終ホーム手前から外併走の新田が踏み込んで、和田健太郎のけん制を乗り越える。成田和也は続けず、木暮安由とからむ。最後方の原田が、2コーナー手前からのまくりで新田を2センターでとらえて1着。
 「(単騎だったけど周回中は)後ろでもいいかなっていうのがありました。(状態は)そんなに変わらないけど、(最近は)レースで1着が取れているんでいい意味で乗れている。気持ちの面でなんとなくですけど。今日(初日)は展開上のあれ(向いた)だったんで」
 かぶった北津留は展開が向かず、坂口晃輔は原田を追うように自ら踏み込む。粘り込む新田をゴール寸前で交わして2着に入った。
 「北津留さんが内に包まれている感じだった。それで自然に外に持ち出せた。あんな伸びるとは思わなかった。もう出番がないんじゃないかとっていうのもあったんでビックリした。状態的なことは自信がなかったんで、(2着で)確定板に乗れて、少しでも気持ちを上げていけるかなと思います」
 厳しい展開になった新田祐大だったが、深谷知広をねじ伏せて3着に入った。
 「スタートが一番後ろになったんですけど、そういう考えがなかった。あとは深谷君より先に切ろうと思ってた。でも、そこを合わされてしまった。あとは見ての通りです。自分は休んでいたんですけど、そのタイミングで成田(和也)さんは自分が行けないんだろうっていうのもあったと思います。それで付きにくいレースになってしまった」