『伊東競輪開設58周年記念(GIII)レポート』 2日目編
 
配信日:11月16日


 伊東温泉競輪場開設58周年記念「椿賞争奪戦」は2日目を迎えた。いで湯賞と二次予選A、B競走をメインに争われたが、上位勝ち上がりを目指して厳しい戦いが繰り広げられた。目立ったのは南関勢の健闘だ。口火を切った5Rの藤田大輔を始め、準決勝Aに総勢7名を送り込んだ。ベストナインに絞られる明日の準決勝も迫力ある戦いが見られそうだ。
  連日、好評の先着1,500名様にお配りするスピードくじは、オリジナルトレーナーとクオカードが抽選で当たります。引き続き最終レースの三連単車券をプレゼント。どうぞ伊東温泉競輪場にお越しください。


<5R>
藤田大輔選手
藤田大輔選手
   二次予選最初の戦いは南関勢が勝ち上がりの権利を独占した。4回転の森田康嗣が早めに飛び出したが、最終ホームで仕掛けた藤田大輔(写真)が鮮やかにまくり切る。
  「踏み出した瞬間に行けるなという手応えはありました。でも、まくり不発が最近2回あったので、悪いイメージが頭を離れなかった。何とか行けて良かったですよ。もちろん相手が流すようだったら叩いてましたけどね。今日はまくりになったけど、まだ今は先行で力を付ける時期だと思っているので、これからも自分のスタイルは崩しません」
  付けた赤井学は藤田の強さに脱帽だ。
  「久米さんが浮いてたので競りも覚悟してたけど、そういう流れにならなかったね。それにしてもすごいまくりだった。あんなに先行してるけど、実はまくりが得意なのは知ってたから構えてたけど、抜ける感じじゃなかったね。昨日のタイヤ差は大きかったな。流れが向いてきましたね」
  中川司も「良かった。僕だけ置いて行かれなくて。良い番組にしてもらったし、何とかそれに応えなくちゃと必死でした。これで優勝への望みが繋がりましたね(笑)」



<6R>
岡村潤選手
岡村潤選手
   昨日の再現のようなまくり追い込みで岡村潤(写真)が快勝。いよいよ復活劇も本物だ。
  「石川君は先行にこだわってくるだろうし、そこでやり合っても仕方がないでしょう。しっかり中団をとって仕掛けようと思ってました。だから内をすくわれた時はビックリしましたよ。空けた覚えはないのに竹内さんがいきなり来たもんで。車を下げてからは余裕があったから、石川君と竹内さんのスピードをもらって仕掛けられた。まだ自分でスピードを作るようなレースは厳しいけど、今回は展開がはまれば良い感じ。それが二日間続いてくれました」
  一方、深井高志は2着という結果にも表情は冴えない。
  「竹内君が良いスピードで来たから、追い掛けるような感じでブロックに行きました。番手から出た訳じゃないけど、結果的に石川君のヨコまで行っちゃうことになったので後味が悪いですね。自分のレースとしては悪くない内容だったんですが…」


<7R>
田中孝彦選手
田中孝彦選手
   田中孝彦(写真)が昨日同様、堂々としたレースで押し切った。先行一車の展開に恵まれたとは言え、チャンスをしっかりものにするあたり成長の跡がうかがえる。
  「後ろのことは完全に藤田さん達に任せきりでした。廣川さんがまくって来たのも見えてたし、うまく合わせられたと思う。参加前は不安もあったけど、走ってみると足も軽いし、展開も良いですね。地元で声援がすごいのも励みになっています」
  2着の藤田和彦は、まるで勝ったかのように喜びを爆発させる。
  「マーク屋として最高のレースができました。ちゃんと番手競りをしのいで、しかも廣川のまくりを止められた。失格でもいいやというぐらいの気持ちで仕事をしたので、1着を取るよりも嬉しいぐらいです。僕なんか、ここで見せるしかないからね」
  廣川泰昭は「今日はまくることしかアタマになかった。2コーナーで追い上げマークみたいに行ってたら勝てたな…」と反省する。



<8R>
佐藤朋也選手
佐藤朋也選手
   圧倒的な人気を集めた石橋慎太郎と武井大介のコンビだったが、先まくりを打った佐藤朋也(写真)が値千金の勝ち星をゲットした。
  「菊谷とやり合っても石橋のまくり頃になるだけだし、先行争いするつもりはなかった。後ろに濱口さんが付いてるから菊谷は早めに発進、石橋は中団争いよりも下げてから仕掛けてくると読んでいたので、レースの流れは思った通りでした。勝てたのは後ろの斉藤さんが仕事をしてくれたからですよ」
  石橋慎太郎はやや自信を喪失気味。今回はうまくレースに乗れていないよう。
  「今日も、車間を空けるつもりはなかったんですけど、自然に離れてしまった。あまりないんですけどね。あと、やっぱり声援がすごくて緊張します。期待に応えられなくて申し訳ないです」
  任せた武井大介は「今日は8割方、まくりになると思っていたし、こうなるのは仕方ない。久しぶりに先行した昨日に比べたら、今日は楽でしかたなかったですよ」。



<9R>
矢口啓一郎選手
矢口啓一郎選手
   久しぶりに矢口啓一郎(写真)の快速まくりが飛び出した。新田康仁を引き連れて発進した栗田雅也をあっさり捕らえると、力強いフォームでゴールを駆け抜ける。
  「赤板では、自分の後ろでけん制し合ってレースが始まっていたけど、誘導を交わして踏んじゃえば自分のペースになるでしょう。栗田ラインとは予定以上に車間が空いちゃったけど、何とかなりましたね。後輩が駆けてるのに新田さんは容赦なく番手まくりは打てないだろうから早めに行ってしまおうという読みが当たりました」
  新田康仁にとっては予定外の展開だった。
  「金山さんが行くだろうから、しっかりその後ろを確保して勝負だと思っていたんだけど、栗田が早めからフカしちゃったでしょう。一瞬、僕も離れ気味になって、追い掛けるのに脚を使ってしまった」
  単騎ながら俊敏な立ち回りで松崎貴久が2着に食い込んだ。
  「打鐘の時に、矢口が行っちゃう気配がしたので、慌てて追い掛けました。それでもスピードが合ってしまったので、小橋さんとの勝負に切り替えたんですが、勝てて良かった。ひとりぼっちのレースで2着に入れたのは自信になります」



<10R>
藤田竜矢選手
藤田竜矢選手
   大方の予想通り、藤田竜矢が主導権を握ったが、後方からまくり上げてきた坂本健太郎をブロックするため最終ホーム手前で伏見俊昭が大きく斜行。これで後続は大混乱に陥り、波乱の展開となった。混戦を抜け出したのは村上義弘。相性抜群のこのバンクで大きな1勝を挙げた。
  「伊東と静岡は方角がいいんでしょうね(笑)。今日に関しては、ある程度、展開が読みやすいレースだったし、余計なことを考えずに集中できたのが良かった。最近はあまりなかったけど、珍しく考える前に体が動いてくれました」
  金子貴志は外、外を回らされたが何とか3着。全てが予想外の展開に、引き上げてくると思わず苦笑いがこぼれた。
  「伏見がブロックした時点で、どのタイミングで前に行けばいいか全く分からなくなってしまった。焦って踏んでも伏見に追い上げられるだろうし、外を踏んだ方が間違いないと判断したんですが、遠回りした分、村上さんに位置を取られちゃいましたね。今回は脚がどうとかじゃなく、流れだけで勝ち上がってる感じ。千葉からの流れはまだ続いているみたいですね」
  藤田竜矢(写真)は「後ろがグランプリレーサーで緊張しました。今日は重かったな。もう少し踏めたと思うけど、自分なりにはやれた方だと思う」。



<11R>
渡邉晴智選手
渡邉晴智選手 井上昌己選手
井上昌己選手
   全員が準決勝には勝ち上がる権利を持っている「いで湯賞」だが、頂点を目指す男達らしくシビアな勝負が展開された。マーク屋・渡邉晴智(写真)が番手勝負を敢行。紫原政文から番手を奪い、さすがの貫禄を見せつけた。
  「乗れている紫原さんに挑むのは怖いけど、後ろに(望月)永悟がいるから勝負する気持ちになれた。自分のスタイル通り、外から勝負できたのでよかったですよ。きれいに競れたと思います。でも、こればっかりはタイミングだから、次やったらまた勝てるというもんじゃない。自分の状態は見てもらっている通りです」
  番手戦には敗れた紫原政文だが、立て直して3着に食い込んだ。レース後、自転車を整備しながら「日本一のマーク屋に負けたんだから納得です。なんとしても決勝に勝ち上がって、1円でも賞金を上積みしたい」と気合を入れ直す。
  井上昌己(写真)は絶好の展開を生かして1月熊本S決勝以来となる逃げ切りでの勝ち星を挙げた。
  「やっぱり今回は全然違いますね。千葉記念の後、熊本で荒井崇さんや合志正さんと合宿したんですが、かなりキツい練習もしたし、距離も乗り込んだので、末の粘りもいいし、踏める距離も伸びてますね」

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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