『伊東競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:12月7日

 伊東温泉競輪開設67周年記念「椿賞争奪戦(GIII)」が7日に幕を開けた。短走路を舞台に、一次予選からスリリングなスピードレースが展開された。メインの特選3個レースは伏見俊昭、金子貴志、渡邉晴智がそれぞれ制した。2日目の8日は優秀「伊東八景賞」をメインに、二次予選6個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。
 2日目の8日も場内イベントは満載。吉岡稔真氏によるトークショーをはじめ、伊藤勝也氏、吉井秀仁氏らによる予想会、未確定車券抽選会などが予定されています。ぜひ伊東温泉競輪場でお楽しみください。

<1R>

村上直久選手
村上直久選手
 中団の村上直久(写真)を警戒しながら岡本総が赤板で前に出る。7番手になった村上は打鐘前2コーナーから一気のカマシ。番手に岡本が飛びつくと、バランスを崩した水書義弘が落車し、中曽直彦ら4名が乗り上げる。番手を奪った岡本が粘る村上をとらえたが審議の結果失格に。逃げた村上が繰り上がった。
 「すんなり出させてもらえると思ったが、意外と(岡本に)踏まれました。座ってからの踏み直しがイマイチよくなかったので、セッティングを変えるかもしれません」
 岡本マークの坂上忠克が2着に。
 「岡本は(水書を)持っていってないと思ったけど…。僕自身は恵まれました。自転車の感じは悪くないけど、気持ちがあまりすっきりしないです」

<2R>

佐藤和也選手
佐藤和也選手
 赤板ホームで飛び出した高瀬卓がそのまま一気にペースを上げる。最終2コーナーからは吉田裕全が番手まくりを敢行し、続く岡本大嗣と埼京ワンツーが決まるかに見えたが、中団4番手からバックで野田源一の内に切り込んだ佐藤和也(写真)が4コーナーから岡本、さらには吉田の内をもすくって抜け出した。
 「2コーナーで行こうとしたら、(埼京が)二段駆けするし、野田(源一)さんも仕掛けるしで内に行ってしまった。人任せになってしまい後ろを連れ込めないようでは…。(レースを)振り返れば最終ホームで行くべきでしたね」
 佐藤に内をすくわれながらも粘り強く外を踏んだ野田源一が2着に。
 「しっかり切ってペースを作ってから飛びつけばもっと楽だったかも。波を作って詰まった勢いで行こうとしたら車が出なかったですね。自分のレースはできたが上位戦の難しさを感じた」
 番手まくりの吉田に乗った岡本大嗣が3着に突っ込んだ。
 「僕はただ前2人に連れてってもらっただけ。何もしていない。吉田君が出たときは誰も来なかったし、2人で決まったと思ったのに来られちゃうんですね…」

<3R>

伊藤信選手
伊藤信選手
 後ろ攻めの木村弘が赤板前から先制。前受けの齊藤努はこの後位で粘る。打鐘で前団がもつれているところを8番手から吉本卓仁が一気に巻き返す。好スピードで前団を抜き去った吉本が最終バックで先頭に立つが、この動きに乗っていた伊藤信(写真)がその上をすかさずまくって快勝した。
 「(吉本よりも)先に仕掛けたい気持ちがあったんですけどね。緩んで行こうと思った時に、もう横まで来てました。欲を言えば強い選手(吉本に)に沈んでもらいたかったので、そのまま付いて行かずに仕掛けました。感じはよかったです」
 布居寛幸がきっちり食い下がり、人気の近畿コンビで連を独占した。
 「いい展開になった。付いている分には余裕が出てきました。バックで詰まったところを行ってくれた。信があのパターンで抜けることはない。とりあえずよかった。ホッとしました」
 ロングまくりの吉本卓仁が3着に踏ん張った。
 「展開上、後ろになってしまったけど、仕掛けると決めていた。仕掛けようという気持ちになっている。一時期より調子は上がってますね。でも、絶好調なら押し切れてました。練習の感じがそのまま出ている感じですね」

<4R>

 赤板過ぎに鈴木庸之を押さえて先頭に立った藤田大輔が徐々にペースアップ。打鐘で石丸寛之が中団に追い上げると、車間を詰めた勢いで鈴木は2センターから藤田後位に切り込み、最終2コーナーで春日勇人を飛ばして番手を奪う。鈴木が直線で藤田を抜きにかかると、飯嶋則之が中割り鋭く突き抜けた。
 「(失格が2回あってS級点は厳しいが、)1着を取れたし、2日目も頑張るしかない。何を考えても、思うのはそれだけですね。ひとつひとつの積み重ねです。ケガの影響はないし、車も進みました」
 鈴木庸之が2着に入り関東勢でワンツーが決まった。
 「石丸さんが中団に降りてきたのが予想外でした。(内が空いて番手に潜っていったが、)番手を取り切ってしまえば、石丸さんに行かれてしまっても藤田さんは交わせると思っていたので。感触は良いけど、サドルが少し高かったので、また修正します」
 逃げた藤田大輔が3着に粘り込んだ。
 「今日は先行しようと思っていました。ペース駆けに持ち込めばまくられないと思っていたので。ちょっと打鐘過ぎに内を空けすぎました」


<5R>

 神田龍が赤板から飛び出して主導権を握ると3番手は篠原龍馬と服部克久で併走に。外併走から篠原が仕掛けるが、これを愛敬博之がけん制。最終ホーム手前から仕掛けていた小原大樹もこのあおりを受けたが、バックで神田を飲み込むと、続いた石毛克幸がゴール前で小原をとらえた。
 「小原君がいいタイミングで行ってくれましたね。強かったですし、これはまくり切っちゃうなと。自分は3コーナーでブロックされるとキツいなと注意した。乗り越えられてからは、あとは差すだけでした」
 もつれた前団を鮮やかにまくった小原太樹は最後に差されたものの2着に粘った。
 「前を取りたくなかったけど、取らされるのは仕方ない。ただ脚を使ってしまい、道中脚がたまらなかった。中団がもつれて、だいぶ外を踏まされてしまいましたけど、自力で初日をクリアできたのは良かった」
 2コーナーで金川光浩をさばいて、南関ライン3番手に切り替えた原誠宏が3着に流れ込んだ。
 「最近にしてはレースが見えていました。篠原さんが前々にいってくれたのでそのおかげですね。反応がいいし、今期の終わりに点数を上げられるよう頑張る」


<6R>

 赤板前に飛び出した簗田一輝を森田康嗣が一気に叩いて出る。紺野哲也は踏み出しで離れながらも懸命に追いかける。4番手で態勢を立て直した簗田は最終1センターから力強くまくって1着。地元記念で好発進を決めた。
 「(森田が)来るかなって思っていたけど、すごいスピードだったんで。4番(山崎光展)が付いてきてないのが見えて、それから仕掛けました。結果はよかったけど、内容はよくないです。もうちょっと残り2周でペースを上げて、打鐘で突っ張るようにしないとダメですね。しっかり後ろに任せてもらえるようなレースをしたいです」
 直線で詰め寄った田中孝彦だが、わずかに届かなかった。
 「4番(山崎)が付いてきて、かぶったら終わりでしたね。前が頑張ってくれたし、強かったです。最後は抜いたと思ったんですけどね。ラインでワンツースリーなんで何も言うことはないです」

<7R>

 蒔田英彦が赤板の1センターで山本奨を叩いて前に出る。この後位に山本が飛びつき、もつれたところを後方から小嶋敬二が一気に巻き返す。抵抗する蒔田を小嶋が力でねじ伏せると、最後は岩本和也が鋭く差し切った。
 「小嶋さんがベストなタイミングで仕掛けてくれました。ラインで決められてよかったです。内側のラインの抵抗もすごかったけど、小嶋さんは力ありますね」
 蒔田と見応えある力勝負を演じた小嶋敬二が2着に。
 「キツい。いっぱいだった。大木(雅也)がバックで空けていたので、(蒔田の後位に)入ろうかと思ったけど、入ったらダメだって思って前に踏みました。(感触は)悪くないと思うよ」
 三浦稔希がしぶとく3着に流れ込み、中部ライン3車で確定板を独占した。
 「今回はいい追加ですね。小嶋さんの力を信頼して付いていきました。いつもより余裕がありました」

<8R>

佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
 人気の山岸佳太は前受けから7番手まで車を下げる。赤板で誘導員との車間を空けてピッチを緩めた上田隼を4番手から萩原尚人が叩いて前に出る。すかさず巻き返した山岸が打鐘で主導権を奪取。叩かれた荻原が飛び付いたことで後位は併走となったが、山岸がもつれを尻目に力強く押し切った。
 「ここで押し切れないと上で通用しないですからね。飛び付かせないように踏んだつもりだったが…。後ろに申しわけない。自分も最後失速した感じだったので修正して、明日(2日目)はもっとよくなるようにする」
 打鐘で飛び付いた荻原尚人は最終ホーム過ぎには番手を取り切って山岸を追いかける。その後位で脚をためていた佐々木雄一(写真)が直線で勢いよく外を伸びるも山岸には届かず。
 「荻原君からああいう(飛び付く)動きはあると聞いていたので。もうちょっと早めに踏んでいればアタマまでいけたかもしれないけどね。一走ずつ実戦感覚を取り戻している感じ」
 本線を分断した荻原尚人は3着に入るのが精いっぱい。それでも見せ場はしっかり演出した。
 「ドカーンと行かれたら厳しかったけど、前に行って合えば何とかなるとは思っていましたし、ペースになったところで遅れずに飛び付けた。だいぶ脚を使ったし、キツかったです」

<9R>

 圧倒的な人気を集めた太田竜馬が力強い逃走劇で完勝した。前受けから誘導員を残して早めに7番手まで下げた太田は赤板の2コーナーで前に出た川口公太朗をすかさず叩いて主導権を握る。絶妙のペースで駆けて別線を完封。危なげない走りでライン3車を上位独占に導いた。
 「自分のペースで踏み上げて行けました。誰か来ても合わせられるなって思ってました。いつもより余裕を持って逃げ切れたと思います。感じもよかったので大丈夫そうです」
 即席でラインを組んだ松本大地がきっちり2着に流れ込んだ。
 「緊張したけど、強いから安心して付いていきました。誘導を残して引くから自信があるんだなって。変に内に詰まらないようにして、タイミングよく巻き返してくれました。先行なのに2コーナーまくりみたいな感じでした。力が違いましたね」

<10R>

伏見俊昭選手
伏見俊昭選手
 赤板で飛び出した早坂秀悟が、岩本俊介の反撃に合わせて打鐘から一気にペースアップ。早坂が別線を出させずに最終バックを先頭で通過すると、番手の伏見俊昭(写真)が直線で抜け出した。
 「(早坂)秀悟に悪いことをした。たぶん残せましたよね?余裕はあったんですけど…。秀悟も岩本を合わせた時に脚を使ったのもあったとは思うんですけど…」
 小野大介が伏見に続いて2着に入った。
 「余裕はありました。内だけ空けないようにと思って走っていました。記念の優秀戦は久しぶりですね。脚は楽だったし、調子は問題ない」
 後方8番手から大外をまくり上げた原田研太朗が3着に食い込んだ。
 「勝ち上がれたのは素直にうれしい。でも、もうちょっと考えて走らないとダメですね。6番手で落ち着いてしまった。岩本さんをけん制するなりして、自分のタイミングでまくりにいく展開を作ることもできたと思うので。ギアのおかげもあってか、なんとか届きました」

<11R>

金子貴志選手
金子貴志選手
 青板周回から渡邉雄太が押さえてレースは動き出す。後方にいた佐藤博紀が赤板前から一気に巻き返すと、渡邉は冷静に受けて3番手を確保。打鐘の4コーナーで5番手から高橋和也が仕掛ける。渡邉が合わせて踏もうとしたところで北野武史が内をすくって3番手以下が大きくもつれる。あおりを受けた高橋は勢いが一度止まり、その動きを見た金子貴志(写真)は最終バックで自力に転じる。高橋の外に並びかけるような感じで踏み込んだ金子が真っ先にゴールを駆け抜けた。
 「高橋君が止まったなと思って踏んだら、また彼が踏んでいたね。体は反応しているし、踏んだ感じもよかった。ぐちゃぐちゃした展開になったけど、周りは見えていたし、落ち着いていられた」
 一度はまくりが止まった高橋和也だが、再加速。自力に転じていた金子と内で併走する形で2着に。
 「イチかバチかで先に仕掛けて正解でした。結果的に渡邉君の3番手の位置を取れたのが大きかったですね。今日(初日)は落ち着いて組み立てられたし、ホームで行けているので体が反応できている」
 最終バックでもつれる中団の内をもぐっていった黒田淳が3着に突っ込み、優秀戦の権利をゲットした。
 「付いてもらった友定(祐己)さんのためにも外を踏みたかったが、北野さんが内に行った動きをとっさに追ってしまった。自分でも危なかったと思いますよ。内容は悪いけど、外を踏み切れる展開になればチャンスはつかめるデキだと思う」

<12R>

渡邉晴智選手
渡邉晴智選手
 前受けから誘導員を残して7番手まで下げた新山響平はすかさず巻き返して赤板前から主導権を握る。快調に飛ばす新山に対し、8番手に置かれた阿竹智史が打鐘で反撃に出る。これに合わせて中団の長島大介が最終2コーナーからまくる。長島をきっちり止めた渡邉晴智(写真)が粘る新山をきっちり捕らえた。
 「新山が強いのはよく分かりました。本当に強かった。それがすべてですね。武田(憲祐)が後ろで離れないでしっかり付いてくれていたのも大きかった。前の新山と後ろの武田のおかげです。感触は悪くなかったです」
 2着に残った新山響平は赤板から2周先行で完全にレースを支配した。
 「誘導を残して下げたのはよくないですね。切らせたかったんですけど。2周、しっかりペースで踏めたと思います。競輪祭は力を出し切れなかったけど、今日(初日)は出し切れたんでよかったです」
 武田憲祐がしぶとく3着に流れ込み、人気のラインで決着した。
 「新山君のダッシュがすごくて、いつもならニュートラルに入るところで入らなかった。さすがですね。最後は中にいったんですけど、外を踏む気力がなかったです。いい勉強になりました」