『伊東競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:12月16日

 伊東温泉競輪場を舞台に開催された開設68周年記念「椿賞争奪戦(GIII)」は、12月16日に最終日が行われた。地元地区の南関勢が4車で結束した決勝は、ラインの先頭を務めた郡司浩平が果敢に風を切って逃げた。地元の渡邉雄太が番手まくりで人気に応えて、5月の名古屋以来、通算2度目の記念制覇を遂げた。また、「レインボーカップA級ファイナル」は、中部勢の3番手から追い込んだ島田竜二が一発勝負を制した。2着の丸山啓一、3着の吉田茂生までの上位3人がS級2班への特進を決めた。

決勝戦 レース経過

 周回は吉田敏洋-東口善朋-神田紘輔-鈴木竜士-三谷将太-郡司浩平-渡邉雄太-岡村潤-和田健太郎の並び。
 青板周回から鈴木がしきりに後方に目をやると、1センターから郡司が一気に踏み上げて先頭に立つ。合わせて踏んだ鈴木が中団を確保し、吉田はやや離れた7番手に。郡司は赤板ホームから徐々にペースを上げると、打鐘から全開で飛ばす。番手で波を作った渡邉は1コーナーからまくって来た鈴木に合わせて2コーナーから番手まくりに出る。鈴木にからまれながらも岡村が渡邉後位を死守。さらに和田が続くとバックまくりの吉田は外で浮いた鈴木を越えられない。郡司の気持ちに応えた渡邉が押し切って5月名古屋に次ぐ2度目の記念優勝。岡村、和田と南関勢で上位を独占した。

渡邉雄太選手
渡邉雄太選手

 4車の心がひとつになった南関ライン。青板の1センターから動き出した郡司浩平が主導権を握って、地元コンビに和田健太郎まで出切った時点で“勝負あり”だった。
 「ピッチの上がり具合がすごかったし、ピッタリ付いていないと離れそうだった。(番手で)粘られたら嫌だったけど、理想の展開でした」
 4車の先頭を買って出た郡司が別線の動向を確認すると、そこからグングンと加速する。吉田敏洋は立ち遅れ、5番手を確保した鈴木竜士が最終1コーナーから反撃に出た。
 「パッと見たら(鈴木)竜士さんが来てたんで、振りながら出ていった感じです。(番手から出て行くのが)ちょっと遅かったかなと思ったけどセーフでした」
 渡邉雄太(写真)が鈴木に合わせて、最終2コーナーで自力にシフトチェンジ。記念初Vの時と同じように番手まくりだったが、簗田一輝との2車だった名古屋と違い、後ろには心強い先輩2人がいた。
 「ラインのおかげですね。(グレードレースでは)まだ自力じゃ本命は背負えない感じがある。でも、次は自力で勝負したい」
 初の番手回りでチャンスをモノにした名古屋に次いで、2度目の記念制覇も番手まくり。ラインの結束力を地元Vに結実させたワンダーボーイは、これからも気負うことなく南関地区を引っ張っていく。

 「(郡司)浩平ですよね」と、開口一番、郡司を称えたのは2着の岡村潤。初日特選、2日目優秀ともに郡司とワンツー。シリーズ3度目のセットになった決勝も流れ込んで4走すべてが2着。
 「浩平が自分の役割をしっかりやってくれた。(鈴木のまくりが横まで来たけど)大丈夫だっていうのがあって、落ち着いてはいた。あれであんまり仕事をしすぎないようにって。(渡邉を)抜けなかったのは脚がない」

 南関勢のシンガリを務めた和田健太郎も、隙なく立ち回り3着。ラインで上位を独占した。
 「僕の役目は4番手で内をしっかり締めること。前の2人が上がっても、自分は上がらないようにした。それにしても郡司の掛かりがすごかった」

 5番手からまくった鈴木竜士は、岡村のブロックで失速。南関勢の牙城を崩すことはできなかった。
 「緩んだんで仕掛けたけど、(渡邉)雄太もサラ脚だったからキツかった。悔しいですけど…」

 昨年の川崎記念で渡邉の番手から優勝をつかんだ郡司浩平が、今度は渡邉の地元で抜かりなく主導権。迷いなく駆けた。
 「(ラインの4人が出切ったのを)確認してから、あとは(別線に)来られないように徐々に上げていった。残りの1周の前の4コーナーですね、あそこは気をつけていました。ワッキー(脇本雄太)だったら、あれでも逃げ粘れるんでしょうね。だけど、まだ自分にはそれだけの力がない。そういうところを目指してやっていかないと」





9R レインボーカップチャレンジファイナル

島田竜二選手
島田竜二選手

 嶋津拓弥にフタをした吉田茂生が、赤板で強引に出る。押さえられた日当泰之はいったん引くも、吉田ラインがバンクに上がった隙に番手へ飛び付く。吉田は後続のもつれを確認しながら、打鐘から徐々にピッチを上げて先行態勢へ。中団にポジショニングした単騎の加倉正義は、まくってきた嶋津に合わせて最終1コーナーから踏み上げる。笹倉慎也が2センターで加倉をブロックに行くと、中部勢に付けた島田竜二(写真)は空いた内を突く。直線で鋭く伸びて激戦を制した。
 「勝てて良かった。前のおかげですね。でも、いつも通り走っただけですよ。(S級は)安全に走りたいね。ここまではウエートばかりしていました。体が重いので、10キロくらいは絞りたい(笑)」

 丸山啓一は目標の嶋津が不発と見るや、最終3コーナーから前に踏む。コースを縫って追い込むが、島田を交わせず2着まで。
 「みんな獲りたいだろうから、ああなりますよね。いつもの嶋津君なら、(もう少し早く)仕掛けているだろうし。吉田がケツを上げる1歩前で行けていればね。でも、あの展開から2着までこれた。このメンバーで、これだけ戦えているってことは自信になりましたね。(半年間のA級は)苦しくもあり、楽しくもあり。競輪選手としての喜びを感じさせてくれました」

 逃げた吉田茂生が、3着に粘り込む。強気な組み立てでS級2班への特進を決めた。
 「後ろ攻めだったので嶋津さんが先に動いてくれたらと思っていたけど、踏まなくて。1回出て、上がった時に日当さんに来られてしまった。(笹倉)慎也さんに申し訳ないです。あとは、嶋津さんがいつ来るかだけ不安でした。ジャン過ぎなら全開で踏もうと。竹内雄作さんとかもいるし、しっかり走ろうと思っていました」

 単騎の加倉正義は力勝負に出たが、笹倉に阻まれて7着に終わった。
 「出るしかないとは思っていました。かぶる前に行こうと。でも、それがホームからならキツかったですね。日当が引いてきたら、(吉田の)ハコに追い上げようと思っていたけど」



次回のグレードレースは12月21日~24日まで佐世保競輪場で開催予定の「開設68周年佐世保記念・九十九島賞争奪戦(GIII)」となります。
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