『静岡競輪開設65周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:2月19日

 静岡競輪場を舞台に開催されている開設65周年記念「たちあおい賞争奪戦(GIII)」は、2月19日に3日目を迎えた。ファイナルをかけた準決では、熾烈なバトルが繰り広げられた。平原康多は3連勝で決勝進出を果たしたが、浅井康太、桑原大志はそれぞれ7着、6着での敗退とS級S班の3人は明暗が分かれた。いよいよシリーズも大詰め、20日の最終日には、シリーズを勝ち抜いた9選手によって決勝で白熱のバトルが展開される。また、6レースでは「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」が一発勝負で行われる。
 本場では、先着1000人にバリ勝男クンをプレゼント。杉沢毛伊子選手、小川美咲選手による「ガールズケイリントークショー」、「車券予想バトル」、「未確定車券抽選会」などが予定されています。静岡競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<10R>

成田和也選手
成田和也選手

古性優作選手
古性優作選手
 赤板の2コーナー手前で渡邉雄太が飛び出して、南関ラインを受けた古性優作が4番手をキープする。成田和也(写真)が近畿を追走。打鐘を通過して8番手から原田研太朗が反撃に出る。桑原大志は連結を外して、ひとりで前団をのみ込んだ原田を古性が追う。村上義弘と岡村潤が絡んで、コースが生まれた成田が近畿勢の後ろから伸びて1着。
 「作戦通りに進められました。渡邉君の仕掛けは早いから、(そこを追って)早めの前々よりも流れを見てと。古性君の仕掛けが遅いようなら、自分で行こうと思ってたところで行ってくれた。(最終)バックあたりで仕掛けたかった。でも、見てしまった。いい時の感覚には遠いけど、だいぶいい感じにはなってきました」
 最終ホームで原田を追った古性優作(写真)は、岡村のけん制を受けながらも原田に取りついて追い込んだ。
 「原田さんの上を行けると思ったところで、岡村さんにいいブロックをもらってしまった。あの一発でかなり止まった。それで後ろに迷惑を掛けてしまいました。組み立てはある程度思った通りだった。あとは成田さんの動きだけでした」
 原田に遅れた桑原をさばいた村上義弘は、苦しい展開ながらも最後は岡村をキメて3着で決勝進出。
 「(古性)優作の判断が良かった。その優作の動きにしっかり付いていってと。流れに乗って優作がレースを支配していたし、自分はなんとか(決勝進出で)よかった」

<11R>

平原康多選手
平原康多選手

大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 中団の吉田拓矢に赤板で併せ込んだ佐々木豪が、再び踏み込んで赤板の2コーナー過ぎに出るがペースはそれほど上がらない。打鐘の3コーナーからすかさず踏み上げた吉田が、力の違いであっさりと前団をとらえる。平原康多(写真)、大槻寛徳まですんなり出切ったところで勝負あり。番手の平原が別線の間合いを計り、余裕をもって抜け出した。
 「(佐々木にフタをされたところで)引くか引かないか迷っていた感じもあったけど、あそこで勝負した方がいいと。そこから行く力が(吉田には)あるんで。佐々木君が流していたんで、(吉田)拓矢も楽に出切れたと思う。あとはどれだけ残せるかだったけど、全然タレてなくて勝手に残った感じです。自分は(初日のレースに)対応できたけど、拓矢は課題が残ったと思う。そのぶんも(準決は)しっかり力を出し切ってくれた。ラインでああやってできたことがうれしいですね」
 109期の佐々木、同期の簗田一輝とのヤング対決を制して、ラインを上位独占に導いた吉田拓矢は、内容の濃い走りで格上の力をアピールした。
 「(仕掛けたのは)もうそこしかなかった。乗り方とかを修正したのもあったし、(3日目からフレーム換えて)違っていいですね。久しぶりに決勝に乗れたのはうれしい。決勝でもう1回、力を出し切れるように」
 関東の3番手選択で正解を出した大槻寛徳(写真)は、平原の立ち回りを絶賛する。
 「ああいう展開になると思っていましたし、すかさず叩きに行けばホームで(佐々木ラインの)2段駆けもつぶせると思っていた。とにかく平原君がすごかったですね。(平原は)余裕しかなかったでしょ。自分は内だけしっかりと締めていた」

<12R>

和田真久留選手
和田真久留選手

神山拓弥選手
神山拓弥選手
 赤板の1コーナーで空いた3番手に和田真久留(写真)が追い上げて入ると、取鳥雄吾が打鐘で出て主導権を握る。和田に割り込まれた浅井康太は8番手からの出直しを余儀なくされ、最終ホーム手前から反撃に出る。和田が合わせてまくって、渡邉晴智に張られた浅井は不発。和田は堤洋のけん制を懸命にこらえて、今年初勝利を挙げた。
 「今回は脚の方もそうですけど、気持ち的に勝負になるっていうのがある。ただ、キツかったですよ。1回、脚を使って、浅井さんにしゃくられないようにしたし。浅井さんも(最終)1コーナーから来ていた。土屋(壮登)さんも合わせて出て行ってたんで、自分もやめないようしないと後ろに迷惑を掛けてしまうから」
 打鐘で飛び出した取鳥雄吾は、堤との2車のラインも臆することなく積極策。二の足で踏ん張って2着に逃げ残った。
 「初日に変なレースをしたぶん頑張ろうと思った。キツかったですけど、なんとか残れたんで自信になった。(最終)バックで(まくりが)来てたんで、目いっぱい踏んだ。あとは堤さんに(決勝に)乗ってもらえればくらいの気持ちでした」
 土屋が3番手の好位を確保。しかしながら、土屋のまくりは一息で神山拓弥(写真)は、堤の内をすくってしぶとく3着に入った。
 「取鳥君が踏み勝ってくれれば、俺にも(チャンスが)あると思った。(和田)真久留のことを合わせられなかったし、外にはいっぱいいたんで無理だと思った。それで内に入りました。いままでダメな時も腐らず練習をやってきたんで、成果が出てよかった。このメンバー構成で自分に余裕が出てきた。それに初日は鈴木庸之さん、(準決は)土屋君、関東のみんなのおかげですね」

<最終日・6R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)>

岩本和也選手
岩本和也選手

加賀山淳選手
加賀山淳選手
 メンバー中、競走得点トップの岩本和也(写真)が、絶好枠の1番車。カーボン製のフレームでの自転車にも対応できそうで、期待は膨らむ。
 「エボリューションは初めてですね、いい枠なんで、いい位置を取りたいです。去年(10月)の地区プロのケイリンで初めてカーボンの自転車でやった。その前にも練習では乗ってたし、地区プロのあとも練習で使ったりして多用している。(競輪での自転車よりも)力が伝わりやすい。練習はいつも通りやってきた。体調自体は変わらないです」
 全プロ大会での1キロタイムトライアルで実績を残している加賀山淳(写真)だが、冬場でのカーボン製のフレームでのレースには不安がありそうだ。
 「全プロにしても、地区プロにしても寒い時にはやらないですからね。カーボンの自転車は体に負担がかかるから、冬場は基本的に乗らないんですよ。今回は(前回から)日にちもあったし乗りました。俺は1000メートルだから独走ですからね、ハンドルも違う。チームスプリントに出ている戸田(康平)君の方が(エボリューションは)いいのかもしれない」
 大外枠のハンディはあるもののスピードタイプの戸田康平が、どんな走りを見せるか興味深い。
 「仕掛けどころですね、うまいこと仕掛けたい。後方におってもどうにもならんし、どっかで前に行かないと。(練習では)ちょっとカーボンの自転車に乗りました。セッティングがイマイチ、バシッときていない」