『名古屋競輪開場75周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:3月2日

 名古屋競輪場で開催されている大阪・関西万博協賛・開場75周年記念「金鯱賞争奪戦(GIII)」名古屋グランパスカップは、3月2日に2日目が実施された。二次予選では郡司浩平、新山響平、深谷知広、浅井康太ら実力者が順当に1着を取っていったが、S班の岩本俊介はまくり不発で勝ち上がりを逸した。3日には決勝への最終関門となる準決がメインに激しいバトルが繰り広げられる。
 記念シリーズは、開催中の毎日、選手会愛知支部による「ふとももカフェ」、「猪子真実のマミトーーク(予想会)」、「プリンセス物語」のアイドルライブなどが予定されています。そして、3月3日には森山泰行トークショー、「Aqueur」のアイドルライブなども実施予定です。名古屋競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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山田英明選手
山田英明選手
 1番車の坂本亮馬が、内枠4車でのスタート争いを制して九州ラインが正攻法に構える。後ろ攻めとなった坂本紘槻が赤板過ぎに押さえ、谷口遼平が打鐘手前で叩いて先頭に出る。車間を空けた7番手の位置でタイミングを見計らっていた伊藤旭が打鐘過ぎ2センターから車を外に持ち出して反撃に出る。最終2コーナー過ぎにライン3車で出切ると、余裕を持ってリードしていた山田英明(写真)が後ろの状況を冷静に確認しながら抜け出した。
 「亮馬がスタートを取ってくれて、旭も落ち着いてしっかり仕掛けてくれたので。(伊藤は)脚力が上がっていますね。1センターで伸びていったので。いままではそんな感じじゃなかったと思うので。自分は昨日、単騎で仕掛けてみて、スライスしてしまいましたけど、手応えは良かったですし。(勝負は)明日ですね。1人でも多くラインを組んで、強い選手に対抗していかないと」
 初日に続いてロングスパートを披露した伊藤旭。G1で結果を出すことを目標に掲げており、レース内容にもこだわっている印象だ。
 「亮馬さんがスタートを取ってくれたので。前が理想でした。ジャン過ぎてしっかり行くイメージで。ビジョンを見て3人で出切っているのがわかって。あとは(山田)ヒデさんに抜かれるかどうかでしたけど。軽くスーッといかれました。まだ疲労があるので抜けてくれればですね。初日は前回までと違うフレームを使ったけど、良くなかったので。2日目はフレームを戻して初日よりも感じは良かったです」


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小林泰正選手
小林泰正選手
 川口聖二、小林泰正(写真)の順番で切った上を、ライン3車の小松崎大地が打鐘手前で叩いて出る。初日に逃げ切り勝ちを決めていた大石崇晴は正攻法の構えから手早く引くと、小松崎を叩いて主導権取り。小松崎は3番手の位置で車間を空けて後ろを警戒していたが、最終1センターから車を外に持ち出した小林がスピードの違いを示して前団を一気にのみ込んだ。
 「最初はバックを取りたいと思っていたけど、スタートで後ろになってしまい、(大石に)誘導を残して引かれてしまい回るような感じになってしまったので。ああなってしまったら小松崎さんが一旦くるのはわかっていたので、一旦飛び付かせて小松崎さんよりは先にまくろうと。疲れはあるけど、その中でも力を出し切れているし、押し切れてはいるので調子は悪くない。しっかり疲れを取って準決に備えたい」
 最終2センターで岡崎智哉に振られた宿口陽一であったが、冷静に避けながら小林に続いて2着をキープ。前回の豊橋全日本選抜よりも確実に良化している。
 「(小林)泰正は脚があるし、力を出し切ってくれれば、あとは自分が付いていければ2人で決まると思っていた。(小林は)落ち着いていたし、すごい強かった。自分も岡崎君に持ってこられた所を乗り越えられたのは良かった。泰正を抜けていれば良かったけど、調子は普通ですね」


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浅井康太選手
浅井康太選手
 初手で中団に構えた纐纈洸翔は後ろ攻めから上昇してきた昼田達哉の気配を察知して合わせて動き、インを切って昼田ラインを出させて中団をキープする。後方7番手まで下げた格清洋介に動きはなく、昼田が徐々にピッチを上げる。中団に収まっていた纐纈は最終ホーム付近から車を外に持ち出して反撃にでたが、1センターで橋本強にブロックされて外に浮いてしまう。冷静に内へ避けた浅井康太(写真)は最終バック付近から自力に転じて前団に襲い掛かる。橋本もさすがに対処不可能で、そのまま力強くゴール線を駆け抜けた。
 「纐纈君とは高知のF1で連係して優勝させてもらったこともあります。スタートは中団からっていう感じで。南関勢が後ろなら切った上を切ったと思うんですけど、逆だったので先に切ったんだと思います。(纐纈が)ホームで行って合わされたって判断をしたというか、(自分自身が)内に差したので。(昼田ラインの)三番手の4番をキメるか、まくって行くかでしたけど。あそこで待ったら格清君に行かれちゃうと思って。(纐纈を止めた)橋本君がうまかったですね。(状態としては)しっかり練習してきたので。レースと向き合って、自分自身と向き合って。明日はもう一個(相手が)強くなると思うので、対戦相手とも向き合って頑張りたい」
 2着に入線したのは後方で脚をためていた格清洋介。もつれる前団の様子をうかがいながら、最終2コーナー付近から豪快にまくり上げてゴール前は浅井に詰め寄った。
 「車番が悪かったので取れた位置からでしたけど。石塚(孝幸)さんが取ってくれたので。(纐纈の)先切りは考えていなくて、結果的に後方になってしまったんですけど。(打鐘では)もう態勢が整っていたので、大事にいかせてもらいました。結果的にあそこまで行けているので」


<9R>

深谷知広選手
深谷知広選手
 S取りに定評のある笠松信幸が村上博幸とのスタート争いを制して深谷知広(写真)を迎え入れる。中団には近畿勢が構え、後ろ攻めとなった青木瑞樹が赤板手前から上昇していったが、正攻法に構えていた深谷が突っ張って出させない。今度は打鐘付近から巻き返しを狙った脇本勇希の気配を察知すると、打鐘過ぎ2センターから再びペースアップ。深谷の後ろはもつれる形となり、最終ホーム手前から巻き返しを狙った青木に対しても、ペースコントロールのうまい深谷は最終2コーナーから再び加速してシャットアウト。要所、要所でしっかりと踏み込みながら約2周、誰にも横にすら並ばせない気迫で別線を完封してみせた。
 「今日は突っ張り基本に考えていた。早めに(脇本が)来てくれたし合わせやすかった。昨日は風を切っていなかったので不安はあったけど、今日のこの(軽い)バンクコンディションだったので大丈夫でした。体調は問題ないけど、長い距離を踏んだので、しっかりケアをして準決に備えたい」
 打鐘過ぎから脇本に絡まれながらも深谷の番手をきっちりと守り切った笠松信幸。深谷に食らいついて2着で準決進出を決めた。
 「地元というのもあったけど、深谷の後ろという緊張感がすさまじかった。2コーナーからの加速が凄くて、ワッキー(脇本勇希)に降りられていたら離れていたと思う。自分の状態とかは深谷が強すぎてよくわからなかった」


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吉田有希選手
吉田有希選手
 近畿両者の後ろを選択していた田尾駿介がS取りに成功して池野健太が正攻法に構える。スタートが早い佐々木省司が中団を取る形となり、吉田有希(写真)-柿澤大貴を迎え入れる。後ろ攻めとなった岩本俊介は赤板で押さえにいったが、池野に突っ張られる。別線の動きを冷静にみていた吉田は打鐘手前で押さえると、後ろの状況を確認しながらうまく流しつつ、最終ホームを目掛けて全開でスパート。後方7番手に置かれた岩本や、中団で車間を空けながらまくりを狙った池野らをまとめて封じてまんまと逃げ切った。
 「(2日間とも逃げ切り勝ちは)デキ過ぎです(笑)。前もしくは中団からっていう感じで。岩本さんが前を取るよりも池野さんの方が良かったですね。落ち着いて駆けられました。池野さんも岩本さんを後方に置く感じで。(最終)バックでトップスピードに乗せられるように駆けました。昨日終わってから自転車をいじってアタリがでたので、今日の方が良かったです。やっぱり名古屋は走りやすい。走路もですけど声援もすごいので。名古屋は3コーナーが壁みたいな感じなので、バックで乗せ切れればどうにかなるバンクだと思います」
 絶好展開が訪れたかに思われた柿澤大貴であったが、2分の1車身差の2着。前回静岡記念の一次予選で吉田と連係していたが、その変わり身に驚いている。
 「吉田君がめちゃくちゃ強かったです。前がいい感じでしたけど、どっちにしても先行が理想っていう感じだったので。カカリもすごかったですし、ずっとカカっていきました。(前回の)静岡でも連係したんですけど、そのときよりも強かったです。昨日は自分の判断の甘さで迷惑をかけてしまったので、今日はそこを気を付けようと思っていました」


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新山響平選手
新山響平選手
 武田亮がS取りに出て関東ラインが正攻法に構え、新山響平(写真)は中団からとなる。後ろ攻めとなった長尾拳太は押さえに行っても武田に突っ張られるであろう雰囲気を感じ取りながら上昇していき中団にこだわる構え。並走を嫌った新山は6番手まですっと車を下げてから、打鐘2コーナーの下りを使って反撃を開始。打鐘過ぎ3コーナーで武藤龍生に張られたが、冷静に対処して4コーナーの下りを使って再度加速していく。叩かれてしまった武田はどんどんと引き離されていき、新山が堂々の逃げ切り勝ちで準決勝へと駒を進めた。
 「武田君はスタートが速いし、Sを取れないことも想定していた。簡単に引きすぎた感じはあるので、もう少し武田君に踏ませても良かったですね。4車だったし早めの仕掛けを意識して、3コーナーを登って、下った勢いで行けた。結構タレた感じはするけど、強弱をつけるというより一発あのままのペースで行ったので。あんまりカマシはやらないので、いい勉強になりました。レースよりはローラーに乗っている感触の方が良かったので、少しセッティングをいじってそっちの方の感触に近づけたい」
 新山を追走していた大槻寛徳は打鐘過ぎに武藤に張られて離れかけはしたものの、しっかりとリカバリーしてそのまま新山の後輪だけに集中して付け切った。
 「(新山)響平が一回立ち上げて行ってくれて気を遣ってくれましたね。(新山の番手は)普通には回れないと思っていたので、集中していた。2センターでは売り切れていたし、響平がタレないペースで踏んでいて強かった。昨日はめちゃくちゃ悪かったけど、今日は仕事をできるかできないかくらいの感触にはあったので、悪くはないかな」


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郡司浩平選手
郡司浩平選手
 号砲とともに4名が飛び出したが、するりと抜け出した隅田洋介がS取りに成功して正攻法に構える。5番車ながらも次にスタートが早かった郡司浩平(写真)が和田健太郎と土屋裕二を引き連れて中団に構える。後ろ攻めから上昇してきた岸田剛を見ながら車間を空けながらけん制し、赤板過ぎに誘導員を先に降ろして近畿ラインを受けて軽々と中団をキープ。最終1コーナー付近から踏み込んだが、山田久徳にみられて一旦4番手の位置に戻る。最終3コーナーで後方からまくってきた隅田の気配を察知すると、一瞬で山田の横に並んだかと思うと最終4コーナーからさらに加速してゴール線を駆け抜けた。
 「(初手は)最低限、中団からだったので。脚を使って切ってでしたけど、すんなり中団が取れたので。前からだったとしてもそんな感じ(脚を使っても近畿ラインを受けての中団取り)でした。隅田さんが同じことを考えていたらまた違いましたけど、切れちゃえば何とかなると思って。ホームから踏んで(一回待ってしまったが)、最低でも2コーナーではいきたかったんですけど。山田さんも余裕がありそうだったので。しっかり踏み込んでからはゴールまで踏み上がっていったので、昨日の先行が生きていると思います。まだ疲れはありますけど、睡眠時間は変えず、アップの前の過ごし方を替えていい方向に行っていると思います」
 郡司の動きにしっかりと対応して2着に続いた和田健太郎であったが、スタートでの失敗を悔やみ、反省しきりだった。
 「前を取りたかったですけど…。郡司君に全部やってもらう感じで申し訳なかったです。自分は自分の位置を守ることだけ考えてっていう感じで、抜ける感じはまったくないですけど。内に差し込んでしまって遅れてしまうかもしれないと思ったけど、3コーナーでハウスもしましたけど、なんとかついていけているので」