『開場58周年記念名古屋競輪(GIII)レポート』 3日目編
 
配信日:3月3日



 名古屋競輪開場58周年記念競輪「金鯱賞争奪戦」は3日目が終了。本日は準決勝競走をメインに行われ、各戦熱い攻防が繰り広げられた。いよいよ9名のファイナリストが出そろい明日の決勝戦が開催される。
  なお、明日行われるルーキーチャンピオン戦(若鷲賞)に出場する9名の新鋭たちも本日意気揚々と検車場入り。彼らの動向も併せてレポートします。


<8R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
   8レースは準決勝C競走。1名しか勝ち上がれないシビアな戦いだけに熾烈を極めた。勝ったのは神山雄一郎(写真)。二角からスパートした長塚智広マークから、最後は直線大外を鋭く突いた。2センターで前田拓也のブロックをもらい、ゴール線では各車横一線となる苦しい展開を何とか耐えしのいだ。
  「2センターを乗り越えるのがかなりキツかった。最後は一丸(安貴)君に踏み負けるかなと思ったけど、我慢してしっかり踏んだからその分伸びたのかもしれませんね。それにしても準決Cは戦いにくい。あまり経験が無かったし、この展開で長塚が勝ち上がれないんだからね」
  松山勝久の先行に乗った前田拓也は2着惜敗となり「1着権利だし、最後はやや強引にブロックしたんだけどダメでしたね。松山がよう行ってくれてチャンスだったのに…」と肩を落とす。
  豪快にまくった長塚智広は惜しくも3着に沈む。
  「カマそうと思っていたら松山さんが一気に行ってしまった。二日間状態も良かったし、まくる自信があっただけに残念ですね」


<9R>
兵藤一也選手
兵藤一也選手
   9レースは準決勝B競走。目標不在の兵藤一也(写真)が三角手前から自力発進。最後は逃げた村上博幸を捕らえて直線を突き抜けた。
  「ゴチャつけばこっちに展開が向くかなと思っていました。目標が無かったし、まくりも想定していました。十文字(貴信)さんが競り勝った時、誰かに踏まれたら被ってしまうと思い迷わず自分で踏みました。2センターで一杯だったけど良く踏めたと思いますよ」
  ベテラン遠沢健二(2着)がSS級の底力を見せた。目標の萩原孝之が村上博幸に突っ張られて立て直しに遅れると、すかさず兵藤の仕掛けに切り替えて、直線を鋭く伸びた。
  「萩原が動くかと思っていたら、兵藤君が先にまくって行ったので、内にいた金子(真也)君を気にしながら付いていきました。外々を踏まされてかなりきつかったけど、それでも連にからめるんだからね。今は良い状態なんでしょう」
  先行した村上博幸は「先行は作戦のうち。打鐘で一旦山根(泰道)さんのマークが離れたけど、追い上げてきたのが分かったから目一杯踏んだ。でも後ろも離れ気味だったし、あの展開なら兵藤さんにまくられてしまいますよね」とレースを振り返る。


<10R>
中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
小倉竜二選手
小倉竜二選手
   10レースは中川誠一郎(写真)が“格上”の脚を披露した。逃げた岸沢賢太を早めの巻き返しで捕らえて快勝。マークの小倉竜二を連れてワン・ツーを決めた。
  「前を取って引いてカマシと思っていたから作戦どおり。今日は昨日に比べて余裕がありましたね。出切ってからはいいペースで踏めました。直前に合宿に行ったんですけど、その効果が出ていますね。身体の反応が良いのを実感しています」
  小倉竜二(写真)は「早めの巻き返しでも何ともないし、更に四角でも踏み直していたから誠一郎は強いね。一角では山を登るようにきつかった。最後は俺も少しは余裕があったけど、あれは抜けない」と中川の強さを称える。
  岸沢賢太は中川に胸を借りるも、力の違いを見せ付けられて完敗。
  「後ろに手島(慶介)さんがいたし、精一杯行ったんですけどスピードが違いましたね。もっと早めに踏んでもよかったかな。叩きのめされましたけど、上位のスピードを肌で感じる事ができたし勉強になりました」
  3着に入線したのは平沼由充。2センターで手島慶介がアウトに車を出したさい、その後位からすかさずインコースを突いた。
  「外にはいけないと思って内に行ったら、手島さんに締められてしまった。手島さんが落車していなければ3着までには入れなかったでしょうね」


<11R>
吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
友定祐己選手
友定祐己選手
   11レースは地元最後の砦となった吉田敏洋(写真)が快勝し、決勝進出を決めた。最終バック手前から友定祐己がまくると、その流れに乗り、最後は踏み合いとなったが、意地で1着を取り切った。
  「最終ホームで岡田(征陽)が踏まなければ俺が行ったけど、岡田が思い切り行ったから様子を見ました。仕掛けどころを待っていたら、友定さんとタイミングが被ってしまったけど、友定さんの車が出ていたからそれに付いていこうと。三角を乗り越えるのがキツかったけどうまくしのげましたね」とレースを振り返り「明日は中川と二分戦。力勝負ですし思い切って立ち向かっていくだけ。準決勝という大きなヤマ場を越えたし、自分の競走をしますよ!」と自らを鼓舞する。
  友定祐己(写真)はバックから単騎まくりを敢行した。「風があって重かったから踏むのに迷いがあったけど、あそこで行かないと被ってしまうからね。結果的にも良かった」
  渡辺晴智は2センターのもつれを掻い潜り、大外を強襲して3着を確保。しかし「サラ脚だったし、展開が向いただけ。たまたまですよ」といつもながらの涼しい表情で競走を振り返った。
  一方、優参を逃した小野俊之は検車場に戻り「真剣に悔しい!」と一言。そのあと中川誠一郎に歩み寄り「誠一郎、ゴメンな」と話して控え室へと引き揚げた。


<ルーキーチャンピオン検車場レポート>
柴田洋輔選手
柴田洋輔選手
牛山貴広選手
牛山貴広選手
梶原恵介選手
梶原恵介選手
稲吉悠大選手
稲吉悠大選手
   最初に検車場に姿を現したのは和田圭と須藤誠。ともに地域スジに連係相手がいないが、各々には思惑があるようだ。
  和田圭は「須藤が埼京コンビへ行くと言っていたし、せっかくS級選手の後ろが空いているんだから喜んで付きますよ。先月92期の合宿を大分で行ったさい、牛山さんに『後ろでお願いします』とすでに話しをしました。明日は一発勝負だからギアを3.64に上げてみます」。
  須藤誠も「勝つためにはどうしたら良いかを考えた結果、埼京の後ろで脚を溜めるのが一番最善策かと思った。山田が絶対に先行するでしょうしね。ルーキーチャンピオンに出るのはずっと目標だったし出れるかどうかも新聞を見るまで分からなかった。それだけに出られて嬉しいし、欲も出る。ここは一発狙うしかないでしょう」と意気盛ん。
  埼京タッグで結束するのは柴田洋輔と山田義彦。柴田洋輔(写真)が「優勝する事しか考えていない。山田とは普段から一緒に練習したり、メシ食ったりと仲が良いけど、そこはあえてシビアに。元々番手戦も嫌いじゃないし」と話せば、山田義彦も「練習は街道中心にバッチリと乗りこんできました。先行しか考えていないし迷いは一切ありません」とキッパリ。動向は見逃せない。
  牛山貴広(写真)はただ一人のS級レーサーとして、意地を見せ付けたいところ。
  「木暮(安由)が出ないと決まった時点で、自力でやると決めていたし、埼京コンビとの連係も考えていなかった。僕は『いつまでに』という目標があるとそこに照準を定めて身体を作り上げるタイプ。今回は時間があったし、ここへ向けてしっかりと仕上げてきたつもりです。東の面々はもちろん、西勢がどういう競走をするのかも学校時代から良く知っている。絶対に負けられませんよ」と気持ちはすでに戦闘モードに入っている。
  大挙3名が出場する大分勢は一枚岩となってV奪取を目指す。先陣を切る小原将通は「ダッシュ力なら誰にも負けないと思っています。明日は前でしっかりと頑張って大分から優勝者を出したい!」と意気込む。チャレンジレースではまくりを出す事が多かったが「それは勝つ競走にこだわったから。昇級もしたし、これからは先行回数を増やしていく」と言い切る。
  梶原恵介(写真)は「大分の同期はいつもみんな一緒に練習しています。仲も良いし、練習環境は充実していますよ。逆に『負けられない!』という良い発奮材料にもなっています」と揺ぎ無い結束力をアピールする。
  92期卒記チャンプの寺田信彦も「デビュー当初に比べて、最近はだいぶ競走にも慣れてきた。スピード勝負になるだろうし、三番手からでもチャンスはある」と耽々とV獲りを目論んでいる。
  単騎戦となった稲吉悠大(写真)は「落車でヒザを痛めてしまい前回の岸和田を休んだけど、今は調子は戻っているし良い感じですよ。明日は単騎だけど、混戦は大好きだし自分に向いているみたい。動き回って勝負どころで狙います」と笑顔で話す。「初手は大分の後ろから」とのことだが、展開次第では柔軟に立ち回ることも。不気味な存在となりそうだ。

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情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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