『岐阜競輪開設76周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月4日

 岐阜競輪場で開設76周年記念「長良川鵜飼カップ(GIII)」が、9月4日に始まった。初日のメイン、特選では、単騎の嘉永泰斗が9番手からのロングまくりで白星を挙げた。また、一次予選では、ベテランの志智俊夫や川口聖二が1着で人気に応えて、地元ファンを沸かせた。9月5日のシリーズ2日目には、初日特選組も加わり、二次予選で熱戦が展開される。
 記念シリーズは開催中の毎日、山口幸二さんと後閑信一さんによる予想会が実施されるほか、先着1000名様に「グリコPRETZ」をプレゼント、選手会岐阜支部によるステージイベント、キッチンカーによる「FOODフェスティバル」が予定されています。また、9月5日のシリーズ2日目には、「平原康多・日野未来」のトークショーもあります。岐阜競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 前受けの木村佑来は、8番手から上昇した今村麟太郎を、赤板過ぎに突っ張って出させない。突っ張られた今村は車を下げ切らず、中団にこだわった林大悟と、4番手が併走になる。中団のもつれを確認した木村は、打鐘を過ぎてペース駆けに持ち込む。4コーナーから仕掛けた今村を、引き付けてからペースを上げて合わせ切る。今村は後退し、最終2コーナーで持ち出した林も、3コーナーでは飯嶋則之のブロックもあって失速。ペースをつかんだ木村が、2周先行でも末良く逃げ切った。
 「せっかく1番車をいただいたし、自分は器用なタイプでもないので、前を取って突っ張ってから考えようと。(突っ張って)結構、脚を使った感じはあったけど、道中はスローに落とせて脚をためられた。(別線が)まくりには来ると思っていたんで、あとはラインを信じて行けるところまでと。最後まで踏めていてスピードに乗っている感じがあって、調子は悪くないのかなと」
 直線で追い込んだ窪木一茂だったが、ゴール前でスライス。さらに木村に想定以上に踏み直されて、差し切るには至らなかった。
 「(木村とは)初めての連係でした。(自分たちのラインが)すんなり駆けさせてもらって、展開がいいんじゃないかなと思った。僕的にはもっと車間を空けていると思ったけど、(実際は)空けられていなかった。今回は初の自転車で、そのあたりもあるのかなと。(自転車が)スライスした部分もあるので。修正をかけて、次はもっとラインの動きをしたい」


<2R>

原井博斗選手
原井博斗選手
 赤板過ぎに矢野昌彦が勢いよく切って、その上を棚瀬義大が打鐘で叩く。前受けから車を下げた伊藤颯馬は、中部ラインが出切ったタイミングの2センターですかさず仕掛ける。スピードに乗った伊藤が、抵抗する棚瀬を最終2コーナーでまくり切って、バックでは原井博斗(写真)までが出切る。ピタリと追走した原井が直線で追い込み、余裕を持って伊藤を交わした。
 「(伊藤)颯馬君は、行けるところから行く感じだし、自分は離れないようにっていうことだけを意識してました。(伊藤は)仕掛けたところからスピードが良かったし、大丈夫だろうなと。あとは、自分が(最終)1コーナーでからまれるかなって思ったけど、離れてなかったんで、来ても耐えられると思った。(伊藤が出切って)このスピードなら誰も来られないと思ったし、追走にだけ集中して。颯馬君が長い距離を踏んでくれたから、差せました」
 タイミングを逃さず仕掛けた伊藤颯馬が2着。西武園記念から中2日の過密日程で不安な面こそあるが、初日は力の違いを示した。
 「(押さえに来るのが)遅すぎたら突っ張りも考えたけど、(矢野が)しっかり踏んできてたので出させました。ペースも上がっていたし、(棚瀬の仕掛けを)追っていく感じで叩こうと。でも、今回は重いですね。(中2日で)疲れもあるし、自転車もあんまり乗っていないやつなんで。前回とは自転車が違うし、沖縄にあった昔乗っていたやつを持ってきた。昔とは乗り方も違うし、重いですね」


<3R>

 小林則之が、赤板過ぎに蒋野翔太を押さえる。静岡勢を伊藤信が追うが、蒋野が内で粘って3番手を譲らない。伊藤は外に浮き、酒井雄多が内をすくって打鐘で5番手を確保。伊藤は最終ホームで、前が遠い8番手に置かれる。1コーナーで持ち出した酒井が前に迫ると、逃げる小林の余力を見極めて、菅原裕太が番手から出る。酒井は菅原を乗り越えられず、隊列が凝縮されたところを目がけて、後方で立て直した伊藤がまくって飛んでくる。大外をまくり上げた伊藤が、ゴール前で菅原をとらえた。
 「(初手は)酒井と遠くなりすぎないようにと思っていて、できたら前から2番目と思ったけど、後ろになってしまった。結構、ノリさん(小林)も踏んでいて、切らしてくれる感じじゃなかったし、しんどかった。ジャン前から緩むところがなかったし、行けるところから踏むしかないなと。自転車は出ていたんで3着ぐらいに届けばと思ったけど、前がゴチャゴチャしていたので(届いた)。今開催は疲労が抜ければ良くなりそう。コーチをつけて1年半ぐらいになるけど、その成果が出てきている」
 菅原裕太は、小林の先行をムダにすることなく、2着で勝ち上がりを決めた。
 「(初手は)本当は前中団が良かったけど、出過ぎるとSになってしまうし、それを考えて出たら後ろからになってしまった。(別線の仕掛けが)早めだったら止められたけど、酒井を止めても伊藤さんに勢いよく飲まれてしまうし、それだったらと見栄えは悪いけど、番手まくりみたいに踏ませてもらった。(小林は)嫌なペースで、相手もカマしてこられない感じだったし、ベテランの先行選手に付かせてもらったって感じでした。伊藤さんには行かれたけど、酒井には抜かれていないし悪くないのかなと」


<4R>

佐藤博紀選手
佐藤博紀選手
 前受けの安倍大成が、晝田宗一郎を赤板過ぎに突っ張る。晝田が緩めた上を、今度は纐纈洸翔が仕掛けるが、これも安倍は打鐘で突っ張って出させない。5番手に入り直していた晝田は、2センターから再度仕掛ける。最終ホーム過ぎに安倍を叩き切った中国勢を、比佐宝太が追いかける。2コーナーからまくりを打った比佐だったが、中国勢をのみ込むまではいかず3コーナーで勢いが鈍る。比佐マークの佐藤博紀(写真)は、3コーナーで早めに外に持ち出すと、イエローライン付近を鋭く伸びて1着まで届かせた。
 「一番前からだと、切って切っての流れになるし、みんなスピードに乗ってからだと厳しいんで、前中団が理想の位置でした。比佐君は主導権を取りたいって感じだったんで。安倍君が赤板で突っ張って、比佐君はどうしたらいいんだろうって感じに見えた。難しくなったけど、(最終)ホームで晝田君が行ったところを目がけて行ってくれた。でも、出切る感じじゃなかったし、僕の後ろに(纐纈が)いるのがわかったんで、かぶって踏めなくなるよりは、自分で行っちゃおうって。みんな踏んでるし、キツかった。比佐君が、頑張ってくれました」
 一度は突っ張られた晝田宗一郎だったが、態勢を整え直して先行し、2着に逃げ粘った。
 「先行しようかなとは思ってました。(仕掛けてからは)いい感じに踏めていたし、大丈夫だろうなって感じでした。1着かなと思ったけど、行かれましたね。踏み切れた感じはないです」


<5R>

中村圭志選手
中村圭志選手
 前受けの高田修汰が早めに車を下げて、上昇した道場晃規が誘導後位に収まる。赤板1コーナーで平尾一晃が切り、島川将貴がその上を押さえる。勢いよく巻き返した高田が打鐘で先頭に立ち、そこを叩きにいった道場は高田に突っ張られる。島川が近畿勢後位を確保し、道場はズルズルと下がって7番手。最終2コーナー過ぎからまくった島川が、3コーナーで高田をとらえて、徳島勢を九州勢が追いかける。平尾が2センターで外を踏むと、中村圭志(写真)は俊敏に内に進路を取る。中村は、直線で徳島コンビの中を鋭く割って、会心の1着を手に入れた。
 「とりあえず後手を踏まないようにと。(道場にカマして)行かれていたら厳しかったですね。(直線では)外を行ったら勝ち上がりはできると思ったけど、(1着を)狙ってみようと。室井(健一)さんが怖かったけど、(中を)割れたので良かった。自分の好きなコースなんで。(初日の1着は)久しぶりだし良かった。疲れがあって重たいので体のケアに努めます」
 好位取りからまくった島川将貴が2着。師匠の室井とともに勝ち上がった。
 「とりあえず前々にと。高田君が行くと思って、その3番手でした。(最終ホームで道場が)降りてきたけど、そこは死守しないとダメなんで。車を出したのは2コーナーぐらいだったけど、何かフワフワしている感じでスピードが乗らなかった。脚がいっぱいというよりも踏むところがない感じでした。最後も自分がタレていなかったら(室井と)ワンツーだった。セッティングをいじりたい」


<6R>

 畝木努が、赤板過ぎに栗山和樹を押さえる。岡山勢を追った佐藤一伸は、内の栗山にかぶせてから2コーナーで踏んで叩きに行くが、畝木が突っ張って出させない。佐藤が、3番手に降りようとすると、栗山も内から盛り返して中団にこだわり、隊列がもつれる。畝木が流したままでいると、佐藤は、外併走から打鐘2センターで仕掛けて中国勢を叩き切る。だが、内藤宣彦は混戦にのまれて佐藤を追いかけられない。最終ホームで主導権を握った佐藤に岡山勢がハマり、4番手の栗山は2コーナー過ぎからまくったが車の進みは今ひとつ。内藤は、7番手で立て直してバックから外に持ち出し位置を上げると、3コーナーからは内のコースを進出。4コーナーで佐藤に付き直し、最後は畝木と、佐藤の間を割るようにして1着でゴール。大ピンチの局面から、見事にリカバリーした。
 「(赤板2コーナーで)畝木君が踏んだので、(佐藤は)3番手外で勝負かなと思って(栗山を)キメに行ったんですけど。栗山君は下がると思ってたし、意外でした。(佐藤が仕掛けたタイミングは)持ち出せなかったですね。川口(公太朗)君が入ってきて、ガシャンって音もしていたし怯んだ。後ろに佐々木(和紀)君が付いてくれてるのもわかっていたし、外を踏んで行かないとと。持ち出してから、(最終3コーナーで)自然と内に入った。余力はあったけど、落車も怖かったし畝木君のところは当たれなかったね。まさかあの位置から1着まで行けるとは思わなかった」
 単騎逃げになった佐藤一伸は、番手にハマった畝木にまくらせず、結果的に内藤とのワンツーだった。
 「3番手で勝負しても、あのまま叩いても、どっちでもいいなって思ってた。でも、(畝木が切った上を)トン、トンのタイミングで叩けば良かった。(栗山に)フタしてからと思ったけど、畝木君がヤル気でしたね。(打鐘から)後ろの動きを確認できてなくて、川口君の動きを内藤さんだと思った。それで、(後ろに)内藤さんがいると思って仕掛けたし、駆けてる時も内藤さんがいると思った。ゴール前も内藤さんに差されたし、(レースが終わって)映像を見るまで2車で駆けてたと思ってましたよ」


<7R>

西田優大選手
西田優大選手
 前受けの近谷涼が、福永大智を赤板過ぎに突っ張る。福永は3番手の能代谷元の外で併走し、隊列が短くなったところを西田優大(写真)がカマしに行く。西田は打鐘3コーナーで近谷を叩き切り、西岡拓朗がマーク。富弥昭は、最終ホームで近谷にさばかれて、広島両者が2車で逃げる。福永は、能代谷との併走に踏み勝ったものの、態勢が整い切らず仕掛けられない。グングンと掛かっていった西田を前に、3番手を取り切った近谷もいっぱい。西田はゴール前の踏み直しも強じんで、そのまま逃げ切り勝ちを収めた。
 「主導権は握りたいなと。近畿が出ればその上を(叩いて)と思ったけど、突っ張られる感じだった。ワンテンポ、ツーテンポ遅らせてしまったので、後ろは付きづらかったと思う。あんまり踏み上がる感じはなかったし、キツかったですね。(逃げ切れたのは)展開が向いたんだろうと。練習はしっかりやってこられたけど、今回は師匠(吉本哲郎)から借りてきたフレームなので(いつもと違う)」
 西岡拓朗が、西田に続いて、広島ワンツー。
 「(西田は)ジャンで行くんだろうなと構えていたけど、ちょっと口が空いて脚を使ってしまった。余裕はなかったです。前に付いた時より強かったです。(西田が)僕のギリギリ付いていけるスピードで踏んでくれた。今日(初日)で刺激が入ったし、練習はしてるのでその疲れが抜ければ」


<8R>

川口聖二選手
川口聖二選手
 7番手から動いた片折亮太が、赤板過ぎに村田祐樹を強引に押さえる。村田が無理せず下げたタイミングで、磯島康祐が仕掛ける。2コーナー過ぎに前に出た北日本勢を、単騎の2車が追いかけるが、片折が3番手で粘って隊列がもつれる。打鐘3コーナーで仕掛けた村田は、併走の上をカマして最終ホーム手前で主導権を握る。中部ライン3番手の竹田和幸は離れ気味で、その後ろの磯島も車間が空く。残り半周は、村田と、川口聖二(写真)の2車の争い。4コーナーから追い込んだ川口が、渾身の差し切りを決めて、地元勢初勝利をつかんだ。
 「前受けで、(押さえに来るのが)遅ければ突っ張るし、早ければ引いて巻き返すと思ってました。もう、付いてて安心できる走りでした。最後まで踏み切れてたし、差せるか怪しかった。竹田さんが離れてるのもわかったし、誰も来る感じじゃなかった。勝手に残ると思って、思いっきり抜きに行きました。(セッティングは)もうちょい改善点があると思う。ダッシュはいいけど、差しに行くところで力が抜けてる感じがするんで、ハンドル周りをいじると思います」
 赤板で一度下げた村田祐樹は、その後も落ち着いて立て直し、主導権を奪い返して2着。
 「(赤板で)突っ張れたら突っ張るつもりだったけど、片折さんに上から押さえられて突っ張り切れなかった。でも、それはそれでと思ってたし、次のタイミングで行こうと思った。出るまではいい感じだったんですけど、バックの風がキツくて、そこから伸びなかった。今の状態の中では頑張った方だけど、後半の持久力はもの足りないですね」


<9R>

 7番手から福田稔希が動きだすと、前受けの青野将大は誘導と車間を取って突っ張る態勢を取る。赤板の誘導退避とともに青野が踏み上げるが、福田はそれでも踏みやめない。青野が2コーナー過ぎに引いて、福田が先手を奪い取る。が、今度は貴志修己が打鐘で勢いよく仕掛ける。貴志が福田を最終ホームで叩いて、近畿勢が最終主導権を握る。3番手に収まった福田が、3コーナーでもう一度外に外すと、5番手から石川裕二が内を踏んで、2センターでは接触があり石川と、長島大介の2車が落車。6番手から持ち出していた青野は、落車のあおりを避けながらも、直線で大外をのみ込んで1着。
 「突っ張れれば一番と思っていたけど、(福田が)全然やめなかった。あそこで下げたら貴志が一番行きやすいし、やっちゃったかなと。脚は余裕があったけど、長島さんも余裕があればブロックしてきそうだった。4番(石川)が内を突いていたので、そのぶん(長島が)締めることになったのかなと。関東の連係の乱れに助けられた。あのなかでも風を切って走れれば良かったけど、赤板からハイスピードに上げて、持ち味を生かす展開には持っていけた」
 貴志修己は、青野と、福田の踏み合いを見極めて、タイミングを逃さずに主導権取りに成功。内容のあるレースで勝ち上がった。
 「(青野は)踏み合っても出すレースが多いし、どの展開でも対応できるように中団からだった。(別線が踏み合って)そのまま先行はないと思ったし、緩むと。一気にというより、(最終)ホームでマックスになるように、徐々に駆けていった。バックぐらいでは脚がいっぱいだった。これまではハンガー下がりの物を使っていたけど、あまりレースでの感じが良くなかったので、今回は今まで使っていた普通のタイプの物に戻した。逃げ残れているし、良くなっている」


<10R>

志智俊夫選手
志智俊夫選手
 中団から動いた坂田康季が、志田龍星を赤板過ぎに切って、その上を小林稜武が叩く。7番手に下げた志田は、2コーナーですぐさま巻き返すと、車間が空いた4番手に打鐘で一旦収まる。中団を明け渡した坂田は7番手に追いやられてしまい、志田は最終ホーム手前から仕掛ける。中部ライン3番手の水谷良和は離れて、1センターで前に出切った志田と、志智俊夫(写真)の2車の後ろは大きく車間が空く。地元両者の争いは、志智が鋭く差し切った。
 「後ろ攻めだと押さえるのに脚を使うし、前団で様子を見てからがいいなと。すかさず巻き返して、(中団に)入ってからもすぐ行ってくれたね。キツいかなと思ったけど、強かった。このスピードでまくってこられるやつはいないと思ったし、差せて良かった。1着を取れるのは初日ぐらいしかないし、状態的には今日がピーク。この調子を落とさないように過ごしたい」
 別線を一網打尽にした志田龍星だが、自身の仕上がりには納得がいかない様子だった。
 「出し切れるようにと思ってました。(中団で)1回休んでからでしたね。キツかったし、めちゃくちゃ感じが悪かった。重いし、体もしっくりきていない。脚もパンパンだし、何も良いところがない」


<11R>

 片桐善也が、赤板過ぎに松井宏佑を押さえる。上杉嘉槻がその上を2コーナー過ぎに押さえて先行態勢。松井は、打鐘で外に持ち出しかけるも、仕掛けを自重し、7番手で構える。上杉が徐々にペースを上げて駆けていき、松井は最終1センターから巻き返す。コーナーを使って加速していった松井は、4コーナーでは近畿勢をとらえて1着。ただ、らしさのない競走で、ラインで決められず、レース後は反省点を口にした。
 「前を取れたら、前で流れを見てと。誰かが切ったところで併走になるかなと思ったけど、それもなく、スーっと行かれて対応できなかった。すかさず行ければ良かったけど、消極的になってしまった。(前回から使っている)フレームの感じが突っ張る感じじゃないし、(組み立てを)考えて走ったけど良くないですね。いい感じで回せていないし、お腹に力が入らない。それもあって仕掛けが遅れた。外々を踏み上げる感じで後ろにも迷惑を掛けた。出切れるとは思ったけど、仕掛けのポイントとか細かい反省点はたくさんある。前のフレームに戻そうかと思っている」
 上杉の先行に乗った稲毛健太は、松井に上を行かれたが、外に張りながら前に踏み込んで2着。
 「(上杉の)ピッチが良かったし、(松井が)来ても後ろはちぎれて来るだろうなと。自分は6番(片桐)が見えて、その後ろも見えていたので。(番手から)出つつ、でも(上杉も)頑張っていたので。踏んだりやめたりで、澤田(義和)さんはきつかったと思う。道中は楽に感じた」


<12R>

嘉永泰斗選手
嘉永泰斗選手
 8番手から動いた坂井洋を、菅田壱道が突っ張る。周回中に3番手の清水裕友は、犬伏湧也をけん制してから赤板2コーナーで仕掛けて、打鐘で菅田を切る。犬伏はすかさず清水を叩き、2センターで徳島勢が先行態勢に入る。菅田は5番手で、坂井が7番手。単騎の嘉永泰斗(写真)は、9番手の一本棒で最終ホームを通過する。嘉永は、1コーナーから持ち出して、そこから怒とうの加速を見せて前団をのみ込んでいく。清水は、3番手から2コーナー過ぎに仕掛けるが、犬伏に合わされて3コーナーで失速。嘉永は、さらにその上を豪快にまくり上げる。逃げ粘る犬伏を、ゴール前でとらえた嘉永が、圧巻の9番手まくりで初日特選を制した。
 「単騎でしたし、スタートは出てみて、あとは流れで一発狙ってって感じでした。赤板とか、ジャンで踏み合う流れになるかなと思ってたし、(隊列が)整ったところで行こうと思ってた。(9番手になっても)慌ててはなかったですね。踏み出した感じも、スピードの乗りも、悪くはなかったと思います。オールスターから手応えはあったので」
 嘉永には屈した犬伏湧也だが、清水の3番手からのまくりを合わせ切っており、掛かりは抜群だった。
 「車番が悪かったんで、取れた位置から、主導権を取るつもりでレースに臨みました。組み立て的には、(清水)裕友さん任せになっちゃったんで、裕友さんが切る前に自分で叩いて主導権を取れれば良かった。バンクが重いなかでも、ペース配分はうまく駆けられたと思います。オグさん(小倉竜二)と一緒の時に、バックが取れてなかったし、そのイメージを晴らすためにも、ここの追加を受けたのもある。それができたし、共同通信社杯に向けて調子を上げていくつもりで(残りの3日間も)走っていきたい」
 関東勢を突っ張った菅田壱道だったが、清水に切られて最終的に5番手の位置取り。そこからまくりを打つことはできなかったが、直線で外を伸びて3着。
 「並び的に、(関東勢を)1個突っ張れば、犬伏が飛んでくると思ったんですけどね。清水君の組み立てが上手だった。(清水ラインを)もう1個突っ張るのはキツいですし。位置を取って、仕掛けたいところで村田(雅一)さんが清水に離れて降りる感じに見えて、タイミングが狂った。嘉永よりも先に仕掛けてればと思うけど。でも、それがなければ外を仕掛けていける感覚があった。突っ張ったあとも余裕があったし、伸び脚自体はいい」