大垣競輪場で開催された開設71周年記念「水都大垣杯(GIII)」は、6月6日に最終日が行われた。決勝は、中部勢からただ一人優出した単騎の浅井康太が、4番手からのまくりで優勝。4月の四日市以来、通算32回目のGIII制覇を遂げた。また、一発勝負の「レインボーカップA級ファイナル」は、先行した中島詩音の番手から小林令が追い込んで制した。小林、宿口潤平、鈴木玄人の上位3選手が、S級特進のキップを手にした。
決勝戦 レース経過
号砲が鳴ると犬伏湧也がスッと前に出て正攻法。初手は犬伏-荒井崇博-園田匠、浅井康太、松谷秀幸-山賀雅仁、橋本壮史-佐藤慎太郎-菅田壱道の並び。
青板周回の2コーナーから橋本がゆっくりと踏み上げる。赤板で橋本が犬伏に並びかけると、犬伏は抵抗せずに車を下げた。橋本-佐藤-菅田、浅井、松谷-山賀に態勢は変わり、犬伏が7番手まで引き切ってジャンが入ると、橋本は一気にペースを上げた。最終ホームはハイペースで飛ばす橋本に佐藤-菅田が続き、3車身ほど空いて浅井、松谷-山賀で、30mラインあたりから犬伏が反撃を開始する。犬伏は1センターで浅井の後ろまで迫るが、そこからは車があまり進まない。2コーナーを立ち直ったところから浅井がまくりを敢行すると、犬伏は外に浮いて力尽きた。浅井は3コーナーで逃げた橋本を交わして先頭に立つと、佐藤も番手から踏み込むが、浅井のスピードが優っていて、佐藤は松谷の後ろにスイッチするのが精いっぱい。浅井は懸命に迫る松谷を振り切り、当所記念初Vを達成した。松谷が2着で、直線で鋭く伸びた菅田が3着に突っ込んだ。

浅井康太選手
連日圧巻の走りを披露していた犬伏湧也に九州勢が付いて3車になり、橋本壮史にS級S班の佐藤慎太郎ら北日本勢。別線に強力なラインができあがったが、浅井康太(写真)は単騎でもVプランを模索した。
「(4番手の)その位置からスタートするのが基本かなと。ラインの並びとしてもセオリー通りだと」
同期の犬伏を押さえた橋本壮史が先頭に立ち主導権を握る。浅井は4番手にスイッチして、その後ろに南関勢が続いた。犬伏が7番手に引き切ると、橋本は打鐘過ぎからペースを上げて駆ける。
「橋本君が落ち着いて駆けていたんで、犬伏君が来るのも厳しいかなっていう感覚があった。自分は(最終)ホーム手前で車間を切りすぎて、ちょっと脚を使いながらでした」
最終ホーム手前から後方の犬伏が襲い掛かる。が、浅井は慌てることなく自らを信じて踏み込んだ。
「犬伏君がどうのこうのよりも、しっかりと仕掛けてタテ脚勝負と。(付いてきた松谷秀幸に)抜かれるのも仕方ない。(南関勢を)味方につけて、犬伏君に勝つっていうのが競輪のセオリーですからね」
犬伏に並ばれることなく、浅井が抜群のタイミングでまくる。逃げる橋本の番手の佐藤慎太郎にブロックのチャンスも与えず、浅井が3コーナー過ぎで前団をとらえる。それでも単騎だけに油断はできないが、追走の松谷を振り切って先頭でゴールした。
「しっかりと仕掛けて勝てたのは大きい。自分も力ある犬伏君、橋本君に刺激をもらって走れた」
地元、中部地区の牙城を守った浅井だが、日本選手権制覇で凱旋した山口拳矢は準決で落車に見舞われ、橋本優己、志田龍星らの地元勢は勝ち上がりを逸した。
「中部勢の層が薄いですし、近畿勢とかには負けてしまう。それでも力勝負をして結果がついてきた。負けるのにビビッてしまわないで、仕掛ければチャンスがある。それが身をもってわかった」
4月の四日市GIIIも単騎でこそなかったが、中部勢は浅井1人というなかでの優勝。劣勢でも臆することなく踏み出すことを若手に示した浅井の存在は、中部地区にとって計り知れない。“僑軍孤進(きょうぐんこしん)”。たとえ1人になっても闘い抜く精神力とセンスが浅井にはある。
結果的には浅井の力に頼る形になった松谷秀幸が、まくりに流れ込んで2着。山賀雅仁を連れていただけに、納得のいかない表彰で振り返る。
「ジャン過ぎくらいで1回詰まるところがあるだろうと。そこで目いっぱいいくか、内から(佐藤)慎太郎さんのところか、前まで行ってと思っていた。そしたら(橋本が)めっちゃ踏んでハイピッチだった。(高松宮記念杯に)気持ちを切り替えて、またですね」
橋本ラインの3番手の菅田壱道は、前の佐藤慎太郎の進路を確認して直線で南関2人の間を踏み込む。ゴール前のハンドル投げで、山賀を交わして3着に届いた。
「(犬伏が)すんなり引いてくれたんで、橋本君のペースでした。自分は内を締めるのに集中していたし、真後ろから来た浅井さんには対応できなかった。慎太郎さんが前に踏んでたから、慎太郎さんのいかないコースをって思って踏んだ。最後のひと伸びで(3着争いに)勝てた。現状の点数だと(11月の)競輪祭(の出場権)もキツいかなっていうのがあったんで良かった」




青板周回の2コーナーから橋本がゆっくりと踏み上げる。赤板で橋本が犬伏に並びかけると、犬伏は抵抗せずに車を下げた。橋本-佐藤-菅田、浅井、松谷-山賀に態勢は変わり、犬伏が7番手まで引き切ってジャンが入ると、橋本は一気にペースを上げた。最終ホームはハイペースで飛ばす橋本に佐藤-菅田が続き、3車身ほど空いて浅井、松谷-山賀で、30mラインあたりから犬伏が反撃を開始する。犬伏は1センターで浅井の後ろまで迫るが、そこからは車があまり進まない。2コーナーを立ち直ったところから浅井がまくりを敢行すると、犬伏は外に浮いて力尽きた。浅井は3コーナーで逃げた橋本を交わして先頭に立つと、佐藤も番手から踏み込むが、浅井のスピードが優っていて、佐藤は松谷の後ろにスイッチするのが精いっぱい。浅井は懸命に迫る松谷を振り切り、当所記念初Vを達成した。松谷が2着で、直線で鋭く伸びた菅田が3着に突っ込んだ。

浅井康太選手
「(4番手の)その位置からスタートするのが基本かなと。ラインの並びとしてもセオリー通りだと」
同期の犬伏を押さえた橋本壮史が先頭に立ち主導権を握る。浅井は4番手にスイッチして、その後ろに南関勢が続いた。犬伏が7番手に引き切ると、橋本は打鐘過ぎからペースを上げて駆ける。
「橋本君が落ち着いて駆けていたんで、犬伏君が来るのも厳しいかなっていう感覚があった。自分は(最終)ホーム手前で車間を切りすぎて、ちょっと脚を使いながらでした」
最終ホーム手前から後方の犬伏が襲い掛かる。が、浅井は慌てることなく自らを信じて踏み込んだ。
「犬伏君がどうのこうのよりも、しっかりと仕掛けてタテ脚勝負と。(付いてきた松谷秀幸に)抜かれるのも仕方ない。(南関勢を)味方につけて、犬伏君に勝つっていうのが競輪のセオリーですからね」
犬伏に並ばれることなく、浅井が抜群のタイミングでまくる。逃げる橋本の番手の佐藤慎太郎にブロックのチャンスも与えず、浅井が3コーナー過ぎで前団をとらえる。それでも単騎だけに油断はできないが、追走の松谷を振り切って先頭でゴールした。
「しっかりと仕掛けて勝てたのは大きい。自分も力ある犬伏君、橋本君に刺激をもらって走れた」
地元、中部地区の牙城を守った浅井だが、日本選手権制覇で凱旋した山口拳矢は準決で落車に見舞われ、橋本優己、志田龍星らの地元勢は勝ち上がりを逸した。
「中部勢の層が薄いですし、近畿勢とかには負けてしまう。それでも力勝負をして結果がついてきた。負けるのにビビッてしまわないで、仕掛ければチャンスがある。それが身をもってわかった」
4月の四日市GIIIも単騎でこそなかったが、中部勢は浅井1人というなかでの優勝。劣勢でも臆することなく踏み出すことを若手に示した浅井の存在は、中部地区にとって計り知れない。“僑軍孤進(きょうぐんこしん)”。たとえ1人になっても闘い抜く精神力とセンスが浅井にはある。
結果的には浅井の力に頼る形になった松谷秀幸が、まくりに流れ込んで2着。山賀雅仁を連れていただけに、納得のいかない表彰で振り返る。
「ジャン過ぎくらいで1回詰まるところがあるだろうと。そこで目いっぱいいくか、内から(佐藤)慎太郎さんのところか、前まで行ってと思っていた。そしたら(橋本が)めっちゃ踏んでハイピッチだった。(高松宮記念杯に)気持ちを切り替えて、またですね」
橋本ラインの3番手の菅田壱道は、前の佐藤慎太郎の進路を確認して直線で南関2人の間を踏み込む。ゴール前のハンドル投げで、山賀を交わして3着に届いた。
「(犬伏が)すんなり引いてくれたんで、橋本君のペースでした。自分は内を締めるのに集中していたし、真後ろから来た浅井さんには対応できなかった。慎太郎さんが前に踏んでたから、慎太郎さんのいかないコースをって思って踏んだ。最後のひと伸びで(3着争いに)勝てた。現状の点数だと(11月の)競輪祭(の出場権)もキツいかなっていうのがあったんで良かった」




9RレインボーカップA級ファイナル

小林令選手
「(中島)詩音がいけるところから行ってくれた。できる範囲で仕事はしようと思っていた。すかさず行ってくれて一瞬(村田に)合わされる感じがあったけど、出切ってくれた。(最終ホーム手前で自分のところが)3車併走になって締めこむと(失格する)リスクがあるから、前々に踏んで耐えました。そこから車間を空けて、詩音も掛かっていたから冷静でしたね。2コーナーでは100パーセント、誰も来ないと思った。鈴木君が来ているがわかった。でも、外に振らなくても止まる感じでしたね。詩音の末脚が良くて差せないかと思った。S級に戻っても自力自在で最低限、戦えれば。それぐらいしないといままでと同じ繰り返しになってしまう」
鈴木のまくりは小林のけん制で失速し、直線で鈴木と接触した坂本修一と今藤康裕が落車。鈴木マークの宿口潤平は、外を伸びて2着。
「(鈴木は)位置を取ってくれて、前々にも踏んでくれた。最後は内がゴチャゴチャしていたから、外を思い切り踏んでどうかなと思った。内にいって詰まってダメよりも外を思い切りと。でも、2着まで届くとは思っていなかった。(S級は)もっとレベルが高いから、みんなに稽古をつけてもらって頑張ります」
3位入線の中島は、最後の直線での内圏線踏み切りで失格。まくった鈴木玄人が3着に繰り上がった。
「早めに動き出したのは、相手の自力をフタしていくイメージがあったから。別線を動かして道中から最後まで勝負できればと思ったいた。(最後まで勝負するために)力を温存したけど、それがかえって抑え気味になってしまい、まくり切れなかった。結果、繰り上がりでの3着で、ゴール線を通過した時は決して3着ではなかった。その現実を受け止めてこれから練習します」




次回のグレードレースは、第7回施設整備等協賛「京都向日町カップ」GIIIが、6月8日~11日の日程で向日町競輪場に於いて開催されます。
高松宮記念杯直前の開催のためトップクラスは少ないですが、南潤、太田竜馬、阿部将大、小森貴大など若手の自力型が多く熾烈なV争いが繰り広げられるでしょう。
地元勢は稲垣裕之、畑段嵐士、窓場千加頼らが一丸となって地元Vに邁進します。見どころ満載の4日間です。
5月29日時点の出場予定選手データを分析した、「京都向日町カップ」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
プロスポーツ号外版は"こちら"
高松宮記念杯直前の開催のためトップクラスは少ないですが、南潤、太田竜馬、阿部将大、小森貴大など若手の自力型が多く熾烈なV争いが繰り広げられるでしょう。
地元勢は稲垣裕之、畑段嵐士、窓場千加頼らが一丸となって地元Vに邁進します。見どころ満載の4日間です。
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