『第12回大阪・関西万博協賛競輪in大垣(GIII)レポート』 初日編

配信日:3月13日

 大垣競輪場で「第12回大阪・関西万博協賛競輪in大垣(GIII)」が、3月13日に幕を開けた。初日のメイン、特選では、俊敏に立ち回った鈴木竜士が1着で幸先のいいスタートを切った。また、一次予選では、地元のホープ2人、志田龍星、棚瀬義大が白星を挙げて勝ち上がった。3月14日のシリーズ2日目は、初日特選組も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 GIIIシリーズは開催中の毎日、先着入場者プレゼント(2日目は新ユニフォームデザインタオル・ステッカーセットを100人、ギフト車券が当たるラッキーカードを200人、場内共通お食事券を200人)、山田裕仁さん、山口幸二さんらの大予想会、選手会岐阜支部ステージ・グッズ販売、大阪・関西万博PRステージ、キッチンカーの出店などが予定されています。大垣競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 上昇した佐伯亮輔が赤板手前で誘導後位に入るが、その上を磯川勝裕が押さえる。しかしながら、櫻井祐太郎もすかさず仕掛けて、打鐘3コーナーで叩いて主導権を奪う。北日本3車が出切り、7番手になった佐伯が4コーナーから巻き返して最終周回。逃げる櫻井の掛かりも悪くなく、佐伯は3番手まで。今度は黒田淳が踏み込むが、番手で絶好の阿部拓真が直線で追い込んで抜け出した。
 「(櫻井は)ジャンで踏まされていましたけど、タレることなくだった。(打鐘から)ペースが上がったわりにいい掛かりだったと思います。櫻井君が長い距離を行ってくれた分、余裕はありました。踏んだ感じ出るなって。前回は疲れ過ぎていたので、ケアと練習をしてきた」
 目標の佐伯は外に浮いて、最終バック手前で力尽きる。黒田淳は自ら前に踏み込んで2着に入った。
 「(レース後に)佐伯君はスタートで脚を使ったって言っていたんですけど、僕も隊列が整うのが遅くて呼吸が落ち着く前でキツかったですね。でも、(佐伯は)無理にでも仕掛けてくれた。自分は併走しながらツケマイでしのげたので悪くないと思います」


<2R>

佐藤一伸選手
佐藤一伸選手
 近畿勢が押さえて出るが、そこを島川将貴が切る。前受けから7番手になった板垣昴は、タイミングを取って打鐘3コーナーから踏み出す。安藤直希も合わせて踏むが、島川もペースアップ。最終1コーナーで板垣が叩いて駆ける。3番手の谷津田将吾はからまれながらも追いかけて、島川は中途半端に飛び付く。別線に出番はなく、番手で車間を空けた佐藤一伸(写真)がギリギリまで引きつけて楽に板垣を交わした。
 「車番も良かったし、(板垣)昴のやりやすいように。あとは詰まったところでって感じだったけど、(板垣の仕掛けは)力任せでしたね。構えるかと思ったんですけど。すごい掛かってたんで、自分も付くのにいっぱいだった。あそこまで頑張ってくれたんで、(板垣と)ワンツーを決めたいなって。谷津田(将吾)さんもいたし、そこは自分の技術不足ですね」
 7番手で反撃のタイミングをうかがった板垣昴は、打鐘3コーナーから仕掛けて2着に逃げ残った。
 「前受けから、行けるところでしっかりとって思っていました。出切ったあとは、誰も来ない感じだったのでペースに入れた。それで最後まで粘れるように踏もうと。自分の体調は問題ないです」


<3R>

鈴木裕選手
鈴木裕選手
 赤板1コーナーで先頭に立った田村大が先行態勢を取るも、打鐘手前で堀内俊介が叩く。堀内がペースを落としたところを仕掛けた山本勝利が、最終ホームで主導権。田村の巻き返しは不発で、堀内がまくりを打つ。バック手前で中田健太に張られた堀内が落車。アクシデントを外に避けた鈴木裕(写真)が、そのまま追い込んで直線で抜け出した。
 「田村君は徹底先行ですけど、(堀内は)叩いて待った方が中団を取れるかなって思いました。(堀内は最終)バックでいい出方をしていたんですけどね。あれは避けられないですよね。自分も対処できたわけじゃなくて、たまたま前に倒れてこなかった。でも、落ち着いてすかさず切り替えていけた。自分なりに踏めましたし、体調がいいので動けていると思います」
 鈴木とは逆の内に進路を取ってから追いかけた山本紳貴が、鈴木に2車身遅れての2着で千葉ワンツー。
 「(堀内が)いい位置を取って、いいところで仕掛けてくれました。(堀内とは)同期で連係できて良かったんですけど、落車もあったので。自分はなんか余裕があって、コースも見えていた。練習グループにいい刺激をもらってやれているので、状態はいいと思います」


<4R>

 赤板2コーナーで竹内雄作が、簗田一輝を押さえて主導権。簗田が4番手を確保して、宮本隼輔は一本棒の7番手で打鐘を通過する。宮本は車間を詰める勢いで、4コーナーから仕掛ける。抵抗する竹内を宮本が最終2コーナー過ぎにとらえる。原井博斗、大野悟郎が続いて、中団はもつれる。九州3人の勝負は、番手の原井が追い込んで1着。宮本のスピードを称えて、振り返る。
 「(宮本の踏み出しが)すごかった。最初、離れてしまって、ヤバいなってのがあったけど、付いてリカバリーはできた。ただ、あれが上のレースにいくとっていうのはある。あそこは自分の課題ですね。久しぶりの1着でうれしいけど、付いていくのにいっぱいでした。」
 九州3番手の大野悟郎が、直線で外を伸びて2着。8分の1輪まで原井に詰め寄った。
 「宮本君が強かった。(宮本は)いい時に近づいているんじゃないかと。ただ、まだまだあんなもんじゃないだろうし。自分は原井を見ながら、ある程度、余裕があった。(ゴールは)抜いたと思ったけどね、抜けてなかった。でも、自分的には手ごたえはあります」


<5R>

 月森亮輔に突っ張られた土生敦弘は、3番手の外で橋本壮史に併せ込む。スローペースでレースは流れて、包まれていた橋本は打鐘手前からインを進んで先頭に立つ。月森が浮いて、橋本の先行策で最終周回。橋本がペースを上げて、4番手が小菅誠と月森で重なる。土生が2コーナーからまくるが3番手付近まで。後続との間合いを計った磯田旭が、冷静に差し切った。
 「(橋本は)出切ってからは全部、自分で(別線を)仕上げていました。追走していてキツいなっていう感じでした。もうひとこえ欲しいですね。体も。(自転車は)少しいじります」
 中国コンビをすくって窮地を脱した橋本壮史は、最終ホーム手前からペースを上げて別線を完封した。
 「(土生が)切ってその上を叩こうと思ったんですけど、フタをされた。あそこで引いたら、今後引く選手だと思われるので粘りました。土生君をドカすか、内からいくかでしたけど、誘っている感じだった。出切ってからは磯田さんが付いているのを確認してペースで駆けました。ちょっと9車立てらしくない低速だったので、なんとも言えないんですけど。大垣は走りやすいですね」


<6R>

 周回中7番手になった酒井雄多が先頭に立ち、村田瑞季が北日本勢を赤板2コーナー過ぎに押さえる。酒井は4番手に下げて、単騎の小酒大勇が7番手。主導権の村田は、打鐘4コーナーからペースアップ。吉田智哉は、一本棒の8番手で最終ホームを迎える。2コーナー手前からまくった酒井は、藤田勝也に阻まれる。前団が凝縮されて、3コーナー過ぎから踏み込んだ吉田が、直線で大外を突き抜けた。
 「風が強かったんで、前から脚をためて一発って思ってました。濱田(浩司)さんがスタートを取ってくれて良かった。7車立ての6番手より、9車立ての8番手の方が余裕がありますね。藤田さんの(酒井への)ブロックも想定していた。バックは風が強いんで、ここで仕掛けたら(勝負権は)ないなって。(菊地)圭尚さん目がけていって、(最終)4コーナーくらいから踏んだら届いた。濱田さんが落車したのもなんとなくわかったし、申し訳なかったですね」
 酒井のまくりは不発。星野洋輝は、酒井の余力を見極めて追い込んだ。
 「前が良かったんですけど、(スタートは)みんな早かった。(最終3コーナー付近で)自分は突っ込むところだったんで危なかった。1個、1個遅れていて、かみ合ってない感じだった。でも、ハウス(接触)したあと車が出たんで意外と大丈夫かなと」


<7R>

棚瀬義大選手
棚瀬義大選手
 赤板1コーナーで嵯峨昇喜郎が先頭に立つと、3番手は棚瀬義大(写真)と吉武信太朗で併走。切り込んだ室井竜二に押し込まれた棚瀬は、そのまま打鐘から空いた内を踏んで主導権。松岡篤哉は付いていけず、番手には室井が入る。3番手に嵯峨、吉武、櫻井正孝の順番で最終ホームを通過する。逃げる棚瀬がリズム良くピッチを刻み、室井は3コーナーでいっぱい。2センターから嵯峨も踏むが、棚瀬がセーフティーリードを保ち押し切った。
 「引いたらチャンスはないって思った。中団で併走になっても勝負しようと。嵯峨さんが上がった時にだいぶ内が空いた。削られないようにと思っていったんですけど、後ろが付きにくくなってしまいました。後ろは室井さんしかわからなかったです。ほぼサラ脚で駆けたので、状態はわからない。けど、シューズを換えて良かったと思います」
 予想だにしていない流れになったものの、嵯峨昇喜郎は好位確保から2着に入った。
 「(棚瀬に)フタをして、吉武さんは突っ張ってって思っていたんですけど。上に登った時に全員が内に来ちゃった。状況がわからなくなって空いたところに入った感じですね。バックの向かい風を1回受けていたので脚にきていた。後ろのまくりに合わせていければいいかなって思ったんですけど。疲れがたまっているんでケアをしたい」


<8R>

林大悟選手
林大悟選手
 門田凌も突っ張り気味に踏むが、林大悟(写真)が赤板1センターで強引に出る。そこを打鐘で飛び出した朝倉智仁が、主導権を奪う。林は4番手に収まるも、4コーナーから門田が巻き返す。門田を張った林は、ひと呼吸置いてからまくりを打つ。岡本大嗣のけん制で止まったかに見えた林だったが、直線で盛り返して横一線のゴール勝負を制した。
 「(関東勢を受けて4番手に入ってからは門田が)見えたんで、自分も行かなきゃと思った。けど、朝倉君のペースだったんで、これは(まくりは)出ないなって。案の定、(最終)2コーナーから仕掛けたけど出なかった。(岡本にけん制されて)バッチリ止まった。あとは行けるところまでと。1着だけど、なんか後味が悪いというか、伸びた感じがなかった」
 果敢に仕掛けた門田が合わされて後退。才迫開は、その頑張りを無にすることなく強襲。微差も直線での伸びは目を引いた。
 「(門田は)赤板でもしっかりと踏んでくれて、(仕掛けるタイミングは)門田が行けるところでと思ったけど。(最終)ホームで無理やり行ってくれた。あのまま行かれたらキツかったけど、止まって避けてくれた。そこまでしてくれたら、なんとか勝ち上がろうと。しっかり踏み込んでからは、よく踏めた感じがします」


<9R>

岡崎智哉選手
岡崎智哉選手
 片折亮太、石塚輪太郎の順番で動いて、坂田康季は赤板2コーナーで踏み込む。打鐘3コーナーで坂田が主導権を奪い、後方に置かれた片折はインを押し上げる。4番手が片折と石塚の併走で最終ホーム通過する。苦しい展開かに思われた石塚だったが、外併走から2コーナー手前で仕掛けて小林弘和のけん制を乗り越える。まくり切った石塚に続いた岡崎智哉(写真)が、ゴール前で石塚を差し切った。
 「風が強かったんで自力選手はキツかったと思います。ポンポンって切ったんで、(片折は内を)狙ってくると思っていました。(石塚)輪太郎は対応が早かったですね。併走からでしたけど、トルク感もあって止まることはないだろうなって。自分はもう(最終)3コーナーで合わせられないように。抜けて良かったです」
 楽な展開ではなかったが、地元の竹田和幸を気づかうまくりで石塚輪太郎が別線を仕留めた。
 「(片折に内をすくわれたが、最終)2コーナーから仕掛けないと3番手の竹田さんにチャンスがなくなる。それで無理やり行った感じです。(片折に)当たられたらキツかったですけど、そこは回しながらでした。悪くはないと思うんですけど、あの距離だったんで押し切りたかったですね」


<10R>

 菊池岳仁の突っ張りを警戒するように、松坂侑亮が赤板過ぎに飛び出す。そこに外田心斗が反応して、2コーナー過ぎに出る。別線が脚力を消耗して、菊池に流れが向く。打鐘3コーナーから菊池がスパート。合わせて踏み込む外田とのスピードの違いは明らかで、関東3車が最終ホームで出切る。4番手以下は大きく車間が空いてバックを迎える。菊池の掛かりに別線は圏外。直線で迫る芦澤辰弘、福田滉を振り切って完勝の菊池が振り返る。
 「いい勢いで(松坂に)切られたんで、あとは併走になってもどかすレースをしていかないとって思ってました。(結果的には)前が踏み合っていた。そこを目がけていけば、そんなに脚を使わないでいけるかなと。出切るまでは、前の力を使っていけた。粘れたんで、そこは良かった。あとはまだ上半身がブレている。そこですね。悪いところの方が多いし、技術的なところまで劣っているとっていうのもある。まだGIだとっていうのはあるし、同期の寺崎(浩平)さんとかと比べると脚でも劣っているんで」
 1輪差まで迫った芦澤辰弘は、菊池を絶賛して自身の息を整える。
 「ペースが上がり切っている感じから、(菊池が仕掛けて)さらに上がっていった。まくりみたいでしたね。あれじゃ、中団は飛び付けないと思った。僕は(最終)3コーナーでいっぱいだった。でも、いいマークはできたんじゃないかと」


<11R>

志田龍星選手
志田龍星選手
 中部勢を切って出た近藤隆司が、片桐善也を送り出して4番手。前受けから一本棒の7番手になった志田龍星(写真)は、打鐘3コーナーから反撃に出る。察知した片桐が、ペースを上げて逃げる。それでも強引に志田が、最終1センター過ぎに出切る。坂上樹大は付いていけず、久木原洋が3番手に切り替える。が、志田の掛かりが良く、地元コンビでの決着。ロングまくりの志田が、長尾拳太を振り切った。
 「重かったですね。(踏み出しは)あんまり良くなくて、(最終)ホームぐらいで出た感じですね。バックの向かい風が強烈でした。前回の京王閣が良かったので、そのまま来られたと思ったんですけど(感覚は)良くないですね。体がパンパンなのでケアします」
 直線で詰め寄った長尾拳太だが、わずかに及ばす。
 「ジャンで結構(片桐が)踏んだ。(志田は)もうワンテンポ早く行く素振りも見せましたけど、1回見送った感じだと思います。(追走していて)そんなにしんどい感じはなかったです。けど、久木原さんが切り替えてきていた。昨日(前検日)、雨で乗れなくてバシッと入らなかった。けど、1走して志田君のスピードも体感できましたし(状態的には)問題ないと思います」


<12R>

鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 中本匠栄、山本伸一で順番通りに切る。が、鈴木竜士(写真)は6番手へのスイッチで、河端朋之を後方に置いて打鐘を迎える。3コーナーで河端が仕掛けて、鈴木も合わせる。河端がさすがのダッシュで、桑原大志が遅れ気味。最終ホームで先頭に出た河端には鈴木、車間が空いて桑原が追いかける。鈴木との連結を外した永澤剛は、桑原の後ろからわずかに空いたインを突いて前の2人を追いかける。永澤の後ろには中本。永澤が詰め切る前に、鈴木は4コーナー手前から踏み込んで1着。シリーズを好発進も、鈴木は反省まじりに振り返る。
 「特選だしこういうバンクコンディションなんで、しっかり1周駆けて3着以内に入れればと思っていた。(河端朋之に行かれてしまったのは)力不足ですね。(番手に入ってから脚は)たまっていたんですけど、バックの風がすごかった。(最終)バックから行ければ良かったんですけど、呼吸が整わなかった。河端さんが強かった。自分(の調子)は問題ない」
 直線で永澤を交わした中本匠栄は、上々の伸びも自己ジャッジは微妙の様子でこう口を開く。
 「スタートは出たけど全然だったし、とりあえず動かしてと思っていた。(河端が)来た時に(鈴木)竜士がハコにいったんで、ちょっとイレギュラーでしたね。そこにスイッチして永澤さんが内に行ったけど、自分は失格になっちゃうんで外を回した。要所、要所で見ながらでした。(調子は)自分で動いているので、なんとも言えない。ただ、永澤さんを交わせているんで悪くないんですかね」
 鈴木の俊敏な動きに付け切れなかった永澤剛は、いつにもまして泣きを入れる。
 「(別線に)外から来られちゃって、(鈴木との連結を外して)付いていけてないしダメですね。桑原さんのところはしゃくったけどキツかった。いつもと違うフレームでおかしい。良くないし、モガいている時も変だった。(2日目からは)去年の(5月)全プロの時に使っていたフレームに換えようと思っています」