『豊橋競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:9月27日
 松阪に続く中部地区での記念シリーズ。豊橋競輪場で開設74周年記念「ちぎり賞争奪戦(GIII)」が、9月28日に4日間シリーズの幕を開ける。郡司浩平が優勝した松阪記念から1日おいてスタートする豊橋記念は、新山響平、佐藤慎太郎のS級S班の2人に先のビッグ、共同通信社杯を制した深谷知広らS級のトップ選手がシリーズを熱くする。前検日の9月27日は、翌日からの激戦に備えて、選手それぞれが入念な調整を行った。
 記念シリーズは開催中の毎日、先着ファンサービス、「総天然色豊競予想劇場」など、様々なイベントが予定されています。また、9月28日の初日には元ガールズケイリン選手の濱野咲さんのトークショーも行われます。豊橋競輪場では、みなさまのご来場お待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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東矢圭吾選手
東矢圭吾選手
 東矢圭吾(写真)は、5月武雄でS級に特別昇級を決めた121期の有望株だ。8月京王閣GIIIでは9車立てに初挑戦。S級でもコンスタントに白星を挙げている。
 「S級はみんな強いですし、自分はまだまだですよ。今は風を切って力を出し切ることを第一に考えて走ってます。内に包まれたり、フタされる展開も最近は多いんですけど、そういう時に対応できるように競走の引き出しを増やしていかないとダメですね。ピスト6を走ったり、新人訓練に行ってたりして結構、日程はタイト。でも、新人訓練で大川剛君に会ったりして刺激を受けてきました」
 道場晃規は、直前の9月弥彦FIを連勝で優出。8月和歌山GIIIや、立川記念では一次予選をクリアしており、9車立てにも対応してきている。
 「9車立てにも慣れてきましたね。最近は記念をよく走らせてもらえてるのが大きいです。弥彦は感じが良かったし、それを維持できていればいいですね。初日は積極的なメンバーがそろったし、立ち遅れないように積極的に走りたい」


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 川口聖二は、前回の富山FIから中24日とゆとりのローテーションでここに参戦する。調整面はバッチリだろう。
 「富山が月の始めの開催で、その前が詰まってたんですよ。それで久しぶりにしっかり練習をやりたかったから、一本追加を断ったんです。そしたらそれ以来追加が来なくて、これだけ空きました。練習しかすることがなかったし、しっかりやってきましたよ」
 林大悟は5西武園FIから優出がなく、なかなか持ち味を出せていない。前回の福井FIは落雷の影響で中止となってしまっただけに、今節は仕切り直しのシリーズとなりそうだ。
 「なんか良くないですね。(9月)和歌山は久々に予選スタートだと思ったら初日に飛んじゃったし。その後は立て直せたけど、良くはなかったです。福井が中止になって助かった部分もあります。バック数も減っちゃったんで、しっかり自力を出して戻していきたいです」


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 松岡篤哉は8月玉野FIの完全優勝を皮切りに白星ラッシュ。同月当所での落車の影響も少なかったようで、好成績を維持している。
 「練習を街道練習中心にしたんです。一人でやってるんですけど、それが今の成績につながってると思います。前回の(9月)福井は中止になっちゃったけど、初日の感じは良かったです。藤原(俊太郎)君も強いけど、今の自分の調子なら。負けないようにしっかり組み立てたい」
 藤原俊太郎は前回の9月別府FIで3日間バックを取って2連対。力強い先行策を見せており、本人も納得の手応えだったようだ。
 「前回は良かったですね。最終日は本当は突っ張り先行の作戦なんかなかったけど、初手の並びで突っ張った方が良いなって判断になって、そのまま2着に残れた。追加ですけど、大きい影響はないと思います。今回の岡山勢は練習仲間がいっぱいいるんで、頑張って勝ち上がりたい」


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橋本優己選手
橋本優己選手
 中部地区期待の橋本優己(写真)だが、成績のムラは否めず苦しい時期を過ごしている。地元地区での記念開催で、キッカケをつかみたい。
 「レースが弱気になってますね。調子が悪くなって、自分の中で、仕掛けても前に出られないかもってイメージがついてしまった。フレームとか練習を変えてかみ合わない時期があって、それがダメでしたね。周りの声とかを意識してもしょうがないし、自分はそんなに気にしないようにしてます。もう本当に気持ちだけですね」
 芦澤大輔は8月和歌山GIIIで、20年千葉記念in松戸以来のGIII決勝進出。鋭い差し脚が戻ってきた。
 「やっと前を抜けるようになってきましたね。和歌山では初日に新車を使ったけどセッティングが出なくて、2日目から前のフレームに戻していました。帰ってからゆっくりセッティングを出して、(8月)前橋からは新車の方を使っています。武田亮君は先行基本に走ってくれる選手だし、腕の見せどころですね」


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 大石剣士は前々回の伊東FI、前回の静岡FIと地元開催が続いた。優出した静岡は「最低限だった」と振り返り、V実績ある当所戦に気合を入れて臨む。
 「静岡が終わってからしっかり練習もできたし、状態は問題ないです。豊橋では完全優勝をしたことがあるけど、落車したこともあるんで極端なイメージですね。最近は子どもが産まれて、ちょっと私生活が忙しかった。でも、今回は子どもに会うのを我慢して練習メインでやってきたんで、その成果を出したいですね」
 酒井雄多は、ビッグレース初出場だった共同通信社杯で2日目に1勝をマーク。手応えを感じながらも、上位との力差も感じたようだ。
 「共同通信社杯は調子自体は良かったと思います。でも、調子が良くても上位では通用しないんだなって。負け戦ならなんとかなるかなって感じだけど、上位はやっぱりスピードが違いました。びっくりしましたよ。でも、そこを体験できたのは大きいです。終わってからはちょっと休んで練習しました。初日は(自分も含めて)109期が3人もいるんですね。なかなかない組み合わせだし、負けないように頑張りたい」


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藤井侑吾選手
藤井侑吾選手
 藤井侑吾(写真)は、7月の名古屋記念で2勝を含む3連対。地元の先導役として、初日は負けられない。
 「2週間くらい空いたんで、練習はしっかりやれました。ホームバンクは名古屋ですけど、今はバンク改修で使えないんですよ。基本的には街道で練習して、土日だけ豊橋で練習しています。名古屋記念は着をまとめられたけど、二次予選で飛んじゃったんで、今回は勝ち上がれるように頑張りたい」
 中四国の3車は全員が動けるタイプ。ここは片岡迪之が前回りを買って出た。
 「大川(龍二)さんと以前一緒だった時は、大川さんが前でやってくれたんですよ。でも、今回は僕が前で。共同通信社杯でセッティングをいじって、感じが良くなってきたので自分で動きたいんですよね。点数をかなり落としちゃいましたし、そろそろ上げていかないと」


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岡本総選手
岡本総選手
 ホームバンクの岡本総(写真)は、当然のことながらここに照準を合わせて調子を上げてきた。一次予選の初日から緊張感を持って地元記念に挑む。
 「前回は着を叩いちゃったけど、日にちを追うごとに状態は上がってきた。開催が終わってから期間も空いたんで、やりたい練習もできましたよ。決勝には乗らないとと思っているし、昨日(前検日の前日)から緊張してます。ベストを尽くしたいです」
 その岡本の前を回る横関裕樹は、近況上り調子。得意のまくりが冴え渡り、競走得点も106点台後半まで上げてきている。
 「セッティングも変えてないし、練習方法も変えてないんですよね。ただ、練習量は増えました。失格でS級点が危うくなった時があって、それで追い込まれて練習量を増やしたんですよ。もっと早くからやれよって話ですよね(笑)。ただ、(前々回の)富山はちょっと良くなかったですね。中止になった(前科の)福井も、初日は1着だったけどちゃんと自力を出せていないんで、1走してみて確かめたいですね」


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 山田雄大は今年飛躍した機動型の一人。オールスターではGI初出場も果たした。初めての豊橋で、どんな走りを見せるか。
 「自分は5、6、7月が調子のピークで、この時期になると下がってきちゃうんですよね。それはチャレンジ時代からずっとそうなんです。だから、対応策として最近はウエートトレーニングを取り入れたりしてます。GIにも出られたし、点数もこんなに上がるとは思ってなかったです。自分的にもやれていると思います。豊橋は初めてなんで、指定練習で感じを確かめたいですね」
 福田知也は7月小田原FI初日に、スタート直後にアクシデントに見舞われて当日欠場。2カ月以上の欠場をこう説明する。
 「発走機から出た瞬間に、左脚のふくらはぎが肉離れになっちゃって。それで欠場になりました。練習の感じはまあまあ。あとは、実戦の感覚と、踏み出しですね。踏み出しを100パーセントの力でいけるかどうかって感じです。そこさえクリアできれば戦えると思います」


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中釜章成選手
中釜章成選手
 中釜章成(写真)は、21日に行われた近畿地区プロでのスプリント種目で優勝。同種目2連覇を達成した。卓越したダッシュ力は折り紙付きだ。
 「スプリントの準決勝は福永大智と同着で、くじ引きで勝ったんですよ。持ってるってことっすね(笑)。その後は普通に練習して、いつも通り過ごしてました。豊橋は走ったことがあるけど、あんまり覚えてない。でも、悪いイメージがないってことなんで大丈夫だと思います」
 6月の高松宮記念杯でGI初出場を果たした恩田淳平は、その後もビッグレースを転戦。戦うステージを上げて、さらなるレベルアップを誓う。
 「共同通信社杯は自動番組で自力を出す場面もあったけど、自力でも展開次第ではやれるかなって手応えはありました。それに、久々に自分で動いてやってみて楽しかった。でも、まだまだあのクラスでやるには脚が足りないし、それを補う技術も足りないんで、勉強していかないとですね」


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 渡邉一成は直近12場所のバック本数が24本と、不惑を迎えてもまだまだアグレッシブな競走を貫いている。初日は若手を相手に経験値の違いを見せたい。
 「バック本数はそんなに意識してないけど、気付いたら20本を超えてましたね。先行する場面もレースの展開次第では増えるし、メンバーによっては突っ張りも含めてやってます。状態はそんなに良くはないと思います。歳のせいっていうのもあるんで」
 齋木翔多は、このところ持ち味の積極性が薄れてきてしまっている。今回はフレームチェンジを施して、心機一転で臨む。
 「今回から新車を使います。一応前のフレームも持ってきたけど、使わないつもりです。新車がハマってくれれば準決くらいは行けると思うんですけどね。立ち上げるのが重いんですけど、スピードに乗ってくれれば流れるタイプなんで、記念向きだと思います。最近は成績も良くないんですけど、キッカケをつかみたいですね」


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町田太我選手
町田太我選手
 町田太我(写真)は、オールスター、共同通信社杯と未勝利。それでも、共同通信社杯の2日目は迫力ある先行策でラインでのワンツーを決めており、状態面を悲観する必要はない。
 「普通に練習してきました。まあ、(共同通信社杯の)結果はこんなもんじゃないですかね。2日目は同期の青野(将大)さんに勝てたし、そこは良かったと思います。豊橋は初めてなんですよね。風が強いと聞いてきたけど、夏場はどうなのかな。一走して確かめたいですね」
 6月の久留米記念で落車した中西大は、前回の共同通信社杯で復帰。大きな着が続いたが、今節の仕上がりはどうか。
 「落車で右の鎖骨を折ったんですけど、それと同時に膝も痛めたんですよね。それで(欠場が)長引いた感じがあります。まだ100パーセントとは言い切れないけど、競走はできる状態までは戻せた。初日は松岡(健介)さんが付いて下さるし、しっかり頑張らないとですね」


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深谷知広選手
深谷知広選手
 深谷知広(写真)は、共同通信社杯で9年ぶりのビッグ制覇を成し遂げた。元ホームバンクの豊橋は、思い出深いバンク。初日からそのスピードを爆発させる。
 「共同通信社杯が終わった後は、練習と休養のバランスを見ながらやってきました。検車場もガラッと変わってるんで、なつかしさとかはないけど、走るのは今から楽しみですね。冬は重いバンクですけど、夏場は走りやすいと思います。自力でも番手でも、各々が仕事をして、ラインでうまく決めることが大事だと思ってます」
 地元ビッグを準Vで終えた新山響平は、決勝戦を「冷静さを欠いた」と振り返る。
 「レース自体は落ち着いて臨めたと思います。でも、仕掛けて、出切ったあとがダメでした。ガチャガチャ踏んでしまってもたなかった。体調自体は引き続き良いと思います。豊橋は風が強いイメージがあるけど、暖かい時は軽いんですかね。軽いならスピードレースになると思うし、しっかり対応したい」
 佐藤慎太郎が初日特選で新山の番手回りで勝機をうかがう。獲得賞金ランキングは4位に付けているが、慢心はせずに先を見据えてレベルアップを計る。
 「共同通信社杯は収穫があった。今のままじゃダメだという収穫がね。今まではトレーニングだけを工夫してやってきてここまで来られたけど、これからはフレームとか、セッティングとかももっと向き合わないといけない。トレーニングだけじゃなくて、そういう部分での上積みを作っていかないといけないね。自転車に関しては、まだまだ伸びしろがあると思ってます」