『国際自転車トラック競技支援競輪in豊橋(GIII)レポート』 前検日編

配信日:11月11日
 明日11月12日から豊橋競輪場にて「国際自転車トラック競技支援競輪」G3が開幕する。世界選手権、およびオリンピック・パラリンピックの国際大会に出場する自転車トラック競技選手の育成、強化および環境整備のために新設され、今節がこけら落としとなるシリーズ。今回は地元のスター・深谷知広、金子貴志に、浅井康太を加えた中部最強トリオを中心に、SS班の稲川翔と村上博幸の近畿勢、国際舞台でも活躍するナショナルチームの早坂秀悟らで覇を争う。また、年末のグランプリ出場へ、賞金争いもいよいよ大詰め。直後に控える競輪祭に向けて、今節が前哨戦となる選手たちの走りに注目が集まる。さらに、最終日の第9レースには単発レースの「ケイリンエボリューション」が行われます。
 なお、本場では今回もたくさんのファンサービス、イベントが予定されております。まずは4日間を通して先着入場者に入浴剤をプレゼント。また、移動販売車のケータリング、選手に挑戦、競輪バーチャル体験の「サイクルスピリッツ」、現金・豪華賞品が当たる「未確定抽選会」、さらに、レース予想会(12日は伊藤克信氏、内林久徳氏)、競輪メダリストトークショー(12日は俵信之選手)が行われます。こちらもどうぞお楽しみに。
<1R>
 オープニングレースで注目を集めそうなのは松浦悠士だ。S級に復帰した今年は2Vを挙げるなど大きく成長。前回大垣記念でも2勝と良いリズムで乗り込んできた。
 「初日は自力自在に。中団、中団でまわってタテ脚を出せればいいですね。G3ではまだ二次予選を通過したことがないんですよ。でも、今回は練習もしっかりしてきましたし、感じも良かったので頑張りたいですね」
 大森慶一は前回の地元の函館記念では7277着と今ひとつの数字。気を取り直して今シリーズに臨む。
 「前回は不完全燃焼で終わったんで、今回こそは。函館が終わってから乗りこんできて、感じが良くなりました。それをレースで出したいですね。初日は前回も連係した同期の菅田(和宏)君に任せます」


<2R>
大谷靖茂選手
大谷靖茂選手
 永澤剛は弱気な発言も、特選クラスで得点上位なだけに、ここは負けられない。
 「特選スタートかと思っていました…。(最近は)違反訓練にいきましたね。直前の練習の感じも良くなくて心配です」
 大谷靖茂(写真)は通算200勝まであと一つ。初日に節目を飾れるか。
 「100勝のときもそうだったんですけど、200勝もなかなか決まらないです。2、3着は多いんですけどね。初日は2レースですか。朝は体が動かないから頑張らないと。本調子ではないですけど、良くもなく、悪くもなくですね」

<3R>
 本命となる矢口啓一郎は前回の富山を246着と優出ならず。そこから中2日での参戦となり、状態面が心配されるが、初日から積極果敢に攻める。
 「中2日なんで、疲れはちょっとあります。でも、前回自転車が進まなくて、それを確かめるのに追加を受けました。レースじゃないとわからないんでね。一戦一戦、確かめながら頑張ります」
 その矢口の番手を回るのは武藤龍生。近況は10月佐世保を優出するなど、状態が上向いている。
 「前に比べたら、だいぶ感触は良くなってきましたね。最近は考えなくても、体が反応するようになってきました。矢口さんの番手は初めてです。本当は僕が前で頑張るのが理想ですけど、矢口さんの方が脚があるんでお任せして。いつも通りにやれることをやりたいと思います」

<4R>
 西村光太は10月宇都宮では番手まくりで展開に恵まれながらも、同着で待望のS級初Vを達成。その後も、前回立川を優出と気配は上向きだ。
 「最近は自分のことを考えてレースをしていました。今回は、なるべく後ろのことも考えて走りたいと思います。初日は徹底先行の矢野(昌彦)さんもいるし、今は位置取りを厳しくやっているつもりなんで、しっかりと。(そこから)自力で勝ち上がりたい」
 矢野昌彦は9月の取手を113着で優出以降、一息の成績。しかし、前回立川の最終日に白星を挙げ、手応えをつかんだ様子だ。
 「最近は警戒されて前に出させてもらえなかったりして、組み立てがうまくできなかったですね。立川の最終日に感じが良かったので、それを今後出せるように練習をしてきました。修正もできたし、あとは本番でうまくいけば」

<5R>
冨尾享平選手
冨尾享平選手
 スーパーダッシュを誇る雨谷一樹はコロンビア・カリからの遠征帰り。いつもと同様に競技との切り替えがポイントとなるが、今回は体調不十分で不安を残す。
 「4日に帰国しました。今回は走ってみないと分からないけど、熊本(記念)の前に腸腰筋を肉離れになって、その影響がまだ残ってますね。1カ月経って良くなっていると思うけど、とりあえず走ってみてからですね」
 雨谷が本調子を欠くようなら、チャレンジャーの冨尾享平(写真)にも十分チャンスがありそうだ。
 「雨谷君と対戦するのは初めて。僕と同じダッシュタイプですよね。前回の松戸(最終日)は最後にバテたけど、師匠(乾準一)にセッティングを見てもらって良くなった気がします。初日に勝ち上がりたいですね」

<6R>
河端朋之選手
河端朋之選手
 点数上位の南関勢が本線か。先導役の山中秀将は前回の伊東から中2日で追加参戦する。
 「伊東が終わってからしっかりケアできてないけど、一生懸命走れば大丈夫だと思います。相手は河端(朋之)さんですか。前回より仕上がっていると思うし、点数は持ってないけど、同期で近くで見てきて強いのは知ってるんで。山口(智弘)君も調子が戻っているみたいなので、初日から楽ではないですね」
 その河端朋之(写真)は親王牌で落車して左鎖骨を骨折。今回が復帰2戦目となる。
 「初めて鎖骨を骨折したので。皆が『すぐに練習できると』と言ってたけど全然! まだ違和感が残っているけど、競輪は流れの中で仕掛けるから影響は少ない。7~8割は戻っていると思います」
 山口智弘は長い間、落車の怪我に泣かされてきたが、ここにきてようやく復調の兆しが見えてきた。
 「前期の最後くらいから少しずつ良くなって、今はだいぶ戻ってきましたね。調子が悪いときでもずっと先行してきたので、それで脚が付いてきました」

<7R>
鈴木裕選手
鈴木裕選手
 千葉コンビが中心か。機動型の鈴木裕(写真)は直近の10月弥彦、11月前橋と続けて優出し、良い流れで当所入り。
 「ここ最近は皆が敵になってるみたいで、周りに警戒されていたので成績があまり良くなかったけど、前回で分かったことがあったので、今回それを生かして。落ち着いて行けば大丈夫だと思います」
 対戦する佐野梅一は最近は人の後ろ回りが増えたが、明日は目標なし。自らの脚で勝負する。
 「追加は一昨日に入りました。地元地区とかは番手回りの番組があるけど、僕は後ろでも自力でも感覚は違うけど気にならない。豊橋は前回(9月)決勝に乗っているし、イメージが良いので頑張りたい」

<8R>
 点数上位で積極的な金子哲大が風を切っていくか。ここはしっかり人気に応えたいが、前々回の小松島を2欠着で途中欠場しており、気になるところ。
 「小松島の初日にアップ中に肘を骨折して…。走り終わってから尋常でなく痛かったので欠場しました。前回は決勝に乗れたけど、(決勝は)後ろの諸橋(愛)さんが落車してしまったし、仕事してくれたおかげで決勝に乗れた感じなので。まだちょっとスジが痛いけど、骨は問題ないので大丈夫だと思います。明日は積極的にいきます」

<9R>
古性優作選手
古性優作選手
 一次予選のメインは古性優作(写真)がレースの主導権を握り、澤田義和、地元の鈴木伸之で上位独占を狙う。
 「前回(函館)の疲れは抜けました。今回から新車です。練習では乗ったけど、競走になるとまた違うから感触は走ってみてからですね。G1(競輪祭)で結果を残すためにも、今回頑張って走りたい」
 くせ者・阿部大樹の出方が気になるところ。レースをかき回せば波乱もありそうだが。
 「前回(大宮17着)は補充だったけど1着が取れてるし、最近は流れは良いのかなと思う。練習もしっかりできているので、今回も問題ないと思います」

<10R>
稲川翔選手
稲川翔選手
 ここからはシリーズをリードする特選選手のレース。10レースは当所初出走の早坂秀悟が思い切ったレースでバンクの感触を確かめる。
 「豊橋で全場制覇しました(笑)。最近は調子を上げるために先行したり、まだ噛み合ってない感じですね。だからお客さんに迷惑をかけてることが最近は多い。まくりが決まってるからといって、それにはまってしまわないように。僕は元々先行タイプなので。ただ、調子自体は問題ないので大丈夫です」
 好目標を得た内藤宣彦は、まずは早坂の踏み出しに集中だ。
 「追加は前回(富山)のときに入りました。早坂君とは相性が良いので。ただ、前回から(中2日で)微妙に空いてないので、その辺がどうなのか」
 稲川翔(写真)は終盤にきて調子が急上昇中。10月の千葉記念に続き、前回の函館記念も手堅く決勝に進出した。賞金争いでは大きく遅れをとるも、可能性がある限りグランプリ出場を諦めない。
 「ここのところは好勝負できてますね。競輪祭までできることは限られているけど、地道にやってきたので。ただ、気持ちを出しすぎるとダメなので(平常心で)。山田(久徳)君とは千葉の初日と準決勝でも連係しています」
 石井秀治は地元の千葉記念で落車し、なおも痛みが残るなか函館記念を完走。そして当所を追加で参戦のハードスケジュール。怪我のハンディを気力でカバーする。
 「千葉では怪我がひどかったかし、函館でもまだ痛みが残ってました。でも、函館から1週間あったので、痛みがだいぶ取れましたね。体も戻っていると思う」

<11R>
金子貴志選手
金子貴志選手
 今シリーズV候補の一人、浅井康太は11レースに登場する。実力上位のここはもちろん、人気の中心となるが、直前に体調を崩し、不安を抱えて検車入り。
 「直前に届いた新車でハンドルを簡単に付けただけてモガいたけど、感じが良かった。でも、胃腸系の風邪みたいになってしまって。脚自体は悪くないけど、体調があまり良くないですね」
 連係する金子貴志(写真)はグランプリ出場に向け、残りは当所、競輪祭とあとがない状況。最後の逆転に賭けるべく、ここで好感触をつかみたい。
 「多少(坐骨、恥骨骨折の)痛みが残ってたので、(11月前橋は)大事をとって欠場しました。怪我の部分、左をかばってばかりいたら、熊本記念の前に腰痛が出てしまって。でも、よほど練習で追い込んだり、反復横跳びとかでもしない限り影響はないので。走る分には全く問題ないです」
 稲毛健太は地区プロをこなして当所入り。1キロメートルTTは惜しくも2年連続の準優勝に終わったが、脚力は一級品。明日は相手は強力だが、ペース逃げに持ち込んで逆転を図る。
 「地区プロはあんなもんですよ。いつも調整なしで入るし、最後持たないのは分かってるので。とりあえず(全プロの)権利が取れたのでよかった。競技用の(自転車)を乗ったけど、普通に練習してきたので大丈夫だと思います」
 超細切れ戦のなか、高橋陽介は単騎戦で一発を狙う。
 「追加は2日前に入りました。競輪祭に向けて追い込んでたときに入ったけど、そのあと雨もあったので休養したから、正規と変わらずって感じですね。競輪祭に向けて、セッティングやペダリングなど試したいことがあるので、4日間走りながら様子をみたい。調子は変わらず問題ないです」

<12R>
深谷知広選手
深谷知広選手
 怪童・深谷知広(写真)は最終レース。深谷も師匠の金子と同様に、グランプリ出場は競輪祭Vが条件だ。状況は厳しいが、前回の大垣記念で1年ぶりの記念優勝を遂げるなど、終盤に猛チャージ。地元で結果を残し、競輪祭へ望みをつなぎたい。
 「調子は良いと思うし、(大垣記念優勝の)流れでこれたと思います。(グランプリ出場へ、ここと競輪祭しか)チャンスがないので、しっかり頑張りたい。だいぶ冬風になってきたけど、今回はバンクは軽いと思うので。風が本気を出すと、(上がりタイムが)13秒台になるけど、今回そこまでは。今回はフレームもそのままで、セッティングを微調整しながらいきます」
 対戦する吉澤純平はチャレンジャー精神で積極レースを試みる。
 「まくりに構えても厳しいので。前回の松戸(の準決勝、181着)は立ち遅れてしまった。完全にミスでしたね。もっとその辺を厳しくいくべきでした。(10月の)あっせん停止で1か月練習できたけど、もう少し調子を上げたいですね」
 吉澤を援護するのは前回と同様に、ガッツマーカーの芦澤大輔。敵の反撃をガッチリ止め、茨城ワンツーなるか。
 「前回(松戸252着)は体調が良くなかったけど、徐々に上げているつもりなので。僕らは挑戦者なので2人で良いレースをして、ここで活躍できるように頑張りたい」
↑ページTOPへ