『富山競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:8月28日
 富山競輪場で大阪・関西万博協賛・開設73周年記念「瑞峰立山賞争奪戦・ウィンチケット杯(GIII)」が、8月29日にスタートする。先のオールスターを制した古性優作に新山響平、山口拳矢のS級S班3人をはじめ、守澤太志、坂井洋、吉田拓矢、藤井侑吾、東口善朋、町田太我らが、33バンクを舞台にシリーズを熱くする。地元勢は若い村田祐樹に坂上樹大、岩本和也、松崎貴久らのベテラン勢が脇を固めて他地区に立ち向かう。前検日の8月28日は、多くの選手が33バンクで感触を確かめて、翌日からの戦いに備えた。
 記念シリーズは開催中の毎日、「ライちゃん組み飴」の先着プレゼント、レジェンド予想会、来場応募キャンペーンなどが行われます。富山競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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 内藤秀久は、落車明けだった前回の地元、平塚でのオールスターを43397着。今シリーズは練習をともにする青野将大との連係で、オープニングの1レースに登場する。
 「青野とは(朝の)6時半に乗車で練習しているので、(1レースの)この時間でも大丈夫。オールスターが終わってからは、気持ちを切り替えてしっかりと練習してきた。あとは1、2日目が良くても、そのあとがどんどん落ちていく感じがある。体力的なものなんで、(体の)張りを維持しながらですね。(小田原記念決勝は地元勢で上位を独占して)自分も違う記念だけど、しっかりと結果を残したい」
 半年間のA級ライフを経て今期S級に返り咲いた藤田周磨は、3場所前の福井に次いで今期2度目のGIII。
 「7車立てはA級でも走っているんで、走りなれているところがある。9車は走っている回数が少ないので、苦手でもないけど得意でもない。まだわからない感じがありますね。展開とかも含めて勉強中です。脚自体はいつも通りの練習ができているんで悪くないと思います」

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石塚輪太郎選手
石塚輪太郎選手
 昨年のオールスター以来、1年ぶりのGIとなった前回のオールスターを6628着。俊敏に立ち回って追い込んだ3走目から変化があった石塚輪太郎(写真)が、こう口を開く。
 「半年くらい前から自分のなかでやっていた乗り方とかセッティングを、オールスターの3走目から元に戻した。そしたら道中から楽だったし、4走目も8着だけど悪くなかった。(GIは)FIとはまったく別モノでスピード域も違う。それで自分の乗りやすい乗り方じゃないとキツいなって。(競輪の)レベルが上がって、それにつられて自分もやってみたけど、やっぱり自分に合ったモノがある。昔の乗り方に戻して余裕も出てきたし、もっと良くなると思います」
 渡口勝成は、前回の岸和田FIで2日目、最終日を連勝。3走ともに最終バックを取り、逃げ切りで白星を重ねた。
 「前回の岸和田は初日がもったいなかったです。そのあと2勝できましたし、状態は悪くなかったので予選はクリアしたかったです。前回が終わってから22日空いたので、右鎖骨を骨折した時に入れていたボルトを抜いた。そのあとはしっかり練習をしてきました」

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村田祐樹選手
村田祐樹選手
 村田祐樹(写真)は、チャレンジを含めてA級では3度の優勝があるホームバンク。前回のオールスターでは初めてGIの舞台を経験して、今回は初の地元記念に挑む。
 「前回はオールスターを走らせてもらって、初めてG1を走れて経験になりました。まだまだ脚力が足りないなって感じたので、もっともっとつけていけるように。終わってからは少し休んで、長野で24日、25日に行われた競技の大会に参加しました。今回は初めての地元記念なんですけど、まだ記念の二次予選を突破したことがないので、今回は突破できるように頑張りたい」
 6月の奈良GIIIの3日目に落車に見舞われた兼本将太は、鎖骨骨折を負って復帰場所の地元、熊本FIで2日目に失格。そこからは1カ月以上が空いた。
 「(空いたのは)腰痛です。鎖骨のこともあったし、腰痛と様子を見ながらでした。違和感があったので、練習をやれる程度にはやってきた。ただ、練習とは全然違うので、レースを走ってみないとっていうところはあります。あとはしっかりと組み立てていければ」

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 前回のオールスター4走目で通算500勝を遂げた山崎芳仁だが、GIを9度制している猛者だけにいたってマイペース。
 「(500勝の)1着は佐々木(悠葵)君のおかげだし、自分の脚の調子は普通ですね。500勝だけどあんまり気にしてないし、そこは通過点だと思っています。(オールスターのあとは)疲れを取りながら練習して、まだ疲れがあるけど大丈夫だと思います。(一次予選で連係する嵯峨昇喜郎は最近は)積極性があるし踏めている感じがありますね」
 今年の1月に1年半ぶりにS級にカムバックした坂上樹大にとっては、4年ぶりの地元記念。しかしながら、前回の松山GIIIでは落車失格を喫して、ここまで20日近く空いた。
 「(前回の落車で)ろっ骨が折れたけど、なんとか間に合った。(最初は)ローラーに乗って、そのあとモガきだして、1週間くらいですかね。(練習では)そこそこタイムが出ている選手とかとできたんですけど、本番になるとまた違うんで。前回失格しているんで、点数をなんとか稼がないと。初日が大事ですね」

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南潤選手
南潤選手
 前々回の別府記念では3日目に中止もあり、リズムに乗れなかった南潤(写真)だが、近況はFI戦線で成績をまとめている。前回の岸和田FIでも162着で2連対を果たした。
 「最近は成績通りで走れていると思います。戦法の幅が出ているって言うよりは、引かないところは引かないって感じです。以前だったら、粘られるくらいなら引こうっていうのがあった。でも、それじゃ戦えない。いままでやってこなかったんで、ヨコの動きができるわけじゃない。いきなりやろうと思っても無理なんですけど、自分の位置を取れるくらいは。自分のスタイルでやるためにはっていう感じです」
 邊見光輝は4場所前の平の補充も含めて、直近の6場所で8勝の固め打ち。競走得点も上昇カーブを描いている。
 「最近はFI戦で1着は取れるようになってきたんですけど、9車立ては難しいなって思っています。記念自体が久しぶりなので考えて走らないと。33バンク自体は嫌いじゃないですし、前回も小田原で33バンクだった。まずは初日を突破できるように頑張りたい」

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藤井侑吾選手
藤井侑吾選手
 GIではなかなか思うような成績を残せていなかった藤井侑吾(写真)は、前回のオールスターを3792着。4走で3度の最終バックを取り、最終日は突っ張り先行で根田空史を不発にして、番手の川口聖二とのワンツー。上々の手ごたえをつかんだようだ。
 「(オールスターでは)長い距離を踏んだんで疲れがあった。でも、そのあとはいつも通り練習もできたんで、もう疲れはないです。この前のオールスターでは最終日に突っ張って(ラインで)ワンツースリーが決まって自信になっている。それを記念でも出したい。ここ(富山)は優勝もしているし、その前の富山記念(21年決勝)では3着にも残っているんでいいと思います」
 5、6月のFIでまずまずの成績を収めていた坂口晃輔は、その後2カ月以上の長期の戦線離脱。復帰場所の今シリーズでのコンディションはどうか。
 「練習中に落車してしまって、休んでいました。診断名は頸椎狭窄(けいついきょうさく)からの頸椎損傷でした。ヘルメットが割れるくらいの衝撃で、落車した直後は握力が10キロくらいまで落ちてしまった。しびれとかもありました。本当は地元の松阪から復帰したかったんですけど、間に合わなかった。そこから練習して8、9割には戻ったと思うので今回はきました。練習とかでは駆け出しだったりも不安はなかったんですけど、レースはまた違うと思う。初日から緊張感をもって走りたい」

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 今期はスタートが遅れた橋本壮史は、まだ2場所を消化したのみ。久々のグレードレースにもなるだけに、一次予選での立ち回りも注目される。
 「6月の福井が終わってから、胃腸炎になってしまって休んでいました。練習の感じはだいぶ戻っているんですけど、レースではまだまだですね。初日から石原(颯)君とは強敵ですね。逃げても簡単にまくられていますし、油断していたらカマされて終わったこともあります。なんとか力を出し切れるように頑張りたい」
 地元の伊藤健詞が3番手を固めて、番手には同地区で動ける太田竜馬。富山が初めての石原颯だが、33バンクでも攻略には前向きだ。
 「前回から24日空いたので、松山に行って練習したり、しっかりやってこられました。状態は悪くないと思います。富山は今回が初めてですね。33バンク自体は嫌いじゃないです。太田さんに任せてもらえたので、行けるところでしっかりと仕掛けたい」

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町田太我選手
町田太我選手
 オールスター前のコンディションが一息だっただけに9818着は致し方ない町田太我(写真)が、そこから中10日。今シリーズは上積みが見込めそうだ。
 「(オールスターのあとは)しっかり練習をやってきたつもりです。防府に行ったり、街道行ったり、ウエートトレーニングをしたりしてきました。防府では今回来ている渡口(勝成)さん、(清水)裕友さん、(取鳥)雄吾さんとかとやってきました。みなさん強いんで刺激になっています。モガいている感じから、悪くないなっていうくらいには戻った。(初日は)車番を生かしたレースをしたいですね」
 今期S級にステージを上げた五十嵐綾は、今回が2度目の記念。FIながらも初日予選を連勝していて、ここでも好配当をメイクするシーンがありそうだ。
 「(一次予選は)少なからずどこかにチャンスが生まれると思う。そこを逃さずに行けるかですね。ただ、(町田と中嶋宣成が叩き合っても)その外を行けるかどうか…。(町田は)強いイメージしかない。(S級での手ごたえは)シリーズで1勝ずつできているっていうのはあります。あとは33バンクで初の9車立てなんで、後手を踏まないようにしたいです」

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 落車明けだった前回のオールスターが5598着。後半を大敗が続いた三谷竜生は、シリーズの流れも影響したようで、次のGIを見据える。
 「前回は1、2走目を走って(展開なども)ツイていないなって感じだった。それでそのあともズルズルいってしまった。終わってから少し体調を崩してしまったので走ってみてですね。焦ってもダメだと思うので、いまは10月の寬仁親王牌に向けて、しっかりやっていけたらって思っています」
 東口善朋は、前回のオールスターで一次予選敗退。しかしながら、2着に入った最終日の4走目で好感触を得て、今シリーズの期待も膨らむ。
 「前回のオールスターはイマイチでした。短いクランクだったり新しいセッティングをやってみたんですけど、自分のペダリングができていなかったですね。でも、最終日に20年間使ってきた長さのクランクに戻して、次につながればと思って走ったら感じは良かったです。脚自体とかは問題ないので。今回は前回の分も頑張りたい」

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志田龍星選手
志田龍星選手
 富山出身の志田龍星(写真)にとっては、中部地区での記念以上の重みがある今シリーズ。だが、前回のオールスター954着の成績も加わり、コメントはいつにもまして慎重だ。
 「(オールスターが)だいぶ良くなかった。体調だったり、あんまり調整がうまくいかなかった。(オールスターまで)1カ月近く空いて目いっぱい練習して、調整しないで入ったのが。それが今回に出ればいいんですけど。(富山出身で地元ですけど)2割減くらいじゃないですか…。(今シリーズを含めて6場所連続でグレードレースで)このあとも(グレードレースが)続くけど、9車立てで勝ててないので感じも悪いです」
 志田の番手が巡ってきた井上昌己は、5月の全プロ記念から白星が遠ざかっている。
 「全プロ記念の1着は、たしか後藤(大輝)君がいたと思うんですけどね。(調子的には)ボチボチですよ。最近は練習がキツくなってきて、回復力がなくなってきている。そういう意味では(トレーニング内容とか)考え直さないといけない。(志田は)練習とかは相当、強いみたいですね」

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 23442着とまとめた前回のオールスターの5走だったが、吉田拓矢の自己ジャッジは厳しい。今回はセッティング変更で上積みもありそうだ。
 「オールスターはいいところが、ひとつもなかったので悔しい開催でした。終わってからは少しリフレッシュして、そのあとしっかり練習してきました。今回はセッティングを少し変えます。前回の分も今回はいい走りができるように頑張りたい」
 一次予選は同地区の土生敦弘とのセット。近況はラインの先頭が少なくなってきた清水剛志が、番手での立ち回りにもやりがいを見出している。
 「動ける機会があんまりなくて、動ける時は動きたいっていう気持ちはあるんですけど。(人の後ろを回っている)いまの方が充実している。しっかりと付いていって仕事をしてって。一日、一日が勉強です。練習もしっかりとできているし、疲れの方も大丈夫です」

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古性優作選手
古性優作選手
 古性優作(写真)は、前回のオールスターを31421着。ファン投票1位に選ばれて、その期待に応える優勝で通算7度目のGI制覇を果たした。
 「(オールスターの決勝の窓場千加頼には)安心して付いていきました。競輪学校でのポテンシャルで言うと、もっともっとっていうのがあるんで。そのあと(自分の調整など)は大丈夫です。いつも通りです。ファン投票1位に選んでもらえて、(オールスターを)優勝できた。応援してくれるみなさんがいるんで、今回もちょっとでも車券に貢献できたらいいなっていう思いです。(シリーズが)盛り上がってくれれば」
 その古性とオールスターの決勝で激突した新山響平は、北日本4車ラインのアドバンテージを生かして風を切って3着に粘り込んだ。
 「前回のオールスターは仕上がっていたと思いますし、いい感じで走れました。初日は少し重たく感じましたけど、日に日に良くなっていったので調整もうまくいった感じです。決勝は3着でしたけど、自分のなかでは最終3コーナーでいっぱいで、そこからは気持ちと、体を使ってなんとか最後まで踏んだ感じでした。もう少し長く踏み切れるように。(今年のGIは)あと2つしかない。(次の)寬仁親王牌に向けて追い込んでいきながら、どっちか獲れるに頑張っていきたい」
 地元中部地区からただ一人、特選にシードされた山口拳矢。前回のオールスターは、5走目の3着がただ一度の確定板とあっては強気にはなれない。
 「(オールスターは)見ての通りですね。今年の成績もそうですけど、勝ち切れてない。それが気持ちの面で、良くない方にいってしまっている。1着が少ないので、勝つイメージがあんまりわいてこない。ただ、体調的には問題ないと思います」