『富山競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 2日目編

配信日:8月30日

 富山競輪場で開催されている大阪・関西万博協賛・開設73周年記念「瑞峰立山賞争奪戦・ウィンチケット杯(GIII)」は、8月30日に2日目が行われた。二次予選では、初日特選を制した古性優作が連勝。またあとの2人のS級S班の新山響平、山口拳矢は2着で勝ち上がり、地元からは岩本和也がただ一人、準決に進んだ。8月31日のシリーズ3日目には、決勝をかけて準決の3個レースで激しい火花が散らされる。
 記念シリーズは開催中の毎日、「ライちゃん組み飴」の先着プレゼント、レジェンド予想会、来場応募キャンペーンなどが行われます。また、8月31日のシリーズ3日目には、又多風緑選手、宮西令奈選手による地元選手トークショー、「サイクルパーティー」、「ウォーターパーティー」、大阪・関西万博PRブースなどが予定されています。富山競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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藤井侑吾選手
藤井侑吾選手
 周回中は3番手にいた森田優弥が前団との車間を空けて、そこに後方から上昇した近畿コンビが入る。5番手になった森田は、後方の藤井侑吾(写真)を警戒して、前の原井博斗もペースを上げずに赤板を迎える。一度、内に詰まりかけた藤井だったが、1コーナーで外に持ち出して仕掛ける。合わせて森田も踏み込むが、ダッシュを利かせた藤井のスピードが断然。打鐘3コーナーで藤井が先頭に立ち、西村光太は付いていけない。森田が番手に入り、吉澤純平が続く。藤井のカマシに森田は車間が空いて、4番手以降も離れる。逃げる藤井の掛かりが良く、最終バックでも詰らない。そのままセーフティーリードを保った藤井が楽に押し切った。
 「並び的には森田君(ライン)の後ろが良かった。その通りになったんですけど、みんな強いんで(勝負どころでは)一番後ろになってしまった。森田君に内に誘い込まれて、やっぱりなって感じにもなった。あとはあそこからはどんな形であれ行こうと思っていたんで、無理やり行きました。もうちょっとうまくペースにハメたかったですね。富山は走りやすいし合っているので、自分の感覚も悪くない。ただ、ラインで勝ち上がりたかった。自分が思うようなレースができていないので、そこら辺(組み立て)を考えていかないと」
 勝負どころの赤板2コーナー手前で森田が、藤井に合わせて踏み込む。森田にわずかに遅れながら続いた吉澤純平だったが、なんなく追いつき、前後の間合いを計り2着に追い込んだ。
 「(森田が踏み出した)そこだけだったんで、自分は森田の車輪だけを見てました。踏み出しで空いたけど、そのあとは大丈夫かなと。あとは森田が追いかけていって、追いつかなかったらどうしようっていう感じでした。自分としてはこの間(前回)よりはだいぶ余裕がある。セッティングも落車によってズレていたし、体もズレていたところがあった。あとは練習とレースでは違うんで、そこがどうかなと。でも、初日も余裕があった」


<7R>

杉森輝大選手
杉森輝大選手
 坂井洋が誘導を残したまま引いて、青板3コーナー過ぎに中部ラインを送り出す。その上を石原颯が飛び出して先行策。3番手に纐纈洸翔が飛び付いて、仕掛けた五十嵐綾は外に浮いて打鐘を通過する。根本哲吏が連結を外し、1人になった五十嵐を坂井が追いかける。五十嵐が出切る前に坂井は、最終ホーム手前から発進。関東コンビが出切り、五十嵐、切り替えた小倉竜二になる。五十嵐はいっぱいで小倉が直線で追い込むが、杉森輝大(写真)が番手から勝機をつかんで予選を連勝。
 「坂井君に任せていたので、坂井君が行けるタイミングで行ってくれればと思っていました。付いていて余裕がありますね。脚の状態もいいですし、流れもいい。富山は相性もいいですし走りやすい」
 前団のスピードを確かめて1周を踏み切った坂井洋がまくりで2着。
 「五十嵐君がずっと斜め横にいた。自分のところに降りるのか、前に行くのかって思っていたんですけど。前に行ってくれたので追いかける感じでいきました。ちょっと今回は(体調的に)キツいですね。ちょっとVTRを見てフォームが悪いのか、なんなのか確認します」


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菅田壱道選手
菅田壱道選手
 細切れ戦の4分戦で、菅田壱道(写真)が前団に構える。別線が順番通りとはいかずに、才迫開、兼本将太で切って、最終的に赤板1センターで出た志田龍星が主導権。菅田は一本棒の8番手になり、志田がペースで駆ける。菅田は最終ホームから踏み出す。2コーナーを立ち上がると抜群の加速で菅田が前団に襲い掛かり、坂口晃輔のけん制をものともせず一気にまくり切った。
 「組み立て自体は甘かったですね。ただ、風が強いなかで志田も2周で切っているし、慌てて追い上げに行くよりは早めに仕掛けて行った方がと。サラ脚だったのは自分だけなんで。(まくっていって)才迫のところを通過する前はヤバいかなっていうのがあったけど、(最終)2コーナーで踏んだら伸び方がすごかった。まくり切っちゃうっていう感覚だった。踏み出しが持ち味なんで、そこを集中すればもっといいと思う。守澤さんが言ってくれて前回のオールスターで使ったフレームから換えた。やっぱり守澤さんの言う通り、こっちの方が良かったです」
 北日本コンビの直線勝負。菅田に8分の1輪及ばずの守澤太志が、こう振り返る。
 「志田君もペースで駆けていて、(菅田が仕掛けて)行くとしても無理やりになったと思う。実際に(菅田)壱道が行ったところも無理やりだった。(最終)1センターくらいまではあんまり進んでなかったけど、そのあと一気に伸びましたね。バック線ではスピードに乗っていた。自分は前回よりは良くない感じがあるんで修正したい。踏み方とかですね、ちょっと一体感がない」


<9R>

青野将大選手
青野将大選手
 青野将大(写真)に突っ張られた太田竜馬が下げた青板2センターで、村田祐樹が仕掛ける。カマした村田が主導権を握り、青野は4番手を確保。6番手に太田龍希、太田竜が8番手で打鐘を通過。最終ホームで太田竜が仕掛けて、太田龍も合わせる。さらに青野も仕掛けてまくり合戦。逃げる村田との車間を空けた山口と乗り越えた青野が1着。
 「(青板バックで太田竜と)思ったよりも踏み合いにならなかった。でも、(赤板)4コーナーでかなり上を(村田に)行かれたのでヤバいなって思ったんですけど。出切ってから(村田が)緩めてくれた。あとは後ろが来る前に仕掛けようと思っていましたけど、(山口)拳矢君も前を残したい気持ちがあったと思いますし、そこで隙が生まれたのかなって。脚で勝った感じじゃなくてたまたまだと思う。持ち味の先行はできていないですけど、一発まくりではなくて、脚を使って位置を取ってからまくれているので悪くない」
 村田の先行策で展開が向いた山口拳矢だったが、同期の青野のまくりに屈して2着。
 「(青野が太田竜を)突っ張ったあと慌てていかなくてもって思っていましたけど、(村田は)落ち着いて行ってくれた。青野さんは見えないところを来られてしまった。技術不足ですね。(村田は)初連係だったので緊張しましたけど、全然タレてくる感じもなかった。けど、自分が横に振れないところで来られてしまって申し訳なかったです」


<10R>

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 青板4コーナーで金ヶ江勇気が押さえて、そこを渡口勝成が叩きに出る。しかしながら、金ヶ江も合わせてペースを上げて駆ける。打鐘3コーナーで小林弘和が、渡口を外に張る。空いたインを三谷竜生が突いて中団がもつれる。後方になった吉田拓矢(写真)は、最終ホーム手前からまくる。3番手から三谷が1コーナーで1車押し上げて小林をさばくが、小林、渡口が落車。2コーナーで吉田が前団をとらえる。関東勢を三谷が追いかけるが、前の2人との距離が空いたまま直線へ。追い込む諸橋愛を吉田が振り切った。
 「(別線の)動向を見て、隊列が短くなったところで(仕掛けて)行こうと。ちょっと仕掛けが遅くなったけど、行くところで行けた。ただ、余分なところも多かった。一番良かったのは渡口君(のライン)にスイッチしていければ。最後まで踏めたけど、バンクがガタガタでうまくスピードに乗せられなかった。脚は悪くないと思います」
 最終2コーナー手前での落車のアクシデントもあって、まくり切った吉田とマークした諸橋愛の後ろは圏外。諸橋が1輪差まで差し込んだところがゴール。
 「(吉田がバランスを崩して)いなくなるなよって。でも、そのあとはさすがだった。勝負どころを見極めて、ここで行けばっていうところで行った。僕は抜きたかった。タイミング的にも(吉田)拓矢は(打鐘)4コーナーくらいから踏んでいるんで、拓矢はいいのかと。ただ、自分は残念って言うしかない。1周くらい行ってるんで差したかった。(3日目以降も)自分は踏み出し勝負なんで、そこさえ付いていければ」


<11R>

南潤選手
南潤選手
 スタートを制した新山響平が前受けから。青柳靖起を青板バック過ぎに新山が突っ張るが、青柳も下げずに両者の踏み合いで赤板に突入。2コーナー手前で青柳が後退して、新山が主導権を死守。南潤(写真)は4番手をキープする。新山が別線の仕掛けを警戒しながらラップを刻み、最終周回へ。詰める勢いで南が、バック手前からまくる。新山も踏ん張るが、直線半ばでもうひと伸びした南が1着。
 「(打鐘で車を外に持ち出しかけたが)正直、新山さんは余裕をもって回している感じだったので、(仕掛けて)行っても合わされるなって思ってしまった。レースが終わって東口(善朋)さんにはあれで良かったとは言われたんですけど、これからもっと上を目指すなら考えないといけない。あそこで行って押し切れるぐらいの脚をつけないと。脚を使っていなかったので、トルクをかけながら行けたので外に膨らまずに行けたと思います」
 タイヤ差で2着の新山響平のレース内容は申し分なかった。青柳との踏み合いで脚力を消耗したのが、ラストの直線で響いたのだろう。
 「青柳君のダッシュが良かったので、スパッと突っ張ることができなかった。それで(踏み合いが)長引いてしまったんですけど。(ペース配分としては)1回トップに入れて(スピードに)乗せて、へばりつかれないようにと思っていた。あとは南君を見ながら33バンクですし、ラインで決まるようにと。最終バックでは押し切れるかなっていう感じだったんですけど。ちょっとサドルを高くしてみた。もう少し伸びしろがあるのかなっていう感じです」


<12R>

古性優作選手
古性優作選手
 周回中の隊列の順番通り動いたところを、前受けの石塚輪太郎が赤板手前から仕掛ける。坂上樹大はダッシュに付いていけず、打鐘2センターで叩き切った石塚に古性優作(写真)。3番手に藤田周磨が入り、最終ホームを通過する。5番手になった松本秀之介は前団との車間が空いて、詰めながらバック手前でまくり上げる。古性は俊敏に松本を振って、後続をギリギリまで引きつけて追い込んだ。
 「(仕掛けた石塚は)すごいいいダッシュだった。(小林令のけん制は)来る前に挙動でわかったので避けた感じでした。そのあとの(後ろに坂上がいないのも)わかっていました。7番(松本)がもうちょっと早く仕掛けて来るかと思ったら、しっかりまくり追い込みだったんで難しかった。坂上さんがいないので、(石塚)輪太郎とワンツーを決められれば良かったけど自分の技量不足です。自分に力があれば決められれるし、輪太郎が頑張ってくれたのに。今日(2日目)は重かった」
 古性のけん制で松本が膨らんで、最終4コーナーでできたスペースを井上昌己が追い込んだ。
 「(石塚と藤田で)モガき合ってくれたらチャンスだったけど、(石塚に)出られる想定もしていた。(松本は最終)ホームのところで関東勢と空いてしまってたんで、そこは反省かなと。追いついた勢いで(松本がまくって)スピードは良かった。(松本)秀之介が(古性のブロックを)予想以上に避けたんで、あそこを踏みました。自分は体がキツいですね。周回から変な感じがする。セッティングを変えたんで、踏むポイントが違っているんだと思います」