『第13回大阪・関西万博協賛競輪in富山(GIII)レポート』 初日編

配信日:6月12日

 富山競輪場で富山市合併20周年記念「第13回大阪・関西万博協賛競輪(GIII)」が、6月12日に幕を開けた。初日のメイン、特選では、単騎の野田源一がまくりで抜け出して好調をアピール。また、一次予選では、町田太我、大川剛、岩谷拓磨、岸田剛の若い機動タイプが白星を挙げた。6月13日のシリーズ2日目には、初日特選組も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 GIII開催中は毎日、200人に「富山銘店のお菓子」を先着プレゼント。大阪・関西万博PRブース、レジェンド予想会などが予定されています。富山競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 中近勢が前団。近谷涼は誘導を残したまま下げて、そこを塚本瑠羽、吉田智哉の順番で動いて、朝倉智仁が赤板手前で先頭に立つ。茨城勢に乗った近谷が叩きに出るが、朝倉が突っ張り主導権。浮いた近谷を打鐘で川口聖二が3番手に迎え入れる。8番手に置かれた塚本が、4コーナーから仕掛ける。近谷との車間を空けた川口がけん制して、近谷もバックからまくるが進まない。逃げる朝倉の番手の杉本正隆が余裕をもって近谷を外に振る。中のコースを突っ込んだ福島武士、外を伸びた川口を退けた杉本が1着。
 「(朝倉は)頼もしかったですね。そんな(先行する)感じじゃないと思ってたんですけど。(近谷を突っ張ったあとは)ペースで行ってくれました。(自分は前回で落車しているが体は)大丈夫です。(前々回で失格していて)あとはメンタルだけですね」
 地元の近谷との車間を空けて後続を阻んだ川口聖二は、直線で外を追い込んだ。
 「走る前は近谷さんの緊張感も伝わってきて、久々に自分も緊張しました。終始、余裕はあったので1着を取りたかったんですけど。(最終)3コーナーでバックを踏んでしまった。指定練習で走った感じは少し重いかなって思ったんですけど、走ってみたら気にならなかったですね。シューズを新しくしているので、サンの位置を調整したい」


<2R>

町田太我選手
町田太我選手
 中川聖大の上昇に、町田太我(写真)はすんなり下げる。青板の4コーナーで藤田周磨が中川を押さえて出るが、すかさず町田も巻き返す。合わせて踏み上げる藤田を叩いた町田が主導権。藤田が番手に飛び付いて打鐘を迎える。隊列が短くなったところを中川が仕掛けるが、町田の掛かりがいい。番手は藤田が取り切って、柿澤大貴の追走で最終周回。ラインを失った町田だったが、そのまま別線を完封して押し切った。
 「(前受けから)突っ張ったら長いなって、そこは最近の自信のなさですね。出切れたと思って流しすぎた。(藤田に)飛び付かれて、後ろに申し訳ないことをしました。(番手は)雰囲気で内(藤田)が勝っているだろうなと。踏み直せるペースではありました。ただ、これで上位陣、110点が相手だったら、まくりが来ていたと思う。(新車の)自転車は進む感じがありました。硬い自転車だけど、力が伝わっている。暖かくなったのもあるし、自分も体重が増えて力がついたので踏めている」
 同期の町田の番手を奪取した藤田周磨は、1輪差の2着。
 「(町田の仕掛けが)もうちょっと遅かったら、全開で踏んで合わせようと思ったんですけど。あとはもう番手、3番手、引っ掛かったところで勝負しようと。(番手を取り切って)詰まったところで仕掛けられれば良かったけど。町田が強いのも知っているんで…」


<3R>

 前受けの山根慶太は、竹内雄作の上昇に合わせて動いた安彦統賀を出させず、青板バック過ぎに踏み上げる。山根がペースを握るが、赤板で4番手から安彦が仕掛ける。2コーナー手前で安彦が出切り、そこに竹内が襲い掛かる。最終ホームで竹内が叩き切るも、伊藤裕貴は付け切れない。1コーナーから山根が巻き返すが、番手に収まった安彦も踏み上げる。抵抗する竹内をとらえた安彦にマークしていた朝倉佳弘が、追い込んで1着。
 「竹内君がいい勢いで来た。竹内君は止められなかったですけど、伊藤君を止めようと。後ろは川口(満宏)さんでしたし信頼していた。一発で止められれば良かったんですけど、2回目に大きな動きで止めてしまった。自分の技術不足でした。そのあとも竹内君をねじ伏せてくれた安彦君の気持ちの強さと脚力。本当にいい自在選手になったなって感じました」
 山根が不発も田中勇二は、最終2センターから外に持ち出して2着に伸びた。
 「本当は最後に中を行こうと思ったんですけど。外でも届くと思って踏みました。最近は自転車的にも体的にも伸びていなかった。今日(初日)は走った感じは久しぶりに伸びたなって思う。今回はやれそうですね」


<4R>

大川剛選手
大川剛選手
 貴志修己、棚瀬義大の順番で出て、堀内俊介が赤板で先頭に立つ。前受けから7番手になった大川剛(写真)がすかさず仕掛けて、堀内もペースを上げる。打鐘3コーナーでけん制した内藤秀久を乗り越えて、大川が最終ホーム過ぎに叩き切る。しかしながら、保科千春は、内藤秀久にさばかれる。堀内が番手に飛び付いて、内藤が続く。貴志のまくりは、中団のあおりで不発。バックを通過して3コーナーから棚瀬が、内藤の内を突いてもつれる。番手から追い込む堀内をわずかに振り切った大川が1着。
 「車番的にスタートは取れないかと思った。けど、取れたんで順番が来たら(仕掛けて)と思ってました。(堀内が)出してくれるのかなと思って、(踏み込みが)中途半端になって後ろに迷惑を掛けてしまった。僕が出切った段階で(保科千春は)いないと思った。キツかったですね。体が重かったけど、1着が取れたんで良かった」
 内藤と息の合ったプレーで大川の番手に収まった堀内俊介が2着。
 「(別線は)みんな積極的なタイプなんで、出切るところはしっかりとやらないとって。そこは不安だった。前に出てからは落ち着いて走れた。自分がビビっちゃったのもあるし、もうワンテンポ早く踏めれば内藤さんも楽だったと思う。あれで(大川を)抜ければ良かった。感触的には良くなっているけど、まだ足りないところがたくさんある」


<5R>

久米康平選手
久米康平選手
 青板3コーナーで磯島康祐が切る。久田裕也は3番手で青柳靖起との併走から踏み込んで、赤板手前で押さえる。四国ラインが出て、4番手は磯島と単騎の水森湧太で取り合い。久田がうまくペースを握り、徐々に踏み上げて駆ける。4番手は磯島が取り切るが、仕掛けられない。番手で願ってもない展開が訪れた久米康平(写真)が、抜かりなく追い込んだ。
 「(久田は)ずっといいペースで、切った勢いのままちょっとずつテンションをかけて行く感じだった。あれだと後ろも来づらいかなと。(最終)バックくらいまでずっとそんな感じでしたね。網谷(竜次)さんもいたんで、網谷さんには内に入ってもらって。ラインでワンツースリー決まればって思ったんですけど、(2着が同着で)ワンツー、ツーなんで最高ですね。今年初勝利です。ちょっと1着が取れるイメージが薄れてきていたんで、今日(初日)もどんな展開になっても抜けないかなって思っていたんで良かったです」
 ラインでの上位独占をメイクした久田裕也は、2着を網谷と分け合った。
 「磯島さんも赤板で僕待ちみたいな感じだった。脚を使わずに行けました。ペース配分もちょっとずつトルクを足していく感じでいった。ラインで決まって良かったです。(今回フレームを戻して)いいのはいいんですけど、セッティングを少し修正します」
 網谷竜次は、直線で徳島コンビの間を踏んだ。
 「自分はしっかりと追走することに集中していました。内を空けないようにしっかりと。(最後は)久米君がヨコに動くというよりもタテに踏んでくれた。外はかぶっていましたし、間を踏ませてもらいました」


<6R>

岩谷拓磨選手
岩谷拓磨選手
 荒木貴大は中団で岩谷拓磨(写真)に併せ込んでから、赤板手前で仕掛ける。日高裕太を押さえた荒木が先行態勢を取り、7番手になった岩谷は打鐘手前からスパート。岩谷がダッシュを利かせて前団に襲い掛かり、山口敦也は付け切れない。スピードの違いで一気にとらえた岩谷が、そのまま後続をちぎりひとり旅。追いかける荒木は詰まらず、日高は山口ともつれて嶋津拓弥が自力に転じる。だが、8番手からまくった嶋津は前が遠い。後続を大きくちぎった岩谷が圧勝。
 「早めにしっかりと仕掛けて、遅くても(最終)ホームでは出切ろうと思っていました。赤板くらいまで荒木さんがフタをしていたんで、流れが止まって、トントンってすんなりはいかなかった。僕は踏み出しは軽かったけど、(山口)敦也の方が…。バックでは(後ろが)いないのか、車間を切っているのか気配がなかった。(中2日での追加配分で)朝乗った時も体は重たかった。(前回の)別府のあとに練習もしっかりしたし疲れもある。これが抜けてくれればっていうのはあるけど、この状態で1着スタートなんで。(富山は)ふるさとなんで、いつも以上に気合を入れていかないと」
 岩谷に離れた山口に降りられた日高は万事休す。嶋津拓弥は、最終2コーナーから藤田大輔を連れてまくった。
 「展開が難しかった。(日高が内に包まれて)自分もあそこにいても無理だなって、前に踏まさせてもらった。自分で行こうって気持ちになっているんで、悪くないかなと。調子はいいし、流れも引き続きいいと思います」


<7R>

 赤板過ぎに梶原海斗を叩いた安藤直希が主導権。近畿勢を追った嵯峨昇喜郎が3番手に収まり、梶原は5番手に下げて打鐘を迎える。逃げる安藤の番手で清水剛志が車間を空けて、嵯峨も間合いを取る。3番手の嵯峨が詰める勢いでまくり、最終3コーナー過ぎに前団をとらえる。飯野祐太は、最後のハンドル投げで嵯峨をきっちり差し切った。
 「(嵯峨が赤板過ぎに追い上げて3番手の)あの位置が取れた。あとは自分のタイミングで行ってくれればって思っていました。梶原君が来ても嵯峨君が合わせていくと思っていた。嵯峨君が踏んだ瞬間に行けるかなっていうのはあったので、あとは外と内と見てでした」
 梶原が下げて、嵯峨昇喜郎は脚力を消耗することなく3番手を確保。好位置からのまくりで仕留めた。
 「(赤板手前で)ワンテンポ遅れてしまって、安藤さんラインと車間が空いてしまったんですけど。もうちょい詰めていければ良かったです。安藤さんが先行態勢に入ったんで、落ち着いてと思っていた。もっと早く行けるかなって思ったんですけど、(安藤の)掛かりが良かった。それでためる感じになりました」


<8R>

 太田龍希は、赤板で新村穣の上昇を阻み突っ張る。そこを谷和也が仕掛けるが、太田も踏み上げる。打鐘3コーナーで主導権を奪った谷に稲垣裕之が続くが、岩本和也は付け切れない。太田が3番手に入って、岩本が5番手の一本棒で最終ホームを通過する。3番手の太田はなかなか車間が詰まらず、岩本が2コーナーでまくる。番手の稲垣が、後続とのスピードを計り追い込んだ。
 「(谷は)果敢に攻めてくれて、強い走りをしてくれた。自分もしっかりと隙を見せないで、飛び付かれないように追走した。(後ろの)気配がなくて、(最終)3コーナーで岩本さんが見えた。スピード差がわからなくて、もうちょっと待っても良かったですね。結果、(ラインの)3人で決まったんで良かった。(股関節の手術をして)1年かけて、やっと普通の体調に戻った。練習でも負荷をかけたやりたい可動域での練習ができて、痛みもない」
 連結を外した岩本和也は、5番手で態勢を整えてまくりを敢行。結果的には、ラインでの上位独占になった。
 「谷君が強いから、みんな踏んだ。それで嫌なところで空いてしまった。勝手に判断してしまった。(連結を外して)自分の悪いところが出てしまって、そこは反省するしかない。そのあとは自分なりに踏んで、なんとか(ラインで)合体できるようにでした。ここにきてセッティングの悩みがなく走れている。(前回の)静岡の2日目からいい感じですね。それでいつもより自信をもって走れた」


<9R>

津村洸次郎選手
津村洸次郎選手
 後ろ攻めになった櫻井祐太郎が青板バック過ぎに出て、そこを南潤が押さえる。南がペースを緩めて、赤板1センター過ぎに田村大が飛び出して主導権。南が3番手、櫻井は5番手になり打鐘を迎える。後方の南関勢に動きはなく、最終ホーム手前から櫻井が発進。が、櫻井は南に合わされ、今度は津村洸次郎(写真)が番手まくり。南は不発で内に切り込んだ谷津田将吾が津村の後ろに入り、須永優太も追い込む。直線で抜け出した津村が1着。
 「切って切ってでっていう感じで、田村君がすかさず仕掛けてくれたので集中していました。もうちょっとサポートできれば良かったんですけど。自分の実力不足ですね。練習方法を変えてから、調子は良くなっていますね」
 櫻井のまくりが合わされて、北日本勢には苦しい流れ。最後は外を伸びた須永優太が2着に届いた。
 「あそこからが櫻井君の真骨頂だと思ったんですけどね。あおりも大きかったですし、厳しかったですね。あれ以上、待ったら(勝負権が)ないと。新車の感じはいいです。前回までのをアップデートした感じです。もうちょっと煮詰めれば良くなりそうです」


<10R>

 スタートを出た村田祐樹が、青板バック過ぎに坂本周作を突っ張り主導権は渡さない。坂本が4番手に降りて、赤板手前から片桐善也が仕掛ける。鈴木輝大は付いていかず、片桐が前団に迫るも番手まで。坂口晃輔にけん制された片桐は、最終2コーナーで後退。丸山直樹が先に追い上げて、後方になった鈴木がまくる。逃げる村田も長い距離を踏んで、直線半ばで失速。鈴木がゴール寸前でとらえた。
 「(片桐)善也君が行った時に付いていかなきゃいけないけど、厳しいかなと。脚ためて一発と思った。(丸山が追い上げていって)そこも自分が先に追い上げていかないといけなかった。(村田と片桐で)2人で踏み合ってたんで、一発が出るかなと。追い込みになろうと思っているけど、1着を狙っていける時はいかないとって。感じは悪くないし、(S級の競走得点がかかっているので1着は)デカい」
 地元の村田祐樹は、敢然と突っ張り先行策に出て2着。
 「車番もあったんで、前が取れたら(突っ張ろうと)。(坂本を)突っ張ったあとに、(青板の)4コーナーで(片桐に)すかさずこられるとキツいかなと。そしたらちょっと間があった。それで来た瞬間に前に踏んだ。ちょっとペースが中途半端でした。今日(初日)は風が強くて、自分にも力みがあった。(2日目以降は)今日より悪くならないように気持ちをつくっていきたい。気持ちも含めて、良くできると思う」


<11R>

岸田剛選手
岸田剛選手
 伊東翔貴、幸田望夢の順番で動いて、赤板過ぎに岸田剛(写真)が先頭に立つ。八日市屋浩之まで3車で出切り、幸田が4番手。岸田がピッチ良く風を切って後続を一本棒にして、最終ホームを通過。バックで幸田が仕掛けるも、岸田の掛かりがいい。空けた車間を詰めて直線で追い込む高久保雄介をタイヤ差でしのいだ岸田が1着。
 「(別線が)切って切ってで、早めに行ければと思っていた。あとは後ろを信頼していた。出てからは自分のペースで踏めました。風はありましたけど、そこまで気にならない感じでした。(GIII初勝利となったが)うれしいですね。(近況は1着が増えてきているが)先行のペース配分が良くなってきていると思います」
 近畿ワンツー決着で番手の高久保雄介が2着。
 「岸田君が強かったですね。あんなに強いなら車間を空けなくても良かった。(岸田の番手を回って)この感じで抜けなかったのは初めてですね。自分も悪くないと思うんですけど…」


<12R>

野田源一選手
野田源一選手
 青板3コーナーで橋本壮史が、岡崎智哉を押さえる。単騎の佐藤一伸が3番手に続いて、岡崎は4番手。6番手になった松本秀之介は、赤板1コーナーから仕掛ける。もう一人の単騎、野田源一(写真)は最後方。橋本と松本の叩き合いで打鐘を迎える。松本が叩き切るも、最終ホーム手前で佐藤が踏み上げる。佐藤を岡崎が追いかけて、野田は2コーナーからまくりを打つ。佐藤がまくり切るも、野田のスピードが断然。あっさりのみ込んだ野田が1着。
 「(最初に動いた茨城勢に付いていくと)岡崎君が粘ったり、間髪入れずに松本(秀之介)君も叩いたりするんで、一発目のラインには乗っていかないでと思っていました。できるだけフリーの状態がいいかなと。初日でメンバーのいい特選で、どれくらいタテ脚を使えるかなっていうのを確かめたかった。ジャンくらいでは余裕があったけど、最終ホームでは口が空いた。追いつかないとって、詰まったところで行った。狙って行ったわけじゃないですね。余裕はなかったけど、踏み出した瞬間、良かった。(連続Vで)最近の成績は上デキだけど、結果が出ないのはなぜかなっていうのはあった。やっとかみ合ってきたし、もう少し早く結果を出したかった」
 単騎の佐藤のまくりに乗った岡崎智哉は、最終4コーナーで単騎の野田にスイッチするように追い込んだ。
 「佐藤がまくりに行ったので、マークみたいになった。踏まなアカン、踏まなアカンって思っているけど、車の出が良くない。踏んでいるけど出ない。反応が佐藤より良くない。理想を言えば、佐藤が行ったところをまくりたかった。ラッキーやった、それ以外ない。単騎の2人のまくり合いに乗っただけですね。(名古屋、岐阜と連続で)落車する前も良かったわけじゃない。純粋に実力です」
 岡崎追走の岡本総は、3着に目を細める。
 「僕自身、余裕がなくて、岡崎さんの後輪を見ていただけですね。なんとか付いていけて良かった。疲れがたまっていて、重い感じがある。最終日に向けて軽くなってくれればいいかなって思います」