『第13回大阪・関西万博協賛競輪in富山(GIII)レポート』 最終日編

配信日:6月15日

 富山競輪場で開催された富山市合併20周年記念「第13回大阪・関西万博協賛競輪(GIII)」は、6月15日に最終日が行われた。地元からは村田祐樹が優出を果たした決勝は、4車で結束した北日本勢が主導権。番手の佐藤一伸が自力に転じてまくりを打ち、飯野祐太がゴール前で佐藤を交わして優勝。22年の富山以来、通算2度目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると、岡本総が最内枠を生かして誘導員を追う。村田祐樹-岡本の中部勢が前を固め、3番手からが谷和也-岡崎智哉の大阪勢。嵯峨昇喜郎-佐藤一伸-飯野祐太-須永優太の北日本勢が後攻めで、単騎の柿澤大貴が最後方。
 青板周回のホームストレッチ手前から後方の嵯峨が上昇しかけるが、中団の谷も車を外に外してその動きをしきりに警戒する。嵯峨が一旦後方に戻ると、柿澤は大阪勢の後ろに切り替える。下げた嵯峨はバックで再び仕掛けて先頭に立ち、この動きに合わせて踏み込んだ谷が5番手に入る。村田は8番手に下げる。先頭に立った嵯峨は赤板周回でペースを上げていく。2コーナー付近から撒き返す村田、最終ホーム手前から仕掛けた谷が徐々に前に迫るも、佐藤が1コーナー過ぎに外をけん制しながら番手まくりを放つ。佐藤のブロックを受けた谷は後退し、大外を回った村田は2コーナーの下りを使って3番手の外まで迫るもそこまで。2センター付近で力尽きる。福島トリオでの直線勝負となり、佐藤の番手まくりをゴール手前で交わした飯野が、2度目のGIII制覇を再び当所で成し遂げた。佐藤が2着、3着には須永が入った。


飯野祐太選手
飯野祐太選手

 不惑を迎えた飯野祐太(写真)が、またしても富山でチャンスをモノにした。22年11月の当所でのGIII初制覇が38歳。08年にヤンググランプリを制してからグレード戦線では期待されながらも、“無欲”の走りで北日本勢を引っ張ってきた。その経験を糧につかんだ優勝には、自然と笑顔があふれてくる。
 「今回はメンバー的にも、(優勝は)厳しいかなって思ったんですけど。競輪はラインだと思うし、今日(最終日)は本当にラインに助けられました」
 北日本勢が大挙、勝ち上がった決勝は、嵯峨昇喜郎を先頭に4車で結束。中部、近畿がそれぞれ2車のラインで、関東勢は柿澤大貴が単騎。数的有利を生かして、嵯峨がレースを支配。赤板手前からグングンと風を切り、佐藤一伸、飯野、須永優太の福島トリオが抜かりなく続いた。
 「嵯峨君が赤板から駆けて行ってくれたので、ラインで決めることができました。昨日とコンディションが違った。(バンクが)終始、重い感じだった。(佐藤)一伸もいっぱいそうだったし、自分も余裕はあったんですけど脚にきていました。でも、後ろ(になったほかのライン)はもっと脚にきていたのかと」
 8番手に置かれた地元の村田祐樹が2コーナーから反撃に出て、合わせるように5番手の谷和也が仕掛ける。最終1コーナーで佐藤が谷を張ると、そのあおりで村田も大きく外に膨れる。佐藤は迷うことなく、その勢いで番手発進。そこで大勢が決まり、佐藤と飯野にV争いは絞られた。
 「(谷が)来た時に(佐藤が)一度、振ってから出ていく形だった。それが結構、いいブロックというか、それでほぼみんな止まった。あとは村田君が来ていたんですけど、自分はムダな動きをしないでと。全体的に(周りが)見えていたので、おそらく乗り越えてはこないだろうなっていうスピードだった」
 終わってみれば福島の3人で上位を独占。外から佐藤を差し切って優勝の飯野が、こう振り返って笑った。
 「(直線で)一伸がもってきたので、内に行かれちゃうよって(笑)。須永と岡崎(智哉)も来ていたんで」
 “幸せ配達人”だけで終わることなく2度目のGIII制覇。少しの欲は出てきたが、この先もライン、仲間を思いやるスタイルは変わらない。
 「35歳くらいから本当に自分も獲りたいなっていうのが、急に出てきた。それでまた今回、獲れた。(嵯峨)昇喜郎が覚悟をもって先行してくれた。それでワンツースリーが決まった。競輪は40歳から、こっからですね(笑)」

 単騎だった初日特選を除いては連日、重責の番手回りだった佐藤一伸。番手まくりで嵯峨の意気に応えた。
 「嵯峨君が頑張ってくれた。でも、あれで勝てないならGIIIは優勝できないなって…。(嵯峨は)赤板から踏み込んでいってくれた。ちょっと早いかなって思ったんですけど、気持ちがうれしかった。(最終)ホームで谷君が来たのが見えて振ったんですけど、振った時に嵯峨君がタレて来ている感じだった。それでバックを踏むよりはと思って、出ていきました。ちょっと夢をみたんですけどね」

 北日本ライン4番手の須永優太は、岡崎に詰め寄られながらも3着をキープした。
 「赤板で(嵯峨が)踏んでいった時に口が空いてキツかったですね。(最終)ホームで(別線が)来ていたんですけど、柿澤君もいたので内を空けられないし気をつけていました。ラインのおかげですね。最後は岡崎さんも来ていたんで良かったです」







次回のグレードレースは岸和田競輪「第76回高松宮記念杯競輪」が6月17日~22日に、「第3回パールカップ」が6月17日~19日の日程で実施されます。

男子、女子ともに勝ち上がり戦は東西対抗形式で、決勝まで東日本、西日本に分かれ、上位進出をかけて激しいバトルを繰り広げます。普段の開催では見られないようなメンバー構成となるので、新鮮味が感じられるシリーズです。優勝のゆくえは果たして?

6月9日時点の出場予定選手データを分析した、岸和田「第76回高松宮記念杯競輪」、「第3回パールカップ」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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