『富山競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:8月3日

 富山競輪場で開催された開設74周年記念「瑞峰立山賞争奪戦(GIII)」は、8月3日に最終日が行われた。単騎の選手が4人となった決勝は、落車のアクシデントを避けた山口拳矢が、4番手まくりで逃げる犬伏湧也をとらえて優勝。バンクレコードを更新して、1月の立川記念以来、今年2度目、通算4回目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴り響くと内枠の村上博幸、松本貴治が勢いよく飛び出し、村上が誘導員の後ろに付いた。岸田剛-村上の近畿勢が前を固め、単騎の山口拳矢がこの後ろを強引に主張。犬伏湧也-松本-山形一気の四国勢が中団となり、伊藤旭、和田真久留、菊池岳仁の単騎3車が後方となった。
 青板周回に入ると、岸田は徐々に誘導員との車間を空けはじめ、バックでは伊藤が内を突いて松本の後ろに続く。犬伏に仕掛ける気配はなかったが、赤板ホームで岸田は誘導員を交わして先行態勢に入った。岸田-村上、山口、犬伏で続き、2コーナーで内から松本を飛ばして犬伏の番手を奪取した伊藤が5番手。ジャン前のバックで犬伏がスパート。やや車間が空きながら伊藤が続くが、4コーナーで伊藤をブロックにいった村上がバランスを崩して落車した。最終ホームで犬伏が先頭に躍り出たが、村上との接触があった伊藤は続けず、先行していた岸田が3車身ほど離されて2番手で追いかける。これに伊藤、山口、和田…で続く。最終バックで山口が発進、後ろの和田は追えない。山口のスピードは素晴らしく、直線の入り口で犬伏をとえると、3車身突き放して優勝のゴール。1月立川記念に続き、今年の記念2V目を手にした。2着には犬伏が粘り、3着には山口を追えずもまくり上げた和田が入った。


山口拳矢選手
山口拳矢選手

 近畿VS四国勢の2分戦。単騎4人のポジショニングが明暗を分けた。松本貴治がスタートを出る。犬伏湧也が近畿コンビの後ろ、3番手になるのを判断した山口拳矢(写真)が、追い上げて周回中は近畿ラインの後ろを確保した。
 「あの並びだと犬伏君が楽すぎると思って、あの位置を主張しないとなって。2分戦で単騎で車番も良くないし、位置勝負で腹をくくった。思った通りの展開になりました」
 赤板手前で誘導を降ろした岸田剛が、そのままペースを上げて駆ける。4番手でタイミングをとった犬伏は、車間を詰める勢いで2コーナーから仕掛ける。松本から犬伏後位を奪っていた伊藤旭が、遅れ気味に追走。打鐘4コーナーで村上博幸が伊藤をさばきに出たところで、村上が落車。真後ろにいながらも、アクシデントを察知していた山口が避けて、4番手で立て直した。
 「(犬伏の)スピードが違っていた。村上さんが仕事をして、(犬伏を)1人にするかなって予測していた。それで慌てることはなかった。(村上が)仕事をするのもわかっていたので、(村上が)バランスを崩した瞬間に避ける準備はできていた。脚を使うことはなかったです」
 持ち前のセンスで落車を回避した山口は、後ろを離して1人で風を切る犬伏を射程圏に入れて、最終2コーナーでスパートした。
 「岸田君も早めに踏んでいたんで、(犬伏に)追いつくことはないと。(自分が伊藤)旭君を乗り越えられれば、最後は吸い込まれるかなって思った。そしたらすんなり乗り越えられた」
 伊藤、岸田をとらえた山口の前には犬伏だけ。その犬伏とのスピードの違いは歴然。直線の入口で並びかけると、あとは後ろへ離す一方だった。
 「最近はなかなか自力が、通用しない感じだった。自信を失いかけていた。記念の決勝でしっかりと自力を出せて勝てたのは、自信になります」
 レースの読みとピカイチのスピードを駆使して、今年2度目の記念Vは上がりタイム8秒8。バンクレコードのオマケつきだった。
 「仕掛ける、仕掛けないっていうのは、自分の気持ち的な部分が大きい。(オールスターでは)その辺の気持ちを強くもてたら」
 自信を取り戻して、オールスターへ。2度目のタイトル獲りに、これ以上ない良薬になろう。

 内をすくった伊藤に番手を奪われて、四国ラインは連結が崩れる。打鐘4コーナーで岸田を叩いた犬伏湧也は、そのまま加速して後ろをちぎる。が、1人になって、山口にとっては打ってつけの目標になった。
 「あの位置は完ぺきだった。自分が踏み込んだところも作戦通りだった。(ラインの)3人で出切ったら、ワンツースリーが決まると思った。(連日)重いなかで、最終日が一番良かった。ただ、ラインがバラけてしまったら、自分が優勝しないと意味がない。しっかりとゴールまで踏み込めたけど、もっと強くならないと」

 5番手にいた和田真久留は、前の山口のまくりには続けずも最終3コーナーから追い込んだ。
 「初手は近畿の後ろにこだわるよりも、犬伏君の力が違うと思ったので後ろの方からでもと。犬伏君も早めに行くと思っていた。でも、前にいた山口君が正解でしたね。僕は(アクシデントで)もう落ちたと思ったけど、ギリギリでかわせた。でも、そこでいっぱいでしたね」







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