『富山競輪開設64周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:8月13日
 富山競輪開設64周年記念「瑞峰立山賞争奪戦」が本日開幕した。オープニングの1レースからいきなり落車のアクシデントが発生し、波乱を予感させるスタートに。しかし、レースは落ち着きを取り戻し、渡邉一成ら上位陣は順当に勝ち上がりを決め、注目の脇本雄太も3着でかろうじて優秀戦に進出を決めました。2日目は優秀「峻峰剱賞」をメインに、二次予選が争われます。
 なお、本場ではたくさんのイベント・ファンサービスで大会を盛り上げます。まずは開催を通して、現役選手をゲストに迎えて山口幸二氏のトークショー(ゲストは日替わりで14日は武田豊樹選手)と予想会、フードコーナーからゲームコーナー、プール、おもしろ自転車など盛りだくさん。また、明日の14日(金)は、「厚切りジェイソン」のお笑いライブ、アマチュアパフォーマー大集合、キッズスポーツ入団テスト、巨大お絵かき新幹線が予定されております。こちらもどうぞお楽しみに。
<1R>
坂本健太郎選手
坂本健太郎選手
 オープニングレースは人気を背負っていた坂本健太郎が豪快なまくりを披露し、追走した馬場勇とワンツー。
 レースは赤板で山田隼司が飛び出すも相川永伍が打鐘で主導権取りへ。竹村勇祐が相川の番手に飛び付く形となり残り1周を迎えたが、後方で脚をためていた坂本が混戦をまくって別線をひと飲み。相川の番手を奪った竹村は坂本のまくりに反応できず、直線で抜け出すも3着まで。
 勝った坂本健太郎(写真)は検車場に引き揚げてくると、「今日はスタートで我慢したのがよかったですね。ここのところ連戦でまとまった練習ができてないからそこまで良いって感じはなかったけど、今日は一歩目から入ったんで踏んだ瞬間からまくれると思いました」と笑顔で話す。
 坂本に続いた馬場勇は「最近は番手を回ることが増えたけど、まだ動ける脚はあるつもり。抜けると思ったけど坂本さんが強かった」と2着をキープした。
 竹村勇祐は「山田さんと相川さんが踏み合う形になっても力で相川さんが叩き切ると思ってたので狙いました。勝負どころでの体の反応は良いけど、あそこからまくって行ける脚があればね…」と3着で勝ち上がりを決め、ホッと胸をなで下ろす。

<2R>
 伊東翔貴が赤板過ぎから積極的に主導権を握る。前受けから後方7番手に下げた椎木尾拓哉だが、ロングまくりで前団を豪快にひと飲み。人気に応えて快勝した。
 「早めの仕掛けは考えていたし、踏んだ瞬間にいける手応えはありました。感じは良かったですね。ライン3人で決まったのが一番です」
 川木敬大が完璧マークで2着に流れ込んだ。
 「椎木尾君が強かったですね。いいタイミングで行ってくれました。付いていく分には楽でしたけどね。最後は全力で抜きにいったけどダメでした」

<3R>
才迫開選手
才迫開選手
 後ろ攻めから押さえた鈴木謙二が、才迫開を突っ張って主導権取りへ。しかし、その才迫開(写真)は味方の援護で中団に迎え入れられると、打鐘過ぎからすぐにスパート。スピードの違いを見せ付けて逃げ切った。
 「1コーナーで山を上り切れなかったですね。(入れてくれた)先輩のおかげです。入れてもらったんで、そこはもうすぐに気持ちで仕掛けました。キツかったけど、後ろはもっと苦しいと思うし、迷惑をかけてしまいましたね。明日はもっと強い気持ちを持っていかないと」
 愛敬博之のまくりに乗り、大庭正紀が直線中を伸びて2着に入る。
 「愛敬君は(才迫の)ラインの3番手をさばく形から無理矢理行ってくれたね。地元じゃなかったら一発もらっても我慢する所だけど、地元なんで勝ちを優先させてもらって早めに踏ませてもらいました。スタートで失敗したし、気持ちが前に行き過ぎてましたね。明日はもうちょっと冷静にいきたい」
 才迫を好援護した松浦悠士は、最後もブロックを試みて脚は一杯。かろうじて権利の3着を確保した。
 「入れた所で脚を使ったし何回もバックを踏まされたんでキツかった。最後は脚が一杯でした。才迫君が頑張ってくれてたし、絶対に残さないとと思ったんで。目標は2着だったけど、3着になったのは仕方ない。勝ち上がれたんでよかったです」

<4R>
 前レースの大庭正紀に続き地元勢が躍動。突進力が光る竹田慎一が挑戦者の小酒大勇を赤板前から叩いて先頭に立つと、絶妙なペース駆けに持ち込んで別線を一蹴。番手を回っていた支部長の宮越大がゴール前でキッチリ交わして地元ワンツー。3番手を回っていた小川将人もしっかりと流れ込み、別線に隙を与えなかった。
 ライン決着の立役者となった竹田慎一は「いやー良かったです(笑)」と初日を突破してほっと一息。呼吸を整えてゆっくりと話を始めた。「予定より半周も早くでる形になったから正直、どうなるかと思いました。でも早めに叩いたおかげで、出切ったあとは落ち着けました。走る前に風が強くなってきたけど、練習じゃ当たり前の風。もっと強くて、もっと暑い時間に練習しているからまったく問題ない」とニッコリ。
 ゆっくりと検車場に引き揚げてきた宮越大は記者に囲まれ『まずはほっと一息ですね』と声をかけられるも、「まだほっとできませんよ。勝負はまだこれから」と早くも2日目以降を見据える。「竹田君の負けパターンは出切れずに終わることだから。とにかく前に出てくれれば何とかと思ったから。練習じゃ抜くどころか付いていくのがキツイから。竹田君は本当に仕上がってますよ」。

<5R>
青森伸也選手
青森伸也選手
 先行態勢に入った津村洸次郎を赤板で山本巨樹が叩いて出る。俊敏な立ち回りでこの3番手を確保した青森伸也(写真)が最終2コーナーから好回転でまくって快勝した。
 「本当はそのままカマそうと思ったんですが、荒澤(貴史)君が空けてくれていたので、(3番手に)入りました。荒澤君とはけっこう一緒に走っているから、うまく呼吸を合わせられました。踏んだ感じも良かったし、恵まれました」
 東北コンビを追う形から坂木田雄介が3着に入った。
 「着拾いのレースになってしまった。レース前はびびらずに仕掛けようと思っていたんですけどね。青森君がいく前に仕掛けたかったけど、今はその脚がない。勝ち上がれたので、明日は力を出し切りたいですね」

<6R>
米原大輔選手
米原大輔選手
 地元の小嶋敬二がまくり不発で大波乱。6レースは逃げた永田隼一と、中団からまくった藤田大輔で力勝負となったが、もつれた所を最後に3番手の米原大輔(写真)が最内のコースを踏んで1着をゲットした。
 「今日は前が頑張ってくれたおかげ。僕はとにかく内だけは行かれないようにと思ってました。梶山(裕次郎)君は思い切り持って行ってたし、あそこで外を行けないので悪いけど内を踏ませてもらいました。申し訳なかったですね」
 同じく、米原と同じコースを踏んだ海野敦男が2着に入る。
 「付いていて余裕があったし、最後に上手くコースが空いてくれたね。まあでもタマタマですよ」
 不発の小嶋の後ろから渡邊健が3着に入り、3連単は35万円台の超高配当。
 「小嶋さんの地元だから全て任せていたし、ある程度は覚悟してました。審議になったけどセーフでよかった。何とか3着に入れたし、踏んだ感じは悪くないです」
 逃げた永田隼一は「感じは良かったけど、ちょっと仕掛けるのが早かったかな。久しぶりに良い着が取れるかなと思ったけど」と悔しがる。
 藤田大輔は思いのほか車が進まず。
 「最低でも中団を取ろうと思ってたので。組み立ては良かったけど、車の出が悪かったですね」

<7R>
 人気を背負っていた金子幸央が別線をまとめて封じる突進戦を披露。番手を回った浦川尊明が節目の300勝を達成かと思われたが、金子が最後まで力強く踏み続けて押し切った。
 長いクールダウン後に検車場へと引き揚げてきた金子はニッコリ。「出させるつもりはなかったけど、吉川さんが一人って気づいて番手に入った。でもすぐに長尾君が来るのが見えて脚はたまってなかったけど出て行きました。余裕はなかったけど押し切れているし脚の感じは良いですね」。
 浦川尊明は直線で外が被り、コースが空かず苦しい展開も、最後は強引にこじ開け2着を確保した。
 「コースは空くのを待つんじゃなくて自分で作るものだから。でも金子君は本当に強いね。結構脚を使わされて番手に入ったから後ろでみててもキツそうだった。でも最後まで踏み切ってますからね。マーク屋は2着をいかに取るかって思っているから、300勝は意識してません。自力選手と一緒に勝ち上がることが大事。それにしても金子君は強かった」

<8R>
 赤板で飛び出した月森亮輔に、中団外併走の態勢から岡崎智哉が襲いかかる。月森の抵抗を力でねじ伏せた岡崎が最終主導権。後続の追撃を力強く振り切った。
 「踏もうと思ったときに前も踏んで、遅れながら膨れてしまったし、嫌な感じのレースでした。先行屋の次のステップとして、外併走で休んでからいくのは身につける必要があるんですが、今日やるレースじゃなかったですね。反省の方が多いし、内容的には30点です。でも、出てからはタレる感じはなかったし、体の状態は問題ない」
 地元の坂上樹大が懸命に食い下がって、2着に入った。
 「弱いですね。岡崎は余裕を持って踏み直してました。気持ちよく抜かないといけない展開だったし、情けない。脚にアタリはついたので修正します」

<9R>
近藤隆司選手
近藤隆司選手
 人気を集めた近藤隆司(写真)が強さを見せ付けた。レースは北村信明に抵抗されて車を下げると、山田義彦が北村の内を抜けて主導権。近藤はすかさず反撃を試みるも、中団外で苦しい展開に。しかし、近藤は中団に入って立て直すと、二の足を使ってひとまくり。
 「2周くらいなら突っ張って先行しようと思ってたけど、北村君が踏み止めなかったので。10歩くらい踏まされたんでヤバいと思ったけど、とりあえず2コーナーまでは我慢するしかないと。そしたら渡邊(秀明)さんが入れてくれたので助かった。ここに来る前の練習で3.85のギアで感じが良かったんで使ってみたら、今日も回せて長い距離を踏める感じがした。明日も使ってみようと思います」
 山田義彦に乗り、川口満宏が追い込んで2着に入る。
 「前のおかげ。本来なら(山田を)3着に残さないといけないけど、山田君も早めから駆けてたし。僕も何度か持っていったんだけどね。最近不甲斐ないレースばっかりだったんで、今回は練習してきた。その成果が出たのかな」
 渡邊秀明は近藤を迎え入れる好アシスト。そこから踏み出しで離れるも、懸命に前に踏んで3着を確保した。
 「前が強かったですよ。自分も余裕はあったけど、まさか離れるとは思わなかった。最近は弟子のことばかりしか聞かれないんで、僕も頑張らないとと思って必死です(笑)」

<10R>
 渡邉一成が自慢のスピードを生かした仕掛けで最終バックから一気。直前に行われたナショナル合宿の疲れを見せず好スタートを決めた。後ろ攻めとなった海老根恵太は一旦、斬りに動くも渡邉に突っ張られ後退。山田久徳が赤板前から飛び出すと、そのままペースを上げて最終周回へ。しかし、うまく渡邉が中団を確保したため、山田の番手を回った志智俊夫は車間を空けて援護するも及ばず。結局は渡邉のスピード・パワーに屈する結果となった。
 ただ、勝った渡邉は手放しでは喜ばない。「仕掛けようと思ったタイミングで内を締める形となってしまったので、考えていた組み立てはできなかった。状態もそこまでって感じではないので、優秀戦でしっかり修正を」と自身の走りを細部までチェックする。
 渡邉に続いた和田圭は「余裕? 全然(苦笑)。踏み出しの加速がすごくて口が空いてしまった。そのまま離れてしまうかと思ったし、やっぱり違いますね」と2着キープが精一杯。
 3着に突っ込んだ志智俊夫は「うまく車間を空けたけど、彼にとっては全然、意味がなかったみたいだね(苦笑)。追加だけど自分の感触は悪くないし戦えるデキ」と話す。

<11R>
神山雄一郎選手
神山雄一郎選手
 赤板前に村上直久が切った上を池田勇人が叩いて先行策に出る。最終ホーム、6番手から巻き返した吉田敏洋は不発。さらにその外を服部克久が豪快にまくって圧勝した。
 「前を取って8番手なら誰でもできる。ある程度、突っ張って踏んで4番手は取らないと。これから上を目指すなら脚を使ってでもいい位置を取れるようにならないとダメですね。結果は良かったけど内容は悪い」
 池田勇人の先行に乗った神山雄一郎(写真)が2着で優秀戦に手堅く進出した。
 「池田君が頑張ってくれました。吉田君がいいタイミングで来たけど、33だから持っていけば何とかなるかなと。でも、服部君は強かったです。池田君も前半からかなり踏んでいたし、あのパターンで残るんだから調子は良さそうですね」
 池田勇人はまくられながらも2周先行で長い距離を踏み切った。
 「今日は先行して、ラインでゴール前勝負するつもりでした。いつもなら見ちゃうところを前々に踏めているし、気持ちが前向きになってますね。いいペースで踏めたと思います。気持ちと体がようやくマッチしてきました」

<12R>
大塚健一郎選手
大塚健一郎選手
 最終12レースはワンツー決着で九州コンビに軍配。レースは櫻井正孝が押さえたところを、赤板で脇本雄太がカマして主導権。脇本が懸命に逃げる一方、山田英明がホームから巻き返すと、両者で力比べに。攻防は最後の直線で山田が脇本を捕らえると、最後は大塚健一郎(写真)が外を突き抜けた。
 「山田君は行く間合いが良かったですね。あれをまくれるんだから調子は良いんだと思う。僕も待ってから最後に抜けたんで調子は良いと思います」
 山田英明は脇本をまくって金星を挙げた。
 「皆早めからのレースだったし、ゴチャゴチャになって風もあったんで、必ず仕掛けるタイミングがあると思ってました。脇本君は駆けてたけど、僕も怯まずに行けるところまで行こうと思い切って。最終ホームから一か八かだったけど行けましたね。でも、最後脚はいっぱいでした」
 脇本雄太はまくられるも3着に踏み止まり、明日の優秀「峻峰剱賞」に進出。
 「体調が良くないなかでのレースだったんで厳しかった。レースが終わってからの疲労がハンパない。でもこれを気持ちでカバーしていくしかないですね」
 櫻井正孝は結果的に脇本を引き出す展開となりシンガリ負け。
 「強いのは分かってたんですけどね。ギアを小さい方の3.92にして失敗でした。戻せばやれる感触はあるので明日頑張ります」
 五十嵐力は「あそこ(赤板)から突っ張るのは厳しいし、相手が悪かった。櫻井君を使いたかったけどその上を行かれてしまっては仕方ない。脇本君も掛かってました」。気を取り直し、二次予選から立て直しを図る。
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