『富山競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:8月29日
 8月30日から富山競輪場で開設67周年記念「瑞峰立山賞争奪戦」が開幕する。S班は平原康多、浅井康太に諸橋愛の3名が参戦。地元勢は北野武史、小嶋敬二ら総勢6名で他地区の強豪を迎え撃つ。ここ富山でS級初優勝を飾った工藤文彦が1番車で登場するオープニングレースから白熱の4日間がスタートする。
 本場ではさまざまなイベントで記念開催を盛り上げます。開催中は毎日、地元選手と富山競輪マスコットキャラクター「ライちゃん」によるお出迎え。朝練習見学会(正面入場口で8:00~8:20まで受け付け)や本田晴美氏による予想会、競輪AIと競輪小僧さんのガチンコ予想バトルなどを予定しています。ぜひ富山競輪場へご来場ください。

<1R>

工藤文彦選手
工藤文彦選手
 オープニングレースは工藤文彦(写真)に人気が集まりそうだ。7月岐阜FIでは鋭いまくりで今年初優勝。昨年7月にS級初優勝を飾った思い出のバンクで存在感を示す。
 「7月に入ってあまりピリッとしてないんですけど、こういう時もありますからね。365日絶好調とか365日絶不調というのはないですから。前回が終わってから先輩たちと一緒にしっかり練習してきました。去年7月の富山は(取鳥)雄吾が前で行ってくれて、優勝することができました。あの頃はすんなり駆けさせてもらえることが多かったけど、いまは警戒される。いい車番をもらったんで、勝ち上がれるように、しっかり仕掛けます」
 中村昌弘は前回の小倉FIで勝ち上がりに失敗したが、調子は維持できている。
 「調子は悪くないけど、(5月)川崎の落車でフレームが壊れて、それから練習用のフレームを使っている。それで前のように伸びない感じです。修理に出しているフレームがまだ届かないんですよ。それが戻ってくれば自信はあるんですけどね。ここまで点数が上がってからの工藤君に付いたことはないけど、離れないようにしっかり付いていきます」


<2R>

 高木翔は調子、成績ともに右肩上がりだ。細切れ戦のここは流れを見極めて、好スパートを決める。
 「よくなっているのは気持ちの面が大きいと思います。前はレース中にあたふたして無駄なところで脚を使っていたけど、最近は余裕がある。前回の小松島が終わって地区プロもあったけど、けっこう空いて、それなりに練習はできました。3車ですし、それを生かしてラインで決めたいですね」
 地元の岡崎景介は約2カ月ぶりの実戦。体調面の不安は気持ちでカバーする。
 「ヘルニアは前からあったけど、座骨神経痛が出て、歩けなくなるくらい酷かった。3週間ぐらいで完治したけど、それから無理な練習はできなかった。徐々によくなって、通常ぐらいの動きはできるようになったんですが、自転車に対する違和感はあります。気持ちで頑張るしかないですね」


<3R>

片折亮太選手
片折亮太選手
 片折亮太(写真)は今期に入って優出こそないが、相変わらずの先行力を見せている。このクラスなら実力上位の存在だ。
 「調子は変わらないですね。前回の向日町が終わってしばらく空いてたんで、練習はできました。10月はあっせん停止なんで、それまでに頑張りたいですね。初日は自力で行けるところからしっかり行きたい。気持ちは主導権を取って、ラインで決められたらと思ってます」
 地元の松田大は8月立川で約4カ月ぶりの勝ち星を挙げた。5月小田原FIの落車から立ち直りつつある。
 「首のケガがけっこう酷かったんですが、今はもう大丈夫です。ここまでけっこう空いたんで、練習もしっかりできました。地元で気持ちも入ってます。片折さんの逃げイチみたいな感じですね。好位を取って仕掛けられればいいですね。1周半なら駆けられるくらいには仕上げてます」


<4R>

 柴崎俊光は5月京王閣以来、3カ月ぶりの記念参戦だ。脚も気持ちも高まっている。
 「最近の調子も成績もまずまずだと思います。もう少し上げたいけど、上のクラスだと全然、足りないですね。久しぶりの記念なんでしっかり頑張ります。大石(崇晴)君とは初めてだけど、積極的なタイプなので信頼して付いていきます」
 矢野昌彦は今期初戦の青森FIで落車したが、もう影響はない。準地元と言える富山バンクでパワー全開だ。
 「ケガは打撲と擦過傷で骨は大丈夫でした。富山は嫁さんの実家で、こっちで練習しています。今回一緒の松田大君ともよく一緒に練習してます。ここ2場所は新フレームなんですが、もう少し慣れればよくなりそうです。大石(崇晴)君の先行意欲が高そうなんで、よく考えて走ります」


<5R>

岩本和也選手
岩本和也選手
 岩本和也(写真)は前回の玉野FIで3カ月ぶりの決勝進出。6月取手GIII、7月奈良FIと落車が続いていたが、「迷いなく、ここに来れた」と胸を張る。
 「落車で肩を痛めてからは、セッティングとかいろいろ試してた。落車続きをいい方に持って行かないとと思ってたし、怪我する前より強くなろうと思って。四日市の最終日に自力で勝てたし、ようやく前回いい感触があった。あとは全力を出すだけですね」
 前を任せる長尾拳太はここ5場所で4回、初日を突破するなど安定感がある。
 「調子は変わらずですね。久木原さんとは前回(8月久留米FI)の準決勝でも戦って、脚があるのはわかってる。でも、そこは気にせず、自分のレースで頑張ります」
 久木原洋はS級復帰後早くも5勝を挙げるなど、高い勝率を誇っている。
 「1着を取れてるんで悪くはないと思う。S級に戻ってからもレースの流れとかに違和感はないですね。ただ準決勝で叩いてるんで、そこがまとめられれば点数も上がると思う。でも、そこばかり考えてレースが小さくなるのもダメなんで行けるところで行きます。前回、長尾君にはやられてるんで、今回は考えて走りたい」


<6R>

 小埜正義は7月取手FI、8月向日町FIと2場所連続で落車。状態が気がかりだ。
 「うーん、まあまあ。まずは走ってみてですね。練習は普通にやってきました。感じも悪くなかったけど、一人で街道だったから人と走ってないんで状態はわからない。でも何とかしますよ。富山は好きだし、(状態も)たぶん大丈夫だと思うんだけどなあ」
 6月弥彦FIでS級初優勝を飾った大塚英伸だが、最近の1着はそれだけ。とにかく1着が遠い。
 「前回(8月向日町FIで887着)は調子じゃなく、展開が向かなかった。最近はなかなか勝てる展開にならないですね。状態は変わらず。初日もしっかり付いて行くだけです」
 桑原亮は空いている池野健太を目標に決めた。
 「6月、7月と落車が続いたにもかかわらず休まず走ってるから練習ができてなかった。今回は久しぶりに2週間空いたので練習してきました。調子も今回のほうがいいと思う。33だし、池野君が最低でも中団を取ってくれればチャンスはありそう」


<7R>

 今期は2班の守澤太志だが、6月宇都宮、7月小松島と記念連続優出するなど、直近の競走得点は112点オーバー。ここも人気を集めそうだ。
 「(7月青森で落車したが)全然大丈夫です。一本欠場して、しっかり練習もしたので。状態も悪くないと思います。(坂本)周作とはたぶん初めてだと思う。でも冬季移動先で一緒に練習したり、こないだの地区プロの団抜きでも一緒だったんでね。頑張ってもらいます」
 坂本周作は積極的なレースでここ2場所、予選を突破している。
 「守澤さんとは初めてです。レースは空いたけど、間に地区プロもあったんで、それほどびっちりとは練習できてない。でも直前の感じもよかったし、調子は落としてないと思います」
 対照的に愛敬博之は最近、初日で勝ち上がりを逃すレースが増えている。調子は悪くないだけに、早くこの流れを断ち切りたい。
 「そこが全てですね。感じ的には悪くないので、いい流れに乗れればと思うんだけど…。前回(8月川崎GIII)は展開がどうにもならなかったんで。最近はストレスがたまってるんで、そのうっ憤を晴らしたくて来ました。桜井(雄太)君に頑張ってもらえれば勝機は見いだせる。しっかり勝ち上がれるように、とにかく何とかしたいです」


<8R>

 松崎貴久は一次予選で落車、失格した昨年大会の分もと気合いを入れる。
 「去年がああいう形だったので、去年の分も走りたい。ここに仕上げてきてるんで状態はいいと思うけど、まずは走ってみて。練習でサドルが折れたのが不吉だけど、レースじゃなくてよかった。それだけ練習はしてきました」
 6月はあっせんがなかった岡崎智哉。明けてからは高い連対率を残しているが、本人は不満げだ。
 「あっせんが止まってた1カ月で脚が上がった感じがした。練習とかはすごくいいのに、レースで数字がついて来ない。何とかそこをかみ合わせる作業をしていかないといけないですね。ピタッとくればいい感じになると思うので。富山は3年前の記念でもだいぶよかったので、好きなバンクです」


<9R>

佐々木豪選手
佐々木豪選手
 予選のメーンを張るのは佐々木豪(写真)。ビッグ初参戦となったオールスターは898着とS級上位の壁にはね返されたが、気持ちを切り替えて今シリーズを臨む。
 「前回はお恥ずかしいレースでした。早いお帰りになったけど、終わってから腰痛が出てしまったので治療に専念した。練習も痛くないようにやって、昨日初めてモガきました。まだ痛みはあるけど、まだマシ。徐々に痛みは引いてます。富山はA級でけっこう走ってるけど、あんまり覚えてないです。覚えてるんのはここの売店でS級パンツを買ったことぐらいですね」
 番手は野本翔太。7月伊東の落車で1カ月の欠場はあったが、復帰戦となった8月西武園でも決勝に勝ち上がって不安を一掃した。
 「3月の小松島GIIIでも落車したし、ろっ骨だったり、膝だったり痛いところはあるけど、自転車に乗ったほうが痛くない。この体で頑張ってますよ。佐々木君とは初めてだけど、レースは見てます。付いて行けるように頑張ります」
 最近は成績の波が激しい宿口陽一。今開催はいきなり若手有望株との対戦となった。
 「前々回(8月防府FI)までは勝負しての9着とかなので納得できるけど、前回(玉野FI)はダメです。内容もなかった。練習はバッチリだし、あとは自転車と体がかみ合えば。今はセッティングとかシューズとか色々換えてやってるんで。今回も気分を新たにシューズとかを換えてきた。練習で乗った感じはこっちのほうが競輪向きな気がします」


<10R>

小嶋敬二選手
小嶋敬二選手
 当所記念は過去に4Vと圧倒的な実績を誇る小嶋敬二(写真)。オールスターでも初日に単騎まくりを繰り出すなど機動力も健在だ。
 「前回は合宿が上手くいって調子が上がっただけ。落としたくなかったけど、疲れで落ちた部分はあるね。でも早く終わったんで、バンクにも入ったし、普通に1週間ぐらい練習はしてきました」
 諸橋愛はオールスターで2連対。連覇を飾った7月弥彦記念から気配は上向きだ。
 「だいぶよくなりましたね。今年前半の落車の影響もなくなった感覚はある。弥彦の優勝で気持ちが楽になりました。オールスターも最終日は単騎で動けてたし、調子もそんなに悪くなかった」
 人気は山中秀将が集めそうだ。
 「調子は問題ない。悪くはないです。でも、オールスターは後半の9、9(着)がよくないですね。最終日は新山(響平)君のデキがよかったし、8割方、行くつもりでした。2、3日休めば、疲れはもう大丈夫です。練習もしっかりやってきました。ただ、最近は自信を持って来ることがないんで、一走しないと不安はあります。レースの中でほぐしていって、2、3日目によくなることが多いですね」


<11R>

平原康多選手
平原康多選手
 オールスター最終日に落車した平原康多(写真)だが、状態に不安はなさそうだ。
 「擦過傷はひどかったですね。ちゃんと自転車に乗ったのは2日ぐらいだけど、それまでにも痛くない部分で練習はやってた。前回で自転車がダメになったんで、今回は戻してきた。(弥彦記念から使っていた)新車がダメになったのがもったいなかったぐらいで、自転車は大差ないんで大丈夫です。落車したけど、大きな不安はないですね」
 近畿勢は山本伸一が前回り。古性優作は番手を回ることになった。
 「僕も自力で走りたい気持ちは伝えたし、お互いが考えて、そういう流れになりました。自分はしっかり力を出して、ラインで決まるように走るだけ。オールスターが終わってからはしっかりトレーニングをしたし、感じることも多かった。セッティングも試してきました」
 オールスターで2連対の田中晴基も侮れない1車となる。
 「オールスターが終わってからは1回休んで普通に練習。感じはよかったです。オールスターには新車と小松島記念で使ってたものと2台持って行ったけど、新車のほうが総合的にいい気がしたので今回もこっちで。初日も前々に踏んで頑張りたい」


<12R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 準優勝した前回のオールスターは4走全て番手回りだった浅井康太(写真)だが、今回は初日から自力戦。しかし、「自力の開催になると思うんで」とそれも織り込み済みで、心配は無用か。
 「前回は前回で。出し切れたので、またイチから体作りですね。次のビッグにつながるように、レースを走っていきたいなと思います。メンバーで番手も自力もあるけど、そこは臨機応変に走りたい。オールスターが終わってからは、のんびり体を動かした程度。まだ疲れてるかなぐらいの感じなので」
 北野武史は待ちに待った追加配分。8月松戸記念の落車が余計だったが、あとは気持ちで4日間を走りぬく。
 「追加は22か23日に入った。ずっと頼んでたし、何とか入ってくれと。そういう感じだったので、入る準備はしてました。ただ松戸の落車から流れが悪いんで、そこがね。もっと上がってくれればと思うけど、状態は普通ですね」
 メンバー的には取鳥雄吾の先行一車と言っていい構成だ。
 「オールスターは内臓系が悪かった。帰ってからはチャレンジの人の先行に千切れたんで、休まなきゃと思って最初はゆっくりしました。練習もそこそこやってるし、もう体は大丈夫。レースのイメージがしやすいメンバーだけど、油断しないようにしたい」
 番手の橋本強は「ここまで普段どおり練習して来ました。前回は後半戦盛り返せたんでよかったし、脚はいいと思う」。後半戦2勝を挙げたオールスターの調子は維持している様子だ。