『松阪競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 前検日編

配信日:1月22日
 松阪競輪場で大阪・関西万博協賛・開設74周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」が、1月23日に始まる。前回の和歌山記念を制して25年の好スタートを切ったグランプリチャンプの古性優作に郡司浩平、岩本俊介とS級S班3人を中心に4日間のシリーズを盛り上げる。さらには深谷知広、佐藤慎太郎、地元の浅井康太と実力者も名を連ねて、初日から激戦は必至だ。1月22日の前検日は、柔らかな日差しのなかでバンクで汗を流す選手も多く、選手それぞれが入念な調整を行った。
 記念シリーズは開催中の毎日、先着ファンサービスとして、お菓子、肉キャンペーン抽選券をセットで配布。日替わりで豪華解説者が登場する場内予想会、未確定車券抽選会などが予定されています。また、1月23日の初日には、神山雄一郎氏のスペシャルトークショーなども行われます。松阪競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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棚瀬義大選手
棚瀬義大選手
 前期のA級1、2班戦では8度の優勝とV量産していた棚瀬義大(写真)は、S級デビューの前回の大垣FIが272着。2連対を果たして、初のグレードレースに挑戦する。
 「(S級初場所だった前回は)みんな強かった。こんなはずじゃ…、っていうのとこんなもんですっていうのも(笑)。(中5日で)普通に1日休んで練習をしてきました。(練習では)進みが悪かったんですけど、昨日(前検日の前の日)、一昨日くらいからそれも戻ってきた。(S級は)赤板から展開が早い。自分の組み立てもヘタクソなんで、なんとかしたいです」
 昨年の後半は優勝を含めてハイレベルな戦績を残していた近藤保だったが、今年に入って失速気味。しかしながら、状態面は悪くなさそうだ。
 「年明けから流れが良くないですね。脚の方は問題ないし大丈夫だけど、判断力が良くなかった。今回はピリッとして走りたい。去年のこの時期はヤバかったけど、今年は体調も全然大丈夫です。練習もコンスタントにできていますからね」


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大石剣士選手
大石剣士選手
 前回の地元、静岡FIを3連勝の完全V。およそ1年ぶりの優勝を遂げた大石剣士(写真)は、弾みをつけて久々のグレードレースを迎える。
 「(前回の)決勝は展開が向いたのもあるけど、最終日に向けて調子が上がっていった。状態も良かったです。そのあとも練習は普通ですけど、状態は維持できていると思います。(競走得点が)少しずつ戻ってきたし、今年は巻き返せるように。(前回で)いいスタートが切れたんで」
 前回の大宮FIで途中欠場の下井竜は、ホームバンクの記念がおよそ1カ月ぶりの実戦。一次予選は、真鍋顕太とタッグを組む。
 「(真鍋と)しっかり2人で頑張ります。大宮で体調を崩して、熱がなかなか下がらなかった。でも、(そのあとに)しっかり練習はできた。(真鍋とは)連係は3回くらいある。A級(1、2班戦)でも優勝をさせてもらっています。(体調を崩して)体重は落ちなかったけど、筋肉量が落ちた。その辺をふまえてウエートトレーニングもやり始めた。あとは状態が上がっていることを祈ってですね」


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 今年初場所の前回、四日市FIを優勝。決勝は番手まくりで曽我圭佑と熊本ワンツーだった松岡辰泰の一次予選は、青柳靖起の番手が巡ってきた。
 「(前回の決勝は)犬伏(湧也)さんが強くて早めに出る展開になった。(曽我に)差されそうでしたけどね。前回は状態が良くなくて、期待してなかったんですけど結果は良かった。前回よりは、今回の方がいいです。青柳君は同期で仲がいい」
 蕗澤鴻太郎は、前回の大垣FIを415着から中5日。昨年11月の当所GIIIでは途中欠場を余儀なくされただけに、今シリーズは巻き返したい。
 「あの時(昨年11月)は体調が悪かったりではなかったけど、レースが詰まったりしていたんで調子が良くなかった。(前回の)大垣の感じは悪くなかった。大垣ではフレームを換えたんですけど、今回もそれを使います。硬めのパイプなんで、それが9車立てでどうかですね。あとは勝負どころでしっかりと出られればいいかなと」


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太田竜馬選手
太田竜馬選手
 近況は大敗も少なくなり、競走得点もアップ。まだまだ全盛期には遠いが、兆しがみえてきた太田竜馬(写真)が、このメンバーなら同県の湊聖二と中心になる。
 「そこそこやれているけど、かみ合っていない。バック数が欲しいというわけではなくて、長い距離でも行けるところを行くようになった。それで結果、増えてきました。(点数を落としていた時期に)イチからいまの感じをつくり上げてきた。あとはレースをシンプルに考えるようになってきました」
 金子幸央は、長期の戦線離脱から前回の高知FIで復帰して513着。今シリーズは上積みも見込めそうだ。
 「(前回は久々の実戦だったんで)初日はなんか変な感じがした。だけど、そのあとはレース勘が戻ってきた感じがします。そのあとは(初日に連係する)磯田(旭)さんとも一緒に練習もしてきた。一場所走って、今回の方が絶対にいいと思います」


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阿部将大選手
阿部将大選手
 阿部将大(写真)は昨年11月の競輪祭を除き、直近の7場所で6度の優出。前回の地元、別府FIも優勝こそ逃したが125着と白星を挙げた。
 「腰の方はだいぶ良くなりました。ただ、(前回からは)家のこととかもあって、あんまり練習ができてない。その辺が不安ですけど、決勝までいけるように。今年は(競走得点が)110点以上をキープできるようにしたい。(昨年はGIIIを3回優勝しているけど)そこはあんまり自信にはならない。それよりもGIで準決に乗る方が自信になりますね」
 前回の大垣FIを172着の鈴木浩太は、準決で格上の佐藤慎太郎を連れて果敢に先行。シンガリに沈んだものの、初日予選、最終日は連対を果たした。
 「(前回の準決は佐藤に)あれだけ仕事をしてもらってワンツーが決められないのは、自分の力不足かなと。GIIIは良かった時が1回もない。いつも持って帰る競走得点が、だいたい95、96点くらいです。今回はそれを打開できるようにしたい」


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 12月の西武園FIの最終日に落車に見舞われた谷口遼平は、地元記念の今シリーズが復帰戦。不本意な24年の終わりとなり、好スタートを切りたいところだろうがコメントは慎重だ。
 「(前回の落車で)初めて鎖骨を骨折しました。ワイヤーが入っています。まだ全力で力むことはできないけど、これ以上休んでいても変わらない。それならやれることはしっかりやろうと思った。練習は2週間できました。でも、不安しかないですね」
 年始にコンディションを崩した望月永悟は、前回の玉野FIを367着から中3日。まだ万全とはいかないようだ。
 「体調を崩して、体重も3キロくらい落ちた。まだ、体重は完全には戻っていないですね。(玉野の前の)練習ではそんなに悪くないかなと思ったんですけどね…。そのあとも中3日だし、やれることをやってきた感じです」


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 相変わらずの最終バック数を誇っている木村弘だが、近況は戦法の幅を広げながら進化を見せている。
 「冬期移動で競輪学校(CSC)で練習しています。永澤(剛)さんとか大川(剛)君と練習することが多いですね。マッサージとかいろいろ環境がいいですね。昨年(11月)はS級で初優勝ができたけど、力的には変わっていない。今年も慢心しないように、昨年より多い回数の優勝ができたら。山崎(芳仁)さんとかにもアドバイスをもらって、先行だけではなくいろんなことをやっていっている。脚が落ちないように、練習もしっかりしてきました」
 前回の玉野FIがナイターだった山崎芳仁にとっては、強行ローテの今シリーズ。しかしながら、前回からの変わり身も見込めそうだ。
 「(前回から)実質、中1日くらいしかなかった。調整程度だし、疲れもまだありますね。(年始の)地元は41度の熱が3日間、出て休んだ。そのあともすぐに練習したらぶり返した。それで玉野は、スカスカした感じもあった。(玉野を走って)ちょっと刺激が入ったんで、今回の方がいいと思います」


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西村光太選手
西村光太選手
 ホームバンクの記念にも力むことなく平常心の西村光太(写真)は、気持ちを込めながらもリラックスムードでこう口を開く。
 「家はすぐそこだし、松阪市民です。ホンマの地元ですし、ほかの競輪場よりも思い入れは強いです。ただ、いつも通りですね。気負ってっていうのはない。予選からしっかりと走って、やるべきことをやってという感じです。結果、結果ってやって、競輪の道理に反して過去にはすごく後悔したこともある。結果よりも大事なこともあるんで、まずはそこをしっかりと思っています」
 前回の別府FIの712着では好感触を得ていた志田龍星だが、今シリーズに関しては腰痛もあり例によって慎重だ。
 「前回の別府は良かったけど、そのあとに腰痛が出てケアをしてきました。違和感はあります。寒いからですかね、焦って練習をしてきたので(状態は)よくわからんすね。あとは走ってみないと」


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 堀内俊介は、前回の前橋FIで2勝をマーク。今期S級にステージを上げた同県の佐々木和紀に委ねることなく一次予選を前で戦う。
 「僕も前でやりたい気持ちがあったんでね。ちょっとずつ体が動くようにはなってきた。あとはもうちょっとキレとかダッシュとかが課題だけど。自分の長所を伸ばすことも大事かなって。(最近は)中長距離の脚がなくなって、土台というか自分のいいところがなくなっている。そこはしっかりと考えないと」
 前回の川崎FIで落車した福永大智は、およそ1カ月ぶりの実戦。練習は十分なようで、あとはフレームとのマッチングかもしれない。
 「落車の影響はわからないけど、めっちゃ練習はしてきたので大丈夫だと思う。ただ、(落車で)フレームがつぶれてしまったので、前に1回だけ使って乗ってなかったフレームを使います。寸法は一緒ですけど、前のより硬めです。なので、あとは走ってみないと」


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 ナショナルチームでのハードなトレーニングをこなしてきた小原佑太にとっては、疲労残りが最大の敵かもしれない。今年の初場所に目を輝かせる。
 「(胸椎)ヘルニアが出てしまったけど、追い込んだ練習ができるように12月から準備をしていて、(ナショナルチームの)沖縄合宿に行ってきました。追い込んできたのでキツかったですけど、筋肉量はオリンピック前に戻ってバルクアップできたと思う。(昨年10月の)京王閣記念の時に修正をできなかったことが競輪祭まで長引いてしまったけど、自分のスタイルを取り戻せるように。勝ち切れるように頑張りたい」
 河野通孝は前回の地元、取手FIでも上々の手ごたえを得ていたが、今シリーズはフィジカル面でのストレスも軽減されてさらに期待が膨らむ。
 「前回が地元だったんですけど、その前の直前の練習ですごく感じが良かった。一気に戻ってきた感じで、レースでも同じ感覚で走れてすごく良かった。取手のあとに鎖骨(を骨折した時に入れていた)のワイヤーを抜いた。取ったら全然違いますね。初めての鎖骨骨折だったんで、治し方もイマイチわからなかった。ワイヤーを抜いて一発目なんで、走ってみないとっていうのはある。けど、悪くなっていることはないと思います」


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皿屋豊選手
皿屋豊選手
 4場所連続優出中で白星を順調に重ねている皿屋豊(写真)は、得意の冬場でのホームバンク記念だけに自然と力も入ることだろう。
 「(冬場が得意で)数字にも出てきていると思います。(松阪記念を)僕は最近の9月にやっていたころより、1月の方が良かった。(この時期の開催は)ありがたい。前回がここの記念に向けている途中でしたし、今回もしっかり練習をしてから疲れを抜いてきた」
 同期の塩崎隼秀を意識しながらも、村田祐樹がここでは先行力で断然の存在。まずは地元の皿屋を連れて、あっさり一次予選をクリアしよう。
 「(皿屋には昨年の)寬仁親王牌の最終日に付いてもらった。(練習では)自転車に外で乗ってない分、(前回は)感触が違いましたね。(今回も)バンクは競走でしか乗ってないので、室内で体を鍛えてきた。それでどんなもんかなっていうのがあります。記念は一次予選はなんとかなっているけど、二次予選の通過が1つの自分にとってのステップかなと。(初日は)同期の塩崎君がいるんで、自分も頑張らないと」


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古性優作選手
古性優作選手
 昨年は2度のGI制覇にグランプリを優勝。2年連続でMVPに選出された古性優作(写真)は、今年の初場所の和歌山記念を3211着。25年も順調に滑り出した。
 「(前回の和歌山記念のあとも)思いっきり練習してきました。とにかく追い込んできました。記念に向けてしっかり調整すると、勝ちやすくなるけど、GIが厳しくなってフラフラになってしまう。前検日で疲労を回復できればベストですけど。グランプリのパフォーマンスは、1年で一番良かったし、なんの文句もない仕上がりでした。でも、その分の反動がくるので、本当は次の日も練習をしたかったくらいです。けど、(1月)1日からやってきました。(練習量は)今年だけっていうのではなく、3年とか4年ですごい差になるし、何カ月かで脚が上がるもんではない。でも、4年かけて上げつつ、ひらめいた時は、その時にできることをやっていきたい」
 今シリーズが今年3場所目になる浅井康太は、前回の取手FIを411着。決勝は4番手からのまくりで、後続をちぎった。
 「(昨年の)競輪祭の前からヒザに違和感があった。今月に入ってなんとか歩けるようになって、私生活も普通にできるようになった。それで調子も上がってきたし、上積みもあったかなと。前回は自力で走れたのが大きかった。しっかりと向き合えたことが、自分の成長にもつながったと思います。(前回のあとは)練習も楽しくできました」
 深谷知広は、前回の佐世保記念から1カ月ぶりの今シリーズが今年の初場所。昨年の疲れを抜いてリセットしたあとは、2月の全日本選抜を見据えてトレーニングを積んでいるところだ。
 「(前回からのこの1カ月は)前半をしっかり休んで、後半をしっかりと練習した。来週が(練習で)追い込む最終週の予定です。(2月の全日本選抜に)間に合えばいいかなって思っています。去年は1年間、休まずに全部、走った。それもあったんで(1カ月の間隔をとった)。(今回は練習の)疲れもあるけど、そのなかでやれることをやります。そこ(久々の競走でレース勘)は走ってみないと」