『松阪競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月23日

 松阪競輪場で大阪・関西万博協賛・開設74周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」が、1月23日に幕を開けた。初日のメイン、特選はS級S班の南関ワンツー。深谷知広の先行を利した郡司浩平が、追い込んで白星スタートを切った。また、一次予選では、ホームバンクの皿屋豊が、1着でファンの期待に応えて勝ち上がった。1月24日のシリーズ2日目には、初日特選を制した郡司も加わり、二次予選で勝ち上がりが争われる。
 記念シリーズは開催中の毎日、先着ファンサービスとして、お菓子、肉キャンペーン抽選券をセットで配布。日替わりで豪華解説者が登場する場内予想会、未確定車券抽選会などが予定されています。松阪競輪場では、みなさまのご来場をお待ちしております。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

<1R>

 前受けの佐々木堅次が、赤板過ぎに久樹克門を突っ張る。3番手で棚瀬義大と新村穣が併走になり、外から踏み込んだ新村が打鐘手前で先頭に立つ。南関コンビに、単騎の原田泰志が続く。4番手に佐々木が飛び付くが、棚瀬も反撃に出る。しかしながら、そのまま新村が駆けて最終周回へ。近藤保の再三のけん制で、棚瀬のスピードが鈍る。踏み合いを6番手の佐々木が、2コーナーからまくる。が、棚瀬を不発にした新村は、佐々木のまくりも合わせて、南関両者のゴール勝負。近藤が余裕をもって差し切った。
 「今年に入って良くなくて、1着を取れて良かった。脚はずっと悪くないんですけど、流れと展開が良くなかったんです。細切れでしたし、(周回中は)理想の並びでした。あの形になって新村君に先行のスイッチが入ったんだと思う。棚瀬君はずっとへばりついていたし、強かったですね」
 新鋭の棚瀬にレースをさせず、新村穣は積極策から別線を完封。2着に粘り込んだ。
 「棚瀬君はA級の時から強いのを見ていました。押さえてから出方を見ていたけど、レースがゴチャゴチャしていたので、それなら行ってみようと。疲れは結構あったので明日(2日目)に残らないようにケアをしたい」


<2R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 真鍋顕太、晝田宗一郎、大石剣士と順番通りに押さえて出て、大石の主導権で打鐘を通過する。3番手が晝田と前受けから追い上げた甲斐俊祐で併走。大石のペースを判断した甲斐は、4コーナーから仕掛ける。最終ホーム過ぎに甲斐が叩いて、大石は3番手に下げる。5番手になった晝田は、2コーナーで発進。3番手の大石を乗り越えて、4コーナーで森山智徳に並んだ晝田の外を渡部哲男(写真)が追い込む。外をシャープに伸びた渡部が、森山、晝田を交わして1着。
 「スタートの並びで、ある程度、決まるかなって。(3番目の)あの位置か2番目かどっちかが取れればと。ただ、甲斐君の巻き返しが早かった。晝田君ももう少し早めに(仕掛けて)行ければ、森山君と(最終)3コーナーで合うこともなかったと思う。自分は最近のなかではいい方かなと。腰のケアとかをして良くはなってないけど、自転車に乗るのに痛くはなってない。それでなんとなく体が動き始めたのかなと」
 甲斐が叩き切って、3番手以下は車間が空く。番手で好展開が巡ってきた森山智徳は、晝田のまくりを張って追い込んだ。
 「(甲斐が)出切れるなって感じだったし、強かった。それで逆にドキドキした(笑)。あれで展開も全然、良かったので、1着が取りたかった。せっかく甲斐君も行ってくれたんで。(自分のデキは)悪くないです」


<3R>

松岡辰泰選手
松岡辰泰選手
 赤板1センター過ぎに蕗澤鴻太郎が押さえて出て、そこを青柳靖起が仕掛ける。蕗澤はペースを上げながら、九州3車を受けて4番手。青柳がペースを握り最終ホームを迎える。一本棒の隊列で仲野結音は8番手。青柳は落ち着いて、1センター付近から徐々に踏み上げる。逃げる青柳の番手で松岡辰泰(写真)が、車間を空けて別線の反撃に備える。仲野のまくりは不発。4番手の蕗澤は3コーナー過ぎから詰めながら追い込むが、青柳の余力を計るようにして、松岡が楽に追い込んだ。
 「青柳君は先行力があるし、(別線はそれ)待ちになると思っていた。どんくらい空けたり、踏み込んだりすればいいかはわからなかったですね。(青柳とは)3回連係して全部1着。人の後ろですけど、脚はいいのかなと」
 ペース駆けに持ち込んだ青柳靖起が、同期の松岡とのワンツーで人気の決着。
 「踏まされた感じはあったが、慌てずに行って出切れると思ってからは軽くいった。あとはペースが上がったので、落とさずに行きました。強めに踏んでいたので、もつかなって思ったけどもちましたね。(松岡が車間を空けていて)あれくらいはやってもらわないと(笑)。体は悪くないですけど、疲れはあるかなくらいです」


<4R>

 中団から先に切った金子幸央は、近畿勢を受ける。が、太田竜馬の巻き返しが早く、赤板2コーナー手前から踏み込む。湊聖二は佐藤健太にからまれて、付け切れない。最終ホーム手前で太田が1人で叩き切って、番手には村田瑞季が入る。村田はなかなか車間が詰まらず、4番手確保の金子が3コーナーからまくる。藤井栄二のブロックを受けた金子のあおりで、溝口葵が落車。1位入線の藤井が失格で、金子が繰り上がった。
 「(先に切ったのは)難しい判断だったけど、変に順番を待つより自分から攻めた方がいいかなと。組み立て自体は問題なかったと思います。(村田が太田を)突っ張ってくれと思ったら、(村田が番手に入って)マジかよって見ちゃった。そこで仕掛けられていれば、ワンランクアップできるかなっていうのはありますね。(最終)ホームのところで行けてれば、楽々、(磯田旭と)ワンツーだったかもしれないし、いけてないかも。体調面は非常にいいです」
 後位を別線にハマられながらも、果敢に逃げた太田竜馬が2着に踏ん張った。
 「前からだったら突っ張ってと思っていたんですけど。もう切られたんですかさずと。(村田も)踏み込んで来ると思ったけど、仕方ないですね。めちゃくちゃキツかった。出切るのに無理やりいって、脚を使っている。そのあとは苦しまぎれだし、ギリギリのペースでした。体調はいいけど重いですね。それがバンクなのか体なのか。体を軽くしたい」


<5R>

川越勇星選手
川越勇星選手
 前受けから7番手になった阿部将大は、打鐘手前から早めに巻き返して4コーナーで主導権を奪う。鈴木浩太は、最終ホームで4番手に下げて立て直す。阿部がペースを握り、車間を空けた鈴木は詰める勢いでバック過ぎにまくり上げる。阿部の番手の小川勇介がけん制して、鈴木は止まる。しかしながら、鈴木マークの川越勇星(写真)が、中のコース伸びて突き抜けた。
 「鈴木君が頑張ってくれた。自分が普段する競走をやってくれて、後ろで余裕があったんで最後に伸びたんじゃないですかね。(鈴木が)仕掛けてくれた分、コースができた。判断はできていたし、腰痛がなくなって余裕もありました」
 最終バックを8番手で通過した久木原洋は、目標の山本修平が仕掛けられず、2センターからの追い込みで2着に届いた。
 「展開は厳しかったです。脚は余裕があって山本がどっちを踏むかだった。そしたら内に行ったので、自分は外を踏めるところまでいった。前回は体が動かなくて、1月3日から結構、練習をしてきた。脚がたまっていたし、いいのかなと」


<6R>

 切った笠松将太がペースを緩めて、そこをすんなり原田亮太が出て先頭に立つ。笠松が4番手を確保して、谷口遼平は7番手に置かれて打鐘。谷口は2センターで外に持ち出すが、先行態勢の原田もペースを上げる。谷口の進みは一息で、最終1センターで笠松が谷口を張りながら仕掛ける。合わされた谷口は後退。逃げた原田の後ろの望月永悟は、車間が空いていっぱい。前団をまくりでとらえた笠松を石川裕二が差し切った。
 「(笠松とは)相性がいいし、強いですね。(谷口にかぶる前に仕掛けて)行ってくれたし、全部、笠松君がやってくれた。自分も調子はいいと思います。余裕をもって抜けたし、前と後ろのおかげですね。3車だったんで松永(将)さんの入れるコースをつくってって感じでした。(前回も含めて)いまは流れがいいですね」
 関東ライン3人での上位独占をメイクした笠松将太は、汗をぬぐいこう振り返る。
 「(練習の疲れで)いつものアップの感じでいったら、すごい疲れているなって。ヤバいなっていうのはありました。あんまり余裕がなくて、車間を空けたら谷口君が来ちゃうなって。(最終)ホームでは来て欲しくなかった。さすがに1コーナーで来ちゃったんで、合わせて出ていった。2コーナーからバックくらいで脚がいっぱいで、売り切れていました。上半身がキツいので、(そこの疲労が)抜けてくれれば」


<7R>

脇本勇希選手
脇本勇希選手
 加藤将武を押さえた木村弘が、打鐘手前で主導権を握る。そこを山本浩成が仕掛けるが、中村健志は離れる。後方になった脇本勇希(写真)は、最終ホーム手前から反撃に出る。1人になった山本と木村の踏み合いも、木村が合わせ切る。しかしながら、脇本がスピードの違いでバック過ぎにまくり切る。危なげなく続いた松田治之を微差で脇本が振り切った。
 「(まくりは)山崎さんが見ていないところで行って、これは行けるなって。コーナーの前に(最終)バックで先頭に出るタイミングで出切れればと。(松田に)抜かれたと思ったけど、ギリギリ耐えましたね。気持ち良く勝てて良かったです」
 脇本の成長を肌で感じた松田治之は、脇本の加速にも対応しての2着。
 「(脇本)勇希君とは何回も走っているけど、前回に連係した時よりも強くなっている。得意の展開になってくれて良かったですね。ちぎれそうな感じもなく、フレームのおかげかなって。(昨年)11月にイナショー(稲川翔)のフレームを売ってもらって、それを使っています。抜けずに残念だったので、今度は抜けるように頑張る」


<8R>

志田龍星選手
志田龍星選手
 赤板1コーナーで兼本将太が出て、中団が志田龍星(写真)と安彦統賀で併走。そこから安彦は、内に切り込む。兼本が主導権も前団の隊列が短くなり、打鐘過ぎに志田が仕掛ける。4コーナーで志田が出て先行策。空いた内をすくった安彦は飛び付いて3番手を奪い、最終周回へ。もつれた4番手を小堺浩二が確保。志田のペースに別線の出番はなく、西村光太との直線勝負を制した志田が1着。
 「(前受けから下げて)順番が来たらっていう感じでした。(安彦が切り込んで)展開が向いてくれた。感覚があんまり良くなかった。とりあえず先手を取ってでしたけど、あんまり踏み上がっていかなかった。最初は流していたけど、思ったよりも脚がたまってなかった。(最終4コーナーからは)もう気持ちでしたね。めっちゃ感じが悪かったので、(2日目以降)良くなってほしい。願望です」
 真後ろにいた安彦との間合いを計り追い込んだ西村光太は、1輪差の2着。
 「(相手に)徹底先行がいないので、(突っ張りよりも)志田君は出させて出させてっていう感じだったと思います。(安彦は)僕のところにも来そうだったんで、早めに締めていった。小堺さんのところがさばかれているのが見えた。3番手に自力選手が入っているのもあったんで、ギリギリまで待ったけど、自分の脚がなかった。状態的には悪くない。ただ、車を外に出してからは進みが良くない」


<9R>

 山本直、堀内俊介の順番で切って、そこを斉藤樂、福永大智で合わせて上昇。内の斉藤が打鐘で主導権を握り、福永は3番手で堀内と併走になる。最終ホーム手前から福永が再度、仕掛けて、佐々木和紀に張られた山田久徳は遅れながら追いかける。斉藤、福永で踏み合いなり、山本が2コーナー手前からまくりを打つ。踏み勝った福永を山本が、3コーナーでとらえて山形一気が続く。切り替えた佐々木が中四国コンビに詰め寄るが、山形が追い込んで1着。
 「展開待ちになったけど、思ったよりもいい展開になった。(山本が)いいところで逃さずに行ってくれましたね。直線が長いのを知っていたので、抜けたらラッキーと思っていた。展開が良かったけど、1着で良かった。後輪を換えてチェーンを伸ばしたけど、もうちょっと乗り心地を良くしたい」
 まくり展開をモノにした山本直が、好配当をメイク。早々に二次予選に気持ちをスイッチする。
 「周りの動きを見てでしたけど、すごい脚を使っていたし(まくれたのは)たまたまです。みんなが踏み合って、落ち着いたところで俺だけフリーだったので行けました。脚はいい感じですね。(二次予選は)岩津(裕介)さんにアドバイスをもらって頑張ります」


<10R>

阿部力也選手
阿部力也選手
 赤板2コーナーで中国勢が主導権を握るが、小原佑太は構えることなく打鐘で仕掛けて反撃に出る。青木瑞樹も合わせて踏み込むが、小原がスピードの違いであっさり最終1コーナーで叩き切る。踏み出して遅れかけた江守昇まで追走して、ラインの3人で出切る。7番手から踏み込んだ滝本幸正だが、1車だけしか進まない。4番手の青木も、バックからまくるが一息。番手から差し脚を伸ばした阿部力也(写真)が、きっちりと小原を交わした。
 「前回は展開的に恵まれているなっていうのがあった。今日(初日)走ってみて、感触がいいなっていうのがありました。(同期の古性優作のところには昨年)12月から行って、グランプリとか和歌山記念があったんで(古性との練習は)あんまりできていない。ただ、南(修二)さんとかやらせてもらって、それまでは練習をしてなかったんだなって思いました。今日も周りがキツそうだったけど、自分は余裕をもっていた。(小原の仕掛けが)あの距離になれば(抜ける)っていうのがあるけど、もうちょっと構えると苦しくなるかなと」
 江守が3着に吸い込まれて、ラインで上位を独占。およそ2カ月ぶりの実戦も、小原佑太は流れに乗った仕掛けで内容の濃い走りを見せた。
 「昨日(前検日)の段階だと不安の方が多かった。今日の脚見せで軽く感じて、(風も)周回を重ねるにつれてそんなに気にならないほどでした。(仕掛けたのが)早めだったけど3車だったし、(阿部)力也さんは仕事ができるので後ろは任せるつもりだった。それが良かった。(滝本、青木が相手で)若手主体のレースで主導権を取りたかった。先行屋として負けたくないし、そういう気持ちは見せられたかなと。いまの感じだと上半身の筋肉量が増えているので、安定性が増していると思います」


<11R>

 塩崎隼秀の上昇を阻んだ村田祐樹が、赤板過ぎに突っ張り主導権を渡さない。塩崎は4番手まで下げて、伊東翔貴の外で併走。中団のもつれを確認しながら、村田がレースを支配して駆ける。いったんは4番手を取り切った伊東だが、最終ホーム手前から塩崎が再び追い上げる。結果的には中近3人に絶好の流れ。番手で車間を空けた皿屋豊が、村田を差し切った。
 「村田君が掛かっていたし、あれで(ラインで)ワンツースリーができないなら番手失格ですよね。伊東君、塩崎君の仕掛けに対処するだけと。(村田は)ペースでうまく踏んでくれたし、タレてこないし残しやすかった。だいぶイージーでした。(番手の仕事は)タテを生かせればできるが、難しい技術とかでは。脚でできることがあればと」
 前受けからの突っ張りを選択した村田祐樹は、ホームバンクの皿屋の白星に貢献して2着。
 「(塩崎が)上がってきて誘導との距離を見ながら前に踏んだ。塩崎君が外にいて、隙があれば行きたいのかわからなかった。けど、中団で浮いている分にはと。ある程度ペースで踏んで、自分は精いっぱいやりました。室内練習で出ないような加速感が足りないですね」


<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 山田庸平が誘導を残したまま下げて、長島大介が先頭に出るが、深谷知広が5番手で態勢を整える。赤板2コーナーから踏み込んだ深谷が、打鐘3コーナーで主導権を握る。南関3車で出切り、単騎の古性優作が4番手。遅れながらももう1人の単騎の浅井康太が、最終ホームで5番手に続く。後方になった山田も巻き返し、4番手の古性も2コーナー手前からまくる。逃げる深谷の番手で車間を空けていた郡司浩平(写真)は、詰めながらスピードを合わせて古性をブロック。深谷はいっぱいで、郡司が直線で抜け出した。
 「(長島と山田で)前が踏み合いみたいになって、深谷さんには行きやすくなったと思います。(ラインの)3人で出切ったのがわかってからは、古性も単騎なら(最終)ホームでは来ないだろうと。あとはうまくバックで合わせられればと。(古性が)結構スレスレで来たんで、張るタイミングも難しかった。(古性の)スピードを殺せたまでは良かったけど、僕も待てなかった。岩本さんが2着で最低限というか、最後に踏ませてもらって、1着を取らせてもらった。(感触は)問題ない」
 岩本俊介にとっては、昨年グランプリ以来の今年初戦。グランプリに続く3番手をソツなくこなして2着に入った。
 「(S級S班として今期初戦で)いつも通り挑めた。体もしっかりと反応できたし、遅れなかった。そのあとも内を空けないでいけた。(昨年の)グランプリが3番手だったので、それが役に立った。(和歌山記念は直前にアクシデントがあったので)休んだけど、体の方は大丈夫です。今日(初日)も思いのほかいけた」
 南関勢に続いて最終ホームでは4番手をスムーズに確保した古性優作は、まくり断行も番手の郡司を乗り越えることができずに3着。V奪取した前回の和歌山記念と比較して振り返る。
 「(4番手からまくって)行ったけど、力不足ですね。弱いだけです。深谷さんの掛かりが良かった。でも、力不足。ただ、(初日に関しては前回の)和歌山よりはいいかなと。和歌山の時はもっとカチッとハマる感じもなかった」