『松阪競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月26日

 松阪競輪場で開催された大阪・関西万博協賛・開設74周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」は、1月26日に最終日が行われた。S級S班の3人が順当に勝ち上がった決勝は、3車のラインになった深谷知広が突っ張りからの先行策。番手絶好の郡司浩平が、直線で抜け出して優勝。4連勝の完全Vで昨年8月の小田原以来、通算22回目のGIII制覇を遂げて、一昨年に次いで松阪記念を連覇した。

決勝戦 レース経過

 号砲で古性優作が出かけるが、それを制して大外枠から踏み出した郡司浩平が正攻法の位置を確保する。これで深谷知広-郡司-岩本俊介の南関勢の前受けで、古性-岩津裕介に、浅井康太、佐藤慎太郎の単騎勢が続いて中団、山田庸平-小川勇介の九州勢が後攻めとなって周回を重ねる。
 青板3コーナーから山田が勢い良く上昇し、赤板前には深谷に並びかける。誘導員退避と同時に深谷に突っ張られた山田だったが、先に内に降りた小川の巧みな誘導もあって南関勢の後位を確保。九州勢に乗り換えようとした動きが失敗で外に浮いた古性は4番手で併走しかけるも結局諦めて後方へ。すかさず浅井が6番手に切り替えたために7番手で立て直しを図る。レースは主導権を奪った深谷が徐々にペースを上げて駆けて行って最終ホームを通過。2コーナーを過ぎても古性は動けず、佐藤が内をすくって7番手に上げてくる。そこで前の浅井がまくるが、2センターで山田に合わせて踏まれて不発。浅井を追っていこうとした古性も佐藤に阻まれて圏外へ。直線に入り、大きく車間を切って深谷を庇っていた郡司に、山田が迫るも、引き付けた郡司はゴール前で鋭く抜け出して大会連覇を達成。2着には山田が突っ込み、南関ライン3番手だった岩本は3着までだった。


郡司浩平選手
郡司浩平選手

 25年を立川記念から始動させた郡司浩平(写真)は、4戦3勝の準V。5シーズン目のS級S班も順調に滑り出したかに思われたが、「1着だけを狙って走るっていう気持ちを(今年の)課題にしているので2着じゃ意味がない」と、振り返っていた。それだけに今シリーズの4連勝の完全優勝は、大きな意味を持つ。
 「(今年初優勝で)そんなにホッとしたところはない。目の前の1着を取りにいくっていうだけで、その結果だと思います」
 展開が向いたと言えばそれまでだが、シリーズの道中は自力を交えて、取りこぼすことなく白星を積み重ねた。トップのこのレベルでは、それも並の芸当ではない。
 「前にも後ろにもお世話になりっぱなしですね。深谷(知広)さんもそうですけど、岩本(俊介)さんのおかげで優勝ができた」
 号砲が鳴ると見合うスタートのなかで、南関勢が前団に構える。勝負の赤板の標識線を過ぎて、深谷は九州勢を出させずに突っ張り先行。準決同様に深谷に迷いはなかった。
 「(山田)庸平さんが来たのも早かったですし、(深谷は)引くかなっていうのがあった。そして(深谷が突っ張って準決の)昨日のパターンだなって。僕も腹をくくりました。(古性優作は)深谷さんが突っ張れば、どこかで追い上げがあるかなって。ジャンくらいで(古性が)しゃくられていたんで、踏みながら来るかなっていうのもあった」
 打鐘で山田にさばかれた古性は、浅井康太にもすくわれて最終ホームでは一本棒の7番手。もっとも警戒しなければいけない相手は、窮地に陥っていた。が、今度は脚をためた山田が、3コーナーから踏み上げる。郡司は瞬時の判断で4コーナーで前に踏み込んだ。
 「2コーナーで(別線が)来てなかったんで、また嫌なところで来るかなって。(深谷を)そこまで残しにいっちゃうと食われちゃうかと。それで優勝を獲りにいった。欲を言えば山田さんをしっかりと止めて、岩本さんとワンツーをしたかった」
 直線は外から山田が詰め寄ったものの、着差以上に余裕のあるゴール。一昨年に次いで松阪記念を連覇。通算22回目のGIII優勝で、今年は8戦7勝。中2日で追加配分の高松記念を迎える。
 「グランプリが終わってから、レースでの悔しさをぶつけたいっていうのがあった。それで追加が来たんで走りたいなと。(これからも)目の前のレースをしっかりと勝つことだけですね」
 昨年はS級S班陥落。2月の全日本選抜Vで早々に返り咲きを確定させた郡司にも、さまざまな葛藤があったのは想像に難くない。そして進化。今年の郡司は、ひと味もふた味も違う。

 南関勢に突っ張られた山田庸平は、4番手に降りて内で古性と併走。好位でタイミングを取ると、まくり気味に追い込んだ。
 「深谷君が前を取ったら、ほぼ突っ張るんだろうと。(突っ張られて)中団を取るか、外で止まるか、番手勝負かいろいろ考えていた。それで中団に入れたんで良かった。今日(最終日)に関しては余裕があった。(最終)2コーナーで(仕掛けて)行ける態勢だったけど、(前にいるのが)郡司君、岩本さんだった。それで(仕掛けが遅れたけど)かぶる前にと。郡司君も1着を取りにいく踏み方だったけど、そのわりに自分も同じくらい伸びた」

 岩本俊介は、初日特選と同じ顔ぶれでの3番手。前の2人を盛り立てながら、ソツなく3番手の仕事に徹した。
 「まずは絶対に内だけは空けないようにと。追い上げられたりしても、そこだけは死守をしようと。(深谷が)突っ張ってからの動きも、(別線が)削りながら降りてくるんでしっかり付けてと。(失敗すると)一番大事なところで台無しにしてしまう。最後まで我慢してれば、郡司もコースを空けてくれるだろうし、そういう信頼関係で3人でやっている」







次回のグレードレースは、高松競輪場開設74周年記念「玉藻杯争覇戦」が1月30日~2月2日の日程で開催されます。
今シリーズは郡司浩平、新山響平のSS班2名をはじめ、犬伏湧也、河端朋之ら快速誇る自力型が参戦。勝ち上がり戦から熾烈なスピードバトルが繰り広げられます。
今年はS班に返り咲いて近況も良好な郡司が人気を集めそうですが、一筋縄ではいきそうにありません。興味津々の4日間です。

1月24日時点の出場予定選手データを分析した、高松競輪「玉藻杯争覇戦」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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