『松阪競輪WTミッドナイト(GIII)レポート』 初日編

配信日:9月9日

 松阪競輪場で開催される「ウィンチケットミッドナイトGIII」が9月8日の深夜に始まった。3日間の短期決戦、男子も7車立てで実施され、初日のメインの特選レースは中釜章成の先行をフルに利した東口善朋が勝利。予選では地元の坂口晃輔、注目ホープとの壮絶な先行争いを制した吉田有希、有力なV候補の新田祐大をゴール前で差し切った永澤剛らが次々と1着を奪っていった。また、前半の2レースはガールズケイリンで、地元の竹野百香、新鋭・酒井亜樹がそれぞれ白星スタートを切った。9日の2日目は男子が準決3個レースで、ポイント制のガールズは予選2で決勝への勝ち上がりを競う。
 なお、本場での車券発売やイベント、ファンサービス等はございません。テレビ、インターネット中継などでの観戦をお楽しみください。

<1R>

竹野百香選手
竹野百香選手
 周回中に5番手の半田水晶が、打鐘2センターから思い切りよく仕掛ける。仕掛けを察知した竹野百香(写真)が、3番手から反応して踏み上げるが、スピードに乗った半田がその上を行って最終ホームで先頭に立つ。半田には比嘉真梨代が続いて、竹野は若干車間が空いた3番手に飛び付く。バックで車間が詰まった竹野は、態勢を整え直して2センターから持ち出す。逃げ粘る半田を直線でとらえた竹野が、1着スタートを切った。
 「(打鐘2センターで仕掛けた)タイミングはバッチリだったけど、半田さんが強かったです。突っ張るつもりで踏んだんですけど、出られちゃったので。普段だったらバックで行っちゃうんですけど、地元っていうのもあって、落ち着いて行こうって。そこの判断が良かった。(欠場明けで)一時より(調子は)落ちているけど、そのなかで状況判断ができていると思います」


<2R>

酒井亜樹選手
酒井亜樹選手
 2番手の熊谷芽緯と、5番手の酒井亜樹(写真)が前と車間を取り、お互いにけん制し合う。打鐘を過ぎてもスローペースで動きはない。酒井は、最終ホームで腹をくくり、ダッシュ良く仕掛ける。熊谷は反応が遅れて、酒井が2コーナーで長澤彩を叩いて先頭へ。酒井を追った増田夕華は車間が空いて、バックでは酒井が後ろを引き離して駆ける。そのまま後ろは車間が詰まらず、酒井が2着に4車身差を付けて快勝した。
 「いつもは2番手、3番手あたりから組み立てるのが好きだけど、今日は後ろから組み立ててみようかなって思っていました。熊谷さんが前にいたので、前に出る時は思い切りいかないとって思って。出切ってからはきれいに脚を回すイメージで走れました。長い距離を踏むのが課題なので。ミッドナイトは不安だったけど、思ったよりも走れました」


<3R>

片岡迪之選手
片岡迪之選手
 後ろ攻めから青木瑞樹が動きだすと、3番手から合わせるように動いた山田諒が先切りを狙う。先頭の照井拓成は、赤板過ぎに踏み上げて山田を突っ張り、隊列は縺れる。一旦後方に下げていた青木は、2コーナーから踏んで、打鐘過ぎには中四国ライン3車が出切る。山田を出させず中団を確保した照井が、最終2コーナー過ぎからまくると、片岡迪之(写真)は、3コーナーで小さく張ってけん制。4コーナーから追い込んだ片岡が、青木をゴール前で差し切った。
 「スタートは俺が失敗しちゃって、後ろ攻めになっちゃったんですけど、(青木が)上手に組み立ててくれましたね。山田君が先切りするのもなんとなく考えてたけど、後ろ攻めを想定してなかったから、(先行する)距離が長くなっちゃうなと。でも、落ち着いて駆けてくれたし、僕は後ろがまくってきたら止めるだけだなと。照井君は見えてて、勢い的にどうかなと思ったけど、一回振って、止まった感じがした。それでも、山田君は最後に絶対くるし、警戒してました。最後は、(青木が)踏み直してたんで、勝手に残ってくれましたね」


<4R>

 周回中に4番手の松崎広太が、赤板目掛けて勢いよく踏んで、立部楓真を押さえる。立部は無理せず4番手に下げて、反撃の態勢を整える。松崎が徐々にペースを上げるが、立部はお構いなしに打鐘2センターから巻き返す。立部は、抵抗する松崎を最終2コーナーでまくり切って先頭へ。山口貴弘は、松崎をバックで締め込みながら追走。佐賀両者のゴール勝負となり、差し切った山口が1着だった。
 「前と後ろのおかげです。自分は付いていっただけで何もしていない。立部君もきつそうだったけど、良く行ってくれた。バンクに行かないので一緒に練習はしないけど、レースではいつも頑張ってくれる。初日をクリアできたのは大きいです。脚は大丈夫」


<5R>

簗田一輝選手
簗田一輝選手
 林慶次郎が赤板過ぎに切って、齋木翔多がその上を押さえに行く。林が、齋木を突っ張ろうと踏み上げて、打鐘はハイペースで通過する。突っ張られた静岡勢は中団に降りる。真鍋顕汰は2センターから反撃するが、林はこれも合わせて、真鍋は最終2コーナーで失速。態勢を整え直した齋木は、バック手前からまくる。吉本卓仁が3コーナーで大きく齋木をブロックすると、簗田一輝(写真)は空いた内のコースを進出。高原仁志と絡んだものの、踏み勝ってゴール前で抜け出した。
 「(齋木は)脚がありますね。ジャンで切りに行って、突っ張られてもすんなり引かずにペースを上げてくれた。あれが良い判断だったと思います。しかももう一回仕掛けてくれたし、強かった。吉本さんは脚があるし、絶対に仕事してくるんで、そこを齋木が乗り越えられるかどうかだった。一瞬越えられそうだったけど、2回目に振った時に止まった感じがしたんで、内に行って勝負した感じです。高原さんもヨコはうまいので、逆に思い切って行けましたね。調子は上がってると思います」


<6R>

坂口晃輔選手
坂口晃輔選手
 秋本耀太郎が赤板過ぎに切って、押さえた橋本智昭が1センターで前に出る。前受けから引いた橋本優己は、5番手まで下げ切って、仕掛けのタイミングを取る。間合いを取った橋本優は、打鐘を過ぎても動きを見せず、橋本智が4コーナーから踏み上げて先行態勢に入る。橋本優は、最終ホーム手前から発進。3番手の秋本が、2コーナー過ぎに先まくりを打つが、橋本優はその上を力強くまくり上げていく。橋本優が4コーナーでまくり切って先頭に立ち、最後は坂口晃輔(写真)が鋭く差し切った。
 「(橋本優は)もがく距離は1周くらいになるかなって思っていた。橋本(優)君が行き切った所で勝負かなと思った。フォームを見ていたら、橋本(優)君も力尽きている感じがなくて、スマートに乗っているなって思った。バック線から伸びていきましたね。交わせるとは思っていなくて、交わせてしまったという感じ。思ったよりは体が動いたかな」


<7R>

 4番手から小川三士郎が上昇すると、吉田有希は赤板過ぎに突っ張ろうと踏み上げる。小川はそれでも踏みやめず、赤板から激しい先行争いになる。同年代の意地の張り合いは吉田に軍配。小川は最終ホームでは失速して後退する。4番手に降りた友定祐己はなかなか持ち出せず、直線は茨栃両者の争い。吉田はゴール前もしっかり踏み直して、24歳の誕生日を逃げ切りで飾った。
 「(小川が)引いてくれればと思って突っ張ったけど、それはそれで面倒くさいんで、付き合ってくれてラッキーでしたね。(踏み合いになっても)合わせながら自分のペースで踏んでいけば良いので。3、4着に沈むかなとも思ったけど、踏み直せたし、逃げ切れたので良かったです」


<8R>

永澤剛選手
永澤剛選手
 中西大が赤板過ぎに押さえて、近畿勢に単騎の西田雅志が続く。村上竜馬は最後方で動きを見せず、前受けから下げた新田祐大は4番手になる。中西がペースを上げずにいると、新田は打鐘で踏み込む。中西は合わせて踏むが、鷲田幸司は車間が空いてしまい、新田は一旦番手に降りて態勢を整える。新田は、最終ホームですぐさま仕掛けて、永澤剛(写真)が追走。まくられた中西は、3番手で車間が空いて、北日本両者の争いに絞られる。4コーナーから追い込んだ永澤は、直線で鋭い伸びを見せ、新田を差し切った。
 「(新田に)気を使ってもらった感じがあったかも。さばかれそうだったけど、(新田が)待っててくれたように見えた。フレームは落車したやつに戻していました。新車を使っていたけど、あんまり良くなくて。付いていくのに必死でしたし、抜くのも必死でした」


<9R>

東口善朋選手
東口善朋選手
 後ろ攻めの小川真太郎が赤板過ぎに切り、2コーナーから踏んだ中釜章成が、打鐘手前で前に出る。前受けから下げ切った小原太樹が4コーナーで仕掛けると、中釜は合わせて踏み上げて先行態勢に入る。合わされた小原は出切れず、3番手外で併走。最終2コーナー過ぎに外併走からもう一度仕掛けた小原だったが、東口善朋(写真)のけん制もあって前に出切るまではいかない。近畿両者のゴール勝負となり、最後は東口が差し切った。
 「中釜は、スタートもどこからでも良いって感じだったし、しっかり切るべきところを切ってくれて、さすがの走りをしてくれましたね。ライン2車ですし、3番手が併走になったり、自分のところも粘られるかなとも思ってた。併走からまくって来てましたし、そのあたりも分かってた。でも、中釜君がしっかり駆けてくれたし、交わせるかどうかだけでしたね。抜けているし、悪くない。流れも良いですし、良い流れを潰さないようにしたい」
 中釜章成は、さすがの先行力を発揮。東口とのラインワンツーで好スタートを切った。
 「後ろ攻め以外でって考えてたけど、どこからでも大丈夫かなとは思ってました。小原さんのスタートが早いし、多分中団になるだろうなとも思ってた。中団なら、切って切ってになるんで、やりやすかったですね。脚見せから行ける感じがありました。でも、イマイチ、ミッドナイトに入り切れてない感じはある。リラックスし過ぎてる感じ。明日(2日目)が本当に大事なんで、気持ちを入れたい」
 総力戦だった小原太樹は、自力を発動するも前には出切れず。それでも外でこらえて3着に入った。
 「中釜君が中団なら、小川君も3車ですし、もっと先行争いになるかなと思った。でも、(小川が)抵抗する感じがなかったですね。もう、後方になったんで、行けるタイミングで行ってみたんですけど、あそこ(3番手)まででしたね。なんとかへばりついて、3着までまとめられたけど、伏見(俊昭)さんには申し訳ないです」