松阪競輪場を舞台に開催されてきた「ウィンチケットミッドナイトGIII」は9月10日深夜に最終日が行なわれた。男子決勝は先行一車の立部楓真が突っ張り先行でレースを支配。小原太樹の追い上げを凌いで立部の番手を守った吉本卓仁が直線抜け出して優勝を飾った。3日制7車立ての開催ではあったが、吉本は04年7月のデビューから初のGIII制覇となる。また、ガールズケイリン決勝はナショナルチームメンバーとしても活躍する128期ナンバーワンの酒井亜樹が狙いすましたまくりを決めて完全Vを飾った。
決勝戦 レース経過
号砲が鳴り響くと岩津裕介、小原太樹が飛び出したが、最内枠の岩津が誘導員の後ろを占めた。したがって立部楓真-吉本卓仁-岩津-高原仁志のラインが前を固め、小原-永澤剛-香川雄介ラインが後攻めとなった。
青板周回に入り、2コーナーから小原がゆっくりと踏み上げる。赤板で小原は立部に並びかけたが、立部は突っ張って小原を出させない。一旦5番手に戻った小原は2コーナーを立ち直ったところから一気にスパートし、これに気付いた立部も踏み込んで応戦。3コーナーでは岩津がバランスを崩して落車するアクシデントが発生。最終ホームは逃げた立部の後ろがイン吉本、アウト小原で競り合いとなり、以下は永澤-香川、高原の順で通過した。2コーナーで吉本が小原を弾いて立部の番手を死守。永澤は捌かれた小原を迎え入れ、最終バックは立部-吉本、小原-永澤-香川、高原の一本棒となった。2センターで永澤が踏み込むが、なかなか前との差は詰まらない。直線に入り、先行した立部を交わした吉本がGIII初Vを達成。ミッドナイトGIIIでは今年3人目の覇者となった。2着は吉本に続いていた小原、2センターから踏み上げた永澤、直線で内に進路を取った香川で横一線となったが、写真判定の結果、香川が小原を微差押さえて2着に入った。

吉本卓仁選手
長年九州を引っ張ってきた男が、ようやくつかんだGIII初優勝。吉本卓仁(写真)は、浮かれることなくその喜びを噛みしめた。号砲と共に、岩津裕介と、小原太樹が同時に飛び出して、スタート争いを制したのは、内枠の利があった岩津。先行一車の立部楓真に、まず有利な態勢が整った。
「岩津さんがすごい気合で前を取ってくださって、それで自分も気持ちが入った。立部は前が取れたら突っ張りだと思ってたんで、その気持ちを後ろの僕らが引き継がないとなっていう思いも、少しだけありました」
立部が定石通りに赤板過ぎに突っ張るが、小原も他地区に任された意地がある。2コーナー過ぎに早くも巻き返した小原が猛然と襲い掛かった。合わせてペースを上げた立部が主導権を守り切ったが、出切れなかった小原は吉本に外から競りかける。最終ホームのストレートで一瞬キメられかけた吉本だったが、1コーナーでは内から盛り返して番手を死守。意地でもこの位置は、譲れなかった。
「正直脚を使ってなかったし、(小原との併走は)きつくはなかった。でも、自分の(番手戦の)経験不足からくる気持ちの弱さで、遅れ気味になった。そんなんじゃだめだと、もう一回盛り返しました」
打鐘3コーナーで岩津が落車し、競り負けた小原は永澤のアシストで3番手に入り直したものの余力がない。吉本は冷静に後ろの状況を確認しつつ、4コーナーからはゴール線目掛けて踏み込んだ。
「岩津さんが落車したのは分かってたし、小原君が後ろに入ったのも分かってた。あとは誰が来るかなって感じだったけど、4番(永澤)が見えたので、これ以上かばうのはと。抜かれたらだめなんで、勝ちにいかせてもらいました」
立部の思いを受け取ってのGIII初優勝。これまで何度も九州の先頭で、ラインの勝利に貢献してきた。やっと順番が巡ってきての優勝だが、本人には、そんな恩着せがましい思いはみじんもない。
「前で頑張ってきたとか、引っ張ってきたとか、そういうふうによく言われるんですけど、あれが僕の勝ち方だった。僕にとっては、あれが自分が勝ちにいく戦法だったんです。それの積み重ねを、先輩方に認めてもらってたんだって思っています。立部は、その時の僕を見ていない世代だし、立部が勝ちにいく仕掛けで良かったんです。でも(立部は)気持ちが入っていた。嬉しかったですね」
この優勝で、全てが報われたわけではない。慣れ親しんだ9車立てのグレードレースでこそ、結果を出したい。
「やっぱり、9車立ての記念を獲りたい。今まで何回も取り損ねているんで。自力で獲りたいって思いもあったけど、この歳でそれは厳しい。今できることは、後輩の後ろで仕事をすること。それをやったなかで、記念を獲りたいです」
ラインの持ち場は変わっても、自分の役割を全うすることに変わりはない。この先も、ラインの勝利のために走っていく。
永澤剛が小原を迎え入れて、香川雄介は最終バックで5番手。永澤が2センターから外に持ち出して、香川は内のコース取り。ゴール前も最内を踏んで2着に突っ込んだ。
「永澤君にまくって欲しかったけど、(小原を)迎え入れたので、自分でまくろうかなって思ったけど。余裕はありましたね。最後は永澤君が外を踏んでコースが空いたので、2着まで届きました」
小原太樹は、他地区に任されての総力戦。できる限りの手は尽くした。
「(スタートは)取れた気もしたけど、岩津さんが内にいた。こだわってもしょうがないし、車番的に後ろ攻めになることも想定してたので。後ろ攻めなら、早めに押さえに行って、突っ張られたら引いてすぐ行こうと思ってた。出切れなかったけど、あそこで引いてももう着がないし、(吉本の外で)勝負しに行ったんですけど。踏み勝ったかなと思ったら、内から盛り返されちゃいましたね。(永澤に)迎え入れてもらったけど、いっぱいでした。あれで出切れるぐらいのタテ脚を磨かないとだめですね」




青板周回に入り、2コーナーから小原がゆっくりと踏み上げる。赤板で小原は立部に並びかけたが、立部は突っ張って小原を出させない。一旦5番手に戻った小原は2コーナーを立ち直ったところから一気にスパートし、これに気付いた立部も踏み込んで応戦。3コーナーでは岩津がバランスを崩して落車するアクシデントが発生。最終ホームは逃げた立部の後ろがイン吉本、アウト小原で競り合いとなり、以下は永澤-香川、高原の順で通過した。2コーナーで吉本が小原を弾いて立部の番手を死守。永澤は捌かれた小原を迎え入れ、最終バックは立部-吉本、小原-永澤-香川、高原の一本棒となった。2センターで永澤が踏み込むが、なかなか前との差は詰まらない。直線に入り、先行した立部を交わした吉本がGIII初Vを達成。ミッドナイトGIIIでは今年3人目の覇者となった。2着は吉本に続いていた小原、2センターから踏み上げた永澤、直線で内に進路を取った香川で横一線となったが、写真判定の結果、香川が小原を微差押さえて2着に入った。

吉本卓仁選手
「岩津さんがすごい気合で前を取ってくださって、それで自分も気持ちが入った。立部は前が取れたら突っ張りだと思ってたんで、その気持ちを後ろの僕らが引き継がないとなっていう思いも、少しだけありました」
立部が定石通りに赤板過ぎに突っ張るが、小原も他地区に任された意地がある。2コーナー過ぎに早くも巻き返した小原が猛然と襲い掛かった。合わせてペースを上げた立部が主導権を守り切ったが、出切れなかった小原は吉本に外から競りかける。最終ホームのストレートで一瞬キメられかけた吉本だったが、1コーナーでは内から盛り返して番手を死守。意地でもこの位置は、譲れなかった。
「正直脚を使ってなかったし、(小原との併走は)きつくはなかった。でも、自分の(番手戦の)経験不足からくる気持ちの弱さで、遅れ気味になった。そんなんじゃだめだと、もう一回盛り返しました」
打鐘3コーナーで岩津が落車し、競り負けた小原は永澤のアシストで3番手に入り直したものの余力がない。吉本は冷静に後ろの状況を確認しつつ、4コーナーからはゴール線目掛けて踏み込んだ。
「岩津さんが落車したのは分かってたし、小原君が後ろに入ったのも分かってた。あとは誰が来るかなって感じだったけど、4番(永澤)が見えたので、これ以上かばうのはと。抜かれたらだめなんで、勝ちにいかせてもらいました」
立部の思いを受け取ってのGIII初優勝。これまで何度も九州の先頭で、ラインの勝利に貢献してきた。やっと順番が巡ってきての優勝だが、本人には、そんな恩着せがましい思いはみじんもない。
「前で頑張ってきたとか、引っ張ってきたとか、そういうふうによく言われるんですけど、あれが僕の勝ち方だった。僕にとっては、あれが自分が勝ちにいく戦法だったんです。それの積み重ねを、先輩方に認めてもらってたんだって思っています。立部は、その時の僕を見ていない世代だし、立部が勝ちにいく仕掛けで良かったんです。でも(立部は)気持ちが入っていた。嬉しかったですね」
この優勝で、全てが報われたわけではない。慣れ親しんだ9車立てのグレードレースでこそ、結果を出したい。
「やっぱり、9車立ての記念を獲りたい。今まで何回も取り損ねているんで。自力で獲りたいって思いもあったけど、この歳でそれは厳しい。今できることは、後輩の後ろで仕事をすること。それをやったなかで、記念を獲りたいです」
ラインの持ち場は変わっても、自分の役割を全うすることに変わりはない。この先も、ラインの勝利のために走っていく。
永澤剛が小原を迎え入れて、香川雄介は最終バックで5番手。永澤が2センターから外に持ち出して、香川は内のコース取り。ゴール前も最内を踏んで2着に突っ込んだ。
「永澤君にまくって欲しかったけど、(小原を)迎え入れたので、自分でまくろうかなって思ったけど。余裕はありましたね。最後は永澤君が外を踏んでコースが空いたので、2着まで届きました」
小原太樹は、他地区に任されての総力戦。できる限りの手は尽くした。
「(スタートは)取れた気もしたけど、岩津さんが内にいた。こだわってもしょうがないし、車番的に後ろ攻めになることも想定してたので。後ろ攻めなら、早めに押さえに行って、突っ張られたら引いてすぐ行こうと思ってた。出切れなかったけど、あそこで引いてももう着がないし、(吉本の外で)勝負しに行ったんですけど。踏み勝ったかなと思ったら、内から盛り返されちゃいましたね。(永澤に)迎え入れてもらったけど、いっぱいでした。あれで出切れるぐらいのタテ脚を磨かないとだめですね」





8R・ガールズケイリン レース経過
スタートは増田夕華が勢いよく出て誘導員の後ろに付いた。初周で早々と増田、熊谷芽緯、比嘉真梨代、竹野百香、酒井亜樹、當銘直美、東美月の並びに落ち着いたかに思われたが、2周目に竹野が踏み上げて熊谷の前に入った。
赤板を過ぎると竹野、熊谷、酒井らが前との車間を空けて仕掛ける態勢を整えはじめたが、ジャンで誘導員が退避しても、けん制し合って誰も動かない。残り1周の4コーナーを立ち直ったところから竹野がスパート。竹野が先行態勢に入ると、竹野を追っていた熊谷は、間髪入れずに襲い掛かり、酒井は2コーナーを立ち直ったところから反撃を開始。最終バックでは熊谷が先頭に躍り出るが、酒井が好スピードで前団に迫り、當銘が酒井に続く。熊谷が先頭で最後の直線に入るも、スピードでまさる酒井が熊谷を直線半ばで抜き去って優勝。終始酒井を追走していた當銘が2着に入り、熊谷は粘ったものの3着。

酒井亜樹選手
周回中に5番手の酒井亜樹(写真)を警戒し、2番手の竹野百香、3番手の熊谷芽緯が、それぞれ後ろの様子をうかがう。打鐘は見合ったまま通過してスローな流れ。最初に腹を決めたのは竹野。4コーナーから一気にカマシを放つ。車間を空けて追った熊谷は、最終1コーナーで前に追いついた勢いのままに持ち出してまくり上げる。熊谷が竹野を2コーナー過ぎにとらえたが、後方からは酒井がまくりの上をまくってくる。3コーナーの登りをスムーズに乗り越えた酒井は、2センターをきれいに回して4コーナーの下りで再加速。直線で鮮やかに熊谷を抜き去って、3連勝の完全Vを決めた。
「決勝のあのメンバーだったら、竹野さんと熊谷さんが自力があるので、その2人の中団が良かったけど、後ろになってしまった。スローペースなら駆けようかと思ったけど、前が仕掛けていったので、スピードをもらっていきました。(竹野の)まくりの(上をいく熊谷の)まくりの上を行ったので苦しかったけど、2センターから下りを使っていけた。3日間通して、ミッドナイトはやっぱりきついなって。声援もないので、頭がぼーっとなってしまった。9月(のガールズケイリン)はこの一本で、10月は世界選手権があるので、そこに向かって頑張っていきたいです」
當銘直美は、周回中から酒井の後位を確保。鋭いまくりに食らい付いての準Vだった。
「車番的に、酒井さんが近かったし、その後ろからって決めていました。酒井さんはダッシュがすごいんですけど、なんとか食らい付いていって、2着に入れたのは良かったんですけど、自分的には結構迫れた気がするんで、欲を言えばもっと接戦に持ち込みたかった。酒井さんは脚があるけど、私は内を見ながらの省エネじゃないと、あの(まくりの)外は付いていけない。今の状態の中で食らい付けたのは良かったです」
熊谷芽緯は、酒井よりも先に仕掛けた上で3着。まくられはしたが、持てる力は出し切った。
「酒井さんがきたら合わせて出ようと思ったけど、竹野さんが行ったのでその勢いをもらっていきました。着も分からないくらい頑張っていました。もうちょっと様子を見たかったけど、焦って前に出てしまった。脚は良かったと思います」




赤板を過ぎると竹野、熊谷、酒井らが前との車間を空けて仕掛ける態勢を整えはじめたが、ジャンで誘導員が退避しても、けん制し合って誰も動かない。残り1周の4コーナーを立ち直ったところから竹野がスパート。竹野が先行態勢に入ると、竹野を追っていた熊谷は、間髪入れずに襲い掛かり、酒井は2コーナーを立ち直ったところから反撃を開始。最終バックでは熊谷が先頭に躍り出るが、酒井が好スピードで前団に迫り、當銘が酒井に続く。熊谷が先頭で最後の直線に入るも、スピードでまさる酒井が熊谷を直線半ばで抜き去って優勝。終始酒井を追走していた當銘が2着に入り、熊谷は粘ったものの3着。

酒井亜樹選手
「決勝のあのメンバーだったら、竹野さんと熊谷さんが自力があるので、その2人の中団が良かったけど、後ろになってしまった。スローペースなら駆けようかと思ったけど、前が仕掛けていったので、スピードをもらっていきました。(竹野の)まくりの(上をいく熊谷の)まくりの上を行ったので苦しかったけど、2センターから下りを使っていけた。3日間通して、ミッドナイトはやっぱりきついなって。声援もないので、頭がぼーっとなってしまった。9月(のガールズケイリン)はこの一本で、10月は世界選手権があるので、そこに向かって頑張っていきたいです」
當銘直美は、周回中から酒井の後位を確保。鋭いまくりに食らい付いての準Vだった。
「車番的に、酒井さんが近かったし、その後ろからって決めていました。酒井さんはダッシュがすごいんですけど、なんとか食らい付いていって、2着に入れたのは良かったんですけど、自分的には結構迫れた気がするんで、欲を言えばもっと接戦に持ち込みたかった。酒井さんは脚があるけど、私は内を見ながらの省エネじゃないと、あの(まくりの)外は付いていけない。今の状態の中で食らい付けたのは良かったです」
熊谷芽緯は、酒井よりも先に仕掛けた上で3着。まくられはしたが、持てる力は出し切った。
「酒井さんがきたら合わせて出ようと思ったけど、竹野さんが行ったのでその勢いをもらっていきました。着も分からないくらい頑張っていました。もうちょっと様子を見たかったけど、焦って前に出てしまった。脚は良かったと思います」





次回のグレードレースは、福井競輪「第41回共同通信社杯競輪」が9月12日~15日の日程で開催されます。
出場選手の選考基準に「第111回生から第127回生までの卒業選手のうち平均競走得点上位者25名」などがあり、30歳以下の自力型が数多く参戦する若手の登竜門と位置づけられています。実績上位のSS班らが貫録を示すのか、はたまた若手が下克上をはたすのか?ファン必見の4日間です。
9月7日時点の出場予定選手データを分析した、福井競輪「共同通信社杯競輪」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
プロスポーツ号外版は"こちら"
出場選手の選考基準に「第111回生から第127回生までの卒業選手のうち平均競走得点上位者25名」などがあり、30歳以下の自力型が数多く参戦する若手の登竜門と位置づけられています。実績上位のSS班らが貫録を示すのか、はたまた若手が下克上をはたすのか?ファン必見の4日間です。
9月7日時点の出場予定選手データを分析した、福井競輪「共同通信社杯競輪」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。
プロスポーツ号外版は"こちら"