『松阪競輪開設75周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:10月13日

 松阪競輪場で開催された開設75周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」は、10月13日に最終日が行われた。S級S班3人が優出した決勝は、4車で結束した北日本勢が主導権。最終2コーナー手前から番手まくりを打った新山響平が、そのまま押し切ってV。昨年11月の四日市以来、通算6回目のGIII制覇で、今年の初優勝を飾った。

決勝戦 レース経過

 スタート争いを制した渡部幸訓が誘導員を追い、酒井雄多-新山響平-佐藤一伸-渡部の北日本勢が前を固める。古性優作-園田匠が中団で、7番手からが郡司浩平-武藤龍生。単騎の浅井康太が最後方。
 青板周回に入ると、酒井が誘導員との車間を空け始めて後方の動きを警戒する。2センター付近から動き出した郡司が、赤板過ぎに先頭に立つ。しかし、この動きに反応した酒井が郡司を突っ張って新山が続くが、3番手の佐藤は遅れ、外から郡司ラインをう回して再合流。郡司は車を下げるが、外から追い上げた古性が5番手を取り切る。酒井は打鐘手前から一気にペースを上げていき、後続の動きがないまま最終ホームを通過。1センター付近から新山が番手まくりを放つ。新山のスピードが良く、後続はまったく仕掛けられない。そのまま押し切った新山が今年初の記念制覇。新山を追った佐藤は、前との車間が空きながらも必死に喰らい付くが、ゴール寸前で渡部が佐藤を交わして2着。佐藤が3着に入った。


新山響平選手
新山響平選手

 大挙4人が決勝に進んだ北日本勢。酒井雄多が“志願”の前回りで、ラインの先頭を務めた。それだけに新山響平(写真)も、その並々ならぬ思いをくみ取っての番手回りだった。
 「酒井は前で頑張らせてくださいって、すぐに来てくれた。酒井の気持ちがすごく入ってたんで、自分もなんとかモノにしなければと」
 渡部幸訓がスタートを出て、北日本勢は思惑通りの前団。誘導との車間を大きく空けた酒井は、上昇する郡司浩平と赤板の標識線でのダッシュ勝負。1コーナーでは郡司が前に出たが、インから盛り返した酒井が意地の突っ張り先行。3番手の佐藤一伸、4番手の渡部が外をう回するシーンもあったが、打鐘手前では4車がドッキング。連係が崩れることなく、レースが進んだ。
 「郡司さんがすごくうまかった。でも、(赤板の)ギリギリのところでバックを踏んだ感じで、そのまま郡司さんに踏まれたらマズいなって。それで引く準備をしていた。僕が迷ったせいで、後ろに迷惑を掛けてしまった」
 5番手に古性優作が追い上げて、郡司が7番手に戻っての一本棒。酒井は迷うことなく風を切り、新山は最終ホーム手前から車間を空けて別線の反撃に備えた。
 「酒井が強すぎて、(ペース的にも別線は)絶対に来ないだろうなって。自分が先行していても、来られないだろうなっていうペースだった」
 古性、郡司ともにアクションがなかったものの、新山は2コーナー手前から番手発進。後ろを固めた佐藤、渡部を気づかい、さらには酒井の頑張りをムダにしないための仕掛けでもあった。
 「ラインで決めるには、(別線の)まくりが来てからだと(後ろが)からまれて、危なくなる。たぶんまだ来てないなっていうのがあった。けど、酒井もタレてきてたんで、早めに迷わずに行かせてもらいました。本当にラインのおかげです」
 佐藤が新山の加速にこらえ切れず、徐々に車間が空きながら追走。ラインの2人をはじめとして、後続に影を踏ませることなくゴールを先頭で駆け抜けて、新山が今年の初優勝。
 「今日は酒井のダッシュも踏み直しもすごかった。(将来的に)追い込みに変わっていく時に、ピタリと付いていく追走技術をつけていきたい」
 自身が前で戦った初日特選、二次予選は、そのスタイルを確立した突っ張り先行を披露。先行日本一と称される新山ながらも、将来のスタイルチェンジに向けて課題をあげる。
 「番手の走りは、ただ前に踏むだけではなく、しっかりと仕事をできる選手になりたいと、また強く思いました。(今回は)疲れがあるなかで、まあまあの走りができた。もうひと追い込みして寬仁親王牌に臨みたい」
 今年の獲得賞金ランクは、いまのところ9位。グランプリ出場のボーダー上にいながらも、あくまで先を見据える新山のスケールがデカい。

 北日本勢が、上位を独占。渡部幸訓が、ゴール寸前で佐藤を交わして2着に上がった。
 「郡司君がうまかったですね。酒井はなかなかああいう(突っ張りの)経験がないので難しかったのかなと。(佐藤)一伸が外を追い上げてくれて、4人でいけた時には(新山)響平が番手ですし、ゴールまでそのまま行けるかと思っていました。古性君はSSで力勝負をしてくれる選手なので、内とかはないかなと。響平が出て行った時に、一伸が車間を切っているのか、離れているのか、わからなかった。それで自分は4コーナー勝負でと思いました」

 赤板1センターで外を回って、前の新山に付け直した佐藤一伸は、そこで脚力を消耗。新山の番手まくりに車間が空いて、最後まで詰め切れなかった。
 「(新山に)離れてしまった。詰めないで(最終)3コーナーから踏めば車間を切った形になるかなと。酒井が(郡司に)出られた時に迎え入れようと少し外し気味にしたのが…。(追い上げて付き直してから)響平が引きつけていたし、脚にきました。どこでいくのかなと。詰めてから差しにいく脚があればいいけど、響平のことは差したことがないんじゃないですかね」







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10月3日時点の出場予定選手データを分析した、豊橋競輪「第1回愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会協賛競輪」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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別府競輪GIII 令和7年度 施設整備等協賛競輪
次回のグレードレースは、別府競輪「施設整備等協賛競輪」が10月16日~19日の日程で開催されます。

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