松阪競輪場を舞台に開催された開設67周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪(GIII)」は、1月28日に最終日を迎えた。強風が吹き荒れる厳しいバンクコンディションのシリーズを勝ち抜いた9選手によって争われた決勝は、稲川翔が追い込みV。一昨年4月の川崎以来、通算2度目の記念優勝を飾った。また、第9レースでは一発勝負で「KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)」が行われ、坂本周輝がまくりで制した。
決勝戦 レース経過
号砲で飛び出した小倉竜二が正攻法に早坂秀悟を迎え入れると、周回は早坂-小倉、高橋和也-坂口晃輔、村上義弘-稲川翔、山中秀将-根田空史-岡村潤の並び。
赤板前からしきりに後方に目をやり山中の動きを警戒した村上がホームから先にアクションを起こすと、その上を山中が一気に叩いて打鐘前2コーナーから主導権を握る。村上は狙いどおりの4番手を確保したが、ハイペースで駆ける山中の前に6番手の高橋や8番手の早坂は口が空く。車間を切って後続の巻き返しに備えた根田は2コーナーから番手まくり。後方に置かれた選手にチャンスはなく、車間を詰めて2センターから仕掛けた村上も伸び切れない。これで南関両者での優勝争い。4角番手で回ってきた岡村が展開有利に抜け出すかに見えたが、村上のスピードをもらった稲川が外を強襲。2016年4月川崎以来、通算2度目の記念優勝を飾った。

稲川翔選手
南関勢がつくり出したすさまじいハイペースに、絶好位の4番手を確保したはずの村上義弘も苦戦。空いた車間がなかな詰まらなかったが、稲川翔(写真)の信頼が揺らぐことはなかった。
「村上さんに付かせてもらう時は、毎回勉強の気持ちで走っています。村上さんが(自分にも)絶対にチャンスのある走りをしてくれると思っていたので、ゴールまであきらめずに踏みました」
前団を射程圏に入れた村上を突き放すように、根田空史が最終2コーナーから番手まくり。それでも執念で根田、岡村潤に取りついた村上のチャンスメイクで、稲川にVロードが開けた。
「自分は万全ではないなかで決勝に乗れたし、もう失うものがない。ちょっとでも怯んだら勝負にならないと思って無我夢中だった。ゴールするまで力を残さないように。それだけでした」
昨年12月の向日町FIの準決で落車に見舞われ、途中欠場を余儀なくされ昨シーズンを終えた。18年の初場所の地元、岸和田FIでも決勝で落車。アクシデント続きのなか、村上とのタッグで優勝をつかんだ。
「(記念優勝)1回目は本当に獲りたくて、やっとっていう感じでした。(今回は)まずは自分のやれることをしっかりとやろうと。年末、年始で落車をして、まさか自分が優勝できるとは思ってなかった。結果がついてきてくれてホッとしてますし、村上さんとの連係で優勝できたのはうれしい」
一昨年の川崎以来、通算2度目の記念制覇。14年、高松宮記念杯で初戴冠を成し遂げた時と同じように、優勝を重ねても稲川の慎ましやかなスタイルは変わらない。
「まずは近畿ラインでじっかり自分のできることをですね。そこから」
近畿にとって欠かせない存在。稲川の優勝をみんなが祝福する。
山中秀将は赤板の1センターから持ち前のスピードを生かして、一気に主導権を奪取。続いた根田が番手まくりを放ち、岡村潤が抜かりなく追走。稲川の差し脚に屈した岡村は、準Vに唇をかむ。
「(自分の後ろで)車間が切れていたし、ギュンって一気には来られないと思っていたんですけど…。山中君もあんだけ行ってくれたのに申し訳ないですね」
根田空史は山中のスピードが鈍ると、車間を詰める勢いで最終2コーナーから発進。そのまま押し切るかに思われたが、直線半ばで失速して3着に沈んだ。
「山中さんがタレて来ちゃったんで、車間が詰まったから(自分で)行こうと。タイミング的には良かったけど、まだまだ自分の脚が足りなかった…」
地元の坂口晃輔は高橋和也に乗って、直線で中を猛襲するも4着が精いっぱい。
「山中さんと根田君の2段駆けで、スピードが完全に上がりきっていた。もう前が掛かりすぎていた。ただ、自分もいい時の感触を思い出した感じもあるんで、(この悔しさを四日市の)全日本選抜にぶつけます」
南関勢のハイペースにてこずった村上義弘は、稲川の優勝をたたえてこう振り返る。
「前が掛かっていたし、もういっぱいでした。先輩らしいことはなにもできなかったけど、(稲川が)力で獲ってくれた」
「後ろが追い込み選手だったら違うけど、根田が付いているんで粘らせるわけにはいかなかった。やるだけのことはやった」と、緩めることなく敢然と風を切った山中秀将は完全燃焼。


赤板前からしきりに後方に目をやり山中の動きを警戒した村上がホームから先にアクションを起こすと、その上を山中が一気に叩いて打鐘前2コーナーから主導権を握る。村上は狙いどおりの4番手を確保したが、ハイペースで駆ける山中の前に6番手の高橋や8番手の早坂は口が空く。車間を切って後続の巻き返しに備えた根田は2コーナーから番手まくり。後方に置かれた選手にチャンスはなく、車間を詰めて2センターから仕掛けた村上も伸び切れない。これで南関両者での優勝争い。4角番手で回ってきた岡村が展開有利に抜け出すかに見えたが、村上のスピードをもらった稲川が外を強襲。2016年4月川崎以来、通算2度目の記念優勝を飾った。

稲川翔選手
「村上さんに付かせてもらう時は、毎回勉強の気持ちで走っています。村上さんが(自分にも)絶対にチャンスのある走りをしてくれると思っていたので、ゴールまであきらめずに踏みました」
前団を射程圏に入れた村上を突き放すように、根田空史が最終2コーナーから番手まくり。それでも執念で根田、岡村潤に取りついた村上のチャンスメイクで、稲川にVロードが開けた。
「自分は万全ではないなかで決勝に乗れたし、もう失うものがない。ちょっとでも怯んだら勝負にならないと思って無我夢中だった。ゴールするまで力を残さないように。それだけでした」
昨年12月の向日町FIの準決で落車に見舞われ、途中欠場を余儀なくされ昨シーズンを終えた。18年の初場所の地元、岸和田FIでも決勝で落車。アクシデント続きのなか、村上とのタッグで優勝をつかんだ。
「(記念優勝)1回目は本当に獲りたくて、やっとっていう感じでした。(今回は)まずは自分のやれることをしっかりとやろうと。年末、年始で落車をして、まさか自分が優勝できるとは思ってなかった。結果がついてきてくれてホッとしてますし、村上さんとの連係で優勝できたのはうれしい」
一昨年の川崎以来、通算2度目の記念制覇。14年、高松宮記念杯で初戴冠を成し遂げた時と同じように、優勝を重ねても稲川の慎ましやかなスタイルは変わらない。
「まずは近畿ラインでじっかり自分のできることをですね。そこから」
近畿にとって欠かせない存在。稲川の優勝をみんなが祝福する。
山中秀将は赤板の1センターから持ち前のスピードを生かして、一気に主導権を奪取。続いた根田が番手まくりを放ち、岡村潤が抜かりなく追走。稲川の差し脚に屈した岡村は、準Vに唇をかむ。
「(自分の後ろで)車間が切れていたし、ギュンって一気には来られないと思っていたんですけど…。山中君もあんだけ行ってくれたのに申し訳ないですね」
根田空史は山中のスピードが鈍ると、車間を詰める勢いで最終2コーナーから発進。そのまま押し切るかに思われたが、直線半ばで失速して3着に沈んだ。
「山中さんがタレて来ちゃったんで、車間が詰まったから(自分で)行こうと。タイミング的には良かったけど、まだまだ自分の脚が足りなかった…」
地元の坂口晃輔は高橋和也に乗って、直線で中を猛襲するも4着が精いっぱい。
「山中さんと根田君の2段駆けで、スピードが完全に上がりきっていた。もう前が掛かりすぎていた。ただ、自分もいい時の感触を思い出した感じもあるんで、(この悔しさを四日市の)全日本選抜にぶつけます」
南関勢のハイペースにてこずった村上義弘は、稲川の優勝をたたえてこう振り返る。
「前が掛かっていたし、もういっぱいでした。先輩らしいことはなにもできなかったけど、(稲川が)力で獲ってくれた」
「後ろが追い込み選手だったら違うけど、根田が付いているんで粘らせるわけにはいかなかった。やるだけのことはやった」と、緩めることなく敢然と風を切った山中秀将は完全燃焼。


9R KEIRIN EVOLUTION(ケイリン エボリューション)

坂本周輝選手
「展開が動かなかったし、(勝因は)いい位置を取れたからですね。あれで松岡(貴久)さんが動いたら、その上をカマしてと思ってました。(前回のあとインフルエンザにかかって)肉ばっかり食べて体重を戻したのも良かった。(まくって)出切ってからも回していたし、神山さんが来てもカーボン(のフレーム)なら抜かれないかなと思ってました。これで優勝がつくし、よかったです」
神山もスイッチするが、坂本のまくりを3番手から追った内藤宣彦が流れ込んで2着。
「車番とスタートがすべてですね。結果的に一番いい形になりました。俺もツケマイ気味にいったけど、(神山に)当たられてたら飛んでいたかもしれない。でも、このルールだとそれはないですからね」
逃げた馬場の後ろ、2番手にいた神山拓弥は、坂本のまくりに切り替えるように追うも踏み負けて3着。
「展開は良かったんですけど。自分の現状だと、あそこで番手から出てもキツいだろうっていうのがあった。だから、しょうがないですね。次はGI(全日本選抜)なんで、競輪の方にしっかり集中したいです」
周回中5番手のポジションになった松岡貴久は、外を追い込むも前が失速せず4着が精いっぱい。
「ライン戦みたいになってしまった。あれじゃキツいですよね。無理でした…」

