『松阪競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:1月24日

 松阪競輪開設68周年記念「蒲生氏郷杯王座競輪」が1月24日から開幕した。前検日からグッと下がった気温と強烈な横風が選手を苦しめたが、一次予選からは井上昌己、竹内雄作が順当に二次予選Aへ。特選は地元コンビ後位を回った村上博幸が制した。2日目は二次予選A、B合わせて7個レースで準決勝進出が争われる。
 2日目も坂本勉氏による場内予想会。2=9キャンペーンや松阪肉が当たる未確定車券抽選会も引き続き予定しています。ぜひ松阪競輪場で迫力あるレースをお楽しみください。

<1R>

野田源一選手
野田源一選手
 オープニングレースを制したのは野田源一(写真)。打鐘から渡邉豪大が主導権を握り、最終ホーム7番手に置かれてしまったが、2コーナーから仕掛けて牧剛央と九州ワンツーを決めた。
 「思った展開とは違ったんですけどね。切ってから赤塚(悠人)君が来るのかなと思ったけど、先に来られてアンコになっちゃって。組み立て面で反省点もあるけど、松山(桂輔)君が内に行ってゴチャついたから自分にチャンスが来ましたね。(まくりは)自分の距離だったので持つかなと思いました」
 牧剛央は4コーナーで渡邉にからまれながらも野田にきっちりと続いた。
 「あんなに1番(渡邉)が駆けると思わなくて、まくれるかなと思ったけど。今日はまくりの風かもしれませんね。(前回の)別府もキツかったけど、それ以上にキツい風だった。抜けたら良かったけど強いですね。抜けてないから絶好調とは言えないけど、悪くないと思います」

<2R>

掛水泰範選手
掛水泰範選手
 赤板の2コーナーから山降ろしで踏み込んだ神田龍が、主導権を握る。合わせて動いた掛水泰範(写真)は、山賀雅仁をすくって4番手をキープするうまい立ち回り。中部ラインを射程圏に入れた掛水が、最終2コーナーからまくって後続をちぎった。
 「(山賀の内が)空いた。あれが空いてなかったら、外に浮いて終わってました。ラッキーでした。重かったですけど、僕のなかでは(最終)ホームで行かないといけなかった。それでも2コーナーでは出られたんで良かった」
 久米良が踏み出しで離れて、逃げた神田を利した伊藤正樹が2着に入った。
 「(地元の神田が)先行してくれたんで、(ラインの)みんなで勝ち上がりたかった。誘導も上がるし、(神田は)押さえに行くのもキツかったんじゃないですかね。掛水君だけはスピードが違ったし、しょうがないですね」

<3R>

伊藤裕貴選手
伊藤裕貴選手
 打鐘過ぎ3コーナーで中島将尊が前に出ると、前受けから下げた伊藤裕貴(写真)がそこをすかさずカマして主導権を握る。3番手の濱口高彰は離れ、バックで濱口をとらえた中島も追いつかない。強風も苦にせず1周駆けた伊藤が見事に押し切った。
 「エラかった…。風キツいですね。(二次予選)Aはキツいんで、B狙いだったけど(笑)。冗談ですけどね。前受けのつもりなかったけど、前受けになったので落ち着いて。前(中島)も強いし、タイミングを見つけてって感じだった。前回(1月平塚の初日)、タツ(近藤)君と決められなかったので、今回は決められて良かった」
 近藤龍徳にとってはこの強風が最大の敵。それでも伊藤の仕掛けに続けたことでレース後はホッとした表情を浮かべる。
 「風で怖い。ダメ。冬場の松阪にいいイメージがないから付いて行けてホッとしてる。2着は奇跡ですね。後ろを1回も見てないし、見る余裕もなかった」

<4R>

 北川大五郎の上昇に対して中団の竹内翼はサッと7番手まで車を下げる。北川は竹内をけん制しながら打鐘過ぎ4コーナーから叩きに行くが、前受けの阿部拓真も腹を決めてペースを上げる。北川を合わせた阿部も懸命に粘るが、最終ホームからまくった竹内翼が4コーナーで前団をとらえた。
 「体を絞れてから反応が良くなっている。(最終)ホームのところでもしっかりと反応できたし、踏み出しの感じも悪くなかった。ただ伸びが少し足りない感じがするので、修正したい。ただ調子自体はいいですね」
 逃げた阿部拓真は林雄一のアシストもあって2着に粘った。
 「逃げの決まり手が付くなんて1年振りぐらいじゃないですかね。泳がされたので駆けるしかないかなと。でも踏んだところでもう一杯でした。林さんのおかげで残れたし、やっぱり感触自体は良くないですね。ただ二次予選Aに上がれたのは点数的にもデカい」

<5R>

 打鐘手前で押さえて出た皿屋豊のペースが上がらないのを見て、長島大介は7番手からすぐさま反撃に出る。最終ホーム手前で長島が叩いて、関東3車が出切る。別線のまくりは不発で、番手絶好の小林大介がきっちり長島を交わした。
 「前回は直前に風邪を引いて練習もできなかった。前回よりも体調が良くなったんで、気持ちの方も違いますよね。長島が行くタイミングだけはと思ってたら、バッチリなレースだった。後ろから見てても、安心感があった」
 後方で構えることなく、素早い反応で先行策に出た長島大介が、内容のある2着で二次予選Aに進んだ。
 「皿屋さんが駆けてたら行かなかったけど、駆けてなかったんで仕掛けました。楽に出られましたね。(初日に先行して)長い距離を踏んで、いい刺激になった。(初日)久々に予選だったんで、抜かれはしたけど(内容は)良かった」

<6R>

南修二選手
南修二選手
 後ろ攻めの吉川嘉斗が押さえに行く。前受けの坂本貴史は突っ張るそぶりから吉川を出させたが、山下一輝がやや遅れたと見るやドカしながら前に出る。この動きに続いて中団に入った中井太祐は2コーナーまくり。続いた南修二(写真)がゴール前でとらえた。
 「中井君に任せてたんで、僕は付いていっただけ。(オールスターでの鎖骨骨折から復帰4場所目で)最初よりは全然マシ。走るたびに戻ってますね。下がることはないと思うし、(復帰直後の)あれ以下はない」
 まくった中井太祐が2着で近畿ワンツースリーが決まった。
 「(打鐘の動きは)予想外でしたね。でもゴチャゴチャしてくれて良かった。内の6番(吉川)も気にならなかったし、ラインで決まって良かった。練習してるんで踏めてる感じはあった。悪くないと思います」

<7R>

 堀内俊介の上昇に対して誘導員を残して下げた川村晃司は飯塚隼人が切ったうえを打鐘から叩いて主導権を握るが、最終バックから番手の北川紋部が徐々に遅れ始める。2コーナー、7番手からまくり上げた堀内俊介は2センターで北川をとらえると川村との車間を一気に詰めてゴール前で飲み込んだ。
 「自分から動いたのに結局7番手になってしまった。風もあって脚がたまらなかったけど、仕掛けなきゃと思っていった。追い風で伸びるところでいけて軽く感じた」
 堀内にぴったり続いた齊藤竜也がゴール前で迫るも差し切れず。
 「押さえて後方になったので少しヒヤッとしたし、6番(飯塚)と2番(川村)がもっとやり合うのかなとも思っていた。(堀内)俊介はすげえ強かった。4コーナーでは1着を確信したけど、俊介はまだまだ伸びていく感じで差せなかった。自分の問題ではないと思う」

<8R>

大坪功一選手
大坪功一選手
 大矢崇弘が押さえたところを、山本伸一が打鐘の3コーナーで出て駆ける。単騎の鈴木良太まで出切って、隊列は一本棒になる。7番手に置かれた森山智徳が最終2コーナーからまくると、神田紘輔がブロック。森山マークの大坪功一(写真)は、直線で外のコースを踏んで楽に突き抜けた。
 「想定してなかった展開だった。でも、踏み出した感じで突き抜けるかなっていうのはあった。(前々回の)立川からセッティングをいじって、(体の)動かし方に無駄がないというか、ロスなくパワーを伝えられている。いいペダリングができている。これが続かないと意味がないから、忘れないように」
 「(最終)バックでは(ラインの)3人で決まったと思ったんですけど」とは、神田紘輔。森山をブロックして番手の役目を果たしたが反省しきり。
 「もうちょっとバシッと(森山を)…。1回で止まった感じがしたんですけど難しい。(山本が)せっかくあんだけ長い距離をいってくれたし、申し訳ないですね」

<9R>

 藤井昭吾が打鐘過ぎに前出たが、そこを坂本周作が叩いてホームから主導権を握る。前受けから下げた佐々木豪は坂本の仕掛けに離れた高橋秀吉に降りられ仕掛けのタイミングが狂ったが、力任せに1センターから仕掛けると前団を飲み込んだ。
 「迷ったけど、(高橋を)出させてから行った。バック踏んでから行ったんでタイミングが取りづらかった。フレームも不安があったけど何とか。落車の影響があるかと思ったけど踏めてたんで大丈夫そうですね」
 ゴール前で佐々木に詰め寄った筒井敦史だったが逆転はならず。
 「抜いたかと思ったら抜いてなかった。(鹿内翔のけん制で佐々木は)2センター止まったですね。俺もコケるかと思いました。タイミングが取れず無理くり行った感じで豪ちゃんの出も悪かった。でも力で行くだろうと信じてました。決まって良かったけど、もうちょい。せめて同着が良かった。引き続き走ってて気持ちいい。余裕があるからね」

<10R>

 前受けになった竹内雄作は押さえに来た門田凌を出させず赤板ホームから誘導員を下ろして突っ張り先行。中団に入った門田、7番手の吉川誠は手も足も出ず。逃げた竹内が末良く押し切った。
 「(門田が)勢い良く来れば出させたけど、ゆっくりきたのでそりゃ出させませんよね。突っ張ってからはずっとペースで踏めたけど、スピードを上げられていなかったので、もし別線に来られたら仕方がないと思っていた。久し振りに師匠(山口富生)と決められて良かった。それが一番のご褒美です」
 山口富生は竹内に懸命に続いて師弟ワンツーを決めた。
 「全て(竹内)雄作がやってくれて付いていくだけでした。でも強い風に重いバンク、それに雄作でキツかった。勝手に呼吸がマラソンの呼吸の仕方になるぐらいヤバかった」

<11R>

池田憲昭選手
池田憲昭選手
 打鐘の2センターで先頭に立った佐々木吉徳が、主導権を握る。北日本勢に続いた山口貴弘まで出切ったと同時に、井上昌己が最終ホームから仕掛ける。徐々に加速した井上がスピードの違いで前団をとらえると、番手の池田憲昭(写真)が余裕をもって追い込んだ。
 「ビックリしました。まさか(井上が最終)ホームから行ってくれるとは。4番(佐々木吉)も掛かってたし、あとは(佐々木)雄一さんにもってこられるかと思ったけど乗り越えられた。(井上は)さすがですね、若手も見習ってほしい。自分の状態は変わらないですよ」
 井上ライン3番手の大屋健司は、別線のブロックを警戒しながら外、外を回って2着に伸びた。
 「結構、キツかった。でも、(最終)バック線くらいから余裕があった。(井上)サマサマです」
 最終ホームからロングまくりの井上昌己は、ラインで上位独占も3着に沈んで苦笑い。
 「相当、脚が弱ってますね。ペースみたいになって、イマイチ踏み上がらない。あれじゃ上のクラスじゃ絶対に無理ですからね。自分で立ち上げると、どうしても…」

<12R>

村上博幸選手
村上博幸選手
 吉田拓矢の動きに乗った単騎の渡邉雄太が打鐘過ぎに切ると、そこを柴崎淳が一気に叩いて主導権を握る。番手で車間を切った浅井康太は吉田の巻き返しに合わせて2センターから踏み込むと、続いた村上博幸(写真)がゴール前で鋭くとらえた。
 「浅井がブロックするのか出て行くのかは風と(まくって来た選手との)スピード差で判断するだろうし、僕は勝負どころだけ内を締めて、あとは任せてました。あの展開で1着取れたんでいいですね。あとは微調整というか、感じたことを微調整したい」
 2着の浅井康太は入念なクールダウンを終えてから静かに口を開く。
 「(まくって来た)吉田君とのタイミングが合わず、出て行く形になったけど車間を切るのに脚を使ってバックでキツかった。1着じゃないけど、後ろもSSなんで。反省点を生かしながらクールダウンしました。2着で期待に応えられなかったので、2日目はしっかり頑張りたい」
 吉田マークから中割り鋭く伸びた武田豊樹だったが4着まで。
 「3(着)は欲しかったね。でも良くなってる。バックで吉田が行き切るのかを見ながらだったし、そこでバックを踏んでしまった。余裕はあってついて行けてたんで、その辺ですね」