『ベイサイドナイトドリーム(GIII)レポート』 最終日編

配信日:3月17日

 大垣GIIIと昼夜リレー形式でつなぎ、四日市競輪場でナイターGIIIとして行なわれてきた大阪・関西万博協賛「ベイサイドナイトドリーム(GIII)」も3月16日が最終日。注目の決勝は和田真久留が大混戦を柔軟な立ち回りで制覇し人気に応えた。なお、和田のGIII優勝は20年8月小田原記念以来で通算3度目となる。また、ガールズケイリン決勝は太田りゆが自慢の快速まくりで、2着の尾方真生以下に5車身差を付けて完全優勝を果たした。

決勝戦 レース経過

 号砲で内枠の3人が出るが、瓜生崇博が正攻法の位置を確保して佐藤健太が続く。三浦翔大-阿部力也の宮城勢、中井俊亮-小倉竜二のコンビ、単騎の牧剛央で、和田真久留-諸橋愛は8番手からのレースになる。
 青板3コーナーで和田が上げていく。和田は赤板過ぎに前団を切るが、すぐさま中井、三浦の順で押さえていって、打鐘2センターからは三浦の先行態勢となる。瓜生も上がってきて三浦を叩きに行き、和田もこの動きに乗ってくる。三浦の抵抗で、外の瓜生-佐藤が浮きかけると、見逃さなかった和田は佐藤の内に入り、さらに瓜生と阿部の中コースをこじ開けるようにして進んでいって最終バックで三浦を捕らえる。和田のトリッキーな動きにも、切り替えようとする阿部との併走もしのいで諸橋が懸命に続く。その後ろで阿部がバランスを崩して落車し、小倉、三浦も巻き込まれる。外に避けた中井、瓜生、佐藤は勝負圏外に去り、和田、諸橋のV争いは和田が押し切って勝利。2着は諸橋で、3着は最後方から落車を避けて内のコースを踏み続けた牧。


和田真久留選手
和田真久留選手

 ウィナーズカップ出場メンバーが不在のGIII開催。和田真久留(写真)は、競走得点トップでシリーズリーダーとして乗り込み、決勝戦でも一番人気に支持され、優勝という結果で実力を示した。
 レースは「初手で失敗したけど、まあいいかなと。イメージはまずは押さえて、全員を動かしてからホームで行く感じでした。(ピッチが)速かったけど、瓜生(崇智)君も行ったのでそこはすかさず行きました」と、想定とは違う展開になったが、柔軟に対応して、体の動くままに反応した。
 最終の2コーナーからは先行していた三浦翔太-阿部力也に、追った中井俊亮と、外から叩きに行った瓜生-佐藤健太の間を踏んでいく。「本来は外を行きたかったけど、今回から新車に変えて、流れすぎてしまい詰まった。あんまり自在な動きより、踏み切って諸橋さんとゴール前勝負できればと思っていたので。変な形にはなったけど、ラインでゴール前勝負できたのは良かったかなと」と、ここでも体が動くままに反応していったことで勝機が開けた。
 「(今節は)調子は全然良くなかったけど、フレームにも助けられながらでした。(決勝も)勝ちたいけど勝てないだろうなと、思っていたんです。体調が良くなって、練習を積んで、今のフレームと噛み合えば良くなると思う。(今後は)自力の場面も増えるような気がしますね」。連日、軽快な動きを披露していたが、体調自体は万全ではなかった。その中で結果が出た要因はやはり今回から投入した新フレームの効果だ。次走の前橋GIIIも優勝候補として乗り込む。

 諸橋愛は和田が狭いコースをまくっていったが、さすがのハンドルさばきで巧く追走していく。最終バックからは阿部とからんだが、しっかりとキメて2着に入った。練習ができるようになったことが調子が上向いている要因。
 「もうちょっとでしたね。残念。初手は和田が失敗したけど、その後はいい判断だった。いいところをまくっていった。(阿部)力也の後輪にからまなければ、もうちょっといい勝負ができた。力也がもってきた時に頭が入って、そこをもっていっている。あれ、入っちゃうと負けちゃうんですよ。あの一瞬が2着の要因かなと。僕は練習して体力をつけないと。だいぶ練習ができるようになってきたし、いつも通りに練習ができるようになれば」

 九州勢は3人が決勝に上がったが、牧剛央は単騎を選択。51歳の年齢で強い決意でレースに臨んだ。最後の2センターからは内のコースを迷わず突っ込み、3着という結果で、競輪祭の出場権を手にした。
 「(単騎の決断は)GIIIの決勝は競輪人生で最後かなと思って、悔いのないようにと。(アクシデントがあって)棚ぼたの3着だけど、競輪祭の権利が生まれたので目標ができた。昨日、オグ(小倉竜二)の後ろで世話になっているしそこからという気持ちはありました。結果は良かったけど、切り替えることもできずに内容は良くない。(内を入っていったのは)いつもは怖いなって思うんですけど、諸橋と阿部の上手な2人だったし、大丈夫と思って。今日は恐怖心がなかった」







ガールズケイリン決勝戦 レース経過

 号砲で一瞬見合った後、畠山ひすいが出ていって正攻法の位置を占める。日野未来に入れられる格好で尾方真生が2番手、藤田まりあに入れられる形で太田りゆが4番手となるが、後方になった太田瑛美、又多風緑の外枠の2人が位置を求めて中団で併走してなかなか隊列が定まらない。さらに藤田も上げていって、畠山、藤田、尾方、日野、太田瑛、太田り、又多で落ち着いたのは打鐘手前。すぐに誘導退避で戦端が開かれる。だが、誰も動かず、押し出された畠山はスローに流して後続の様子を窺う。最終ホーム手前まで来たところで地元の太田瑛が意を決してスパート。ダッシュ良く1コーナーで畠山を叩いて先頭に立つが、太田瑛とは車間を切っていつでも仕掛けられる態勢を整えていた太田りも反応良く追って踏み出していく。畠山以下を突き放しに掛かっていた太田瑛を、2コーナーであっさり捕らえた太田りは見る間に独走状態に。2番手、3番手と前との車間が空き、その後ろから藤田、尾方も仕掛けて出るが、すでに厳しい態勢だった。尾方が藤田、太田瑛を交わして太田りを追うが、太田りはセーフティーリードを保ったまま悠々ゴール。2着に尾方で、3着は尾方を追走する形になった日野が流れ込んだ。


太田りゆ選手
太田りゆ選手

 太田りゆ(写真)と尾方真生の3連勝対決に注目が集まったが、太田りは太田瑛美のスパートに反応して、連日よりも早い仕掛けに出た。加速してからのスピードはすさまじく、後続を5車身離して、まくり4連発でシリーズを制した。
 「(太田)瑛美が動いたタイミングで、瞬時に体が反応してくれた。尾方選手と日野選手の並びが気になって、合わされるよりかは見えない所で行った方が勝機ありだなと、100%で踏みました。みんなが見ている前に踏めたし良かった。(初の4日制だったが)競技だと、5日とか6日とか毎日たくさんレースを走る。1日1本で他はないし、食事の心配もしなくていいし、朝、目覚ましをかけなくても起きられる時間。疲労も取れつつ回復していった」
 昨年のパリ五輪出場後にナショナルチームから卒業を発表。今年は競輪選手として、短期間での競走間隔を経験するなど、いままでと違う一年が始まった。目標とするのは年末の大舞台であるグランプリ。まずは、来月に行われるオールガールズクラシックに目を向ける。
 「(今後は)GIを獲ってグランプリに乗りたい。そうじゃなくても、賞金で乗られるようにしたい。(グランプリには)1回も出たことがないので、優勝したいというよりは、まずは出られるように、目標を1つずつできる範囲でこなしていきたい」

 尾方真生は1月の玉野決勝から負けなしの16連勝で決勝に進出。好メンバーがそろった中での戦法は「自力自在」。今後のビッグレースに向けて、勝ち切ること、を意識して決勝を戦っていた。
 「(初手は)誰か入れてくれるかなと。前で先に仕掛けたかったけど、フタをされてしまったので。今回は自力だけではなく、大きいレースでやれるためにもと、自在に走るようにして、それはできたので。逃げるだけだとグランプリも獲れないと思うし、先輩たちのようなまくりはできないので。レースがうまくなれば(ビッグレースで)1着を獲れるようになるかなと。(連勝はストップしたが)あまり気にはしていないです。通過点だと思っています。(オールガールズクラシックを)獲れれば楽だけど、まだ岐阜だけ走ったことがないんです。ここから仕上げていければ」

 日野未来は初日から思うような体調ではなかったが、開催中に徐々に上向いてきた。決勝は自分のやれる競走に徹し、今の自分の課題を冷静に見つめ直していた。
 「1番車だったので前々で、尾方さんが来たので入れました。(立ち遅れたのは)尾方さん頼りになってしまったししょうがないですね。本来は太田(りゆ)さんのスピードに反応できれば良かったけど、今開催の中で、できることはやれた。自分で仕掛けていたらダメだったと思う。(強敵相手の戦いで)予選では買えるけど、決勝じゃ買えないということもよく言われるので、決勝でも買ってもらえる選手になりたい」







次回のグレードレースは、第9回ウィナーズカップGIIが3月20日~23日の日程で、伊東競輪場において開催されます。
出場選手の選考基準に「ヤンググランプリ2024出走者」、「選考期間における1位回数上位30名」があり、他のビッグレースより若手の自力型が数多く参戦。舞台が短走路でもあり、勝ち上がり戦から熾烈なスピードバトルが繰り広げられそうです。
また、最終日第9レースにて第7回ガールズフレッシュクイーンが第124、126期生の7名により一発勝負で争われます。こちらも目が離せません。

3月11日時点の出場予定選手データを分析した、第9回ウィナーズカップGIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版は"こちら"