『福井競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:7月8日

 福井競輪開設71周年記念「不死鳥杯」が7月8日に幕を開けた。7R、8Rは悪天候のため中止となったが、その他は最終レースまで行われた。メインの特選は郡司浩平が圧巻のまくりで人気に応えた。
 今シリーズは有観客開催となります。ご来場の際は、各種感染防止対策にご理解とご協力をお願い申し上げます。

<1R>

清水剛志選手
清水剛志選手
 後ろ攻めから切った相川永伍を市橋司優人が打鐘前に押さえる。前受けから6番手まで下げた北川大五郎がすかさず反撃。あっさり市橋を叩いて逃げる。これで絶好となった清水剛志(写真)が前との車間を大きく空けてから追い込んだ。
 「自分が地元の一番手で役不足かなって思っていたので、開き直って楽しんで走ろうと。いい流れを作れたかな。追走は楽でした。後ろを見る余裕もありました。どれくらいのまくりが飛んで来るか分からなくて、最後に踏んでしまって北川君には申しわけなかったです」
 中団を確保した市橋司優人は相川に内をすくわれながらも最終バックからまくって2着。
 「スタートで勝負してみようって思って、思った位置を取れた。切った上を叩いてから、自分のレースをすればいいかなって。前を追ってまくりも出せて2着だし、悪くないかな。A級(1、2班戦)初優勝もここだし、バンクのイメージは良い。二次予選が壁になっているけど、準決、決勝といけるように頑張る」


<2R>

中西大選手
中西大選手
 後ろ攻めから赤板過ぎに切った能代谷元がそのまま先行策を取る。3番手をキープした片折亮太が最終2コーナーからまくるが、その上を中西大(写真)がまくり追い込みで飲み込んだ。
 「誰もスタートで出なければ前を取らざるを得ないですからね。先行している選手(能代谷元)がどんな選手か分からなかったので、中団で粘らずに後ろまで下げました。片折さんにずっと見られて行けなかった。片折さんがダッシュいいのは知ってるので、見てしまった。失敗しました。地元の選手に迷惑をかけました。自分だけなんで、ダメなレース。何か前検日からフワフワしている。気持ちなのか体なのか。しっかり気持ちを入れて走りたい」
 中団先まくりの片折亮太は3着で勝ち上がりを決めた。
 「(初手は)中団というより格上の中西君の後ろからと思ってました。上手いこと中団、中団を回れました。中西君に行かれると終わってしまうので、来る前に行こうと思ってました。車の出はあんまり良くなかったので、修正して明日(2日目)を迎えたい」


<3R>

 後ろ攻めの後藤悠が赤板過ぎから主導権を握る。上手く中団を確保した山岸佳太が最終2コーナーから力強くまくって快勝した。
 「あそこ(中団)は勝負しないと。ホームで緩んだところを行こうかと思ったけど、接触の影響で芦澤(辰弘)さんがいなかったら裸になっちゃうなと。1センターから前との距離を詰めるように仕掛けました。感触は悪くないけど、少し感覚のズレがある。日に日に良くなると思います。前回よりはいいけど、まだいまひとつ。セッティングを修正します」
 打鐘過ぎに1度、山岸と連結が外れた芦澤辰弘だが、すぐさま追い上げて2着に続いた。
 「一回カンナ削りをされたので、外から追い上げてと。予想できるメンバー構成だったので、あの並びなら中団を取り切ってからだと。上手く山岸が立ち回ってくれた。体が重たい感じで状態はあまり良くない。抜く抜かないはあれですけど、追走は集中していた。抜く余裕はなかったです」


<4R>

瓜生崇智選手
瓜生崇智選手
 後ろ攻めから動いた巴直也は中団の藤井栄二にフタをしてから赤板の2コーナーで先頭に出る。すかさず反撃に出た藤井が最終ホームで懸命に抵抗する巴を強引に叩いて主導権を奪う。冷静に戦況を見極めていた瓜生崇智(写真)が痛烈にまくり、マークの坂本亮馬と同時にゴールを駆け抜けた。
 「最高の形でしたね。前受けはしたくなかったけど、けん制が入ったので。もがき合いになって行けるところがホームだったので、1周頑張ろうと。最後は交わされたかと思ったんですが、踏み直せました。状態は前回の平よりも上向きです」
 1着同着の坂本亮馬は瓜生の走りを称える。
 「自分としては(瓜生の)まくりを抜きたかったんですけどね。抜けると思ったけど意外と残って、そこら辺の感覚が甘かった。結果的にはラインで決まったので満足です。(瓜生は)厳しい展開を乗り越えて強かったです」


<5R>

 後ろ攻めからカマシ気味に踏み込んだ宮本隼輔が打鐘で先手を奪取。ライン3人で出切って、レースは完全に中四国勢のペースに。後続の動きを見ながら岩津裕介がゴール前できっちり抜け出した。
 「1番車だったので、誰も先行するタイプもいなかったし宮本君が駆けられるなって。一回切ってその上を叩けたらなって組み立てでした。早くからの先行だったので、僕も余裕はあった。ブロックできたら前で決まるなって感じだった。最後は待ち切れない部分もありました。前検日に感覚的に良かったので、気持ち良く走れるんじゃないかって感じでした」
 引いて終始後方でレースを進めることとなった菅田壱道だったが、最終3コーナーからまくり追い込む。中団にいた小林令のブロックで車が外に流れるが、直線ではしっかり伸び切って2着に強襲。
 「仕掛けのタイミングはあったのに3回も4回も見ちゃった。この仕掛けが今の現状だと思う。なんとかあと3日間見ないでいけるように、気持ちの面を高めていきたい。小林君がヨコに動いてびっくりしたけど、なければ突き抜けられたかな。ドン底は脱したと思う。競輪は気持ちだと思うので、強い気持ちを持って走りたい」


<6R>

望月一成選手
望月一成選手
 後ろ攻めの川口聖二が3番手の望月一成(写真)にフタをした状態で赤板、打鐘を通過。前受けの野口大誠は腹をくくって逃げる。3番手の併走はなかなか決着がつかない。最終3コーナーで八尋英輔の内をすくった望月が最後は野口の内から抜け出した。
 「前中団から(別線の選手が)切って、切ってで自分が行く予定でした。その甘えた考えがダメでしたね。どうしようって思って、落ち着いて走れなかった。ただ、内が空いたんで、内を踏んだだけ。初めてあそこまで押さえられました。アップは考えてやって上手にできたので、体はいい状態。明日(2日目)は相手本位じゃなくて、しっかり自分から動いてラインで決まるようにしたいです」
 八尋英輔が番手絶好展開を生かして2着に入った。
 「(野口が)めちゃくちゃ頑張ってくれました。(望月が)3番手なんで大丈夫かなって。内から(望月が)来ることは考えてましたけど、難しいところですね。ハコで余裕はある程度、ありました。展開に恵まれなくても、何とかできるようにしたいですね」


<9R>

村田雅一選手
村田雅一選手
 悪天候の影響で7、8レースが中止となった後で行なわれた一戦。地元の新鋭・脇本勇希が赤板で押さえてきた山本直を突っ張ってそのまま先行勝負に出る。出られなかった山本が中団に入り直しての一本棒でレースは終始し、後続の動きを見ながらゴール手前で踏み出した村田雅一(写真)が1着。
 「突っ張りは作戦だった。まくってこないだろうなっていうくらいのカカリでした。(脇本を)2着に残せなかったのは僕の力量不足。ワンツーを決めたかったです。9レースも取り止めかと思ったけど、気持ちを入れて走れた。脚は軽かったです」
 3コーナーからまくり追い込んでいった山本直は届かず2着。
 「2コーナーで詰まったけど、見てしまってから行ったので後ろに迷惑かけました。ちょうど3コーナーにかかるかなって感じだったので弱気でした。今日(初日)のレースではイマイチ。明日(2日目)から強気にいきたいです」


<10R>

山口拳矢選手
山口拳矢選手
 後ろ攻めから赤板の2コーナーで切った山口拳矢(写真)が畝木努を受けて4番手をキープ。最終2コーナーから鮮やかにまくって完勝した。
 「(初手は)前を取らされると思ったけど、後ろになるとは思わなかった。(中団を確保して)内を気にしながら、あとは前が駆けたんで、自分のタイミングで仕掛けました。行けるかなっていう感じはありました。(発走時間が遅れて)ピークに持って行けなかった感じなんですが、1着を取れているので悪くないと思います」
 志智俊夫がしっかり2着に続いて岐阜ワンツー決着となった。
 「(山口は)メンバー的に受けて立つ立場なので前を取らされると思ったけど、やりやすい形になった。最初の位置取りから上手くレースを運べた。(状態は)見ての通りです」


<11R>

 圧倒的な人気を集めた三谷竜生が5着に敗れる波乱。レースは後ろ攻めから切った鶴良生を古屋琢晶が赤板の2コーナーで押さえて逃げる。最終ホーム前、7番手から巻き返した三谷は中団の鶴に合わされ苦しくなる。快調に飛ばす古屋の番手で絶好となった武藤篤弘が鶴のまくりを止めてから追い込んだ。
 「古屋君が強気の姿勢で走ってくれた。古屋君は強くて点数以上に乗れていますね。差し切れているし、脚の感じはいいと思う」
 古屋琢晶は強豪相手に会心の先行策で2着に粘った。
 「初手は中団か後ろ。順番が来たら行こうかと思っていた。余裕はあって、先行態勢に入れました。3コーナーで武藤さんがブロックしていたので自分のペースで走れた。最後まで踏み切れています」


<12R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 後ろ攻めから上昇した古性優作を前受けの中本匠栄が突っ張る。赤板の2コーナーから森田優弥が一気に踏み込んで主導権を握る。合わせて動いた古性が飛び付き、守澤太志をさばいて番手を奪取。後方で戦況を見極めていた郡司浩平(写真)は最終1コーナーから好回転でまくると、森田を4コーナーで抜き去った。
 「様子を見て、取れた位置からと思ってました。ホームのところの動きが激しくて、見てしまいましたね。そこで踏み込めずにタイミングが狂った。落ち着いてから行く形になりました。反応はいまいちで、楽に行ける感じじゃなかった。終わった後に先行したくらいに苦しかった。新車で自転車と体がマッチしていないので、合わせていくのが今回のテーマですね。いい収穫はありました」
 内藤秀久がしぶとく食い下がり、神奈川ワンツーが決まった。
 「すべて(郡司に)任せてましたけど、思った以上に動きがトリッキーで、そこはちょっと見ちゃってました。集中はしていたんですが、翻ろうされました。余裕はあったので、古性君のところをしっかり乗り越えようと。最後はもっと自信を持って踏むべきでした」