『福井競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:7月25日

 福井競輪場で開催された開設73周年記念「不死鳥杯(GIII)」は、7月25日に最終日が行われた。近畿勢が2つに分かれた決勝は、藤井栄二が主導権を握ったものの後続がもつれる。中国勢に乗ってまくり上げた古性優作が優勝。前々回の前橋に次いで、通算8回目のGIII制覇を遂げた。また、2度のGI制覇を含めて、今年は4回目のグレード優勝となった。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴るとすかさず大外から稲毛健太が飛び出して誘導員を追う。初手は、古性優作-稲毛健太、佐藤慎太郎、清水裕友-柏野智典。藤井栄二は後方からで後位は周回中から脇本雄太、河野通孝で内外入れ替わり、最後方に鷲田幸司の並び。
 青板2センターから正攻法の古性、中団の清水が後方の藤井の動きを警戒する。赤板過ぎに清水が先頭に立つと、すかさず藤井も仕掛ける。藤井には河野が追走。ジャンで再び脇本が追い上げ、古性、鷲田が続くも藤井の後位は河野が取り切った。脇本は3番手外併走の厳しい態勢となり、内の清水が脇本をどかして最終ホームでスパート。清水-柏野、ここに切り替えた古性、佐藤の態勢となり、2コーナーから古性が仕掛ける。最終バックで柏野のけん制を受けたが、乗り越えた古性が4コーナーで先頭の清水を捉える。古性は後続を振り切って今年2度目のG3制覇を達成した。2着には古性後位に切り替えて追走した佐藤。ホームで仕掛けた清水が3着に粘った。


古性優作選手
古性優作選手
 苦しいなかで結果につなげた今年4度目のグレード優勝だった。前々回の前橋記念では、2日目以降から修正を施して3連勝でのV。しかしながら、それ以上に厳しいシリーズだった。
 「前橋よりもっていう感じですね。うれしくないわけではないけど、また練習するしかない。あれでは上では戦えない」
 シリーズ1走目の落車をおして、地元の高松宮記念杯を連覇。その代償は決して小さくなかった。トレーニングを重ねてもなかなか状態は戻らない古性優作(写真)だったが、レースになれば出し惜しみすることはなかった。近畿勢が5人勝ち上がった決勝は、地元の脇本雄太とは別線。その脇本が競り込まれて、思惑通りにはならなかった流れに古性は順応した。
 「できるだけ早めに引いて、(藤井)栄二と力勝負がしたかった。ただ、脇本さんが遅れてくるのが想定外で、自分のプランが崩れた。それでタイミングも遅れた」
 逃げる藤井を目がけて脇本が追い上げるが、河野通孝にさばかれる。脇本を追いかけた古性は、外に浮いて結果的には中国勢後ろの6番手に入った。再度踏み込む脇本に合わせて、最終ホーム手前から清水裕友が仕掛けると、古性は冷静に清水ラインに続いた。
 「脇本さんが番手まで行けたら、その上を思い切り行きたかった。でも、(清水)裕友がいいタイミングで行ったので、その後ろにスイッチした」
 まくり切った清水がスピードに乗せるが、その上を古性が迷うことなくまくり上げる。バックでの柏野智典のブロックも瞬時にすり抜けて、直線の入口で清水をとらえた。古性の番手を奪取していた佐藤慎太郎はからまれ、2車身の差をつけて古性が先頭でゴールした。
 「後ろ(に佐藤がいるの)はまったくわかってなかった。僕も苦しく稲毛(健太)さんの優勝かと思ったけど、いつの間にかゴールだった。展開が向いただけですね」
 清水に合わされた時点で、地元の脇本は万事休す。もう1人の近畿S級S班として、地元地区の牙城を古性が守った。ただ、自身が満足できるシリーズではなかった。
 「感触はヤバかったですね。勝ち上がりの段階でも迷惑を掛けてしまっているし、(決勝の)ダイジェストも見たくない感じです」
 このままでは…。その危機感が古性を奮い立たせる。
 「(次回の)オールスターまでにどこまで立て直せるかわからないけど、練習でしっかり追い込んで、また高みを目指したい。自分のなかで悪い原因はわかっている。ファンのみなさんに選んでもらったオールスターですし、責任感をもって走りたい」
 8月15日からのオールスターは、当然のドリームスタート。自身も納得できる内容で表彰台に立ち、ファンの声援に応えたい。

 単騎の佐藤慎太郎は、打鐘で9番手。3コーナーから内を進出して、古性後位に収まる。そこから古性のまくりに続いて、最終2センターでは柏野の猛ブロックを受けたが2着に入った。
 「(打鐘付近は)イレギュラーな動きで脚をロスしました。けど、うまく(古性の後ろに)いけた。あれで裕友の3番手までいって、(古性に)真後ろからまくられるより、古性のまくりに乗っていった方がチャンスはある。やった方だと思います」

 最終ホーム手前から脇本に合わせてまくった清水裕友は、古性にねじ伏せられたが3着に踏ん張った。
 「脇本さん、河野さんを見てからのレースかなと。そうなったらそこの3番手でと。(最終ホーム手前は)脇本さんを見送っていくより、自分も間合いが取れてたんで合わせて仕掛けた方がいいと思った。(古性とは)底力の違いを感じました。僕は出切って脚にきていたし、抵抗したけど力の差ですね」





次回のグレードレースは、名古屋競輪場開場74周年記念「金鯱賞争奪戦」GIIIが7月27日~30日の日程で開催されます。
今シリーズは平原康多、新田祐大、守澤太志のSS班3名が参戦しますが、主役を張るのはグランドスラマーの新田選手。高速バンクで自慢のスピードを遺憾なく発揮するでしょう。
地元の中部地区のエースは、ダービーでタイトルホルダーの仲間入りを果たした山口拳矢。俊敏な立ち回りで優勝を目指します。

7月18日時点の出場予定選手データを分析した、名古屋競輪「金鯱賞争奪戦」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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