『奈良競輪開設70周年記念(GIII)レポート』 3日目編

配信日:2月13日

 奈良競輪場開設70周年記念「春日賞争覇戦」は13日に3日目が行われた。準決勝3個レースをメインに熱戦が繰り広げられた。最終レースでGP王者の和田健太郎が落車する波乱はあったが、S班の佐藤慎太郎をはじめ、村上博幸、稲毛健太、地元の中井兄弟らベストナインが出そろった。14日の決勝戦でシリーズの頂点を決める。
 今シリーズは、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から開催中の場内の滞留人数の上限を2,500名としております。そのため、上限を超えた場合は入場規制を行います。皆様のご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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稲毛健太選手
稲毛健太選手

村上博幸選手
村上博幸選手
 後ろ攻めの岡本聡が青板の3コーナーで先頭に立つ。前受けから5番手まで下げた稲毛健太(写真)は松川高大と併走になるが、内を抜けて打鐘から主導権を握る。番手の山田久徳は車間を大きく空けて別線の動きをけん制。軽快に駆けた稲毛がそのまま力強く押し切った。
 「作戦にはなかったんですが、残り2周過ぎて引いたら自分のタイミングで行けないと思って。内に行って勝負と思いました。踏まされる感じになったけど、ラスト1周からは落ち着いて踏めました。踏み直しは昨日(2日目)のほうが良かったかな。前々に行けているんでいいと思います」
 近畿ライン3番手の村上博幸(写真)が直線で中を伸びて2着に入った。
 「内を締めながら、稲毛と(山田)久徳を後ろから見てました。どうあれ近畿ワンツースリーで決まるのが理想なので。脚はたまっていたし、思ったよりも伸びました。今回は練習、調整がかみ合ってなくて、正直疲れはあるんですが、レース勘を含め上積みもあります」
 車間を大きく空けて稲毛をアシストした山田久徳は伸びを欠いて3着。
 「責任のある位置だったので、いろいろ考えすぎてしまった。あれだけいい展開になったし、車間をけっこう空けられて、余裕はありました。1着を取らないとダメな展開だったし、そこは反省しています」

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宿口陽一選手
宿口陽一選手

中井俊亮選手
中井俊亮選手
 谷口遼平が赤板で飛び出して先行策を取る。宿口陽一(写真)がすんなり中団に収まり、前受けから下げた中井俊亮が6番手の態勢で打鐘を通過。4コーナーから中井が反撃に出るが、これに合わせて宿口もまくり上げる。笠松信幸のけん制を最終3コーナーで乗り越えた宿口が先頭でゴールを駆け抜けた。
 「中団か後ろから攻めようと思っていた。いい形になりました。谷口君がいいところで来てくれて脚を使わずにすんなり中団を取れたのが大きいですね。いい感じにニュートラルに入っていた。無理矢理いってまくり切れているので良かったです。脚の感じはいいです」
 好マークから迫った佐藤慎太郎は宿口を交わせず2着。
 「(宿口は)完璧でしたね。突っ張られるのが一番嫌だったけど、いいタイミングで押さえにいってくれた。(宿口が)バックでブロックを交して回していたので、これは抜けないパターンのやつだと。最後は抜きにいったけど、届かなかった。気持ちは維持できているし、決勝もさらに気持ちを入れて走れれば」
 外を諦めずに踏み続けた中井俊亮(写真)が3着。16年9月岐阜以来、5年ぶり2度目の記念優出を地元で決めた。
 「初手で前は嫌だったけど、けん制が入ったので、しょうがなく出ました。あとは出たとこ勝負で。ジャンで行こうと思ったんですが、谷口君がいいピッチで駆けていた。ホーム手前ではもう行かないと届かないと思って行ったけど、宿口さんに見られていたので苦しかったです。決勝に乗れたのは良かった。最終日も気を引き締めて走ります」

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武藤龍生選手
武藤龍生選手

中井太祐選手
中井太祐選手
 後ろ攻めから切った元砂勇雪を赤板前に大石剣士が押さえて先行策を取る。前受けから7番手まで下げた松本貴治は打鐘前から強引に巻き返すが、元砂も最終ホームから合わせて踏み上げる。これを張った和田に、元砂、小倉竜二が接触して3名が落車のアクシデント。バック過ぎに松本が大石をねじ伏せるが、スイッチした武藤龍生(写真)がゴール寸前で逆転した。
 「(大石が)すごくいい先行をしてくれました。ホームで松本君が来て、元砂君と踏み合う感じになって危ない予感がしたので、構えていました。落車を避けられて運が良かったです。松本君が行ってしまったので、中井(太祐)君を張りながら踏みました。苦しい中でも差し切れているので、状態はいいと思います」
 ロングまくりの松本貴治は2着。1月の地元記念に続き、記念連覇に王手をかけた。
 「前受けになったので、引いてタイミングだけ逃さないようにと思ってました。あとは力勝負しようと。上手く下りを使って行けたけど、前もかかっていたので、出はそんなに良くなかったですね。落車もありましたけど、出切れたのは良かったです。踏み続けた感じも悪くなかったです」
 中井太祐(写真)が3着に入り、兄弟そろっての地元記念優出を果たした。
 「(元砂は)無理やり行ってくれた感じでした。後ろで気持ちが伝わってきたし、うれしかったです。落車があって、そこから冷静な判断ができなかったんですが、決勝に乗れたのはうれしいです。実力ではなく、気持ちでここまで来た感じですね。弟(俊亮)が選手になった時から記念の決勝で兄弟2人で一緒に走るのが夢でした。いい舞台なので楽しみたいです」