『奈良競輪開設73周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:2月25日

 奈良競輪場で開催された令和6年能登半島地震復興支援競輪・開設73周年記念「春日賞争覇戦(GIII)」は、2月25日に最終日が行われた。近畿勢が7人勝ち上がった決勝は、別線の古性優作と脇本雄太で壮絶な叩き合い。最終バック手前からまくった三谷竜生が抜け出して地元で優勝。三谷将太と18年以来、奈良記念での兄弟ワンツーで連覇。通算7回目のGIII制覇を遂げた。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると、少し見合ったスタートから古性優作が誘導員を追う。古性-南修二-松岡健介の阪神勢が前を固め、前中団からが三谷竜生-三谷将太の地元勢。菅田壱道-守澤太志の北日本勢はこの後ろ。脇本雄太-東口善朋は後攻め。
 青板バックを過ぎても大きな動きはない。赤板過ぎの1コーナーから脇本が一気にスパートすると、それに合わせて古性も誘導員を交わして猛ダッシュ。好スピードで脇本は前団に迫るが、2センターで南の強烈なけん制を受けてスピードが鈍る。最終1コーナーで脇本が後退すると、1センターから菅田が勢いよくまくり上げる。マークしていた守澤はやや口が空いていたため、守澤を捌いて菅田にスイッチしていた三谷竜が続く。バックでは懸命に逃げる古性に菅田が迫り、更にその外から三谷竜が踏み込み、三谷将が続く。2センターで菅田が古性を捉えるも、そのすぐ外には三谷竜が迫り、両者が並んだまま4コーナーを回る。三谷竜が菅田を直線で交わし、昨年に続き地元記念を連覇。2着には三谷将が食い下がり兄弟ワンツー。3着には先まくりを放った菅田が入った。

三谷竜生選手
三谷竜生選手

 近畿勢は大挙7人が決勝に進出。4人が結束して三谷竜生(写真)が完全Vを遂げた昨年とは違い、ラインは3つに分かれた。それは無傷の3連勝で勝ち上がった脇本雄太、昨年のMVPの古性優作。S級S班の2人を向こうに回して勝負することを意味していた。
 「(近畿勢は)別線で力勝負っていう形だった。古性君、脇本君が気迫のあるレースをしてくれて、なんとか(展開が)向いたかなって思います」
 近況も昨年11月の競輪祭、続く12月の別府記念で落車に見舞われて、今年に入っても1月の大宮記念で落車。万全のコンディションで地元記念を迎えられたわけではなかった。
 「この前の全日本選抜の調子が良くなくて、地元記念はどうかなっていう不安があった。だけど、日に日に調子が良くなってきた」
 脇本の番手でスタートした地元記念は、二次予選で古性、準決で脇本と再連係。離れることはなかったものの、S級S班の2人を交わせずにシリーズ未勝利で迎えた決勝だった。それだけに自力での決勝に不安を払しょくできなくても致し方なかった。が、兄、三谷将太との兄弟タッグは、三谷竜には大きな力になったに違いない。
 「(ワンツーは)うれしいですね。(ゴール後に三谷将とは)やったなって、そんな感じであんまり覚えてません(笑)」
 レースは8番手の脇本が、動き出した赤板過ぎから様相は一変。一気に激しくなった。すでにそこでは古性も先行の腹を固めていたようで、脇本と壮絶な踏み合い。南修二のブロックで脇本のスピードが鈍ると、今度は菅田壱道がまくる。北日本勢にかぶった三谷竜は、最終1コーナーで守澤太志を外に弾いて菅田を追いかける。そして、バックからちゅうちょすることなく、その上をまくった。
 「古性君が行かなかったら、自分がそのまま思い切り行こうと思ってました。しっかりと対応できたかなと。体が勝手に動いたじゃないけど、自然に(菅田に)スイッチできた。そのまままくれたんで良かった。菅田さんを越えた時に(優勝に)いけたかなと」
 まくり切った三谷竜が兄を連れ込んでのゴール。三谷兄弟の気迫が誰よりも勝った。
 「落車が続いてしまって、思うような練習もできなくて調子を崩していた。けど、奈良記念に向けてはしっかりと練習することができた。3月はあっ旋が止まるけど、4月からしっかりと走れるように。(5月の)ダービー(日本選手権)を見据えてしっかりとやっていきたい。やるからにはグランプリを目指していくのは当たり前なんで」
 兄弟でワンツーフィニッシュの6年前は、その後に日本選手権、高松宮記念杯、そして最後にはグランプリを獲ったMVPイヤー。そこから遠ざかっているタイトル獲りへ。充電期間を経て、三谷竜が反撃の狼煙を上げる。

 弟のまくりに食い下がった三谷将太が、ゴール前で菅田を交わして地元ワンツー。
 「SSの2人(古性、脇本)がすごいレースをした。(守澤をさばいて菅田にスイッチした三谷)竜生を応援してました。まくり切ってくれって。古性もまだ死んでいるわけではなかったし、そこもさすがでした。(地元記念での兄弟ワンツーは)6年ぶりですね。(今シリーズは)ファンの人たちの応援が多くて、(力をもらった)それに尽きます。これからも奈良支部の全員がお客さんに応援されるように頑張っていきます」

 ワンチャンスにかけた菅田壱道は、力尽きた脇本が外に浮いて後退したその瞬間に、まくりを敢行した。
 「脇本君が出切るか、付いていって緩めば仕掛けようと。(脇本が)飛んだ形になって、どっちに踏むか迷った。古性君も自分も脚を消耗していたけど、行けるところまでいこうと。バックで出切ったところでいけるかなと。自分は最大限のレースをしたけど、三谷(竜)君に力でねじ伏せられた。古性君、三谷(竜)君、脇本君とグランプリ王者を相手に最大限のレースができた」









次回のグレードレースは、令和6年能登半島地震復興支援競輪・玉野競輪場開設73周年記念「瀬戸の王子杯争奪戦」が2月29日~3月3日の日程で開催されます。
今シリーズは清水裕友、松浦悠士、眞杉匠、山口拳矢のSS班4名が参戦する豪華メンバー。地元勢はこの大会3Vの実績がある岩津裕介、取鳥雄吾らが一丸となって地元Vにまい進します。
頂点に駆け上るのは果たして誰なのか?

2月18日時点の出場予定選手データを分析した、玉野競輪「瀬戸の王子杯争奪戦」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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