『奈良競輪開設57周年記念(GIII)レポート』 初日編
 
配信日:2月2日


 奈良競輪・開設57周年記念『春日賞争覇戦』は2日に開幕した。心配された天候も雲には覆われたものの、雨や雪は避けられたまずまずのコンディションの中、特選をメインに全11レースが行われた。赤板から激しいバトルが繰り広げられる熱戦が続いたが、戦い終えた選手のナマの声をお届けします。
 開催を通して行われるファンサービスは工藤元司郎氏、荒木実氏、吉井秀仁氏によるガチンコ予想大会(司会・工藤わこ)、車券5000円以上ご購入の方にブランド品などが当たる抽選会、女性入場者先着100名様に有名ブランドハンカチプレゼント、先着1000名様に早得キャンペーン! などが行われます。
 開催2日目のファンサービスはLOVE9による各入場口でのお出迎え(1着ガール投票用紙付き出走表を1000部配布)、近畿競輪6場共同PR記念『キンキガールズシリーズ杯』第4戦(8レース発売中)、ダンスパフォーマンス(4レース発売中)、抽選会(10レース発売中)と盛りだくさん。是非本場で迫力あるレースをお楽しみ下さい。


<1R>
 オープニングの1レースは東軍で上位独占。逃げ切った松坂洋平は流れる汗を拭いながら笑顔が絶えない。
 「練習がしっかり出来ているので、気持ちにも余裕があるし、脚も軽かった。押さえてからは誰か来たら突っ張るつもりで構えていました。1番(家田真宏)の仕掛けも見えたし、合わせて踏み直した。でも、ゴール前はタレたし抜かれたと思いました」
 差し切れなかった中川司は苦笑いを浮かべながらクールダウン。
 「(松坂は)強いねぇ…。抜けるかと思ったがダメでした。彼は余裕を持って走っていたね」
 外併走からのまくりを試みた家田真宏は一瞬出切る勢いに見えたが、松坂の踏み直しで万事休す。
 「おっ、行けるのかな? と思ったら、見事に踏み直されたね。やられちゃいました」


<2R>
 続く2レースは坂本匡洋の奇襲のイン粘りで大波乱。人気薄の坂本がアタマで3連単は17万円を超える穴となった。
 「突っ張るつもりでしたが、踏み負けてしまったので粘るしかなかった。ヨコは苦にはならないけど、普段はあまりやらないですよ。今回は和歌山記念の時よりはマシですかね」
 高田大輔が不発と見るや、うまく切り替えた宮本佳樹が直線強襲して2着に突っ込んだ。高田の頑張りを称えながら、余裕の表情で振り返る。
 「高田君が行けるパターンになったけどね。僕自身は脚の余裕があったので、うまく突っ込めましたね」
 人気の高田大輔は前団がもつれて絶好のまくり頃と思えたが、スピードに乗り切れなかった。
 「体調も良くないけど、ギヤを下げたのが失敗だったみたい。スカスカな感じで全然踏めてる感じがなかった。2日目からはまた上げたほうがいいのかな…」


<3R>
 3レースは昨年に本村隆文との対戦で負けている渡部幸訓が主導権を取り切り、まくらせなかった。しかし、ゴール前は末を欠き、ガックリと肩を落とす。
 「弱いですねぇ…。かかってないまま、タレていくばかりで…。やっと4着ですよ(苦笑)」
 渡部を残しながら踏み込んだ亀井宏佳は1着でゴールも、渡部を残せなかったことが無念だったようで、笑顔は見られない。
 「渡部君が頑張ってただけに、何とか残したかった。作戦通りのレースになっただけに残念だよ」
 外に浮きかけながら、俊敏に内を決めて、亀井後位に潜り込んだ北幸博が2着キープし、うまさを見せた。
 「ペースが上がっていれば僕がキメて本村君を受けたかったが、前が流していたので勢いで内に行き過ぎた感じ。僕自身の感触としては悪くなかったですけどね」


<4R>
 4レースも出入りの激しい展開になり、ゴールはスジ違いで大波乱。3連単は本日2回目の10万円超えとなった。勝った木村悦久は最終2コーナーから空いた内を突き番手を奪取。返す刀でゴール前で差し切った。一つ間違えば内に詰まったままで終わりかねなかった展開だけに、俊敏なさばきが光った。
 「まさか内が空くとはね(笑)。石井(秀治)君が踏んで休んだ瞬間に三宅(裕武)君に来られたので、合わせるのは厳しかった。最終ホームで1番(鈴木孝征)が行ったので、もう内しかないと思った。今日はほんとに恵まれですね」


<5R>
 5レースは地元の先陣を務める佐藤成人が登場。山出裕幸の先行をフルに利しただけに、絶好のチャンスだったが、ゴール寸前で内村豪のまくりに屈しての2着に気まずそう。
 「まくりを止めて、戻ったら重くなってた(苦笑)。止めてそのまま出て行くわけにもいかないしね。止めにいっても、その外を行かれちゃいそうで不安でしたよ」
 勝った内村豪は最終ホームは七番手。短走路だけに苦しい展開となったが、力でねじ伏せた感じだ。
 「タイミングが取れずに力任せにいったが、何とか届きましたね。最終ホームで仕掛けたかったが、山出君も全開だったし、腹を括りました。奈良は走り易いバンクですね」


<6R>
南修二選手
南修二選手
   6レースからは格が上がって選抜戦。赤板前から上昇した藤田大輔の後位に早くも南修二が競りこむ展開となり、藤田もペースに持ち込めなかった。結果的には2着も富弥昭にカマされた。
 「2番(南)があんなに早く粘るとは思わなくて…。富さんのカマシが見えてから合わせたけどダメでした。番手に入ってから仕掛けたけど、車が出なかったですね」
 勝った南修二(写真)は番手戦から急遽まくりに作戦変更となったが、好スピードで前団を飲み込んだ。
 「藤田君は徹底先行だと思ったので番手戦を考えていたが、流したので富さんがカマシてもつれましたね。引いてまくりに切り替えたけど、踏み出した瞬間に行けるかなと思った。地元地区の記念なので気持ちも入ってます」


<7R>
小川将人選手
小川将人選手
   7レースは松本一成が先行勝負も、中団をキープした小川将人(写真)が一気にまくって快勝。楽に中団を取れたことに本人が驚きの表情。
 「一度斬ったのが正解だったけど、それにしても、うまく行き過ぎましたね。最終ホームで市田(佳寿浩)が巻き返してくるかと思ったけど、それもなかったしね。体調もいいけど、ベストな展開でした(笑)」
 2、3着は逃げたラインが残った。無風の番手と展開に恵まれた深井高志が松本を称えながらレースを振り返る。
 「松本君は絶妙のペースで駆けていたね。いいかかりでしたよ。バックを番手回りっていうのは気持ちいいもんだね(笑)」
 地元ファン期待の近畿コンビは、後方に置かれてしまい出番なく終わった。地元の安福洋一は勝ち上がりギリギリの7着でゴール。
 「良い時の市田君だったら、中団の外併走からまくっていくパターンだよね。それができないのが現状なのかも…」


<8R>
松岡健介選手
松岡健介選手
   8レースは人気の松岡健介(写真)が豪快なまくりで圧勝したが、地元の大井啓世を連れ込めず。勝ちっぷりとは対照的に表情は冴えない。
 「小松(剛之)さんが見えた時に合わせて突っ張ることも頭をよぎったが…。勝つには勝ったが、レースとしては最悪になってしまった。救いなのは脚の状態が良いことかな」
 ガックリと座り込んだ大井啓世は、多くの記者団に囲まれるとバツが悪そうな表情。
 「離れる時はいつもこのパターン…。登っていく感じのカマシ、まくりに対応する練習をしてきたつもりだが…。でも、まだ勝ち上がりが終わったわけじゃないし、最終日まで気持ちを入れていくしかないね。僕より勝った松岡君を取材してあげてください(苦笑)」


<9R>
香川雄介選手
香川雄介選手
   9レースからはSS班が登場する特選。落車のアクシデントもあり、失格者も出る波乱の中、ゴール前で突き抜けたのは競輪祭で表彰台に上がった香川雄介(写真)だった。俊敏な判断で内に潜り込んだ。
 「脚より流れがいいね。渡部君に任せてたけど、彼の前輪が壊れたのが分かったし、内にいった。でも、失格審議になったしヒヤヒヤでしたよ」
 一瞬、前団を飲み込む勢いを見せた渡部哲男は、望月永悟のブロックで前輪破損。
 「故障しなければ行き切れたかもしれないが…。でも、最後まで踏み切ってないので状態は何とも…」
 レースを作った新田康仁は主導権を取り切ったが、ゴール前の粘りがあと一歩足りなかった。
 「今日は先行して、どこまで粘れるかのレースをするつもりだった。出切るまでに脚を使ってないのに、出てから違和感があった。これはギヤの選択ミスみたい。練習では悪くなかったが、実戦では…。元のギヤに戻して、2日目からは勝てるように頑張る」


<10R>
志智俊夫選手
志智俊夫選手
   10レースは大方の予想通り武田豊樹が先行態勢に入るも、石丸寛之がカマシ先行を敢行。そこを立て直した志智俊夫(写真)がまくりで射止めた。
 「流れが僕に向いたし、タイミングよく仕掛けられたね。このメンバーで勝つのは難しいと思ってたが、これで優秀戦にいけるのは大きい」
 石丸寛之はゴール前は失速したが、久し振りに感触をつかめるレースができたという納得の表情を見せる。
 「車の出がようやくよくなってきた。前とはだいぶ感触も違うし、やれそうな気がしてきましたよ」
 人気の武田豊樹は叩かれながらも豊田知之をドカして強襲を目論んだが、惜しくも4着で優秀戦への勝ち上がりを断たれた。
 「打鐘で踏みすぎたかな…、でも、石丸君もきてた気配だったしね。ハナに立ってると寒さで脚が消耗するね。短走路を意識しすぎて、ちょっとあわてて仕掛けすぎたかな」
 武田後位の手島慶介は、一瞬の判断が遅れたことを悔やむ。
 「最終ホームで振れば、石丸君一車になって武田さんが番手に入れたよね。そうすれば僕らのラインで決まったと思うんだが…」


<11R>
飯野祐太選手
飯野祐太選手
   最終11レースは打鐘前に主導権を取った飯野祐太に、更に稲垣裕之が襲い掛かる激しいレース展開となった。
 「バンクの感触は悪くないけど、踏んだら重かったですね。後ろが離れてるのは分かったし、流せず踏みっきりですよ。でも、レースに集中できているので頑張れたのかな」
 番手にはまった飯野祐太(写真)は、稲垣に追い付く勢いで突き抜けるかと思われたが、そこまでの余力は残っていなかった。
 「一車なのは分かったけど、気持ちとしては突っ張るつもりでした。でも、スピードが全然違いました。番手に入れたけど、ゴール前はもう一杯」
 ゴール前の接戦を制したのは、グランプリレーサーの飯嶋則之。今日も彼らしい淡々とした口調。
 「稲垣君のスピードが良かったね。僕の調子? う~ん、悪くはないですよ」

↑ページTOPへ

 
情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
COPYRIGHT(C) JAPAN KEIRIN ASSOCIATION, All Rights Reserved.