『向日町競輪開設75周年記念in奈良(GIII)レポート』 3日目編

配信日:9月27日

 奈良競輪場で開催されている京都向日町競輪開設75周年記念「平安賞in奈良(GIII)」は、9月27日に3日目を迎えた。ファイナルをかけて争われた準決では、熱戦が展開され、山田久徳、佐々木豪、金子幸央が白星を挙げた。また、地元の近畿勢からは山田久をはじめ、三谷竜生、稲川翔の3人が優出した。33バンクでの激闘もいよいよ大詰め、9月28日のシリーズ最終日には、スピードバトルを勝ち抜いた9人による決勝の号砲が鳴らされる。
 記念開催中は、9月28日の最終日も、様々なイベントでみなさまのご来場をお待ちしております。「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」ショー、マジックなどのパフォーマーショー、場内予想会ステージ、豪華景品が盛りだくさんの未確定車券抽選会、奈良県で人気の地元グルメの出店、村上義弘さんをメインに「あの時歴史は動いた」のトークショー、ジャンボバルーン、先着300人に来場者プレゼントなども予定されています。また、テレビ、インターネット中継などでの観戦もお楽しみください。

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山田久徳選手
山田久徳選手

山田庸平選手
山田庸平選手
 山田久徳(写真)、稲川翔はともにスタートを出て、近畿勢が前団に構える。谷内健太は誘導との車間を詰めながら、山田庸平を突っ張る。4番手は小林泰正が確保して、山田庸は5番手に降りるが神山拓弥がう回して追い上げる。神山に押し込まれた山田庸だったが、わずかに空いたインを赤板1センターで進出。山田庸が4番手を奪い、下げた小林は7番手で打鐘を通過する。先行態勢の谷内が、そのまま踏み上げて駆ける。小林が最終1コーナー過ぎにまくり、山田庸も2コーナーで合わせて出る。逃げる谷内の番手で山田久が、車間を詰めてけん制。2センターからは前に踏み込んだ山田久が1着。
 「(谷内は)いつも一緒に練習しているし、逃げ切れるくらいの脚はあると思うけど精いっぱい頑張ってくれた。(山田庸のまくりを)止めにいって、帰ってきた時に(谷内に)掛かりそうだった。(山田)庸平も勢い的に来そうな感じだったので、踏ませてもらった。しっかりと調整してきているんで、今回は調子が格段にいい。平安賞(向日町記念)を優勝したい気持ちが強いので、そこを目指している。でも、気負わずに、平常心でこられていると思います」
 一瞬の隙を突いて4番手を取った山田庸平(写真)は、山田久をとらえ切れずも2着で優出。
 「流れのなかで、うまく中団に入れた。(5番手で神山と併走になって)あそこの位置で勝負かと思ったら、前が空いたんで。そこからは前が流していたんで、油断したらちょっと離れた。それで(仕掛けて)行くタイミングが2回くらいあったけど、脚がたまってなかった。(状態としては)良くも悪くもなく、なんとか決勝まで上がれた感じですかね」
 近畿3番手の稲川翔は、外のコースがなく京都コンビの間を踏んで3着。九州勢にかぶって致し方なかったが、静かにこう振り返る。
 「前の2人(京都勢)は、日ごろから一緒に練習をしている。僕はその2人を信頼して、自分のできることをまっとうするだけだなと。(山田)久徳は谷内を絶対に残しにいって、(ブロックから)戻ってくると思った。僕はそこからの判断だと。本当は(最後のコースは)外に行くのがベストだけど、(内の)あの判断しかできなかった。しっかりと勝ち上がった方が、谷内のこれからにつながると思いたい」

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佐々木豪選手
佐々木豪選手

塚本大樹選手
塚本大樹選手
 3番手の森田一郎も合わせて踏み込むが、後方から上昇した町田太我が青板3コーナーで飛び出して先行策。4番手で伊藤裕貴と重なった森田は、赤板手前から仕掛ける。前団の隊列が短くなり、深谷知広が襲い掛かる。森田が打鐘3コーナーで町田を叩き切るが、雨谷一樹は連結を外す。番手に町田が入る。3番手になった佐々木豪(写真)は、最終ホーム手前で深谷に合わせて自力に転じる。深谷を合わせ切った佐々木に、塚本大樹の追走。深谷は不発で、後続を退けた佐々木が1着。
 「伊藤さんの前受けだったので、僕らのところで粘りもあるのかなと思っていた。町田君が主導権を取ってくれたし、町田君のおかげです。1回けん制を入れたら、深谷さんがすごいスピードで来た。止めることができず、前に踏ませてもらった。今日(3日目)が一番キツかったと思うけど、徐々に(状態は)上がってきている。セッティングは毎日いじっていて、今日が一番良かった」
 中四国コンビの後ろを回った塚本大樹(写真)は、自力にチェンジした佐々木に流れ込んだ。
 「佐々木君が頑張ってくれましたね。追走は問題なく、楽でした。初日が良くなかったけど、だんだんと(感じは)戻ってきた。奈良は嫌いじゃないと思います。決勝に向けてはケアだけですね」
 森田を見失った雨谷一樹にとっては苦しい流れも、そこからコースを縫ってリカバリー。しぶとく3着に入った。
 「森田君に付いていけなかったので、情けないの一言です。いっぱいだったけど、いけるところまでと思って踏みました。手応えはあんまり良くないですね。森田君が頑張ってくれたおかげなので、ムダにしないようにしたい」

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金子幸央選手
金子幸央選手

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 地元コンビを連れて前受けの藤井侑吾は、蒔田英彦を出させず突っ張って主導権。しかしながら、後方の犬伏湧也も素早い反応で、前団に襲い掛かる。藤井がペースを上げるが、赤板2コーナーで犬伏が叩き切る。岩津裕介が続いて、藤井は打鐘4コーナー付近でようやく3番手に引き切る。金子幸央(写真)は、6番手で最終ホームを迎える。藤井が1センター過ぎにまくるも、岩津の横まで。今度は金子が2コーナー過ぎからまくって、前団をとらえた。
 「(周回中の位置も)あの位置が一番良かった。これだったら最高だなっていう並びだった。あの形で藤井君が(仕掛けて)行ったとしてもキツいと思った。自分はタイミングを見計らって、思い切り踏もうと思った。三谷さんが内々を気にしている感じがあったので、その隙に行けるところまでと。いつになく練習の成果が出てうれしいです。今日(3日目)はビックリするくらい自転車が出たし、自信になりました」
 杉本正隆は金子のまくりに遅れて、三谷竜生(写真)が最終2センターから外を追い込んで2着。藤井も力尽きていたわけではなく、苦しい胸の内を振り返る。
 「犬伏君がいいスピードで来て、藤井君がどうするかなって。引くのか、粘るかで中途半端な感じで引いてきた。(そのあとに藤井が)無理やり仕掛けて、(金子が来た時に)藤井君もやめてなかったんで(判断が)難しかった。脚の余裕はあるので、調子自体は問題ないと思います」
 僅差の3着は、先行策に出た犬伏湧也。藤井との力勝負を制して踏ん張った。
 「長い距離をモガく自信もあった。藤井さんが掛けてないところを叩けたんで、そこに関しては良かった。あれを仕掛けないと奈良で短走路なんで、(勝負権が)ないなって。そこが勝負どころで、あとは自分の力がどれだけもつかだった。ダッシュで思った以上に消耗していてキツかった。ただ、気持ちを強くもって挑めていると思う。初日が良くなかった分、2、3日目はパフォーマンス良くいけている」