『向日町競輪開設75周年記念in奈良(GIII)レポート』 最終日編

配信日:9月28日

 奈良競輪場で開催された京都向日町競輪開設75周年記念「平安賞in奈良(GIII)」は、9月28日に最終日が行われた。地元の近畿勢から3人が勝ち上がった決勝では、三谷竜生を叩いて主導権を奪った犬伏湧也が逃げ切りで優勝。昨年10月の京王閣以来、通算4回目、4月にS級S班となってからは初優勝を遂げた。

決勝戦 レース経過

 号砲で三谷竜生が出かけるが、ダッシュの良い雨谷一樹がこれを制して栃木コンビが前受け。金子幸央-雨谷、三谷-山田久徳-稲川翔の近畿勢が前中団、山田庸平-塚本大樹が後ろ中団で、犬伏湧也-佐々木豪の四国勢は後攻めになって周回を重ねる。
 青板を過ぎて、まず山田庸から動く。並び掛けてくる山田庸を金子が突っ張り、山田庸は近畿勢の前に入って3番手となるが、赤板ホーム手前で三谷が猛然とスパート。追って犬伏も仕掛ける。1コーナーで先頭に立った三谷を、2コーナーからの加速で犬伏が叩いて打鐘3コーナーで主導権を奪取。佐々木が懸命に犬伏を追う一方、3番手の三谷以下はホームあたりから大きく口が空いてしまう。早くも四国コンビの一騎打ちの様相となり、第二先行の形になった三谷後位からバックで山田久がタテに踏んでいくがまだ前が遠い。そのまま直線に入り、佐々木と、ようやく車間を詰めた山田久を振り切って犬伏が逃げ切りVを達成した。

犬伏湧也選手
犬伏湧也選手

 「グランプリも走ってないなかでS班になった。なった以上は、勝たないといけないレースもあった。遅いけど、優勝ができて良かった」
 フレームを換えた2日目以降の3走は、すべて先行策。満点の内容にS級S班の犬伏湧也(写真)の笑顔が弾けた。
 昨年は11月のラストGI、競輪祭を準V。獲得賞金を加算したものの、初めてのグランプリ出場は次点でかなわなかった。がしかし、今年4月にS級S班に繰り上がった。そこから半年、グレード戦線のみでの戦いに身を置いて、ようやく優勝につなげた。
 「ずっと苦しかったんで、ちょっとホッとしているところもあります」
 内容、結果ともに求められるS級S班の重圧から逃げることなく、真摯に取り組んでいた犬伏は、こう胸をなでおろした。
 「(別線の動きを見ながら)落ち着いてできた。一発で(仕掛けて)、ゴウちゃん(佐々木豪)と2人で決められた」
 周回中は、後方のポジショニング。6番手の山田庸平が切りに動くが、前受けの金子幸央が突っ張る。山田庸が3番手に下げると、三谷竜生が赤板目がけてフルダッシュ。犬伏の後方からのプレッシャーに別線が動いて、単調な流れにはならず、結果的に犬伏に流れは向いた。
 「待たずに三谷さんにスピードをもらいながら、(近畿勢に)付いていけた。(その上を仕掛けた)タイミングも良かったかなと」
 地元の牙城を守らんと必死の抵抗を見せる近畿勢をスピードの違いでのみ込んで主導権を奪った。最終ホームでは3番手以降を四国の2人でちぎり、短走路の奈良で、優勝は犬伏と佐々木に絞られた。
 「ゴールまでスピード感良くいけた。(佐々木に)抜かれなかったので、ちょっとは成長しているのかと。いつも抜かれているんで、たまには(笑)」
 4コーナーで外に持ち出した佐々木だったが、犬伏に体を並べることはできずに半車身詰め寄ってのゴール。S級S班としての初優勝は、犬伏がいつも目標としているラインでのワンツーだった。
 「(昨年10月の京王閣以来のGIII優勝で)1年もかかった。もっと優勝できるように頑張りたい」
 10月の寬仁親王牌、11月の競輪祭。今年のGIも残すところあと2つ。今年も獲得賞金ランクでグランプリが視界に入るところにいる。
 「(GIの)そこで結果を出せないとグランプリが見えてこない。来年もSSを続けるためにも、そこで結果を出したい。去年もそういうの(獲得賞金でのグランプリ出場争い)があって嫌だったんで」
 ここからはグランプリ出場権をかけたヒリつくような争いも、さらにヒートアップ。この優勝が犬伏に勢いを与えることは間違いない。

 打鐘2センターでのあおりもあった佐々木豪は、奈良の短い直線勝負にかけたが2着。記念初Vはお預けになった。
 「犬伏君的には、三谷さんの動きが助かったと思う。ダッシュの立ち上げを無風で行けたと。犬伏君が(仕掛けて)いつ行くかわからなくて、後ろでカンカンカンっていた。それで付いてはいったけど、(三谷に)からまれて口が空いてキツかった。(最終)4コーナー勝負でと思ったけど、犬伏君の踏み直しがすごかったし強かった」

 3番手で大きく離れた三谷の余力を見極めた山田久徳は、最終2コーナー過ぎに自力に転じて四国コンビを追ったが3着まで。
 「あの展開で三谷君がよく行ってくれました。金子君も踏んでいたし、出るのに脚を使ったと思う。止めにいったけど、(犬伏の)スピードがすごかったです。判断が難しかったし、僕の失敗でした。(最終)ホームで(切り替えて)行ったら、ギリギリ間に合ったのかな。タラレバですけど…、悔しいですね」







次回のグレードレースは、京王閣競輪「ゴールドカップレース」が10月2日~5日の日程で開催されます。

今シリーズは脇本雄太、眞杉匠、清水裕友、岩本俊介、松浦悠士のSS班5名をはじめ、ダービー王・吉田拓矢、共同通信社杯を制した南修二ら超豪華メンバーが集結。地元勢は鈴木竜士、寺沼拓摩らが一丸となって強豪を迎え撃ちます。ハイレベルな優勝争いを制すのは、果たして誰でしょうか?

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