『向日町競輪開設67周年記念(GIII)レポート』 初日編

配信日:8月31日

 向日町競輪場で開設67周年記念「平安賞(GIII)」が、8月31日に幕を開けた。強い風が舞った初日は、一次予選から迫力満点の激しい戦いが展開された。メーンの特選では、地元のS級S班の稲垣裕之が白星を挙げて、村上義弘は3着で2日目の優秀へとコマを進めた。9月1日の2日目には、初日特選を勝ち上がった9選手によって、優秀「朱雀賞」が行われる。
 本場では開催中の毎日、平安賞オリジナルクオカードが当たるラッキーカードを1000名様に配布します。近畿マイスター予想会(2日目は安福洋一氏)、選手会京都支部によるお出迎えなど、様々なファンサービスとイベントでお客様をお待ちしています。また、1日の2日目にはプロレス団体FREEDOMSとB168による「京都向日町競輪プロレス」、「スピーチーズ」によるライブなども予定されています。ぜひ、向日町競輪場へ足をお運びください。

<1R>

大森慶一選手
大森慶一選手
 神田龍に併せ込まれた真船圭一郎は冷静に下げて、赤板の2コーナーから巻き返し主導権。稲吉悠大が追い上げ中団がもつれて、番手の大森慶一(写真)にとっては願ってもない流れが訪れた。神田のまくりをけん制して直線で踏み込んだ大森が、通算200勝のメモリアルをオープニングで達成した。
 「前の真船君のおかげ、それに尽きます。勝ち上がりでの1着だし、(200勝は)うれしいです。真船君が落ち着いてペースだった。自分は結構、脚にきてました。100勝した時が2009年でしたかね、あと何年掛かるかわからないけど、300勝できるように」
 九州勢の追い上げで7番手に置かれた神田龍は、最終2コーナーからのまくりで2着に届いたものの反省の振り返り。
 「(九州勢に割り込まれて)甘いですね…。ラインを生かせなかった。(まくりが)よく届きました。(感じは)悪くないんですけど」


<2R>

 打鐘で酒井拳蔵を押さえて前に出た本多哲也を工藤文彦が叩いて主導権を握る。前受けから後方まで下げた佐藤一伸はすかさず踏み上げて4番手の位置に入ると、最終2コーナーから力強くまくって快勝した。
 「なんとかって感じですね。ホームでしっかり踏めて後手を踏まなかったのが大きい。(佐々木)雄一さんが後ろでプレッシャーはありました。最後はなかなか雄一さんが来なかったので、どうしたのかなって思ってました」
 8番手から懸命にまくり上げた酒井拳蔵が2着。S級に上がって初めて初日予選を突破した。
 「内容はともあれ、勝ち上がれたのはよかったです。打鐘で結構踏んだけど、脚は溜まってました。3コーナーの登りがキツかったです。気持ちの弱さが出たので、二次予選は積極的に頑張ります」


<3R>

小笹隼人選手
小笹隼人選手
 吉田茂生が押さえた上を、小笹隼人(写真)が出てレースを支配する。別線を警戒しながら最終ホーム手前でペースを上げた小笹は、番手の高間悠平の援護にも助けられ逃げ切り勝ち。地元で好スタートを切った。
 「(地元の)トップだったんで緊張しました。勝ちを意識するより、自分のレースを心掛けました。後ろの高間さんも僕の気合を感じてくれて、それを受け止めてもらって自分はしっかり駆けられた。ここに来る前からスピードが出てたんで、あとは心の問題と思っていた。(村上)博幸さんに出し惜しみするなって言われて、それがいい方に出ました」
 最終3コーナー過ぎに藤田竜矢が高間をすくうと、さらにその内を五十嵐力が突いて2着に追い込んだ。
 「外がフワフワしていたんで、あれが2コーナーだったらいいけど。もう3コーナーだったんで、外に行くと厳しいと思った。スタートけん制と押さえに行く時に突っ張り気味に踏まれて、自分も脚に余裕がなかった。情けないレースになっちゃいました」
 五十嵐に内から当たられた藤田竜矢は、差し脚が鈍り3着。
 「誘導を追いかけるのに脚を使って、もう脚がなかった。高間君は絶対に(ブロックを)やると思って、行った瞬間そこをと。そしたら(五十嵐に)すくい返されちゃいました」


<4R>

 打鐘で成松春樹を叩いた金子哲大が、後続を一本棒にして逃げる。しかしながら、6番手にいた竹村勇祐の巻き返しが早い。最終ホーム手前からのロングまくりで前団を仕留めて、そのまま押し切った。
 「踏んだ瞬間は出切れないと思って、馬場(勇)さんか成松さんのところに降りるかなって。でも、成松さんもキツそうだったし、なんとかまくり切れました。久々の1着で良かったし、北日本のいい流れを切らさないでよかった。調子はずっといいので、やっと成績で出てくれたかな」
 竹村に詰め寄った阿部秀樹は、微差及ばずの2着。
 「外から誰かが飛んで来たのが見えて、それで慌てて踏んだ。そうしたら、竹村君が踏み直していたので交わせなかった。道中は余裕がありました」


<5R>

 打鐘前に切った太刀川一成を窓場千加頼が押さえて先制。7番手となった山田庸平は最終2コーナーから好回転でまくり上げる。窓場の番手で車間を空けて別線の反撃に備えていた筒井裕哉が余裕を持って追い込んだ。
 「(窓場)千加頼があれだけ行ってくれたし、強かったです。5番(山田庸平)は見えていたんですけど、遠かったから大丈夫だろうと。踏み出しはキツかったんですが、余裕はありました。最後は(窓場が)タレてきたので、ギリギリまで待ってから踏みました」
 まくった山田庸平は2着まで。レース後は反省しきり。
 「引くのは遅くなかったと思います。(打鐘の)4コーナーで外に外して行こうと思った時に前が駆け始めたので見てしまった。オールスターで自分なりに課題を持ち帰ってやってきたのに、それを生かせず内容的には0点です。二次予選は気を引き締めて走ります」
 中団確保からまくり追い込んだ太刀川一成が3着に食い込んだ。
 「中団を取って余裕はあったんですが、初日なので少し大事に行きすぎました。5番(山田)が見えてこれ以上、待つとまずいと思って仕掛けました。勝ち上がれたのはよかったです」


<6R>

 打鐘の2センターで谷口遼平が中井勇介を叩くと、7番手に置かれた鈴木謙太郎が反撃に出る。離れながら追った浦川尊明は伊藤健詞のブロックで終了。谷口が番手に入り、最終2コーナーで自ら踏んだ鷲田佳史がゴール前できっちり追い込んで1着。
 「中井さんが前々に攻めてくれた。ホームですぐに(中井が)踏んでくれれば良かったけど、3番手に入ってすかさずっていうのはなかなか厳しい。自分はバックを踏めなかった。余裕もあったし、脚は悪くないと思います」
 直線の入り口で鈴木に追いついた谷口遼平が、鈴木を交わすも外の鷲田に追い込まれて2着。
 「叩いてキツかったんで流し過ぎました。ペースが上がらなかった。それでも前よりは良くなっている。前だったらあれで(鈴木に)追いつかなかったと思います」
 打鐘の4コーナーからカマした鈴木謙太郎は、直線でスピードが鈍り3着に沈んだ。
 「駆け方としては一番ダメなパターン。細切れで前を取らされたんで、もうちょっと早めに行ってペースに入れるべきだった。風があったんで、思った以上に脚にきました。あれで谷口君に差されるのはよろしくない。競走が詰まっているから、末が良くないですね」


<7R>

 打鐘手前から主導権を握った川口聖二がペースを落としたところを見逃さず、坂本健太郎がスパート。最終1センターで川口をとらえて、そのまま別線を完封した。勝負どころの反応良さが光った坂本が、白星をつかんだ。
 「だまし討ち成功ですね(笑)。これがバック1本しかない奇襲です。脚の感じはわからないけど、押し切れたので良かった。松本(大地)さんとは相性がいいし、信頼して気楽に走れた。普段はあの仕掛けをあまりしないので、無警戒だったんでしょう。出切ってからはペースで踏めました」
 三上佳孝の猛追を押さえた松本大地が、流れ込んで九州ワンツー。
 「付いていけるけど交わせないのは、いつもの僕の調子です(笑)。(坂本)健太郎はデビューして一番ワンツーが決まっているし、相性が抜群ですね」


<8R>

川村晃司選手
川村晃司選手
 後ろ攻めの大矢崇弘が早めに上昇すると、誘導員を残して後方まで下げた石塚輪太郎は赤板から巻き返す。これで7番手となった大西祐は打鐘の3コーナーからスパート。マークの梶応弘樹は離れ、石塚が大西の後位にはまる。バック過ぎから石塚が前を抜きにかかると、その後ろから地元の川村晃司(写真)が鋭く伸び切った。
 「石塚君が引いてすかさず巻き返してくれたので、彼の頑張りのおかげです。それだけですね。(石塚が大西の)番手に入ったので、ラインで決められればと思ってました。(石塚は)だいぶ脚を使っていたし、キツかったと思います。自分も脚はいっぱいでした」
 後方からまくり上げた大矢は不発となったが、スピードをもらった安部達也が2着に突っ込んだ。
 「大矢君はずっと踏みっぱなしできつかったと思う。行けるところまでと思って踏んだけど、あそこまで伸びるとは思わなかった。よく届きましたね。自分を褒めたいです(笑)」
 地元を背に前々に攻めた石塚輪太郎が3着に入った。
 「4番(大矢)が押さえに来るのが早かったので、いったん引いて、すぐ巻き返そうと思いました。自分の中ではペースで踏んだけど、(大西に)出られてしまったので。きつかったです。後ろの地元が1着なので最低限の走りはできたかなって思います」


<9R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 赤板の2コーナーで武田和也も懸命に踏んで合わせるが、人気の太田竜馬(写真)がスピードの違いで主導権を奪って逃げる。打鐘からの1周半、強風のなかで風を切った太田が、別線をシャットアウトして押し切った。
 「めっちゃキツかったです。(2週間空いたので)久しぶり感はありましたけど、(気持ちは)いつも通りでした。踏まされて出る自分の苦手なパターンだったけど、なんとか押し切れました。(風が強くて)逃げが決まらないのがわかりました。(重かったのは風と)それにギアを3.93に上げたのもあった。今回から(フレームが)新しいんですけど、フレーム自体は問題ない。(新しいフレームは)ギアを掛けた方がいい感じがしたんで(ギアを上げた)」
 連続落車からの復帰となった富弥昭は、太田ときっちり1車身をキープしたままゴール。2着に流れ込んだ。
 「(打鐘で付け切って)ホッとはしたけど、(太田は)またバックで掛かっていくから。離れることはないけどね。もう自分で(太田が)強いって決めつけているのもあるし、それで余計に力が入ってしまった。でも、実際に強いし、ヤングで1、2の選手ですから。その太田君に付けられたんでよかった。(2場所連続落車で)無事が第一っていうのはあるけど、また気合を入れて(2日目以降を)頑張ります」


<10R>

伊勢崎彰大選手
伊勢崎彰大選手
 打鐘手前で先頭に立った石井秀治は、別線の仕掛けを待たずに緩急をつけてレースを支配する。番手で車間を切った伊勢崎彰大(写真)が、別線との間合いを計りながら後続をけん制。絶好のチャンスをモノにして勝ち切った。
 「内藤(宣彦)さんが付いてくれたのもあるし、(石井)秀治が先行してくれて涙が出そうになった。連係は何回もあるけど、先行してくれたのは初めて。あとは俺が勝つことが秀治への恩返しだと思った。ラインの長さが生きたし、ずっと余裕はありました」
 千葉コンビに付けた内藤宣彦が、横一線の2着争いを制して流れ込んだ。
 「恵まれました。石井君が頑張ってくれましたね。自分は思ったよりも道中が軽かった。それに6番車でプレッシャーもなかったです」
 4番手キープの吉田敏洋は、近畿勢にかぶって仕掛けられずも3着。
 「なにも話すことはないですね。恥ずかしいレースでした。ただ、外帯線の上を走っていただけです」と、厳しい表情で言葉を選ぶ。


<11R>

近藤隆司選手
近藤隆司選手
 後ろ攻めから早めに動いた清水裕友が近藤隆司を出させずに打鐘前から主導権を握る。後方に置かれた稲垣裕之は打鐘の4コーナーからロングまくりで襲いかかる。これに合わせて3番手から近藤、番手の小倉竜二も踏み込むが、2人の抵抗を力でねじ伏せた稲垣が好スタートを切った。
 「思ったよりも隊列がすんなり整って、後ろが付きにくい仕掛けになってしまった。打鐘過ぎに(菅田)壱道が下げて、近藤を(3番手に)すんなり入れたのが予想外でした。近藤と壱道の態勢が整う前に早く踏みました。近藤君の踏み出しがよかったんですけど、地元っていうのが後押ししてくれました。いろいろと修正点はあるけど、地元ですし、気持ちを入れてしっかり走ります」
 3番手で態勢を立て直した近藤隆司(写真)は最終2コーナーからまくる。バックで外に稲垣、内に小倉で3車併走になりながら最後まで踏み切った。
 「清水君が出させてくれない感じだったので、止めて3番手に入りました。そこからは落ち着いていけました。結構車間を空けて、詰める感じでいけたんですけどね。稲垣さんはずっと外々だったのに、行かれてしまった。力の差を感じました」
 最終バックから前に踏んだ小倉竜二は、3着に入るのが精いっぱいだった。
 「1周半、ずっとキツかった。流れるところがなかった。外の2人(近藤、稲垣)が上のほうにいたから出て行ったけど重かった。踏んだ距離も長かった。あと1回踏めれば合わせられそうな感じだったけど、いっぱいでした」


<12R>

永澤剛選手
永澤剛選手
 早めに動いた中井俊亮は、青板のバック過ぎから飛び出して先行態勢を取る。赤板を通過して中井が徐々にペースを上げていくが、鈴木竜士が7番手から巻き返す。踏み上げる中井を打鐘の4コーナーで鈴木が叩いて主導権を奪取。高橋大作が離れて、村上義弘はとっさの判断で3番手にスイッチしたのもつかの間、すかさずまくりを打つ。村上に香川雄介、柳詰正宏が続き、3車を追った永澤剛(写真)がまくり追い込みで突き抜けた。
 「メンバーが強すぎて、緊張はしなかった。(1着は)俺だけ脚を使ってなかったのもあった。イチかバチか行きました。3コーナーまくりで行ったんですけど、2センターが追い風だったんでそれも良かった」
 まくった村上マークの香川雄介は、ソツなく追走してゴール寸前で村上を交わして2着。
 「(3番手に切り替えた村上は)すかさず行くっていう感じがあったんで、自分も構えていた。村上だし、その外は誰も来れないかなと思った。あそこで(中井を)入れたら(勝負権が)なかっただろうし、(村上の)判断はさすがやね」
 最終ホーム手前で選択を迫られた村上義弘は、やむを得ず3番手に切り替えてのまくりを断行。
 「(中井を)3番手に迎え入れるタイミングが1個ズレた。あとはもうあの形にもっていかないと勝負権がない。あのままだと次は永澤君が来るだろうし。(まくって)もたなかったのは、自分の脚がないからですね」