『和歌山競輪開設74周年記念(GIII)レポート』 最終日編

配信日:1月14日

 和歌山競輪場で開催の開設74周年記念「和歌山グランプリ(GIII)」は、1月14日に最終日が行われた。決勝は、寺崎浩平を先導役に、S級S班の古性優作、地元の東口善朋、藤田勝也と4人が優出を果たした近畿勢が大方の予想通りレースを支配。近畿ラインの番手を回った古性が、東口の追撃を許さず新年Vスタートを決めた。古性のGIII優勝は昨年7月の福井記念以来で通算9回目となる。

決勝戦 レース経過

 号砲が鳴ると内枠3車でのスタート争いとなるが、最内枠を活かして東口善朋が誘導員を追う。寺崎浩平-古性優作-東口-藤田勝也の近畿勢が前を固め、中団は坂井洋-永澤剛の東日本勢、山田英明-山口敦也-阿竹智史の西日本勢が後攻め。
 青板3コーナーで山田が後方からゆっくりと上昇し、赤板経過と同時に先頭へ立つと、坂井も西日本勢の後ろに切り替える。バックでは坂井が前との車間を空けて近畿勢を警戒するも、ジャンで寺崎が一気にスパート。4コーナーで山田を捕らえて後続を突き放していく。最終バックで坂井がまくりを開始するも前の近畿勢までは遠い。寺崎が4コーナーを先頭で回り近畿勢でのゴール勝負となるが、番手を回った古性が直線で抜け出して今年初V。2着には古性にしっかりと続いた地元の東口が入り、3着には寺崎が粘り込んだ。

古性優作選手
古性優作選手

 レースは、完全に近畿勢が支配した。寺崎浩平が6番手から打鐘で仕掛けて、最終ホームでは近畿ライン4車でごっそりと出切る。バックでは、4番手の藤田勝也と、5番手の山田英明で5車身以上の差が開く。あとは、2センターから早めに踏み込んだ古性優作(写真)が、突き抜けるだけだった。
 「(寺崎に)完全に任せていました。想定では(出切った後に)坂井(洋)君が、すごい勢いで飛んで来るのかなと思ってたけど、もう(最終)1コーナーですごい掛かりだった。あとは、自分が油断せずに走るだけだなと。東口(善朋)さんの地元にかける思いは伝わってきますし、東口さんにもチャンスを作りたかった。そう思って(2センターで)踏みました」
 東口が2着に続き、寺崎が3着に踏ん張って近畿勢で確定板を独占。ゴール後の古性は、何度も肩を叩いて寺崎をねぎらった。自らが「近畿のキーマン」と名指しした寺崎の走りから、熱いものを感じ取った。
 「寺崎は近畿を引っ張っていく選手になってほしいし、そうでないといけないと思ってます。今回は、僕と、寺崎が特選スタートで、近畿を引っ張っていかないといけない立場だった。この舞台で、4日間良いレースを続けてくれて、GIにつながると思う。こうやって信頼関係を作っていって、GIでも良い連係をしたい」
 寺崎の走りがあっての優勝だということは確かだが、古性自身も修正を施し続けた4日間だった。
 「連日、東口さんにアドバイスをもらって、良かった時との(フォームの)差を、真後ろで見た感じで教えてもらった。3日目に感じたことを決勝で試して、一番感じが良かったと思います」
 昨年の福井記念以来、通算9度目のGIII優勝で2024年のシーズンを開幕させた。「タイトルを総なめに」。その目標も夢物語ではない。今年最初のGIは、3連覇のかかる全日本選抜。ブレずに一走入魂の走りを続けて、偉業に挑む。
 「大きな目標を掲げたんで、それを達成するには、期待に応えるんじゃなくて、期待を超えないといけない。GI3連覇は、それを目標にしてたらできないと思う。みんな仕上げてくる大会ですし、気を抜かずに一走、一走を続けた先に付いて来るものだと思いますし、命がけで走らないとできない。もっと進化していきたい」
 GI3冠を達成した昨年を、上回る活躍を。近畿の仲間と共にレベルアップを続ける古性の全盛期は、まだまだ先にある。

 早めに踏んだ古性の、さらに外を踏んで迫った東口善朋だが、2度目の地元記念制覇はならず。チャンスをもらったからこそ、悔しさがこみ上げる。
 「1番車なんで、脚をためたかったけどスタートを取りに行った。赤板はまだ息が上がっていたし、もう一周ほしかったぐらい。最低限の着ですし、(古性を)抜けていればベストだった。(古性は)僕に勝負権のあるように踏んでくれたし、(古性)優作らしくてありがたかった。悔しさの方が大きいです。でも、これがあるからまた頑張れる。もっと高く飛べるように、また沈み込みます」

 寺崎浩平が、近畿勢上位独占の最大の立役者。近畿を引っ張っていく姿勢を、レースで示した。
 「(赤板で)引いて、坂井がどう先行争いをしてくるか分からなかったので、とりあえず早めに仕掛けてと。出切れば(ラインの仲間が)なんとかしてくれると思った。最終日を良いコンディションで迎えられて、ラインで決められてよくやったかなと思う」







次回のグレードレースは、川崎競輪場開設74周年記念「桜花賞・海老澤清杯」が1月18日~21日の日程で開催されます。
今シリーズは松浦悠士、清水裕友、深谷知広、佐藤慎太郎のSS班4名が参戦する豪華メンバー。迎え撃つ地元勢も郡司浩平、北井佑季、松谷秀幸ら充実のラインナップです。
勝ち上がり戦から激しいスピードバトルが繰り広げられるのは必至で、目が離せない4日間です。

1月10日時点の出場予定選手データを分析した、川崎競輪「桜花賞・海老澤清杯」GIIIの主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

プロスポーツ号外版は"こちら"